- 高速圧力スイング吸着に関する研究の現状と課題
鈴木貴紀・迫田章義・鈴木基之 気体分離の分野において,大容量のPSA装置の開発が望まれている.しかし,従来からのPSA装置による大容量処理は困難であり,(高速)のみが,飛躍的な処理容量の向上が可能である.本報では,高速PSAに関する既往の研究と現状を整理するとともに,今後の課題について考察した.その結果,サイクル速度の高速化はPSAの小規模・大容量化に極めて有効であること,そして高速PSAの分離特性は,吸着塔の大きな圧力損失により支配されており,吸着塔内のバルクガスの流れと吸着剤の最適化が必要であることが明らかとされた.
- 後輪に独立回転車輪を用いた急曲線通過台車に関する研究
須田義大・西村隆一・松本 陽・谷本益久 鉄道車両用台車では、高速安定性と曲線旋回性能の両立は難しく、通常、操舵性能が犠牲となってきた。近年,高速安定性を確保した上で、操舵性能も重視した自己操舵台車が各種考案、実用化されてきたが、本研究では,これらを発展させてた新たな自己操舵台車を提案し、その急曲線通過性能を検討した。提案台車は、後輪軸に左右独立に回転する輪軸を用いて、輪軸支持剛性の前後非対称性化を図ったもので、理論解析と曲線走行を模擬できる台上試験装置を用いた実験により、フランジ接触・非接触時における操舵性能および高速安定性を調べ、在来台車より性能向上することを確認した。さらに、台車条件の最適化も検討した。
- 低床ライトレールの快適性・乗降容易性評価実験
須田義大・平沢隆之・松岡茂樹 低床ライトレール車両の快適性・乗降容易性を定量的に評価するために、営業車両における乗客の乗降行動調査と、千葉実験所におけるモックアップを用いた実験を行った。実験では、実車両を用いて、ドア部通過時の一人当たりステップ抵抗と運賃収受抵抗を求め、ホーム幅やドア利用方法、座席配置の影響を実物大モックアップを用いて測定した。これらのデータにより、定量的評価手法を確立し、その有用性を検証するとともに、営業車両の走行時間分析から、運転時間短縮への効果的手法を定量的に求めた。
- 水冷銅ルツボを用いたラングミュアー蒸発法
小笠原義仁・Tabaian Seyed Hadi・前田正史 ラングミュアー蒸発法により、Ni-Ti合金の熱力学的測定を行った。熱源に電子ビーム、容器に水冷銅ルツボを用いて、合金の真空溶解を行った。水冷銅ルツボを用いることにより、試料に不純物や酸素が混入する事を防いだ。温度は2色光高温計を用いた。実験により、蒸発速度と温度を計測した。計算に当たっては、Hertz-Knudsen式、温度分布モデル、正則溶液近似を用いた。結果、Ni-Ti合金の活量は、負に大きく偏倚していた。これにより、活性な金属を含む他の合金の熱力学測定を行う可能性を示した。