駒場IIキャンパスの重機の音に,生研の駒場移転も一気に現実味を帯びてきた.3月14日の起工式を終えてひと月,移転推進室長の村上教授にお話を伺った.
「駒場移転は,生研にとって50年に1度の大事業,21世紀への飛躍のために全所的協力体制で上手に遂行しなくてはいけない.新年度を迎えて,施設部をはじめとする本部の方々や生研の皆様のご協力で,新営工事が本格的に動きだした.今後は,生研の活動を低下させることなく,研究設備も充実した6万5,000m2の新生研への移転を速やかに完了させることが,移転推進室の役目.本郷・駒場・柏の3極構想の中で,駒場IIキャンパスは教養学部との協力のもと,生研・先端研・国際産学共同センターによる総合理工学研究の中心基地として期待されている.そのための新しい計画と運用法が駒場IIキャンパスには凝縮されている. 「開かれた大学」をモットーとするユニバーシティー広場を中心として展開する原先生の設計による建物群,研究スタッフとテーマの変化に柔軟に対処できる建物の内部構造,受益者負担の原則に基づく施設運用など,多様化する将来の研究に向けて,「流動性」と「効率性」を重視したサポート体制である.関係各位のご理解とご協力を切にお願いしたい.」
移転問題を語る村上室長の言葉は熱い.穏やかな笑顔の中に村上室長の強い意思を感じさせる一枚である.(K.M.)
本年度より広報委員会が発足しました。これまで生研の広報関係の担当が複数の委昌会にまたがり、その間の連携が必ずしも緊密にとられていなかったことを反省し、本所の広報活動を一元化し、強化する目的で設置されました.広報委員会の新設にともない、これまでの出版委員会、研究交流委員会、生研ニュース編集室,wwwワーキンググループは解散し、その穂能は新委員会に吸収されることとなりました。これらの委員会の機能は、新委員会のなかに作られた、出版部会、研究交流部会、生研ニュース部会、電子化推進企画部会の4つの部会と、電子化作業専門委員会に引き継がれます.広報委員会は、委員長、各部会長と国際交流室から堆薦された委員から構成されます.
広報委員会では、生研の広報活動を活発化するために必要な活動を積極的に推進していきます.生研において達成された優れた研究成果を直接関連する学会内だけではなく、広く一般に広報する道を開いていきます.またこのために、インターネット上の生研のホームぺ-ジを一層充実させ、生研の活動に興味を抱く人々に容易にアクセスでき、情報を入手できるようにいたします.また、広報活動は所外への情報発進にとどまらず、本所の構成メンバーに迅速に情報を伝達することにも責任を担うべきであると考えています.このためにも、インターネットあるいはイントラネットの活用を図っていきます.
工学の分野では、すぐれた人材の確保が急務となっています.広報委員会の担うべき責務には社会人教育への貢献も含まれます。また、工学系の研究所として、産業界と連携して、日本さらには世界の工学の進歩に寄与するべき責務を負っています.このような産学共同研究の推進や社会人教育においても、奨励会と協力し、積極的に活動していきたいと考えています.生研の皆様のご支援をお願いいたします.
(広報委員長 黒田和男)広報委員会−−−出版部会 |−研究交流部会 |−生研ニュース部会 −−電子化推進企画部会−−−電子化作業専門委員会
去る2月27日(木)午後1時より3時まで、第1会議室において、産学連携に関する報告講演会が開催された。この報告講演会は、産業界と大学との結びつきを更に緊密にし、今後の産業の発展に資することを目的として開催された。従来個々の教官あるいは研究室レベルで行われていた産学共同研究を、研究所レベルで支援するための仕組み作りを目指している。またこれは、昨年の産業界諮問パネルによる第三者評価の助言に部分的に応えるものでもある。
当日は、産業界から130名を超える参加者を迎え、大変盛況であった。プログラムは、鈴木基之所長の挨拶に続き、「生研と産業界の連携に関する報告」と題し岡野達雄教授が本所の研究業績の現状の報告を行った後、坂内正夫教授より「生産技術研究奨励会の新プログラムについて」と題して、今後の産学共同研究の進め方について具体的な提案がなされた。つづいて、生産技術研究所で行なわれている注目される先鋭的な研究例の紹介として、藤田博之教授による「マイクロメカトロニクスの最近の進展」についての講演と、魚本健人教授による「コンクリート構造物の劣化診断」についての講演が行われた。報告講演会終了後は、生産技術研究所が研究棟の新営に着手した駒場第2キャンパスの見学会が組まれた。このため質疑応答の時間は十分確保できなかったが、会場にてアンケートをとった。その結果を十分参考にしつつ、今後も産学連携に関する報告講演会を継続していく予定である。
