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【記者会見】蚊の受容体でヒトの汗の匂いを感知するセンサ!?

 会見日時:平成28年10月7日(金)14:30~15:30

 会見場所:東京大学生産技術研究所 中セミナー室1(An401・402)

発表者

竹内 昌治(東京大学生産技術研究所 教授)
三澤 宣雄(神奈川科学技術アカデミー 研究員)
藤井 聡志(神奈川科学技術アカデミー 研究員)

発表のポイント

◆ヒトの汗の匂い成分に特異的に反応する蚊の嗅覚受容体を人工の細胞膜に組み込み、小型で携帯可能な匂いセンサを開発した。
◆匂い物質を空気中に漂わせるとセンサが反応し、移動ロボットを駆動させることに成功した。
◆災害現場などで不明者を探すセンサに向けて研究を進めている。

発表概要

 東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授は、神奈川科学技術アカデミーの三澤宣雄研究員、住友化学らと共同で、蚊の触角に存在する嗅覚受容体を利用した匂いセンサを開発した。グループらが以前に開発した細胞膜を模擬した脂質2重膜(人工細胞膜)を形成する方法を発展させ、単離精製した蚊の嗅覚受容体を膜中に再構成した。用いた嗅覚受容体は、ヒトの汗の匂い成分(オクテノール)に特異的に反応し、膜の導電率を変化させる。この変化を読み取ることによって、ヒトの匂いを感知することができる。グループは、このセンサを小型の無線装置に取り付け、移動ロボットに搭載した(図1)。ロボット周辺にオクテノールを漂わせることで、匂いをセンシングしたロボットを駆動させることに成功した。視界不良のため、画像探査等が不可能な災害現場などで不明者を探すセンサとしての応用を目指している。

 本研究は2016年10月9日よりアイルランド・ダブリンで開催されるMicroTAS国際会議にて口頭発表(Nobuo Misawa他, "ODORANT SENSOR USING AN INSECT OLFACTORY RECEPTOR RECONSTRUCTED IN ARTIFICIAL CELL MEMBRANE")される予定である。なお、本研究はNEDOの「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」として行われているものである。

問い合わせ先

<研究に関すること>
東京大学生産技術研究所
教授 竹内 昌治(たけうち しょうじ)
〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1
Tel:03-5452-6650 Fax:03-5452-6649
研究室URL:http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp/

資料

蚊の受容体を用いた匂いセンサを搭載した移動ロボットの写真

(図1)蚊の受容体を用いた匂いセンサを搭載した移動ロボットの写真。ロボット上部にヒトの汗の匂い成分を染みこませた紙を漂わせるとセンサが反応し、右側に移動した。





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