- 棒・線材圧延の温度解析 −圧延加工の温度解析 第5報−
木内 学・柳本 潤・若松 英二 薄板・厚板などの板材圧延ならびに棒・線・形材などの異形材圧延に用いる圧延機・ロール・加工工程などの設計・製作・運用には,圧延加工時の三次元塑性変形の解明と同時に被圧延材の温度変化の解明が不可欠である.被圧延材のロールとの接触による抜熱や摩擦発熱,変形に伴う発熱,スタンド間の冷却による抜熱等により,圧延中の被圧延材の温度は大きく変化する.本報では異形材圧延の中でも線材圧延の25段f5.5mm,60m/s仕上げの24番スタンドのラウンド・オーバルパスに着目し,3次元上流有限要素法を用いて温度解析を行った結果を報告する.
- 構造物のスマート構造のための大型ピエゾアクチュエータに関する実験的研究
嶋崎 守・藤田隆史・畑山貴善・有壁剛生・村井信義・相沢 覚・遠山幸太郎 著者らは、スマート構造と呼ばれる新しい構造概念を適用して、高層建物を制振する研究を行っている。この場合のアクチュエータとしての積層型ピエゾアクチュエータ10×10×18mmおよび25×25×36mmのアクチュエータ特性について検討してきたが、当然のことながら、大規模構造物の制振に用いるには容量不足である。本研究ではアクチュエータの大容量化を目指し、現在の技術で比較的容易に製作可能な大型ピエゾアクチュエータを製作した。本報では、その大型ピエゾアクチュエータのアクチュエータ特性を実験的に検討した結果を報告している。
- 鉄塔用山形鋼のめっき時の熱ー弾粘塑性解析
都井 裕・李 帝明・家沢 徹 鉄塔用山形鋼のめっき時におけるボルト接合用孔縁部の割れ発生の力学的メカニズムを解明するため、Bodnerの粘塑性理論に基づいた有限要素プログラムを開発した。典型的ないくつかの初期残留応力分布を仮定し、割れ発生に及ぼす影響に対して考察した。その結果、実験で得ることができない割れ発生の力学的挙動が数値シミュレーションによって把握でき、本解析法の有用性を示した。
- 一般座標系LESにおける壁法則の応用
張 会来・小林敏雄・谷口伸行 本研究は,より計算効率の高いLES手法に着目する目的としている.工学的に興味ある流れ場へ適用する場合,壁面no-slip条件のかわりに人工的壁面境界条件を導入することは計算機容量及び計算時間の面で得策であると考えられる.本研究では正規直交座標系に用いられる壁面法則を一般座標系に簡単に応用できるように変形することを示し,曲線斜交格子座標を用いるチャネル乱流に実用した.その結果,十分実用可能な精度が得ることができた.
- タングステンの窒素錯体から誘導されるアシルヒドラジド(2−)錯体のX線構造
溝部祐司・尾下博幸・干鯛眞信 タングステンの窒素錯体cis -[W(N2)2(PMe2Ph)4]から誘導したシリルジアゼニド錯体trans -[WI(NNSiMe3)(PMe2Ph)4]について過剰のヨウ化アセチルとの室温での反応を検討した結果、窒素上のシリル基のアセチル基による置換が進行し、最終的に低収率ながらアセチルヒドラジド(2−)錯体cis,mer -[WI2(NNHCOMe)(PMe2Ph)3]が得られることを見出した。本新規錯体についてはX線単結晶解析によりその構造の詳細を明らかにした。
- Pb(Fe1/2Nb1/2)O3 強誘電体セラミックスにおける散漫相転移
小田 克郎 Pb(Fe1/2Nb1/2)O3 強誘電体セラミックスにおける散漫相転移の機構を強誘電特性の測定とメスバウアー分光法を用いて調べた.通常の強誘電体とは異なり,強誘電−常誘電相転移温度以上の温度でも電気分極−電場ヒステリシスループが測定された.これは電気分極が存在していることを示している.メスバウアー分光法の結果よりペロブスカイト構造のBサイト上にFeとNbイオンは2相分離的に分布していることがわかった.散漫相転移の機構として,nmサイズのFe rich と Nb rich の領域の存在が挙げられている.
- 生産技術研究所防災マニュアル作成に関する考察
村尾修・中埜良昭・山崎文雄阪神・淡路大震災以降,多くの企業,病院,大学などが危機管理のために防災マニュアルの作成に取り組んでいる.しかし,一般的なマニュアルの作成法といったものは少なく,その作成には組織ごとに多大な労力を要する.ここでは防災マニュアルを作成することの難しさを述べ,生産技術研究所の防災マニュアルを例に,「行動基準の設定」,「臨機応変に対応できるリーダー」,「組織の構築と役割分担」,「情報伝達手段の確立」,「実現可能性の向上」という5つの要素から構成される災害対策本部組織のモデルとそれにもとづく防災マニュアル作成の方法を提案している.