研究および発表論文

研究課題とその概要

科研費による研究

科学研究費:特別推進研究(1)
MEMS応用アクチュエータおよび光部品設計・解析技術に関する共同研究
教授 藤田 博之
MEMS技術により形成する微小アクチュエータや光部品の設計解析技術を開発する.

大都市大震災軽減化特別プロジェクト1臨海部における津波災害総合シミュレータの開発
助教授(群馬大学工学)片田敏孝, 教授 目黒 公郎[代表者]
東海南・南海地震などの,南海トラフで発生する巨大地震津波災害を想定し,津波災害発生時の避難行動シミュレータを開発する.具体的には,津波シミュレーション結果と避難行動を統合したシミュレーションを開発し,情報の遅れ,避難ビルの数や配置,道路閉塞などが避難安全性に与える影響を評価できるシステムを構築する.そして津波災害による人的被害を最小化する対策について検討する.

科学研究費:特定領域研究(2)
モデル脳におけるコーディングとエルゴード性に関する数理的研究
教授 合原 一幸[代表者], 助手(東大) 鈴木 秀幸, 学振特別研究員(合原研) 牧野 貴樹
前年度までのモデル脳を用いた Dual コーディングやエルゴード性に関する研究をさらに進展させて,ニューラルネットワークモデルの非線形時空間ダイナミクスとノイズ,ネットワークアーキテクチャ,学習などとの関連を解析した.まずはじめに,複数の入力源から入力を受ける場合に,STDP (Spike Timing Dependent Plasticity) 学習則とネットワークアーキテクチャ (フィードバック結合や入力結合相関) に基づいて,多様なポピュレーション発火率コーディングや同期コーディングの共存やクラスター形成が自己組織化的に実現され得ることを明らかにした.次に,メキシカンハット型結合を有する場合 Synfire Chain モデルを拡張し,入力刺激の強度が興奮領域の大きさでコードされ得ること,孤立局在興奮と一様興奮の二つのノントリビアルな安定状態が存在すること,これらの共存相が存在することなどを示した.また,スモールワールドネットワーク構造と時空間ダイナミクスとの関係を調べた.さらに,同期発火に注目したエルゴード性とノイズとの関係や興奮性 GABA と情報コーディングとの関係についての検討を行った.

情報セキュリティ基盤に起因するリスクを管理するための情報経済工学的研究
助教授 松浦 幹太
情報セキュリティ基盤に起因するリスクを語るにあたって,技術を解さない一般ユーザがより容易に理解できるようにする手段の一つとして,経済学的な利害得失で説明するアプローチがある.本研究では,経済工学的リスク管理によって「(当該研究領域の公募概要に掲げられている)安心して生活できる情報環境」に貢献すべく,初年度の平成15年度に経済学的基礎理論構築と政策経済学的実態調査を行い,本研究の本質的方向性に関する正当性確認を完了させた.平成16年度は,平成15年度の研究の結果具体的開発課題として明らかとなった2つの項目について,より詳細な研究を行った.まず第一に,リスク定量化を推進する政策学的施策設計に寄与するため,費用対効果と最適投資の観点から情報セキュリティ投資を実証分析する手法を提示した.第二に,ネットワーク金融取引に関わる可用性確保と事後紛争解決機能のための暗号学的・工学的要素技術開発を行った.

ナノ集積構造制御に基づくオリゴピリジルの固体超分子発光材料の設計
教授 荒木 孝二[代表者], 助手 務台 俊樹
結晶や固体中でのクロモフォアの相対位置をはじめとする分子集積様式を制御することで,単分子系とは異なる多様な固体発光特性の発現が可能と期待されるが,実際の報告例は限られたものにとどまっている.本研究では,ポリピリジル化合物の分子構造とナノ集積構造,ナノ集積構造と超分子発光特性との関連を検討する過程で,溶液中で蛍光を示さないテルピリジンが特定の結晶構造をとることにより,強い青色の発光を示すことを確認し,結晶構造に対応した発光のスイッチングが可能であることを実証した.

カルコゲニド架橋遷移金属クラスター錯体の構築
教授 溝部 裕司
硫黄により架橋された同種または異種の遷移金属を含むクラスター構造は,生体内の金属タンパク・金属酵素の,そして工業的には水素化脱硫触媒の活性部位に存在し,各種反応を効率的に促進するための鍵となる役割を果たしている.本研究では,様々な遷移金属を使いながら,目的とする組成と構造を有する,硫黄または同族のセレン,テルルにより架橋された遷移金属多核骨格を自在に構築する,高収率反応経路を開発することを目的とする.

