【第640回】
●講演者 
Prof. Jean -Pierre Hansen
University of Cambridge, UK
●テーマ及び講演内容
HYDROPHOBIC ATTRACTION BETWEEN PROTEIN-LIKE SOLUTES IN WATER
疎水相互作用を取り入れた荷電粒子系の数値シミュレーションにより、正に帯電した粒子同士と負に帯電した粒子同士とでは、異なる相互作用を示すことがわかった。このことは、タンパク質のような不均一に帯電した荷電粒子系においては、その不均一性が粒子同士の相互作用に大きく影響することを示唆する結果である。


【第639回】
●講演者 
Prof. Walter Kob
Universite Montpellier II, France
●テーマ及び講演内容
THE RELAXATION DYNAMICS OF CONFINED GLASSY LIQUIDS
液体が結晶化せずガラス化する際、動的な不均一性が見られることが近年の研究で分かった。
講演では、動的不均一性の成長がガラス転移点近傍における10桁以上におよぶ粘性率の変化の起源であることを示す最近の数値シミュレーションの結果、および閉じ込められた狭い空間における動的不均一性の変化について報告する。


【第638回】
●講演者 
Prof. John C. Bischof
Department of Mechanical Engineering with joint appointments in Biomedical
Engineering and Urologic Surgery at the University of Minnesota, USA
●テーマ及び講演内容
GOLD AND MAGNETIC NANOPARTICLES FOR DETECTION AND TREATMENT
OF DISEASE
本講演は、化学修飾を施した磁性および金製ナノ粒子(10-100nm)を、磁場制御下で体内に分布させてMRやCTにより可視化したり、ドラッグデリバリーや誘導加熱することにより、腫瘍等にたいする新たな検診・治療方法や局部選択加熱による治療方法の可能性・有効性について述べる。


【第637回】
●講演者 
Prof. Joseph Nagyvary
Emeritus, Texas A&M University, USA
●テーマ及び講演内容
DECODING THE STRADIVARIUS : THE SOUND, THE MATERIALS ANDTHE MYSTIQUE
ストラディヴァリウスに代表されるクレモナヴァイオリンの音色の秘密を、現代科学の分析手法を駆使して、研究した成果の紹介。NHKの番組等で、部分的に紹介された成果を、音響特性の披露を含めて総合的に紹介する。
講演会の後半では、コンサート音響学の研究成果、ナノ粒子材料研究の最近の展開、企業におけるヴァイオリン開発などのプログラムに加えて、駒場キャンパスにゆかりの深い糸川英夫博士のヴァイオリン研究の紹介なども行う予定であり、多くの方々の来聴を歓迎いたします。


【第636回】
●講演者 
Prof. Steve Granick
Departments of Materials Science and Engineering, Chemistry, and Physics University of Illinois, USA
●テーマ及び講演内容
WATCHING MOLECULES DIFFUSE AT SOFT AND HARD SURFACES
巨大分子の表面での運動は、その環境の特殊さから難しい問題である。単一分子イメージングや二光子励起による蛍光相関スペクトロスコピーという一分子レベルの運動を調べる技術を用いて硬い基板ややわらかい基板に吸着した巨大分子を調べたところ、表面拡散は基板の性質だけでなく吸着分子の分子量や被覆度にも依存することが分かった。


【第635回】
●講演者 
Dr. Marian Paluch
PhD hab. lecturer, Institute of Physics, Silesian University, Poland
●テーマ及び講演内容
THE IMPORTANCE OF A CLASS OF SECONDARY RELAXATION PROCESS IN GLASS - FORMING LIQUIDS
ガラス形成液体には、分子全体の運動に起因するα緩和と、分子内連動と分子間運動の2種類の起源を持つβ緩和があり、後者をJohari-Goldstein(JG)緩和という。
2つのβ緩和の識別は困難であるが、講演では広帯域誘電スペクトルを用いることで、JG緩和の確認に成功したことについて報告を行う。


【第634回】
●講演者 
Prof. Raymond J. Cole
British Colombia University, Canada
●テーマ及び講演内容
FROM GREEN TO SUSTAINABLE _ IMPLICATION OF ENVIRONMENTAL PERFORMANCE ASSESSMENT FOR SUSTAINABLE LIVING
1980年代以降、「グリーン(環境配慮)」を促すために環境性能評価手法が開発され普及してきた。講師のレイ・コール教授は、自らその開発・普及をてがけてきた。
しかし、地球全体の持続可能性の危機的状況を考えると、「グリーン」から「サステナブル」に歩を進めて、経済システムを根本から変えていかねばならない。
そのためには、環境性能評価の内容・機能はどのように変革していかねばならないのかを講ずる。


