平成23年度顕彰

 顕彰審査ならびに選考結果

 平成23年度顕彰は、前年度(平成22年度)の三好研究助成対象者3名を候補者とし、各候補者が提出した報告書をもとに、
平成23年8月25日開催の審査会での厳正なる審査の上、次の1名が選考されました。

柴田憲治
氏(東京大学生産技術研究所助教)
 『
半導体ナノ構造を介する電子輸送特性に制御技術と、その高機能素子応用に関する研究とその動向調査

〔選考理由要旨〕
東京大学の柴田憲治氏は本財団の三好研究助成を受け、平成22年4月25日から4月30日にかけて、量子ドット国際会議
(英国ノッティンガム)に出席し、最新の研究動向の調査を行うとともに、そこでスイス連邦工科大学チューリッヒ校のグループと
会談し、共同研究を行う合意に至った。それに基づき、平成22年12月8日から平成23年1月1日まで同校に滞在し、主として単一
量子ドットの量子伝導特性に関して新規な知見を得た。

 
量子ドットは直径10nm程度の極微構造であり、バルク材料とは異なった様々な物性を示すため、量子情報処理技術への応用が
大きな注目を集めている。同氏は、東京大学において単一量子ドットに微小な電極対を付加したトランジスタ構造を作製し、スイス
連邦工科大学チューリッヒ校にある極低温・強磁場下での測定系を用いて、その伝導特性を評価した。

 
本調査研究により、従来極めて困難であった単一量子ドットの量子伝導特性の精密測定に成功した。さらに極限環境で動作する
走査プローブ顕微鏡を用いて、量子ドット内の局所的な電子状態の測定に可能性を開いたことは、研究の推進だけでなく、同氏の
今後の研究活動を幅広いものにした。
 このように、同氏が三好研究助成によって行った調査研究は、単一量子ドットの電気特性の解明だけにとどまらず、量子情報処理
技術の実現に寄与するものであり、今後より一層の発展に益するところが大きい。よって同氏の成果をここに顕彰するものである。


ホームページTOPに戻るこの顕彰ページのTOPに戻る