気相中における光触媒反応の機構解明と新規応用法の開発
助教授 立間 徹[代表者], 助手 高田 主岳
気相中における光触媒反応プロセスの未解明な部分を明らかにし,より新しい光エネルギー変換プロセスへの応用・展開をめざす.

ウェブマイニングの為のウェブウェアハウス構築に関する研究
教授 喜連川 優[代表者], 協力研究員 小口正人, 助手 中野美由紀
本研究では更なる新しいサービスを模索すべく,その第一歩としてWEBコンテンツを柔軟に操作可能とする強力なプラットフォームを構築することを目的とする.サーチエンジン企業はクロールしたページ群をインデクスを抽出した後に棄却しているが,本研究では,新たなアプリケーションを実証すべくコンテンツマイニング,リンクマイニングを行えるように,ページ,リンク構造,並びに アンカーテキスト等をウェアハウス化することを試みる.

電極界面修飾を利用する光合成反応中心電子伝達鎖の光レドックス特性解明
教授 渡辺 正[代表者], 助手 加藤 祐樹
十数段階の分子間エネルギー移動・電子移動を経ながら総合量子収率がほぼ1と,光エネルギー変換効率が極めて高い光合成明反応につき,それを支える反応中心コア機能分子群のもつレドックス電位相関の解明を目指している.まず,従来の酸化還元滴定法による報告値では大きなばらつきがある光学系I一次電子ドナーP700のレドックス電位の精密計測を目指し,電極界面修飾を用いた分光電気化学法の適用を図った.精度の高い計測条件を確立し,高等植物のP700については+469±2 mV vs. SHE という結果を得た.さらに種々の光合成生物を系統的に調べたところ,従来の定説に反し,レドックス電位の有意な生物種依存性を見出している.

三次元画像情報を用いた生体内部ひずみ場のin vivo計測
助教授 吉川 暢宏
医療診断装置としてのX線CT装置の技術向上はめざましく,リアルタイムで患者の身体内部の状態をモニタリング可能な,いわゆる四次元画像の取得を目指して,技術開発が進められている.そのような情報量豊富な三次元画像データを用いて,生体内部に発生する変位およびひずみ場を同定する手法を開発する.この手法により,画像という一次情報から,診断や治療に有用な力学情報を非侵襲で得ることが可能となる.

人間の意図・行動理解に基づく柔軟なヒューマン・マシン・インタラクションの実現
京都大・教授 松山隆司[代表者], 国立情報学研究所・助教授 杉本晃宏, 助教授 佐藤 洋一, 京都大・助手 川嶋宏彰, 京都大・助手 渡部 斉, 京都大・助教授 牧 淳人, 京都大・客員教授 鷲見和彦
本研究では, 人間の意図・行動の理解に基づく柔軟なヒューマン・マシン・インタラクションの実現を目指し, 1.マルチメディア情報に基づく人間の発話・行動・しぐさの実時間認識, 2.人間の意図理解のためのヒューマン・マシン・インタラクションの設計, について研究を進めている.

遺伝子・タンパク質系ダイナミクスの非線形システム的理解
教授 合原 一幸, 教授(東大) 伊庭 斉志[代表者], 大阪産業大学・教授 陳 洛南, 京都大学・助手 市瀬夏洋
最近の技術的進歩により,個々の遺伝子およびタンパク質の性質が網羅的に明らかにされるのと平行し,複数の遺伝子・タンパク質間の相互作用が示す動的な振る舞いを予測・理解することの重要性が認識されてきている. タンパク質による遺伝子発現の制御やタンパク質・タンパク質間の相互作用は高い非線形性を有し,それらの組み合わせによって構成されている細胞内ネットワークは高い非線形性と複雑性を有したシステムとなっている.近年細胞内ネットワークの振る舞いを予測する,という観点からシミュレーションが大きな注目を集めているが,細胞内ネットワークが示す動的挙動を予測し,その背後にどのような一般的な性質があるのか,という問題を明らかにするためには,コンピューターによるシミュレーションのみでは不十分であり,非線形力学を中心とした数理的理論・手法を用いて現象の抽象的理解を深め,同時に,細胞内ネットワークの解析に適した数理的理論・手法を適時開発・発展させてゆくことが不可欠である. 本研究では,このような観点から,遺伝子・タンパク質ネットワークのダイナミクスについての一般理論の構築を行ってきている.特に,タンパク質による遺伝子の制御ダイナミクスとタンパク質・タンパク質間相互作用ダイナミクスの間に存在する時間スケールの違い,様々な細胞内ダイナミクスに内在する時間遅れ,遺伝子発現・タンパク質反応における確率的な挙動など,細胞内ネットワークに特有の性質を取り入れた一般理論と解析のための数理的手法の構築を行ってきた.また,シミュレーションを援用した新しい細胞内ダイナミクスの予測,そして人工遺伝子ネットワークの設計理論の模索なども行っている.

