生産研究 1999年7月号

第51巻第7号
(生産研究は、生産技術研究所の研究紹介誌として、毎月1回発行する)

目次

小特集:ITS

学術講演会

開会の挨拶  坂内正夫

ITSとは何か―関連分野のシステム開発状況
―機械関係におけるITS研究内容―

吉本堅一

ITSとは何か―関連分野のシステム開発状況
―電気関係におけるITS研究内容―

池内克史

ITSとは何か―関連分野のシステム開発状況
―土木関係におけるITS研究内容―

桑原雅夫

民間企業のITS開発及び実用化への取り組み
―電機メーカーの取り組み―

福井良太郎

欧米のITS開発及び実用化への取り組み
Percepton for Outdoor Navigation on Highways, Cross-Country, and in the Air.

Charles Thorpe

欧米のITS開発及び実用化への取り組み
―MITにおける取り組み―

正木一郎

欧米のITS開発及び実用化への取り組み
The University of Parma Argo Project: Critical Review and Perspect.

Alberto Broggi

ITSの開発・実用化における産学連携の取り組み
―ITSの開発・実用化における産学連携の取組み―

坂内正夫

閉会の挨拶  藤田隆史

研究速報

道路交通における動的な混雑料金の理論的考察
―個人差を考慮した出発時刻選択問題―

井料隆雅・桑原雅夫

運転ゲーム機を用いた地震時の走行安定性実験
山之内宏安・山崎文雄・鎌田崇義


道路交通における動的な混雑料金の理論的考察
―個人差を考慮した出発時刻選択問題―

井料隆雅・桑原雅夫

 本研究では、通勤交通を対象にした動的な混雑料金について、個人差を考えた上で 理論的解析を行うものである.現在,渋滞を緩和する政策の一つとして、ロードプラ イシングが提唱されている。しかし、利用者の持つ時間価値には個人差があるので、 この政策を考える時には、個人差を考慮する必要がある。そのため、本研究では、個 人差を考慮した出発時刻選択問題を,混雑料金を組み込んだ上で解いた.そして、あ る課金方法が実施された際に、混雑の様子がどのように変化するかを知るための基 礎理論、および最適な混雑料金の計算方法を知ることが出来た.

運転ゲーム機を用いた地震時の走行安定性実験
山之内宏安・山崎文雄・鎌田崇義

 日本の高速道路においては,地震時に最大加速度80Gal以上が観測された場合に,安全確認のため通行止めすることになっている.しかし,最近の調査研究によれば, この基準程度の地震動では,構造物に被害が生じないことが分かってきている.ここで,現行の基準を緩和させるに当たっては, 構造物被害のみならず,車両の走行安定性も考慮されなければならない.そこで本研究では,運転ゲーム機を使用し,振動台上で様々な地震動を加えることにより,地震時における運転者の走行安定性への影響を模擬的に検証した.その結果,大きな地震動下では,実際の道路上で地震時に生じうる交通事故を推測させる結果が得られ,地震波特性が走行安定性に大きな影響を与えることが分かった.

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