090626のQuizについて
解答
問題43e)
・酸性条件ではSN1-likeなので置換基の多い側の炭素をメタノールが攻撃する。(中間体カチオンの安定性)
反応中間体の構造なしで生成物だけ描いてあってもOKとする。
この基質は1級カチオン対3級カチオンの勝負で,圧倒的に3級カチオンが安定なため,
副生成物(エポキシドの空いているほうの炭素に攻撃が行ったもの)を描くとかえって
「この人はよく分かっていない」という印象になってしまう。講義中の板書を真似て描けば
いいというものではない。頭を働かせること。
SN1反応とみなして中間体としてカルボカチオン1が描いてあってもOK。
副生成物描いたものとか(炭素がいつのまにかひとつ増えているなど)分子骨格が間違っているもの含めて大甘で採点して正答率66%。
問題43f)
・塩基性条件ではSN2なので置換基の少ない側の(=立体障害の小さい)炭素上にメトキシドアニオンが攻撃する。
(炭素がいつのまにかひとつ増えているなど)分子骨格が間違っているもの含めて大甘で採点して正答率52%。
問題58
a) 下記の通り,エポキシドが開環してできたアルコキシドアニオンがそのまま分子内で求核攻撃をする。(このことから,外部からの求核剤に対してエポキシドの方がブロマイドよりも反応性が高いことが分かる。分子内求核攻撃が起こるのは,分子内反応では反応点同士がもともと空間的に近くにあるので反応がおこりやすいため。)
(炭素がいつのまにかひとつ減っているなど)分子骨格が間違っているもの含めて大甘で採点して正答率18%。
b) 下の化合物。(メトキシドアニオンによるエポキシドの開環が置換基の多い側で起こった後,分子内求核置換反応が起こったもの)
正解者1名のみ。正答率3%。メトキシ基の位置を間違った惜しい答案を描いた者3名。
c) 塩基性条件でのエポキシドの開環反応は立体障害の少ない方の炭素上で優先的に起こるため。
舌足らずなものも認めて大甘で採点して正答率8%。
講評
58は応用問題なので正答率低いことは予想されたが,43の出来が思った以上に悪い。
43が分からない人は有機化学2の本質的なところの理解が不足していると心得ること。