形態変化する分子を用いた並行計算と分散計算
助教授 藤井 輝夫,山本 貴富喜, 大学院学生 金田 祥平, 教授(東大) 萩谷 昌巳[代表者], 助教授(東大) 陶山 明, 特任講師(東大) John A. Rose, 助教授(東大) 浅沼 浩之, 助教授(東工大) 村田 智, 教授(大阪大) 岩崎 裕, 助教授(大阪大) 吉信 達夫, 教授(大阪電通大) 西川 明男
本研究では,分子コンピューティング技術をナノテクノロジーとバイオテクノロジー(特に遺伝子解析)へ応用することを念頭において,分子と分子反応の設計論を確立することを目指している.そのうちの特に分子反応の制御に関わる反応の多重化の一形態として,マイクロ生化学システムを用いた分子コンピューティングの実装技術について研究を進めている.

ロボットの動作観察とタスク・スキル獲得による人間の作業熟練過程の解明
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史,(電気通信大) 木村 浩
従来,人の動作観察からロボットの動作・行動を生成する研究として「まねによる学習(Learning from Observation)」などがあるが,そこでは踊り・ジェスチャ・歩行のように実行時に関節情報と簡単な接触情報以外のセンサ情報を必要としない動作のみが扱われてきた.本研究では,実行時に視覚・力覚・触覚などのマルチモーダルな知覚が必須である腕・手・指を用いた組み立てなどの作業動作を対象とし,運動・行動のダイナミックな結合を通しての作業熟練過程の実現と解明を目指す.

科学研究費:基盤研究(A)(1)
海洋における突発的巨大波浪の発生機構の解明
教授 木下 健, 助教授 林 昌奎, 海上技術安全研究所 冨田 宏[代表者], 教授(東大) 山口 一, 助教授(東大) 早稲田 卓爾, 助教授(東大) 川村 隆文
船舶・海洋構造物の海難事故の原因になっている突発的巨大波浪の発生機構を解明し,危険海域の予測と回避,さらにこれに遭遇する場合を想定した設計基準の策定に資する.

生体細胞の凍結過程におけるミクロ熱・物質移動の能動的促進と活性評価法の確立
助教授 白樫 了, 日大 教授 棚澤 一郎[代表者], 日大 教授 尾股 定夫
生体組織の凍結保存を成功させる最良の方法は,組織細胞の急速凍結によって細胞内液をガラス化することである,大寸法の組織では全体の急速冷却はふつう困難であるが,凍結に先だって十分な濃度の凍害防御剤を細胞内に導入することで,ガラス化が実現できることが分かってきた.本研究では,電場を用いた能動的手法による凍害防御剤の導入方法の効果を実験的に検証する.

環境音響数値解析技術の開発と活用のための標準性能評価基盤構築に関する研究
助教授 坂本 慎一, 教授(大分大) 大鶴 徹[代表者], 助教授(東大) 佐久間哲哉, 教授(関西大) 河井康人, 助教授(九州大学) 鮫島俊哉, 助手(京都大学) 堀之内吉成
環境音響数値解析技術の迅速な開発と有効な利用促進を目的として,環境音響数値解析法の性能評価プラットフォームを構築するための共同研究を行っている.プラットフォームに1.音源,2.騒音伝搬,3.室内音響,4.遮音,5.その他の部門を設け,それぞれに標準ベンチマーク問題およびそれに対応する解析結果を置いてデータベース化を図るものである.今年は昨年度からの継続として各標準問題の整備を行うとともに解析結果の収集を行った.また,中間成果をとりまとめた結果を国際音響学会および国際室内音響シンポジウムにて発表した.

建築市場・建築産業の現状と将来像
教授 野城 智也,早稲田大学教授 嘉納成男[代表者]
俯瞰的視野にたって今後,都市建築に関してどのような新たな職能が必要とされるのか,そのシーズとニーズを明らかにする

科学研究費:基盤研究(A)(2)
地盤との相互作用を考慮した社会基盤施設の断層対策の合理的なガイドラインの提案
教授 小長井 一男[代表者], 教授 古関 潤一, 教授 目黒 公郎
通常の構造物が地震断層変位に抗し得ないことを考えれば,アメリカ・カリフォルニアやニュージーランドで施行されている断層周辺の危険域ゾーニング法は,被害を軽減するための有効な手段である.しかし,断層を避けての建設が不可避なライフライン施設では"ゾーニング法"の適用はそぐわない.したがって大変形を受ける地盤内の構造物の"安全な壊し方"を研究し,これに備えておくことは重要であり,過去の被害事例をディジタルデーターアーカイブスとして多くの研究者に公開し議論を深める必要がある.実際の断層被害の現れた地盤内には傾きあるいは破壊されたままの構造物(台湾・高速道路3号線数箇所の基礎杭,石圍橋周辺の残存構造物,国内では岩手県葛根田発電所放水路トンネルなど)が少なからず残存する.これらの状態を,台湾大学など海外諸機関の協力も得て,現場の状況が大きく様変わりしないうちに調査し,断層の被害データアーカイブスのさらなる充実を図る.

