サハラソーラーブリーダー(SSB)計画とは



計画の概要
世界の学術会議活動の一つに、サミット(G8+α)首脳への科学技術声明の発信がある。日本は、今年3月にローマで開かれた会議で以下の4点を骨子とする「グローバルクリーンエネルギースーパーハイウェイ構築に向けたサハラソーラーブリーダー(SSB)計画」を提案した。
 1)量的・質的に見て、真に未来のエネルギー・環境問題を同時に解決(持続可能な低炭素社会を実現)する最有力候補は太陽光発電(PV)であり、その材料はSiである。
 2)砂漠はエネルギー資源の宝庫であり、例えばサハラ周辺にSiとSi太陽電池を製造する工場を、現地と協力して建設する。
 3)電力を周辺に供給して生活改善に役立てるとともに、余剰電力で太陽電池を拡大生産する。2年ごとに発電量を倍増すれば、2MW(Si 20t)でスタートしたPVは20年後には1GW (Si 10,000t)、30年後には100GWに増殖できる。
 4)余剰電力を液体窒素冷却の高温超伝導で長距離送電する技術の開発は、PVの弱点である時間・地域変動、貯蔵問題を解決するグローバルエネルギー新体系構築の鍵であり、日本の先進技術は可能性を視野に入れてきている。

過去のエネルギー遺産である化石燃料物質の集中消費による地球温暖化は、エネルギー・物質・生命の3角バランスを乱し、生命の持続を脅かす環境を顕在化し始めている。SSB計画は、太陽光を一時的に堰き止めて電気エネルギーに変換利用し、定常的なエネルギーフローに戻す自然エネルギー依存世界の提案である。日本の先端技術と学産官の力を結集し、本計画の具体化に伴う多くの問題を考え、解決し、実現する国際協力事業を検討すべき時が来ているのではないだろうか。