化学2 [中央大・数電情1年](平成26年度木曜1限)

講義内容:有機化学

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教科書:有機化学―基礎化合物から機能材料まで(荒木,工藤著 東京化学同人)2300円+税
教科書訂正:P11. 表2-4 C=O結合の結合エネルギー (誤)532 (正)803
教科書訂正その2:P60 中段からはじまる段落(誤)「・・・アミノ基の窒素原子は電子陰性度が大きいので・・・」 
                     (正)「・・・アミノ基の窒素原子は非共有電子対をもつものの中では電子陰性度が小さいので・・・」

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科目の目的・
到達目標
有機化学の基礎的な知識を持ち、有機化学品の機能をその分子構造と関連付けて理解できるようになること、ならびに日常生活における諸事物を有機化学的視点で眺められるようになることを目標とする。
授業の概要 有機化学は基礎・応用の両面を併せもった化学の一分野である。我々の生活に利便性を提供している有機化学品を眺めてみると、繊維、プラスチック、洗剤、化粧品、塗料、接着剤、液晶、薬など枚挙にいとまがない。それぞれの有機化学品の機能は、それを構成する有機分子の性質によって説明することができる。本講義では、有機化合物の分子構造と物性の関係を中心に、有機化学を概説する。
評価方法 講義期間中複数回行う小テスト(クイズ)を20点,学期末試験の成績を80点として評価する。出席はとらない。
小テスト(クイズ)の採点ポリシー:1回分の得点を5点満点として採点。各回の点数のうち,高いものから4回分を合計したものを小テストの点数とする。(例:5点が4回であとは全部0点→20点,全ての回とも4点→16点)
テキスト 荒木・工藤,「有機化学 -基礎化合物から機能材料まで-」(東京化学同人)

9/25 原子の構造からはじめ,軌道の形,エネルギー準位,混成軌道について解説した。また,有機物の構造や性質は電子の居心地で説明できることを解説した。メタンの構造について述べた。(教科書2章)
10/2 σ結合とπ結合,分子軌道のエネルギー準位,結合エネルギー,電気陰性度,双極子モーメントについて解説した。有機化合物の分類,アルカンの表記,命名,燃焼について説明した。(教科書2章・3章)クイズの問題は,「メタンが正四面体構造である理由を説明せよ」。
10/9 アルカンの続きとして,分子間力・分子の形・連鎖反応の説明を行い,アルケンの導入的な説明を行った。(教科書3章)クイズの問題は,「エタンの燃焼熱を結合エネルギーから計算せよ」。
10/16 前回の続きとして,アルケン・アルキンについて,続いてハロゲン化アルキル,アルコールの導入まで説明した。(教科書3章)クイズの問題は「直鎖アルカンは炭素数が多いほど,分子間力が強くなる。それはなぜか。」
10/23 前回の続きとして,アルコールの水素結合からはじめてカルボニル化合物を説明し,さらにカルボン酸がなぜアルコールよりも酸性が大きいのかを説明した。(教科書3章)クイズの問題は「エチレンは石油化学工業のコメ(昔は産業のコメ)と言われる。なぜそういわれるのか説明せよ。」
10/30 カルボン酸からはじめて,カルボン酸誘導体について解説し,また,生活との関連の観点から脂肪と界面活性剤の説明をした。(教科書3章)クイズの問題は「第一級アルコールを酸化するとアルデヒドでとまらずにカルボン酸まで酸化されるのはなぜか。」(クイズの20点到達者2名 14D5103025H,14D7104027K; 15-19点の者11名)
11/6 前回の続きとして,アミンの説明をして3章を終わり,ついで,4章の共役系と芳香族性の説明を行う予定である。クイズの問題は「身の回りのことで界面活性剤が役立っている例をひとつ挙げ,それを界面活性剤分子の構造的特徴に基づいて説明せよ。」(クイズの新規20点到達者1名 14D7104023H; 15-19点の者16名)
11/13 前回の続きとして,基本的な芳香族化合物の説明を行うとともに,機能性をもつ芳香族化合物の機能と分子構造の関係を説明して4章を終えた。クイズの問題は「ニンジンが橙色に見えるのはニンジンの色素のどんな性質によるのかを説明せよ。」(クイズの新規20点到達者なし; 15-19点の者20名)
11/20 5章は省略して6章に入り,立体異性体を中心にして説明を行った。クイズの問題は「OHをもつベンゼン誘導体は酸化防止剤として使われる。そのような化合物がなぜ酸化防止剤になるのか説明せよ。」(クイズの新規20点到達者2名 14D1102019J, 14D5102024F; 15-19点の者23名) 
11/27 6章の続きの説明を,生体分子の構造と機能を中心に説明した。クイズの問題は「この化合物は(+)-フェニルアラニンである。(+)とは何を意味しているかを説明せよ。また,この化合物が(R)体か(S)体かを理由とともに説明せよ。(化合物の構造は当日示した。)」(クイズの新規20点到達者2名 14D5103023L,12D1101009H; 15-19点の者21名; 4回以上出席で10点未到達の者1名) 
12/4 6章の続きとして,多糖と脂質の説明を行い,次いで7章の有機合成化学の説明をした。クイズの問題は「タンパク質は生体内でDNAの塩基配列情報をもとに作られる。DNAの塩基は4種類だがアミノ酸は20種類ある。4種類しかない塩基でどうやってアミノ酸の種類を規定しているのかを説明せよ。」(クイズの新規20点到達者1名 14D5102019E; 15-19点の者23名; 4回以上出席で10点未到達の者1名) 
12/11 7章の続きとして,有機合成化学の説明を行い,次いで8章の高分子の導入部の説明をした。クイズの問題は「デンプンとセルロースの共通点と相違点を説明せよ。」(クイズの新規20点到達者3名 14D8103001K, 14D5103010E, 14D5103022C (累計11名); 15-19点の者22名; 4回以上出席で10点未到達の者1名)  
12/18 8章の続きとして,高分子と高分子化学工業の説明をした。クイズの問題は「有機化学における酸塩基反応(カルボン酸とアミンから塩ができる反応を除く)と酸化還元反応の例を1つずつ,具体的な反応式で示せ」(クイズの新規20点到達者1名 14D7101027J (累計12名); 15-19点の者21名; 4回以上出席で10点未到達の者2名)   
1/8 8章の続きとして,有機化学の歴史と有機化学工業の説明をした。クイズの問題は「高分子化合物(ポリマー)には,低分子化合物にはない特徴的な性質がある。一例を挙げ,高分子だとなぜそのような性質を示すのかを説明せよ。」(クイズの新規20点到達者1名 14D5104018D (累計13名); 15-19点の者20名; 4回以上出席で10点未到達の者2名) 
1/15 (最終回)物質の生体への影響について解説した。クイズの問題は「我々は掘ってきた石油をどのようにして使っているかを述べよ。」(クイズの新規20点到達者4名 14D1101038L, 14D5101022F, 14D5102005K, 14D5104027H (累計17名); 15-19点の者16名; 4回以上出席で10点未到達の者1名)