材料破壊と構造崩壊の連成を考慮した有限要素解析法に関する研究
教授 都井 裕[代表者], 助手 高垣 昌和
連続体損傷力学に基づく構成方程式を導入した有限要素解析法,いわゆる局所的破壊解析法に関するこれまでの研究成果に基づき,解のメッシュ依存性,計算効率,構成式の理論的・実験的根拠,材料定数の決定などに関わる基本的問題点を解消し,材料損傷・破壊統合解析プログラムのプロトタイプを構築することを研究目的とする.今年度はコンクリート構造要素の損傷崩壊挙動の完全連成解析,損傷力学の自己修復過程への拡張を試みた.

現実的な装置を用いた場合の量子暗号プロトコルの安全性評価と量子情報理論の定式化
教授 今井 秀樹[代表者], 助教授 松浦 幹太, 助手 古原 和邦
現在利用されている暗号技術は,計算量的安全性に頼っており,例えば量子計算機が実用化されるとそれらの暗号技術に頼った電子社会は崩壊する.その対策として,量子論に安全性を置くプリミティブが研究されてきたが,現実的な装置を用いた場合のシステム化は研究困難であった.本研究では,そのようなシステムで用いるプロトコルの安全性評価を,評価に必要となる理論研究と並行させて実施した.とくにプロトコル実装に係る問題解決で大きな進展をみた.

量子ナノ構造中の電波束コヒーレンス伝導・損失・利得スペクトルに関する研究
教授 平川 一彦
サブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子は,その速度の微分に比例する電磁波を放出・吸収し,その周波数はテラヘルツ(THz)領域にある.従って,電子が放出・吸収するTHz電磁波を検出・解析することにより,ナノ構造中の電子のダイナミクスを明らかにすることができる.本研究においては,THz電磁波の放射・吸収をプローブとして,(1)量子効果デバイス中の電子波束のダイナミクスと伝導・損失・利得の解明,(2)極短チャネルトランジスタ中の非定常伝導と超高電界伝導,(3)分子伝導における電子・分子・機械変形相互作用など分子伝導特有の新しい物性を明らかにする.

完全室温動作シリコン単電子・量子・CMOS融合集積回路ナノデバイスに関する研究
教授 平本 俊郎[代表者], 教授 桜井 貴康, 助手 更屋拓哉, 助手 川口 博
本研究の目的は,ナノ構造中で新たに発現する単電子効果および量子効果を積極的に利用し室温で動作するシリコン新機能デバイスと,既存のCMOSデバイスを融合させた新しい概念の集積回路を実現することである.本研究の主な特徴は,ナノ構造中の物理やデバイス物理だけでなく回路技術まで考慮して集積化を目指す点,室温動作を目指す点,および実際に回路を試作して新概念の優位性を実証しようとする点である.本年度は,超微細細線チャネル単正孔トランジスタにおいて,山谷比が1000を越えるクーロンブロッケード振動を観測することに成功した.また,3個の単正孔トランジスタを集積化することにも成功し,その振動特性を利用した回路によりアナログパターンマッチングを室温で行うことに成功した.

電気で走る近未来車両の先進制御技術に関する研究
教授 堀 洋一
電気モータのもつ特長(速いトルク応答,分散配置,容易な出力トルクの把握)を生かした,電気自動車ならではの新しい制御を追求する.

放射光と浮遊熔解法による過冷却液体およびその凝固現象の研究
教授 七尾 進[代表者], 助教授 小田 克郎, 宇宙航空研究開発機構・教授 栗林 一彦, 学習院大・教授 渡辺 匡人, 兵庫県立大・助教授 横山嘉彦, 助手 渡辺 康裕, 助手(東大) 岡田 純平, 助手(香川大) 宮川 勇人
過冷状態の融体からの凝固過程は,非平衡相や準安定相生成に有効な手段であり,金属ガラス相の生成(Zr-Al-遷移金属系)や包晶相の直接晶出(Ne-Fe-B系)等の応用が注目を集めている.また大過冷域からの凝固に伴う結晶粒の微細化がよく知られており,磁気的,力学的性質の改善の方法としての応用とともにその機構の解明に大きな関心が寄せられている.本研究は,静電浮遊熔解炉を高輝度放射光施設( SPring-8 )のビームラインに設置し,過冷却液体の静的,動的な原子構造を解明することを目的としている.過冷却液体のX線ブラッグ回折測定はいくつか報告されているが,多面的に過冷却液体の原子構造解明に取り組もうとする研究は本研究が初めてである.本年度は,通常のX線源用に設計された既存のシステムを放射光施設に持ち込み,放射光施設での使用に適した装置の設計のためのデータを収集した.