(元研究交流委員会・委員長 黒田和男)
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2月27日駒場エミナースにおいて、本センターの設立式典が、吉川総長、蓮見副学長(いずれも当時)のご出席のもとに盛大に挙行された。同時に、駒場第2キャンパスの門に、本センターの看板(吉川総長揮毫)を掛け、平成8年5月11日に正式には発足していたセンターが、名実ともに活動に入ったといえる。
設立式典に先立って、産学共同研究の実例と今後について、産業界から当センターの客員教授でもある日立製作所中央研究所所長中村道治氏、当センターから小林敏雄教授による講演が行われた。
当日の出席者総数は290名弱に及び、「産学共同」に対する産業界あるいは大学側からの期待が大きいことを身を持って感じることができた式典・披露式であった。今後の活動の方向性を十分に検討しつつ産学共同研究を実践し、実効ある共同研究とはどのようなものであるかを実証していくことが、本センターにとっての使命であることを再確認した次第である。
(センター長 安井 至)
3月4日午後,国連大学高等研究所(Institute of Advanced Studies, United Nations University)のデラセンタ所長,羅副所長,平中上級渉外担当官はじめ総勢13名(うち外国人11名)が来所された。同研究所は95年12月の創設,青山学院の向かいに本拠を構え,兼任教授リストには鈴木所長のお名前も見える。夏ごろに予定している交流協定の締結に向け,環境・情報・メカトロニクスの活動を見たいとのお申し出により,5部・柴崎研,3部・喜連川研+高木研,3部・藤田研+LIMMS の見学をしていただいた。急なお願いにもかかわらず,しかもゲストの多くが文科系研究者というやりにくい局面を手際よくさばいてくださった4研究室の各位に心よりお礼申し上げます。見学後の短い懇談会(写真)では,コンピュータシステムが共通の話題になった。学術交流は鈴木所長の「ゼロエミッション研究」を軸に進められる予定。
(国際交流室・室長 渡辺 正)
去る3月14日、駒場IIキャンパスにおきまして、生産技術研究所と先端科学技術研究センターの共催で新営建物の起工式と祝賀会が行われました。生研の新営計画が着工に至るまでには大変長い道のりがありました。所員の皆様の感慨もひとしおのことと思います。生研の新営計画の策定におきましては、学内、学外の多くの皆様からご協力を得てきました。工事着工にあたりまして、これまで長くご協力、ご支援いただいた学内、学外の方々をお招きして、またご努力いただいた所員の皆様とともに今回の工事のスタートを慶賀すると同時に、順調な工事の完了を祈念することが今回の起工式開催の目的であります。当日は総長、副学長や施設部をはじめ本部の各位、目黒区、渋谷区、世田谷区の関係者をはじめとする地元の方々、また工事関係者など所外から大勢の来賓をお迎えすることができました。所内からの参加者と併せて169名が参列いたしました。穏やかな天気の下で、鈴木基之生研所長、岸輝男先端研センター長の式辞、吉川弘之総長のお祝辞の後、学内、学外の関係者、ご来賓の方々によるくわ入れ式が行われ、工事の安全を祈念いたしました。引き続き行われた祝賀会でも、皆様で駒場IIキャンパスの将来の発展を語り、盛況のうちに終了しました。
いよいよ工事は開始されましたが、生研の新営計画が完全に実現するまでには長い期間が必要とされます。移転に関わる所員の皆様のご苦労も今後増えてくることと思います。いままで以上のご支援とご協力をお願いする次第であります。
(移転準備室・室長 村上周三)
平成9年度の東京大学職員永年勤続者表彰式が4月11日に山上会館で行われ、蓮實総長の式辞の後、本年度被表彰者79名を代表し岡崎幸子さん(工学部附属総合研究所)に表彰状と記念品が授与され、また、手塚明さん(医学部附属病院)が謝辞を述べた。
引き続き催された祝賀会では、鈴木所長、井手ノ上事務部長を交えて、それぞれの20年間を思い語りつつ、和やかなうちに散会した。
なお、本所の被表彰者は下記のとおり。(人事掛長 小池嘉弘)
第2部 文部教官助手 高野 清 第5部 文部技官 近藤日出夫 試作工場 文部技官 菊本裕一 事務部 文部事務官
総務課人事掛長小池嘉弘 事務部 文部事務官
総務課専門職員金子伸一 電子計算機室 文部技官 福島 瞳
