平成28年度有機化学I(有機反応化学既修者対象,2年A1ターム 月3限・木2限)
[最終更新日時16/11/15 12:00]

本年度の講義・試験は終了しました。

準教科書的書籍:ウォーレン「有機化学第2版」(東京化学同人)本講義で主に扱うのは上巻の2,3,4,7,8,13,14,16章。
(参考:ウォーレン「有機化学」初版では,対応する章は上巻の2,3,4,7,8,11,16,18章となります。)
大きな主題は”酸と塩基”,”立体化学”の2つ。”有機化合物の構造決定”についてもある程度扱う。
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工藤からのメッセージ:
有機化学は他人に教わるものではありません。自分で会得するものです。教科書の読破(できれば原書)と自ら手を動かすこと,これがなによりの勉強法です。 本講義関連の質問はこちらまで(講義期間中でなくとも歓迎します)。

9/26 講義開始時点での有機化学の理解度を調査する目的でquizを行った。quizの解答例はこちら(その1その2)。問題別正答率はこちら。次いで原子論・結合論の復習,簡単な命名法(特に置換基名と略称)についての解説を行った。
9/29 電気陰性度,結合長,結合エネルギー,分子軌道法について解説し(4章),ついで有機化学における構造決定法の紹介を行なった(3章)。
10/3 有機化学における構造決定法の紹介の続きを行い,次いで簡単な化合物について実際にスペクトルから構造を推定する練習を行った(3章)。スペクトル解析練習問題の模範解答はこちら。 また,章末問題の解答例はこちら。講義で用いたpptの写しはこちら
10/6
スペクトルからの構造推定に関するQuizを行った。Quizの問題はこちら。次いで,5章ならびに6章について簡単に触れた。 講義で用いたpptの写しはこちら
10/13
5章ならびに6章の内容をもう少し解説し,次いで7章に入った。5章章末問題の解答例はこちら。6章章末問題の解答例はこちら
10/17
7章について解説を進めた。有機工業化学について簡単に解説した。講義で使用したpptの写しはこちら
10/20
7章についてもう少し解説し,次いで8章に入った。講義で使用したpptの写しはこちら。7章章末問題の解答例はこちら
10/24
共鳴構造に関するQuizを行った。Quizの問題はこちら。8章について解説を進めた。講義で使用したpptの写しはこちら
10/27
8章についてさらに解説を進め,その後13章について途中まで解説した。講義で使用したpptの写し,Hammettのσ値と種々の実験値との相関はこちら,superbase, superacidに関するものはこちら,1H NMR関連はこちら。8章章末問題の解答例はこちら
10/31
13章についてさらに解説を進め,その後14章の解説にうつった。講義で使用したpptの写し(パソコンの電源が切れて映せなかった演習部分を含む)はこちら。13章の章末問題(抜粋)の解答例はこちら。[16/11/09追記:解答例の8番に誤りがありました。お詫びして訂正します。]
※講義内容に関して”NMRでピークがどのあたりにでそうかということについて,どこまで覚えればいいのか”という質問があり,「基本的な炭化水素と含酸素官能基についてのおおまかな化学シフトは覚えてほしい」と答えました。その観点から13章章末問題でできるようになっていてほしいのは,1の右下の化合物,2,4,5の右端の化合物,そして10の化合物AとBです。(3の問題はJ値の違いにまで踏み込んだadvancedな内容です。)[2の問題の左から2番目の化合物の-CH2-CH2-がtでなくsなのは,「環境が等価なプロトン同士はカップリングしない」という ルールがあるためです。上記pptの写しのファイルの20ページ目 ”スピンースピン結合(カップリング)(5)”で,一番下のp-ジメトキシベンゼンでは, 隣接炭素上にプロトンがあるにも関わらずsになっていますが,これと同じです。同じ理由から,ベンゼンの1H NMRのシグナルは1本線で出ます。  ]
11/7
14章についてさらに解説を進めた。スペクトルによる構造決定に関するQuizを行った。Quizの問題はこちら。正解は1がacetoin, 2がp-chlorobenzaldehyde。
11/8
前半は有機化合物の命名法についての解説を行った(赤川助教)。後半は14章の残りの部分について解説を進め,その後16章の解説にうつった。14章章末問題の解答例はこちら。8番はジアステレオマー8種,うちメソ体は7種。
11/10
(講義最終日)16章の解説を行った。16章章末問題の解答例はこちら
11/14
試験を行った。


【参考1】副読本

一口に有機反応化学既修と言っても,その理解度には個人差があると思います。基礎の部分で不安がある場合は,拙著「化学はじめの一歩シリーズ4 有機化学」(工藤・渡辺共著,化学同人2500円+税)をお薦めします。

【参考2】有機化学関連の有用なサイト

1) 有機化合物命名法に関して
有機化学 plus on web (PDF, 33 pages)。このサイトは命名以外にもスペクトルの説明(含・演習),小テストなどもあって,初学者にはかなりよい。
http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/yuki/web/
[まず,上記ページ左のフレームの『目次』をクリックすると,右のフレームに目次が出ます。下の方にある『ウェブチャプター25 スペクトルによる分子構造の決定』あるいは『ウェブチャプター26 有機化合物命名法』をクリックします。]
Wikipedia IUPAC命名法
http://ja.wikipedia.org/wiki/IUPAC%E5%91%BD%E5%90%8D%E6%B3%95

2) 有機化合物のpKa一覧
Bordwell pKa table
http://www.chem.wisc.edu/areas/reich/pkatable/index.htm

3) 芳香族化合物などの電子分布(静電ポテンシャル)図
Phil Baran lab’s HP
http://www.scripps.edu/baran/heterocycles/
の中から“•Patrick Lam's Electrostatic Potential Maps”を選ぶ

4) 分子軌道計算(主として半経験的分子軌道法)
winmoster 無償版(max 30原子)が入手できる
http://winmostar.com/jp/
Avogadro(英語)
http://avogadro.openmolecules.net/wiki/Main_Page

5) 分子モデル表示
rasmol (英語)
http://www.bernstein-plus-sons.com/software/rasmol/

6) 構造式描画
Chemsketch(英語)
http://www.acdlabs.com/resources/freeware/chemsketch/

7) タンパク質構造データベース
Protein data bank
http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do

8) 化学データベース(学内のみ)
Scifinder 
https://scifinder.cas.org/
詳しくは東大図書館のHPに情報あり
http://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/manual/SFS/sfw_usreg.html

9) 有機化合物のスペクトルデータベース
ただいろいろな化合物のスペクトルを見るだけでも大変勉強になります。
http://sdbs.riodb.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/cre_index.cgi?lang=jp

10) スペクトルによる有機化合物同定の演習
UCLAのサイトですが,英語できなくても大丈夫です。
http://www.chem.ucla.edu/~webspectra/

上記は一例で,他にもいろいろあります。Web上で検索してみるとよいでしょう。

[番外編](有機)化学にまつわる最新情報など
化学者のつぶやき 
http://www.chem-station.com/blog/


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