電磁鋼板上の単結晶シリコンデバイスの開発
教授 藤岡 洋
本件急では金属基板上に単結晶シリコンデバイスを実現する.この手法を利用すれば従来のバルク単結晶シリコンの大きさに制約されない新機能素子が実現される.また,素子の価格も大幅に低減できる.

層状結晶格子を利用した非鉛系強誘電機能材料の設計
教授 宮山 勝[代表者], 講師(東大) 野口 祐二
非鉛系のビスマス層状構造酸化物を用い,その層状結晶格子を活用して従来にない強誘電機能および異物性融合機能を発現させるための材料設計を行うことを目的とし,以下の研究を行った.(1)チタン酸ビスマス系での高温電気伝導が酸素−p型混合伝導性であり,バナジウムやランタンの置換により酸素欠損の低減が分極特性の向上に有効であることを見出した. (2) 異なるペロブスカイト層からなる交代層構造体において単相体を上回る大きな残留分極を見出した.

リサイクルによる半導体級シリコンの製造
教授 前田 正史[代表者], 助手 三宅 正男
本研究では,微量不純物を含有するスクラップシリコンを高速で高純度化し,高純度半導体シリコン素材を製造する新しい方法を開発することを目的とする.はじめに不純物レベルに寛容な太陽電池級シリコンを対象とし,その高速製造を目標とする.最終的には半導体シリコンの再生を目指す.高速精製が達成し,その結果として生産性向上が可能となれば,価格競争力が与えられ,真の省エネルギーリサイクルが実現する.

マイクロ・ナノマシン技術を用いた分子モータの新しい単分子計測
助教授 金 範兌代表者], 助教授 野地 博行, 助教授 竹内 昌治
本研究の目的は,生物の分子モータの回転運動特性を解明にするために,マイクロ・ナノマシン技術を用いて,単分子レベルで計測する技術を確立することである.ミトコンドリアの生体膜に存在するATP合成酵素のうち,膜内在性部分のF0モータの回転特性を解明する.F0モータの回転を誘発するための局部的プロトン場形成させることができるナノ電極アレイを製作する.

環境シミュレーションに基づくコンクリート構造物の高機能補修システムの開発
教授 魚本 健人[代表者], 教授 古関 潤一, 助教授 大岡 龍三, 助教授 岸 利治, 講師 加藤 佳孝,鹿児島大学 助教授 武若耕司
我が国の社会情勢を鑑みれば,少子高齢化が進むこと,経済状況の不振などを考慮すれば,膨大な数の社会資本ストックをできうる限り低コスト(人,費用)で管理していくことが必要不可欠である.さらに,既設構造物の更新コストは新設構造物の約3倍の費用を必要とするだけでなく,環境負荷への影響が多大である.この様な状況下では,構造物の社会システムに対する価値が低下していなければ,できうる限り延命することが得策である.本研究では,特に,構造物の劣化および再劣化に多大な影響を及ぼす環境作用を定量的に評価することで境界条件を明確とし,この結果に基づいたコンクリート構造物の補修システムを開発することを目的としている.さらに,再劣化のメカニズムを明らかとすることにより,構造物の部材,部位に応じた補修工法,補修範囲の選定が適切に実施することが可能となる高機能なシステムを開発する.

高精度3次元生体内部構造・成分情報に基づく最適凍結プロセス予測モデルの開発
助教授 白樫 了, 教授(東大) 相良 泰行[代表者], 日大 助手 都 甲洙, 東大(教授) 樋口 俊郎, (独)食品総合研究所 食品工学部室長 杉山 純一
凍結操作に伴う食品内部の氷結晶の大まかな構造(結晶サイズや数密度)を誘電スペクトル測定により非破壊的に簡便に調べる方法の開発.また,これらの情報に基づく最適凍結プロセス設計モデルの構築.

複合現実感交通実験スペースの構築によるサステイナブルITSの研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 池内 克史, 教授 須田 義大
本研究は,現実の交通空間とバーチャル空間を複合した「複合現実感交通実験スペース」を構築し,そこで観測・解析されるヒューマン・ファクター特性(利用者の交通選択行動,運転挙動,情報レスポンスなど)に基づいて,サステイナブルなITSの設計・評価を行うものである.

