2020年度顕彰


八木俊介氏(東京大学生産技術研究所准教授)
 『電解製錬プロセスの高効率化を目指した電気化学触媒の研究

〔選考理由要旨〕
 
八木俊介氏は、サステイナビリティーの視点から、新しい発想に基づく蓄電池や、コモン元素で構成される
高性能な電気化学触媒の研究・開発を行っている。

 同氏は本会の平成30年度特定研究奨励助成(海外研究)を受け、アメリカ合衆国 マサチューセッツ工科大学に
2018年7月6日~2019年5月28日まで滞在し、Rupp准教授の研究室において、酸素発生触媒開発の指針の
提案につながる研究を行うとともに、この成果をRupp准教授が得意とするパルスレーザーデポジション法や
スパッタリング法によるデバイスの構築技術と組み合わせて、室温動作型燃料電池への応用研究を行った。
これらの成果は滞在中に3報の学術論文として結実したことに加えて、帰国後も引き続き共同研究が進行しており、
更なる展開が期待できる。また、八木氏が東京大学生産技術研究所 岡部教授とともに2016年より共同主催
しているワークショップが縁となり、同大学のAllanore准教授の研究室においても研究・実験を行うことを特別に
認められ、硫化物イオンをキャリアとして用いる革新的電気化学デバイスの研究を実施した。こちらも引き続き
共同研究が進行している。

 加えて八木氏は、滞在中の様々な研究者との交流の機会をとらえて、滞在先にとどまらない幅広い
国際ネットワークを構築した。帰国後もこのネットワークを元に、韓国忠南大学校との共同研究や、
カナダの研究者との環太平洋国際科学会議Pacifichem2020への共同セッション提案などを行っており、
今後も各種の国際連携活動につながっていくものと期待できる。

 以上のように、八木氏は本助成を活用し、電気化学触媒分野において、顕著な成果を挙げた。
これは、エネルギー変換・貯蔵材料の発展につながるものであり、生産技術の発展に寄与するところが
大きいと認められる。八木氏が構築した国際ネットワークが、今後の同氏の研究活動を通じて、生産技術に
更なる発展をもたらすことへの期待も込めて、同氏の成果をここに顕彰するものである。


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