2021年度顕彰


長井宏平氏(東京大学生産技術研究所准教授)
 『
三次元微細構造離散解析によるRC内部鉄筋腐食分布の逆推定システムの開発

〔選考理由要旨〕
 
長井宏平氏は、現代社会におけるインフラストラクチャの維持管理に関して、建築技術と社会制度の両面で世界を先導する
「成熟社会インフラ学」研究を推進している。とくに、社会基盤の骨格をなす鉄筋コンクリート構造物の性能解析に関して、
同氏は我が国を代表する研究者である。

 同氏は本会の2019年度特定研究奨励助成を受けて、2019年10月8日から2021年3月25日までの2年間、
米国カリフォルニア大学デービス校に滞在した。この間、鉄筋コンクリート表面のひび割れ情報から内部の鉄筋腐食分布を
定量的に逆推定する検査手法を開発した。

 長井氏の検査手法の特徴は、腐食した鉄筋の膨張圧で発生したコンクリート表面のひび割れ情報に加えて、
内部の配筋構造を実物同様に再現した解析モデルを組み合わせて、構造物の残存強度を定量的に推定可能にした点にある。
これにより、腐食程度に応じた保全対策の要否とその方法を合理的に検討する新たな検査手法を確立した。

 以上のように、長井氏の検査手法は、高度経済成長時代に建築され、現在老朽化しつつある我が国の社会インフラを
効率良く保全するための重要技術であり、生産技術の発展に寄与するところが大きい。よって同氏の成果をここに顕彰
するものである。


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