科学研究費:基盤研究(B)(1)
超強加工を利用したスーパーファイン機能素材の一発創成
教授 柳本 潤
熱間押出し法による,超微細粒金属素材の一パスでの創成について研究を行い,単純成分系鉄鋼材料でも粒系2ミクロンを下回るの素材の製造が可能であることを示した.

十年にわたる全球陸面エネルギー水収支データセットの構築とその検証解析
助教授 沖 大幹[代表者], 気象庁気象研究所 鬼頭 昭雄, 独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター 増田 耕一, 助手(京大防災研) 田中 賢治
地球大気環境の変動に大きく影響を与える陸面過程についてより深く知るために,全球かつ10年間の水とエネルギーの収支を複数の陸面植生水文数値モデル(LSM)と大気外力を用いて推定する.10以上の陸面モデルによる推定結果を検証した結果,マルチモデルアンサンブルが良い結果を示すことが示され,当該データをWebのGUIを通じて配布するシステムのプロトタイプができあがった.

科学研究費:基盤研究(B)(2)
核共鳴X線散乱の時間スペクトル解析による表面拡散の原子ダイナミクス計測法の開発
教授 岡野 達雄[代表者], 教授(山梨大) 川村隆明, 助教授 福谷 克之, 助手 松本 益明, 助手 ビルデ マーカス, 助手(高エ研) 張 小威
核共鳴X線散乱法と内部転換電子放射分光法を併用して,清浄固体表面上を拡散する原子のサイト滞在時間を測定するための装置開発と試料調整に関する研究を行った.表面拡散過程を測定する対象を選択するための予備実験として単結晶試料表面での拡散異方性を,二次元島構造の非等方的な成長過程から明らかにすることを目的とした研究を実施した.

青色領域に感度を持つInGnN量子井戸フォトリフラクティブ素子の研究
教授 黒田 和男[代表者], 教授 荒川 泰彦, 教授 志村 努, 助手 芦原 聡, 助手 藤村 隆史
光情報技術において,近年のGaN半導体レーザーの成功により,波長400nm前後の青色領域の重要性がますます増している.本研究は,この青色領域において動作する,InGaN量子井戸構造を基盤とする光デバイス,特に,フォトリフラクティブ素子を開発することを目的とする.特に,基板との格子不整合のために発生する大きなピエゾ電場を利用し,外部電場不要の光デバイスを構成する.初年度は,InGaN薄膜を成長し,光誘起吸収変化を,フェムト秒パルスを用いたポンプープローブ法で測定し,1ピコ秒からナノ秒までの広い時間領域で,光応答と緩和過程を明らかにした.

リラクサー系強誘電体によるフォトリフラクティブ材料の研究
教授 志村 努[代表者], 教授 黒田 和男, 助教授 小田 克郎, 助手 芦原 聡, 助手 藤村 隆史
リラクサー系強誘電体は圧電効果が非常に大きく,これと光弾性効果との組み合わせにより,大きな実効的な電気光学効果が得られる.このことを利用して,これまでに無い大きな屈折率変化を持つバルク・フォトリフラクティブ材料を実現しようとするのが本研究の目的である.われわれはPb(Zn1/3Nb2/3)O3とPbTiO3の固溶体であるPZN/PT単結晶に着目し,フラックス法による結晶育成を行った.その結果二光波混合ゲイン21cm-1という大きなフォトリフラクティブ効果を観測した.本年度はロジウムをドープしたPZN/PT結晶での近赤外域でのフォトリフラクティブ特性を調べるとともに,フォトボルタイック効果,光導電性,等の基本的な測定を行い,フォトリフラクティブ効果の基礎的な特性に関する考察を行った.

MHzリプロンの実時間直接測定による液体表面ダイナミクスの高速観察
助教授 酒井 啓司[代表者], 助手 美谷 周二朗
液体表面はきわめて化学的・物理的な活性に富んだ反応場であり,またその対称性の破れから新しい分子集合体形成の環境として期待されている.しかし表面での分子反応はわずか一分子層程度の厚みの空間で起こるため,感度のよい液体表面物性測定法の開発が望まれていた.本研究は,液体表面への分子の高速吸着・脱離現象や2次元相転移の動的プロセスを高い時間分解能で調べる手法として実時間相関処理による高周波リプロン計測システムの構築を目的とする.これまで当研究室で培った光散乱技術にコンピュータを利用した高速相関処理を組み合わせることにより,10msという短時間でのリプロン分光が可能になった.さらにこのシステムを2次元分子反応の観察に応用する研究を進めている.

