平成19年度顕彰

 顕彰審査ならびに選考結果

平成19年度顕彰は、前年度(平成18年度)の研究奨励助成対象者11名ならびに海外派遣助成対象者4名を候補者とし、
各候補者が提出した報告書をもとに、平成19年8月16日開催の審査会での厳正なる審査の上、次の2名が選考されました。

大島まり氏(東京大学生産技術研究所教授)
 『「知の社会浸透」ユニット』

半谷禎彦氏(群馬大学大学院工学研究科機械システム工学専攻助教)
 『鋳造欠陥要因の定量的特定によるダイカスト製品品質向上のための最適鋳造方案決定支援』

〔選考理由要旨〕
東京大学の大島まり氏が代表をされている「知の社会浸透」研究ユニットにつきましては、
2005年に東京大学生産技術研究所の教職員による自発的な組織として結成され、一般を対象とした科学技術リテラシーの
向上を目標にして、活発な活動を繰り広げてきたこと、中高生を対象にした生研公開や出前授業を行うSNG (東大生研による
Scientist for the Next Generation!)活動、学部学生に対して研究現場を体験する機会を提供するUROP (Undergraduate
Research Opportunity Program)活動、研究者が自らの研究内容を効果的に発信していくための手法・ツールの開発を進める
JSTモデル事業、メディアとの交流会、日米PURシンポジウムの開催など様々な活動を推進してきたことは、国民的レベルでの
科学技術分野の知識ベースの向上と科学・技術の論理に対する国民的理解を増進させる上で着実な貢献をなしたものと言
えます。
よって本会の助成により達成した多大な成果を評価いたしました。

群馬大学の半谷禎彦氏が代表をされている「鋳造欠陥要因の定量的特定によるダイカスト製品品質向上のための最
適鋳造方法案決定支援」
につきましては、鋳造製品における鋳巣の発生は不可避でありますが、その対策の一つとして、後
処理工程で製品に軽度の圧縮荷重を負荷し鋳巣の低減を図る鋳巣低減圧縮処理法があります。
但し同処理法が実用性をもつためには、製品に適した負荷様式を検討する必要があり、その前提として、製品内部の鋳巣の形
状や分布などの内部鋳巣情報を精確に得ることが課題となっております。
本研究は、このような問題意識にたって、検討対象とする領域内全ての鋳巣を考慮にいれて、それらの鋳巣面積の空間分布状
況に着目した定量化を試みたものであります。本研究の結果、鋳巣輪郭線形状によるフラクタル次元と、面積分布によるフラク
タル次元が一致していることが明らかになり、この発見は、鋳巣面積分布により内部鋳巣情報を得ることを意味するものであり、
面積算出は低解像度の測定でも可能であることから、より汎用的なダイカスト製品品質向上のための最適鋳造方法を検討する
途を開くものであります。
よって、本会の助成により達成した多大な成果を評価いたしました。


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