去る3月14日に生研、先端研合同主催の駒場IIキャンパス起工式が開催され、いよいよ第T期の当初工事が開始いたしました。これまでに基礎部の根切りが進み、タワークレーンが立ち上がり、いよいよ連休明けから地下部分の工事が開始する見込みです。今後の工事の進行に合わせて、電気設備、機械設備などの配置を書き込んだplot図、施工図が順次出来上がっていきますが、これらは施設部、移転準備室を通してご関係の皆様方に最終確認をお願いすることになります。既に地下空間につきましては概ねplot図の確認が済んでおりますが、今後2階部分、3階部分とこの作業を進めていきます。これは1週間以内で回答を出すという早急な対応を求められるものでありますが、研究室や各施設の仕様を最終的に確定する重要な作業です。この旨ご理解いただきよろしくご協力のほどお願い申し上げます。
この2月に整備が本格化する見通しになりました高層棟、中層棟建設の第1phaseの後半部分に関係する研究室や研究グループの方々には、ご関係の個所の室内配置図、機器・備品類のリストアップなどを早急に整理していただくことになりました。この回答を4月24日までにおまとめいただき、4月25日に移転準備室にてヒヤリング、詳細を調整後、本部施設部に伝達いたします。 3月14日の起工式の後、本所移転準備室と先端科学技術研究センターの担当者との打ち合わせが行われました。ここでは駒場IIキャンパスの廃棄物処理や厚生関係の施設整備の進め方、各種インフラ設備などについて検討を行い、今後対応が必要な問題の検討を進め再度5月8日に合同の打ち合わせを行うことになりました。
今後建物工事の年次進行に併せて、関連する特殊設備の要求などを行っていくなど、整備に関係する業務がこれまでに増して増えていくものと思われます。このため、関係者の方々には新たに早急な対応が求められることがたびたびあるかと思いますが、快適なキャンパス実現に向けてぜひ皆様のご協力をお願い申し上げます。
3月11日・12日
第2部木村教授・第3部高木教授
第5部高梨教授・第5部原 教授
定年退官記念講演会
4月18日
大学院学生歓迎会
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産業革命に始まった現代社会を、「石器時代」、「鉄器時代」の様に技術史の視点でみるならば、「石炭・石油燃料時代」と名づけられよう。そして、現在の我々はその最後の世代になろうとしている。石炭・石油などの化石燃料に限りがあることは周知の事実であるが、石炭・石油の「時代」が開かれた要因は既に失われつつある。すなわち、エネルギーが容易に持ち運び、貯蔵できること。それ以前のエネルギー源は、持ち運びできない自然エネルギーか、貯蔵できない家畜、あるいは、人間に依存していた。エネルギーを持ち運び、貯蔵できることが蒸気機関を産み、自動車やジェット機を可能にしたといえる。しかし、電化製品に囲まれて暮らす私たちが「石炭は輸送や貯蔵が簡単だ」と感じるだろうか。加工可能な石がなくなる以前に「石器時代」が終わったように、「石炭・石油燃料時代」は石炭・石油がなくなることより以前に別な理由から幕を閉じる。1つは燃料を輸送する必要性が少なくなったこと、いうまでもなく、電気というより輸送に適したエネルギーが開発されたことによる。貯蔵するという技術においても、電気エネルギーは化石燃料より優位に立つのは遠い将来ではないだろう。もう一つは、化石燃料自体の輸送や貯蔵が「容易」ではなくなったことにもある。自動車一台一台のそれぞれが燃料を持ち運ぶことが自動車の便利さを産んでいる。しかし、そのことが自動車一台一台のそれぞれに排ガスを無害化する装置を要求する。炭酸ガスの問題はさらに深刻である。世界に何十億台もある自動車一台一台のそれぞれに対して燃料消費量の制限を課せるだろうか。しかし、それ以外に方法はないのである。熱エネルギーが開発された当初の19世紀ですら化石燃料の使用が環境にあたえる影響は社会問題であった。エネルギーの消費量が100倍以上にもなった現在ではいうまでもない。今や化石燃料はどこでも自由に持ち運べるエネルギーではない。20世紀に入って人間はもう一つのエネルギー源として原子力を発見した。原子力エネルギーの特徴は、輸送や貯蔵に「費用」がかかる点にある。「費用」には継続的な環境への影響や事故・災害の際の被害、また、それに対する心理的な負担も含まれる。この特徴ゆえに、原子力エネルギーの利用は集中管理型となる。実は、現在では主に環境の問題から化石燃料も集中管理型利用に移りつつある。「エネルギーを持ち運び、貯蔵する」ことができなくなったとき「石炭・石油燃料時代」は終わる。それは、21世紀を待たないかもしれない。いずれにしても、私たちが「石炭・石油燃料時代」の世代としてその最期に立ち会い、また、それとともに熱エネルギー利用技術が失われてしまわない様に何らかの形で次の世代に伝える責任をになっているのは確かである。
