平成13年11月14日
1.表題: 東海地震,同時多発テロ,狂牛病,・・・・ 使えないマニュアルから,本当に使えるマニュアルへ ―総合的な防災力/危機管理力を向上させる次世代型防災マニュアルの構築― 2.内容: 先月鹿児島市で開催された日本地震学会で,複数の研究グループから東海地震の切迫性を指摘する報告がなされた.早ければ来年,遅くとも2005年までに起こるという見方である.地震が発生するまでの間に,私たちはどれだけの対策と準備を具体化できるであろうか?どうすれば地震による負のインパクトを最小化できるのであろうか? 最近,世界の様々な国や地域で,地震や洪水などの大規模な自然災害や,巨大事故やテロなどの人的災害が発生し,危機管理の重要性が叫ばれている.しかし,危機的な状況に陥らないための事前対策や準備(フェーズT),危機的な状況下での適切な対応や行動(フェーズU),危機的な状況からの迅速な復旧や復興(フェーズV),などに具体的に貢献する危機管理/防災マニュアルの研究は進んでいない.世の中のほとんどの危機管理/防災マニュアルがそうであるように,お上の指導によって,危機/災害対応(フェーズU)だけを主目的として作られた「分厚い紙の印刷物」としてのマニュアルは,総合的な危機回避力や防災力の向上には結びつかない.つまり「使えないマニュアル」となっている.この原因は,責任の所在が不明確,対象となる組織/や域の特性把握が不十分,検索性や更新性が悪い,既存マニュアルの良し悪しの評価ができない,などの問題のためであり,近年発生した「阪神・淡路大震災」や「東海豪雨水害」,「狂牛病問題」などはこの事実を如実に示している. 「甘い」と指摘される我が国の危機管理体制や防災体制に欠けているものは何か? 「東海地震」をはじめとする現在のわが国の地震活動度を考えると,国の中央政府をはじめとする行政から,企業や個人に至るまで,それぞれのレベルで総合的防災力の向上を可能とする環境整備とそれを具体化する防災マニュアルの作成は緊急に取り組まなくてはならない最重要課題と言える.今回紹介する「次世代型防災マニュアル」は上記のような点を踏まえた上で,利用主体である組織や地域の総合的防災力の向上を実現するものである.すなわち従来のマニュアルに欠けていた,既存マニュアルの分析/評価,目的別/ユーザ別編集,当事者によるマニュアル作成/更新の三つ機能を持つことで,利用主体である組織や地域が潜在的に有している問題点の洗い出し,対処法の検討と実施,そしてその評価を行い,総合的防災力の向上を実現する.また有事に限られた人材をうまく運用する手法,効率的に働いてもらうための戦略を検討する新しいモデルについても紹介する. 3.担当: 目黒公郎助教授 (目黒区駒場4-6-1,東京大学生産技術研究所B棟2F, TEL:03-5452-6436,FAX:03-5452-6438, E-mail: meguro@iis.u-tokyo.ac.jp, 研究室HP: http://prelude.iis.u-tokyo.ac.jp/) 4.配布資料 |