沼田宗純氏(東京大学生産技術研究所准教授)
『災害対策トレーニングセンターの設置と運営
〔選考理由要旨〕
沼田 宗純氏は、防災および災害対策を対象とする「防災プロセス工学」研究を推進している。とくに、分野横断的な
アプローチによる、地震・津波・風水害・原子力・感染症などのマルチハザードの防災・災害対策研究に関して、
同氏は我が国を代表する研究者である。
同氏は本会の２０１８～２０２１年度 特定研究奨励助成（大型長期助成）を受けて、 ２０１８年４月１日から２０２２年３月
３１日までの４年間、災害対策トレーニングセンターの設置と運営に取り組んだ。
同氏は、この間、日本を含むアジア諸国に適した「災害対策原論」の構築と、これを踏まえた実践的な訓練を提供する
「東京大学生産技術研究所附属 災害対策トレーニングセンター」を設置した。各災害対策業務に対する訓練メニューの
教材を作り、基礎プログラムを開講して教材を受講生に提供した。さらには、学外機構あるいは海外機関との連携を
深めつつあり、活動のグローバル化を推進した。
以上のように、沼田氏の成果は、国民各層の災害対策能力の向上へ向けて、東京大学の有する知を活用して、個人・
団体を対象に効果的な災害対策ができる人材を養成するための重要な仕組みを構築するものであり、今後も、わが国
およびアジア諸国の防災力の向上に貢献するところが大きい。よって同氏の成果をここに 顕彰するものである。