織ることによる機能の複合化
吉川 暢宏
吉川暢宏 (東京大学 生産技術研究所 助教授)
桑水流 理(東京大学 生産技術研究所 助手)
機能性繊維材料を織り、編み、あるいは組むことで成形されるテキスタイル材料は、繊維
自体の機能を容易に複合化できるため材料設計の自由度も高く、比強度・比剛性の点でも
既往のバルク材料より優っている。 その利点を生かして、航空宇宙、建設土木、高圧機器、
医療機器等、様々な分野での潜在的市場が開拓されつつある。
その民生市場開拓の隘路となるのが、テキスタイル材料の強度に関わる信頼性評価であ
る。
既往の金属系材料と異なり、連続体の範疇から大きく外れるテキスタイル材料に関しては、
工学的検討の歴史も浅く、信頼性確保のための方法論が未成熟である。
本研究会では、このような状況を鑑み、テキスタイル材料の強度評価を高精度化するため
の検討を行う。
非均質かつ高柔軟性のテキスタイル材料は、既往の工業材料に対する強度評価の方法
論は適用できず、実験的検討と有限要素法に代表される数値シミュレーションによる検討の
相補的運用を礎として、新たな評価の方法論を構築する必要がある。
そのための有力なツールとなる、平織テキスタイル材料に対する新たな有限要素解析プロ
グラムを、東京大学生産技術研究所吉川研究室で開発している。
研究会では、このプログラムを用いて、参加企業の抱える。テキスタイル材料の強度評価
に付随して発生する種々の問題点の解決を図るとともに、強度評価の高精度化のための
実験ハードウエアの開発を行う。
(a)経糸方向引張り
(b)バイアス方向引張り
平織布のうねり状態評価例
年会費 : 50万円
会 員 : 最大10社