偏心を有する不整形建築物のねじれ地震応答性状の評価と予測に関する研究
助教授 中埜 良昭
本研究の主目的は,平面上の構造非整形性を有するRC造構造物を対象に,@応答スペクトル法の枠組みに整合しうる地震応答評価手法を提案し,Aその有効性と適用範囲を実験的・解析的に検証すること,およびBねじれ応答を制御するための設計クライテリアを提案すること,にある. 本研究で検討する評価手法は,有偏心架構の非線形応答時における等価剛性に立脚した振動モードの変動を考慮した等価1自由度系解析に基づくものである.したがって,従来の弾性時における剛性偏心のみを指標とした場合には顕在化しない問題,例えば耐震改修時における耐震要素として鉄骨枠付きブレースを用いた場合,その弾性剛性がRC造壁に比較して低いがゆえに軽視されがちな耐力偏心の問題も,非線形応答時の等価剛性を考慮することにより架構のねじれ応答性状を統一的に評価・推定できる手法を検討する.

非線形波力の摂動解に表れるセキュラー項の除去と模型試験による検証
教授 木下 健
非線形波力のうち2次波力(長周期変動漂流力,2次高周波波力)や波漂流減衰力については,従来の方法で得られるが,より高次の波力,たとえば3次波力や波漂流付加質量の計算では,セキュラー項が表れ求解できない.本研究ではこの問題の新しい求解法を見出す.

マイクロPIVによる微小流路内電気浸透流の可視化計測技術の開発
助教授 大島 まり[代表者], 助教授 谷口 伸行, 助手 佐賀 徹雄, 財団法人日本自動車研究所・所長 小林敏雄
近年では,ゲノム解析に代表されるような生化学実験や分析操作をマイクロファブリケーションによって製作したチップ上で行う研究が世界的に着目されている.スケールを微小化することにより,表面積/体積比が増大し,分子拡散効果が相対的に増大することから,反応や分析操作の高速化や効率化が可能である.一方,マイクロ生化学システムにおいては,マイクロ流路内の流れを介した反応が原理となっているため,マイクロスケールに特有な流動現象が現れる.一般にマイクロ生化学システムでは電気浸透流を用いている.電気浸透流は流体操作が容易である一方,複雑な流動現象であり,未知の部分が多い.そこで,本研究では電気浸透流の物理現象を解明するために,微小空間スケールにおける計測技術の開発を目的としている.具体的な手法としては,画像計測法として確立されているPIV(Particle Image Velocimetry)をマイクロスケールの流れに適用したマイクロPIVの開発を行う.チャネル幅200μm-30μm のマイクロチャネルをモデルとして用いて,マイクロPIVを微小流路内電気浸透流に適用した際に解決すべき点を明らかにするとともに,マイクロPIVの計測技術の確立を目指す.

Flameletアプローチに基づく乱流燃焼場のLESモデリング
助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 大島 まり, 助手 佐賀 徹雄
本研究では,特にエネルギー環境問題において重要な位置を占める燃焼流れを対象に数値解析モデリングを確立して合理的な設計法としての導入を図る.そこで,乱流変動が支配的と考えられる乱流燃焼場に対してスケール分離の概念を導入し,流れマクロスケールをラージ・エディ・シミュレーション(LES)により,化学反応との干渉スケールをflameletアプローチに基づく火炎モデルにより解析する方法を確立する.

位置情報を利用したアドホックネットワーク高性能化の研究
助教授 瀬崎 薫
アドホックネットワーク上で展開されるサービスは,位置を利用するものが大多数であるので,位置情報がGPSやRFID等の位置同定デバイスによって既知であると考えて差し支えない.本研究では,位置依存サービスのために用いられる位置情報を逆にネットワーク制御に用いることによりその高性能化を試みる.

水素結合性主鎖を有する超分子繊維の創成とその機能開発
教授 荒木 孝二[代表者], 助手 務台 俊樹
共有結合された主鎖を持つ高分子ではなく,一次元多重水素結合により形成された擬似高分子鎖を持つ超分子繊維を溶融紡糸により作製した.多重水素結合で形成される比較的剛直な水素結合性擬似高分子鎖を,非極性で柔軟性に富む長鎖アルキルシリル側鎖で包むという分子設計指針に基づき,トリアミドベンゼンをはじめとする芳香族アミドがスッタクした主鎖構造を持つ超分子繊維の作製に成功し,その構造および特性を明らかにした.

繊維強化セラミックスの誘電特性を用いた非接触・非破壊損傷検出による残存強度の測定
教授 香川 豊[代表者],宇部興産褐、究所 石川敏弘
構造体となった織物SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の内部に蓄積した損傷量(D)と残存強度(R)を大気中,非接触,非破壊で定量的に求める方法を構築する.本年度は総論的な検査システムとしての構築を目指した.

