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東京オリンピックなどを見据え、首都圏の交通流シミュレーションモデルを開発 ~ 成果の一部が実用化へ ~

 東京大学 生産技術研究所の大口 敬 教授の研究チームは、首都圏3環状高速道路における交通マネジメント評価シミュレーションを開発しました。さらに、その研究成果の一部が、実サービスとして社会で活用されることになりました。

○交通流シミュレーションモデルの開発
 首都圏では、中環(首都高速・中央環状線)、外環(外かく環状道路)、および圏央道(首都圏中央連絡道)の3つの環状高速道道路の完成が間近に迫っています。これらの環状道路によって、都心を通過する交通量が減り、大幅に交通渋滞を軽減すると期待されています。そのためには、ドライバーへの情報提供や料金設定の柔軟な変動など、適切な交通マネジメント方策が適用される必要があります。
 大口教授の研究チームは、こうした方策の効果を事前に評価できるツールとして、「大規模ネットワーク交通流シミュレーションモデル」を開発しました。東京・神奈川・千葉・埼玉・山梨・群馬・栃木・茨城の一都七県にわたり、約18.6万ノード(注)、約41万リンクの実道路ネットワークと、1,112ゾーンを発着する24時間の実交通需要(小型車約2,415万トリップ、大型車約250万トリップ)のデータを用い、ネットワーク交通流の時空間変動を高い精度で再現できるパラメータの同定に成功しました。開発した評価ツールは、今後、交通マネジメント研究の発展に大きく寄与するのみならず、広く実務で活用されることが期待されます。

注)ノード、リンク、ゾーン、トリップ、パラメータ
 リンクは長さのある道路区間、ノードはリンクとリンクを繋ぐ交差点やインターチェンジなどの地点。トリップとは出発地から到着地までの1回の移動のこと。また、シミュレーションモデルは入力xから出力yを計算する仕組みであり、たとえば、数式y=ax+bを用いて入力xからyを算出するためには係数a,bをあらかじめ設定する必要があるように、このモデルに事前に設定すべきものをパラメータという。

○成果の一部が実用化へ
 本成果の一部が、実サービスとして社会で活用されることになりました。

【大口教授 コメント】
 東京オリンピックや大阪万博など、今後、交通・道路環境が大きく変化することが想定され、将来予測シミュレーションの役割が一層重要となる中、私どもの研究成果の一部が実サービスとして社会で活用されることを大変喜ばしく思います。この研究により、交通流シミュレーションモデルに用いる経路選択モデルを、商用車プローブによる実経路選択行動データを用いて構築し、また、首都圏を対象とした豊富な検証データと新たなキャリブレーション技術により、高い再現性を担保するモデル・パラメータの同定に成功しました。この交通流シミュレーションモデルに、日本全国で長期データの蓄積を誇る商用車プローブを組み合わせることで、信頼性の高いサービスが実現されることが期待されます。


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