平成27年度顕彰

 顕彰審査ならびに選考結果

 平成27年度顕彰は、平成25年度から26年度の特定研究奨励助成ならびに三好研究助成の2名を候補者とし、各候補者が
提出した報告書をもとに、平成27年8月28日開催の審査会での厳正なる審査の上、次の1名が選考されました。

吉川健氏(東京大学生産技術研究所准教授)
 『SiC成長溶液への黒鉛準安定溶解現象における熱・流動予測

〔選考理由要旨〕
 吉川健氏は、電気製品における電力変換損失の低減を担うキーマテリアルであるSiC単結晶を、合金溶液を用いる溶液成長法により
製造する新技術に関する研究を行っています。冶金学的な見地から合金の最適設計を行い、鉄系合金やクロム合金を利用して既存法
よりはるかに低い温度でSiCを高速成長させる新技術を開発いたしました。また、同氏はSiCの高い可視光透過性を利用して育成結晶の
背面から成長界面を見る観察法を新たに考案し、高品質SiC単結晶の育成のキーとなる結晶成長中の界面制御を可能とする新手法の
開発を行いました。この研究により、世界で初めて溶融合金から成長するSiC結晶の界面のその場観察に成功し、界面成長モードの
決定因子を解明し溶液成長法の新技術の発展に貢献しています。合金設計や界面制御に加え、SiC単結晶の溶液成長で重要な合
金溶液内の熱輸送と流動の理解を目的として、同氏は本会の平成26年度三好研究助成を受け、フランス・CNRSグルノーブル研究所に
平成26年9月18日〜10月30日まで約40日間滞在いたしました。訪問先では、熱・流体シミュレーションを実施し、高周波磁場環境に
おける合金溶液内の熱・流動予測を行い、電磁撹拌効果とマランゴニ効果が協働して溶液内の流動を支配することを明らかにした上、
溶液内の流動の作用を受けた温度分布の相違がSiCの析出反応に与える影響を解明いたしました。上述の合金の最適設計や成長界面
直接観察、熱・流動予測を踏まえた単結晶成長挙動解析に関する成果は、応用物理学会などの国内外の学会において発表されて
います。一連の研究成果は、プロセス開発を進める関連企業からも高い評価を得ています。これらの成果に対し、本年度、同氏は、
金属等の材料研究に優れた業績を上げた若手研究者に贈られる本多記念研究奨励賞を受賞しており、新素材プロセス開発分野に
おける若手研究者のホープとみなされています。以上のように、本助成によるフランスでの研究滞在中に上げた成果を含めて、同氏が
SiCの高温プロセス研究で得た知見は、SiC単結晶の溶液成長法の実用化に大きく貢献するものと高く評価できます。加えてその
科学的な知見は、金属や無機材料等の材料プロセスに幅広く応用可能なものであり、生産技術の発展に寄与するところが大きく、
よって同氏の成果をここに顕彰するものであります。


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