(第2部 助教授 谷口伸行)
第1部 教授 小長井一男
長岡技術科学大学からこちらへ越してきて10年を迎えます。この間、長期海外滞在もあって、家族ともども8回の引越しをしました。せわしなく動き回って何を研究していたのか訝られそうですが、違う場所で分子が分母と異なる経験をしたのが私の研究の支えにもなりました。耐震構造学という専門で、地盤と構造の地震時相互作用や粒状体の破壊過程を研究しています.赴任当初、粒状体の内部を見るという、うまく行くかどうかわからない課題で選定研究費をいただき、装置作りにのめり込めたのも、違う分野の先生方が一つ屋根の下で顔を合わせている恵まれた環境だからと感じています。今後、災害の性格を論ずるに足る耐震構造学の有り様を考えていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
第2部 教授 谷 泰弘
4月1日付で教授に昇進させて頂いた谷です.早いもので生研に参ってから、丸16年が経過しました.この間,一貫して「磨く」ことを専門に研究を行って参りました.磨くための加工技術や工具の開発,工作物の保持方法,磨かれた面の評価方法などについて検討を行ってきました.今後は加工機械やソフトウェアにも手を伸ばしたいと考えています.同時に小学校に入った子供も大学を卒業する年齢になったわけですから,これまでに蓄積した知見を生かしてそろそろ極めることを行いたいと思います.どこまで自分自身を磨けるかこれからも頑張って参りたいと思います.益々のご支援を賜りますようお願い申しあげます.
第4部 教授 荒木孝二
第4部有機工業化学部門に所属し、分子機能を組織的に集積化・システム化して、生体に見られるような高度機能を持つ分子集合体・材料の開発を目指す、という研究をおこなっています。分子構造の多様性ではなく、分子の組み合わせの多様性を追求するという点で、従来の有機化学とは多少異なりますが、他分野との接点も多く、相互交流が盛んな生研の利点を生かした多角的な研究を展開したいと考えています。駒場移転をひかえ、研究環境の整備など課題が山積していますが、今後とも宜しくお願い致します。
第2部 助教授 林 昌奎
4月1日付けで助教授に昇任いたしました。衛星のリモート・センシングによる風、波、潮流、海氷などの海洋情報の解析、極地域を含む海洋の環境、海洋と船舶及び海洋・海岸構造物との相互関係の解明が専門です。最近は衛星から計測した海氷データを用いた海氷移動・分布予測システムの構築、マイクロ波散乱計による方向波の計測法の開発を行っております。これからは、他の分野の方々との交流を深めながら、より幅広い研究を行って行きたいと考えております。今後ともご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
第3部 助教授 ズラウスキー,リチャード
この度、生産技術研究所を退職し、川崎電気株式会社に勤務することになりました。1年間と短い間でしたが、生産技術研究所ではたいへん印象深く有意義な研究生活を送ることができました。諸先生方を始め職員や学生の皆様には、各種の研究やディスカッション、また煩雑な事務処理などで本当にお世話になり深く感謝しています。新しい職場でも研究を続けていきますので、今後もよろしくお願いいたします。
第1部 客員教授 寺倉清之
3年前に、物性研から、つくばの工業技術院産業技術融合領域研究所(通称、融合研)に移りました。そこで、アトムテクノロジーと呼ばれる10年プロジェクトに携わり、副プロジェクトリーダーと理論グループのまとめ役をしています。これまで、固体や固体表面の電子状態の理論研究に従事してきました。約10年前に提案された第一原理分子動力学法が、物質科学の分野に全く新しい展開をもたらしつつあり、この方法を広範な研究に適用することに力を入れています。生研は非常に広範な分野をカバーしておられるので、これまでは気のつかなかったような興味深い研究分野に足を踏みいれる機会があるのではないかと期待しています。
第2部 講師 白樫 了
本年度から専任講師として着任した白樫と申します.修士,博士課程を通じて5年間,棚澤先生,西尾先生の下で生体の凍結保存法の研究に従事してまいりました.現在,生体凍結関連の研究としては,凝固核生成の抑制と,物質の細胞膜透過の促進に興味を持っています.生体関連の研究は機械系出身の身にとっては培養等,技術的に解らない部分が多いのですが,生研は工学のほぼ全ての分野の研究を網羅しているので,その点,大層恵まれた環境に就職できたと喜んでおります.今後,皆様の御世話になる機会が多々あると思いますが,どうか宜しく御願い致します.