【第633回】
●講演者 
Prof. Alexei A. Kamshilin
Department of Applied Physics, University of Kuopio, Finland
●テーマ及び講演内容
OPTICAL ORIENTATION OF DIPOLAR CENTERS IN NON-POLAR PIEZOELECTRICS
本講演では、非極性圧電結晶における光誘起静電分極について述べる。
この効果は、結晶内の永久双極子モーメントを持つ不純物センターが光によって配向することに起因しており、応答が速く超高速光情報処理への応用が期待できる。


【第632回】
●講演者 
Dr. Yoav Tsori
Senior Lecturer, Department of Chemical Engineering
Ben-Gurion University, Israel
●テーマ及び講演内容
ELECTRIC-FIELD-INDUCED DEMIXING IN LIQUID MIXTURES
二成分液体の相図に対する電場の影響は古くから研究がなされてきたが、その影響はあまり大きくないものであったため実験で検証することは困難であった。
しかしながら講演者らの研究によって、不均一な電場をかけることにより相分離温度などに対するその影響は極めて大きくなることが明らかになった。
また、この現象を利用し相分離パターンを制御することにより、マイクロ流路デバイス、工学素子などに対する応用面に関する可能性を拓いた。


【第631回】
●講演者 
Dr. Philippe Poulin
Chercheur Permanent Centre de Recherche Paul Pascal -CNRS Bordeaux, France
●テーマ及び講演内容
PROCESSING CARBON NANOTUBES : DISPERSIONS AND FIBERS
 近年、工業的にも注目を集めているカーボンナノチューブはしばしば粉体状に生成される。講演者らは、これの懸濁液に界面活性剤などを添加することにより材料としての性質、例えば強度や電気伝導度などを制御することができることを発見した。
また両親媒性高分子を添加することによりその液晶状態も見出し、その応用的可能性を大きく拡げた。


【第630回】 
●講演者 
Dr. Camilla Voeltz
Senior Researcher, University of Magdeburg, Germany
●テーマ及び講演内容
BUCKLING - INSTABILITY OF DROPLET CHAINS IN FREE - STANDING LIQUID CRYSTALLINE FILMS
 スメクティック液晶膜において、その相転移点近傍で等方相からなるミクロンサイズのドロップレットが膜表面に現れ、このドロップレットどうしはスメクティック相の弾性場を介し自己組織化的に様々なパターンを形成する。
そのようなパターンの力学的な不安定性について論じる。


【第629回】
●講演者 
Dr. Ali Keshavarzi
Senior staff research scientist at Microprocessor Research Laboratories Intel Corporation, USA
●テーマ及び講演内容
PARAMETER VARIATION IN SCALED CMOS CIRCUITS 
量産化が目前の65nm世代以降の微細なLSIでは、ばらつきの問題が急激に顕在化することが予測されている。本講演では、最新のCMOS技術におけるばらつきの実情と、その要因分析結果を示す。
さらに、ばらつき問題に対処するための回路技術についても紹介する。


【第628回】 
●講演者 
Prof. Bikas K. Chakrabarti
Saha Institute of Nuclear Physics, India
●テーマ及び講演内容
AN IDEAL GAS-LIKE MODEL OF MARKET AND INCOME DISTRIBUTIONS IN SOCIETIES
 様々な国で収入の分布が研究され、中層階級では指数関数的、上層階級ではべき的という特徴が共通することがわかってきた。
このような分布を再現する、理想気体的なモデルを議論する。このモデルでは、富の分布がエネルギー分布として求められる。


【第627回】 
●講演者 
Prof. Mishra, Lallan
Banaras - Hindu University, India
●テーマ及び講演内容
BIOLOGICAL ASPECTS OF METAL COMPLEXES
 Mishra教授は、機能性金属錯体の開発を精力的に進めており、今回の講演では薬理活性を目的とした様々な遷移金属錯体について、わかりやすく概説する。


