有機化学5(有機立体化学) 08/05/09分ミニ演習の解説
正解は以下のとおり。
問1.
問2.
DL命名法を行う際の規則に従ったFischer式は上記のD)のもの。ここで,一番下の不斉炭素に結合したOHが左側→L体。
問3.
(2R, 3R, 4S)
[講評:全体的にできていません。分子模型を作る訓練,見る訓練が必要です。]
回答全数62。全部で6問あり,各1点総計6点として採点の結果,平均点2.2点。6点は1名,5点は3名,4点は8名でした。1点の人が21名もいました。
A)の分子模型は以下。なお,見易くするために水素は不斉炭素に直接結合したもののみとしている。
B)これは上下をひっくり返しただけなので,分子模型なくても分かります。全てのOH基はA)と逆向き。分子模型は以下。1点だった人のほとんどはこの問題だけができていた。今回は仕方ないが,本番の試験のときにこの手の問題だけしか正解しないようでは,立体化学の単位はとれません。
C)この問題の正答率は極めて低かった。分子模型をつかって環をつくり,それを問題に合った方向から眺めると以下のようになる。(アノマー酸素はどちら向きでもよいが,ここでは向こう側に向いたものを作っている。)
これを見れば,2,3,4位の酸素はそれぞれ向こう,向こう,手前側にあることが分かる。(註:アキシャル・エクアトリアルはこの際関係なく,HとOHが相対的にどちら側にあるかだけをみる。)
D)Fischer式に合うようにコンホメーションを変えたものが以下。
Fischer式では縦の炭素鎖は向こう側に折れ曲がり,左右の置換基は手前に出る。この状態でOHがどちらにでているかを記録するだけ。上側の2位から順に右,右,左である。正答率極めて低い。
E)与えられたFischer式に合うように分子の形を変えると以下のようになる。
2位炭素に結合したホルミル基(-CHO),4位炭素に結合したヒドロキシメチル基(-CH2OH)がいずれも右手前側に来るように回転させている。すると,2位のOH基は左側に,3位のOH基は変化せず,4位のOH基は下に来ることがわかる。
位置関係が変わったのは2位と4位の炭素だけのはずにもかかわらず,D)とE)で3位の炭素に結合したOH基が逆向きになっている不可解な解答が少なからずあった。
先週述べた「Fischer式では任意の2つを交換すると立体が逆になるが3つの置換基を動かせば元と同じである」ということに着目すれば分子模型がなくとも正解にたどりつける。
なお,D)の答えが間違っていた場合でも,D)とE)の間で整合性があれば正解とみなしている。
問2. 説明省略。単にL体あるいはD体とだけ書いてあるものは採点対象外。なお,D)の構造が間違っていた場合でも,自分の描いた構造とDL命名法の規則に基づいて命名したものは正解とした。
問3. 下図は順にそれぞれ2位,3位,4位の炭素についている水素を向こう側において眺めた状態。
2位:酸素1->ホルミル基2->炭素鎖3は右回り。3位:酸素1->ホルミル基のついたほうの炭素2->残りの炭素3の順なので右回り。4位:酸素1->長いほうの炭素鎖2->ヒドロキシメチル基3の順なので左回り。