総務課長 佐藤國雄
本研究所に着任して1か月近くを経過いたしましたが,本研究所の規模が想像していた以上に大きく,かつその研究領域が幅広いということと,会議の多いのにやや戸惑っております。また,本研究所が現在取り組んでいる移転,将来計画,事務機構改善等に関して,所長をはじめ,数多くの先生方,技術官,事務官の皆さんが一丸となって,今何をすべきか,今何をしなければならないのか等の様子がひしひしと伝わってまいります。これから,私も身を引き締めて,一日も早く皆様のお役に立てるよう頑張る所存です。これからは,電子メール等で情報を得ることがより多くなると思いますが,私は,できるだけ各部,各部屋等にも直接お邪魔いたし、お話をしていきたいと存じますので,その節はどうぞ宜しくお願いします。
経理課長 田中惠庫
私は、昭和56年に工学部を離れまして東京天文台、海洋研究所、物性研究所、学術情報センター、教養学部等に勤務し、この度、経理課でお手伝いさせていただくことになりました。 当研究所の重点事項であるキャンパス移転に関わる経費及び工学領域の多彩な研究と技術開発を展開するための膨大な予算をお預かりいたしまして、改めてその責任の重大さを痛感しているところです。 皆様のご指導、ご協力を賜りながら、一日も早くお役に立つよう頑張ってまいりたいと存じますのでどうぞよろしくお願いいたします。
- 第1部 助手 的場 修
1996.9.6
日本光学会奨励賞(日本光学会(応用物理学会))
Modification of Photorefractive Waveguide in Lithium Niobate by Guided Beam for Optical Dynamic Interconnection- 第5部 教授 虫明功臣
1996.12.26
特別協会賞((社)雨水貯留浸透技術協会)
協会事業の運営並びに水循環にかかわる調査・研究活動において学術的功績が誠に顕著であること
来る6月5日(木)7日(金)の二日間は生産技術研究所の公開です。例年どおり、100近い研究室の公開や研究グループの紹介と講演会を行います。講演会の講師と題目は下記の通りです。
6月5日(木) 11:00〜11:50 第3部 石井 勝教授 雷 13:00〜13:50 第4部 渡辺 正教授 光合成と地球環境 14:10〜15:00 第5部 魚本健人教授 コンクリート用FRP緊張材の特性と耐久性 6月6日(金) 11:00〜11:50 第1部 渡邊勝彦教授 き裂あれこれ ―壊さないために― 13:00〜13:50 第2部 吉識晴夫教授 エネルギー・環境とガスタービン
第1部 助教授 吉川暢宏
長期滞在者に対する扱いはどこの国でも権威主義的である.出発前に在日チェコ大使館に種々の書類を提出し,待つこと3ヶ月.長期滞在許可(Long Stay Permission, 以下LSP)が出たとの手紙を受け取り,プラハの外国人警察署へ行けば晴れてLSPを手にできるはずであった.到着の翌日警察署へ行くと外国人でごったがえしている.ようやく対応してくれる警察署員を見つけ,大使館からの手紙を出したところ返答は「これではダメだ.もう一度申請をやり直せ」であった.さらに「まず市役所での住所登録をしてこい」と言う.目眩がしたが気を取り直し市役所に行くが,「登録には出生の証明と,そのチェコ語訳が必要」と言われ仕方なくその日は退散することにした.後日,戸籍抄本をチェコ語訳し,ようやく住所登録を終え,必要書類を抱えて警察署へ再度行ったところ,待っていたのは悪夢の6時間行列であった.順番の奪い合い等,種々アクシデントで心身ともぐったりしたが,ようやく次は自分の番となり,はやる心を抑えていると,すーっとロシア人らしき3人が前に割り込むではないか.長時間の行列は理性を奪う.ぷっつんきた私が「何をしやがる」とばかりロシア人の肩につかみかかったが,実はそのロシア人たちは由ある人々で,窓口の係員になだめられ事なきを得た.そのような苦労の末,ようやく手に入れたのが緑も鮮やかな(カラー写真でないのが残念ですが)パスポート大のLSPであった.外国人研究者たちは皆このLSPに泣かされて,グリーンカードと蔑称しているそうである.
