有機化学5(有機立体化学) 08/05/16分ミニ演習の解説


[急告:問題に誤りがありました。下記の物質をマンノースであるといいましたが,ガラクトースの間違いでした。お詫びして訂正します。下記のものでなく,正しいマンノースの構造を調べて解答した人もいるため,今回のミニ演習は,必要な場合には出席点としてのみ考慮します。なお,シラバス記載の通り,成績は原則として本試験の点数でつけます。(平成20年5月22日)]
 

正解は以下のとおり。

[講評:分子模型があってもうまく使えていない人が依然として多い。特にFischer式と分子模型の関係がつかめていない。]
今回の問題は前回と似てはいますが微妙に異なります。前回は5炭糖(炭素数が5の糖)で炭素鎖末端の5位炭素上のOH基がアルデヒド基とアセタール(正確にはヘミアセタールという)を形成していました。今回は6炭糖であり,アセタールを形成するOH基は末端の6位ではなく1つ内側の5位のものです。
 
回答全数59。全部で4問あり,各1点総計4点として採点の結果,平均点1.1点。4点は4名(うち分子模型使用4名),3点は5名(うち分子模型使用3名),2点は11名。0点が28名(うち分子模型使用10名)。

D-マンノースD-ガラクトースの分子模型は以下。右側はコンホメーションを保ったまま環を開いてアルデヒド基とした状態。



次にFischer式で表すために,炭素鎖を環状にする。そうしたものが,下の図。


この状態でOH基が出ている方向をみればよい。ホルミル基(アルデヒド)に近い2位の炭素から順に,右,左,左,右となっていることが分かる。Fischer式は炭素鎖で環をつくった状態を表していると覚えればよい。

次に,炭素鎖をジグザグにして,問題の図と同じような向きに置いて眺める。下図のとおり。

右のホルミル基のついた炭素から左に向かって,OH基が手前,手前,奥,奥となっていることが容易に分かる。各不斉炭素の立体配置のRS命名については各自で確認されたい。

次に炭素鎖を問題文にあるような形にして眺める。下図のとおり。

これも,ホルミル基のとなりの炭素(今度は左側)から順に,OH基が奥,手前,奥,手前であることが一目瞭然。

戻る