【第626回】
●講演者 
Dr. Sinha, Chitttaranjan
Reader, Jadavpur University, India
●テーマ及び講演内容
3D BLOCK TRANSITION METAL CHEMISTRY OF ARYLAZOIMIDAZOLES
 アリールアゾイミダゾールは、重要なキレート配位子であるビピリジンなどのジイミン型配位子と同じ電子構造を持つ。この配位子と3dブロック遷移金属(Mn, Fe, Co, Ni, Cu)との錯体化学を概説し、その機能と応用について述べる。


【第625回】
●講演者 
Dr. Johan Nell
Manager, Mintec, South Africa
●テーマ及び講演内容
MELTING PLATINUM GROUP METAL (PGM)CONCENTRATES IN SOUTH AFRICA
 白金族元素 (PGM)を含む選鉱をサブマージアーク溶解法により溶解し、鉄−ニッケル−銅マットとして シリケートスラグと分離し、このマットを酸化して脱鉄・脱硫処理を行いPGMの品位を増大させる貴金属製錬法について解説する。
また、南アにおけるレアメタルの状況や関連する冶金技術についても紹介する。


【第624回】
●講演者 
Dr. Xue-Feng Yuan
Reader, Manchester Interdisciplinary Biocentre, The University of Manchester British
●テーマ及び講演内容
BIORHEOLOGY : QUANTITATIVE CHARACTERISATION OF BIOFLUIDS AND BIOMATERIALS
人体の中にある血液や細胞などが生物学的に重要な機能を持っていることは言うまでもないが、その機能は生体物質そのものが持つ内部階層構造に起因する粘弾性など力学的性質に依るところも大きく、生体物質のソフトマターとしての性質を理解することは極めて重要である。
この課題についての最近の研究成果について報告を行う。


【第623回】 
●講演者 
Dr. Shekhar Borkar
Intel Fellow and Director of Microprocessor Research, Intel Corporation USA
●テーマ及び講演内容
VLSI DESIGN CHALLENGES FOR GIGASCALE INTEGRATION
消費電力/ばらつき/信頼性の技術障壁に直面しているVLSIシステムが今後も性能向上を実現するためには、VLSI回路/アーキテクチャ設計者はどう対処すべきか、について示す。


【第622回】
●講演者 
Dr. Zhang Junfeng
Vice Professor, Jilin Institute of Architectural and Civil Engineering , China
●テーマ及び講演内容
REGENERATION OF MODERN CITY “SHINKYO”
 中国では、2005年から都市の保存計画が始まった。旧満州国の首都新京においても2005年から20年間の保存マスタプランが描かれようとしている。長春(新京)に残る近代建築の歴史とその保存についての分析を行なう。


【第621回】
●講演者 
Dr. Mo Wei
Vice Professor, Jilin Institute of Architectural and Civil Engineering ,China
●テーマ及び講演内容
“UNVOICED” CITY: RESEARCH OF ARCHITECTURAL HERITAGE IN OLD “SHINKYO”, MANCHURIA
 中国、吉林省、長春には、旧満州国の首都、新京時代の建築遺産が多数残る。
現在の経済成長とともに、当地では、その遺産の活用が話題に上っている。
しかし、その歴史的評価に関しては必ずしも、当地で一致した見解が出ていない。
本講演では、植民地遺産の評価、活用の問題について、どのように対処すべきなのか、その問題点について講演、議論する。


【第620回】
●講演者 
Dr. Harald Schneider
Research Associate, Fraunhofer-Institute for Applied Solid State Physics
Germany
●テーマ及び講演内容
QWIPS FOR HIGH-PERFORMANCE THERMAL IMAGING
赤外光の検出は、セキュリティやバイオの観点から、近年、その重要性が急速に増しつつある。
本講演では、半導体ナノ構造の中に形成される量子準位を用いた高感度の赤外光検出器アレーを作製し、波長10ミクロン帯のサーマルイメージングにおいて世界のトップレベルにある Schneider 博士の最近の研究成果を紹介して頂く。


【第619回】
●講演者 
Prof. Manfred Boltze
Technical University of Darmstadt, Germany
●テーマ及び講演内容
QUALITY MANAGEMENT FOR URBAN TRAFFIC CONTROL
都市一般街路における交通信号制御・交通規制等による生活空間の環境改善に関するドイツにおける最新の研究および事例の紹介


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