- フォトリフラクティブ効果の基礎:バンド輸送モデル
志村 努 フォトリフラクティブ効果の理論的基礎であるバンド輸送モデルについて解説する。基本方程式を導く考え方について述べ、さらにこれを解いて得られた解からフォトリフラクティブ効果の特徴である、時定数が光量に反比例することと効果の大きさが光量ではなく干渉縞の変調度に比例することを示す。フォトリフラクティブ効果の理論についての入門である。
- 粘性領域における発達チャンネル乱流の特性
金 宰基・吉識晴夫 壁面近傍である粘性領域での乱流現像の解明は伝熱現象を明らかにする上では不可欠なものである。本研究では発達チャンネル乱流の粘性領域における乱れ特性について調べるために熱線プローブを試作し、Re数5,000から40,000までの範囲で実験を行った。流れ方向の速度分布や乱れ強さ分布、高次モーメント量などを調べた結果、本実験のRe数範囲での粘性領域において無次元速度乱れ強さ分布が普遍性を示し、歪み度や平坦度もRe数に影響されない分布を示した。この結果から粘性領域での無次元速度乱れ強さ分布と壁面からの無次元距離との関係を実験式としてまとめた。
- 非線形な空気ばね特性を考慮した車両の曲線通過シミュレーション
須田義大・熊木誠一郎 安全性という観点からみれば大きな横圧が発生し、脱線係数も高くなることから低速での曲線通過シミュレーションは重要であると考えられるが、従来検討例は少なく、しかも急曲線においては実測結果をうまく説明できない場合がある。一般に均衡速度やそれ以上の高速走行におけるシミュレーションの場合にはLVや差圧弁の影響を無視できるが、低速走行の場合には無視できないと考えられる。そこで今回マルチボディ・ダイナミクス・ソフトウェア「A'GEM」を改良し、空気ばねモデルを従来の線形なばね・ダンパ並列モデルからLVおよび差圧弁を含む非線形な特性をもつ空気ばねモデルに変更した。その改良した「A'GEM」を用いて曲線通過シミュレーションを行い、その計算結果を実測結果と比較したところ、実際の挙動を説明できるようになった。
- 回生された振動エネルギーを利用するアクティブ制御に関する研究
須田義大・中代重幸・中野公彦 本研究は、ダンパで吸収した振動エネルギーを利用してアクティブ制御を行なうアクティブ・エネルギー回生ハイブリット制御の実現性を検討した。従来のアクティブ制御則では消費するエネルギーが多く,またエネルギー回生ダンパにおけるエネルギー損失が大きいなどの理由からハイブリット制御の実現は困難であった.本研究では,新たに消費エネルギーの少ないスカイフック制御を取り入れたアクティブ制御則を考案するとともに,リニアDCモーターを利用したエネルギー損失の少ないエネルギー回生ダンパを作製し,ハイブリット制御を実現した.実験の結果から,その性能はパッシブ制御やセミアクティブ制御よりも優れていることが示された.
- プレストレストコンクリート用FRP緊張材の特性(15)
紫外線促進試験によるFRPロッドの劣化性状
山口明伸・西村次男・加藤佳孝・魚本健人前報では、アラミド繊維の紫外線による劣化性状を促進試験により実験的に検討した結果を報告し、紫外線により劣化したアラミド繊維の強度はワイブルのweakest link理論を用いて定量的に評価できることを確認した。そこで本研究では、FRPロッド全体の紫外線照射促進試験を行い、ロッドとしての紫外線による劣化性状を実験的に検討することを目的とし、前述の予測手法をロッドに適用することを試みた。