以上のような外国人虐めに数カ月苛まれたが,これでチェコが嫌いになったかというと逆である.それを補って余りあったのが滞在している研究所の人々の厚情である.LSPを取るにあたり最初の警察への出頭から6時間の行列に至るまで,全て同行してくれたのは所長秘書の方であった.プラハでの滞在を終え懐かしく思い出されるのは,美しい町並みでもなく,うまいビールでもなく,このような身近な人々の身にしみる親切であると思う.
振り返るに,日本に長期滞在する外国人研究者も入管で泣かされている.そこで生じる反日感情を抑えるに十分なことを生研はしているか?国際交流室員は彼らに同行して入管に並べ!彼らの受ける屈辱的扱いの一端を知らずして国際交流などできない。パーティーをすれば交流できると思ったら大間違いである。
情報通信システム 第3部 今井研究室
4年前、私が生研公開の講演の中で、電子マネーに触れたとき、まだそれは、珍しい響きを持ったことばでした。今では、電子マネーあるいは電子決済ということばが新聞に載らない日は、一日としてないでしょう。何かよくわからないが、すごいものらしい、というのが一般の電子マネーに対する印象であるようです。やがて、実体がはっきりしてくれば、このブームは去るかも知れません。しかし、電子マネーが社会に極めて大きなインパクトを与え、金融機関に根本的な変革を迫り、私たちの生活にも深く関わってくることは間違いないことです。とすれば、私たちや私たちの子孫が安心して電子マネーの利便性を享受できるようにするために、今、十分な準備をしなければなりません。安心して使える電子マネーおよびそれを支えるセキュアな情報ネットワークの研究が必要なのです。その中心となるのが、情報セキュリティ技術およびそれを支える暗号・認証技術の研究です。現在、情報ネットワークのセキュリティを達成するために、米国を中心として公開鍵インフラストラクチャの構築が進められています。これに対し、私たちは、KPSと呼ばれる暗号鍵共有方式に基づくKPSインフラストラクチャを提案しています。図1は、このKPSを組み込んだ IC カードとそれを用いた暗号ファックスの写真です。世界中のネットワークが一つの公開鍵インフラストラクチャで支えられるのは、セキュリティの観点から言って決して望ましいことではありません。私たちは、公開鍵やKPSなどの方式が混在し、相互に結合している状況こそが高度なセキュリティを達成し得ると考え、KPSの高度化に力を注いでいます。このような情報セキュリティのためのインフラストラクチャが整備されてくれば、ネットワークを介したマルチメディア情報の流通は一層盛んになるでしょう。この場合、電子決済と並んで著作権保護が極めて重要な課題となります。また、誰もが本当に安心してネットワークを使えるためには、人も含めたシステムを考えることが重要です。私たちは、学術振興会の研究プロジェクトとしてこれらの課題の研究を進めています。図2は、私たちが提案している視覚復号型秘密分散法による個人認証方式を示したものです。この手法は著作権保護にも利用できます。私たちは、このような暗号化ばかりではなく、マルチメディア放送や次世代移動体通信への応用を目指して、故障や雑音に耐え、効率良く情報を送ることのできる誤り訂正符号化やスペクトル拡散符号化の研究も行っており、通信・放送機構の助成を受け、ハワイ大学、ノートルダム大学、ミュンヘン工科大学等との国際共同研究を進めています。
図1.KPSカードとKPSファックス
図2.視覚復号型秘密分散法による個人認証方式
生研ニュース編集室は、4月から広報委員会生研ニュース部会となり、メンバーも一新しました。広報委員会の他の部会との連携を保ちつつ独自性を持たせるよう努力したいと思います。皆様の率直なご意見・ご批判等を大歓迎いたします。
今年から生研ニュースの編集に加わったが、最近頓にこの手の仕事が多い。所属のセンターのニュースレターの編集からはじまって、関連学会・協会誌の編集など、これまでの経験を生かして生研ニュースがより魅力的になるよう努力していきたい。
作業の効率化と合理化もぜひ検討したい。皆さんご存知ですか?生研ニュースは、現在でも印刷屋さんが原稿を見てタイプ入力しているのですよ。(K.M.)