吸着オゾンを用いた新規高度浄排水処理プロセスの実用化に向けた研究(新規)
教授 迫田 章義[代表者], 助手 下ケ橋 雅樹, 国立保健医療科学院 秋葉道宏, 産業創造研究所 泉順
本研究は,新規に開発されたシリカ系吸着剤に溶存オゾンを吸着させることによって高濃度の反応場を創生し,この反応場で有機汚染物質を分解する新しい水処理プロセスを実用化しようとするものである.これまでにその有効性を示す基礎データの蓄積と物質移動・反応の解析を完了し,今まさに実用化に向け,「実原水」を用いた研究に取り組む段階にある.本研究では特に実際の水道原水の長期的連続浄水処理を通じた同プロセスの能力劣化因子の解明を行っている.

細胞を用いた糖鎖合成と高機能高分子化
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ, 教授(慶應大) 佐藤 智典
本研究は,各種の動物細胞,植物細胞を糖鎖生産工場として利用するという発想により,「糖鎖プライマー」を細胞に与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,多岐にわたる糖鎖ライブラリーを構築し,糖質ポリマーを合成しようとするものである.糖鎖に疎水性の基を付けた「糖鎖プライマー」を細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.さらに,得られた糖鎖の機能解析を行い,優れた機能を有した糖鎖を素材とした機能性糖鎖高分子を作製する.

光誘起表面反応を併用したCVD法によるダイヤモンド膜の低温形成
助教授 光田 好孝[代表者], 技術職員 葛巻 徹
ダイヤモンド膜の気相生成上の問題に,高基体温度(800〜900℃)がある.これは,sp3軌道を維持するために表面を終端するH原子が,高温(700℃以上)でないと脱離しないためである.そこで,本研究では,低基体温度成長のために,光励起反応による原子の吸着・脱離過程について測定し,H原子を低温脱離させる光誘起表面反応を実現させ,この結果を用いてダイヤモンド膜を低温で形成することを目的とする. 最終年度の本年度は,CVD合成多結晶ダイヤモンド膜を用いて,試料表面のダングリングボンドを重水素を用いて終端処理を行い,その後熱脱離により化学吸着した重水素量,および光脱離後の残存重水素量を質量スペクトルにより測定した.多結晶ダイヤモンド膜は,内部に多くの欠陥(点欠陥・転位等)を含むため,YAGレーザー光を吸収しやすい.このため,光脱離過程では,光化学反応によるC-H結合の乖離過程よりも,欠陥が光子を吸収し試料温度が上昇することによる熱脱離過程が,支配的なっていると推測された.このため,ダイヤモンド膜の低温形成を行うためには,光化学反応によるC-H結合の乖離過程が支配的になるように,成長するダイヤモンド膜中の欠陥密度を最小限にしなければならないことが,判明した.

地盤材料の繰返し変形特性を求める中空ねじり試験法の精度向上に関する研究
教授 古関 潤一
地盤材料の繰返し変形特性を中空ねじり試験により求める場合の精度を向上させることを目的として,試験結果に及ぼす端面摩擦とベッディングエラーの影響について検討している.本年度は最終年度であり,豊浦砂とその約10倍の平均粒径を有する礫質土を用いて,密度を大きく変化させた中空円筒供試体を作成し,改良型のピンタイプLDTを設置して0.001%程度の微小ひずみレベルでの鉛直ヤング率とせん断剛性の計測を行った.その結果,局所変位計測結果と外部変位計測結果の間の定量的な差が,材料の粒度や密度によらず見られることを明らかにした.

擬似衛星を利用した都市空間におけるシームレス高精度測位システムの開発
教授 柴崎 亮介
疑似衛星(Pseudolite)はGPS衛星とほぼ同様の信号を出す小型の発信機であり,取り付け位置を正確に測量さえしておけば「固定されたGPS衛星」として動作する.従来のGPS技術ではカバーすることができなかった都市内工事現場のような閉鎖空間から室内,公共建物内,地下街,街角,トンネル内,そして屋外までどこでも同じ受信機でシームレスにしかも高精度(1cm程度)に位置決めできる可能性がある.測位の技術そのものは超音波を利用するものなど多くの技術が既に提案されているが,それらはその場だけの専用システムであり,特にコストの点で幅広い社会インフラとして利用できるものではない.それに対し,今回取り上げる疑似衛星はGPS携帯など既存のGPS受信機がほとんどそのまま使える可能性があり,Galileo(EUが計画している衛星測位システム)やわが国の準天頂衛星などもとも連携して利用できることから,普及可能性,社会インフラ化の可能性という点できわめて有望である.こうした背景から下記のような研究を行っている.1)疑似衛星(受信機)を試作する.信号をハードではなくソフトで処理する受信機とすることでさまざまなマルチパスの影響低減方法を効率的に実装できるとともに,試作費用を低く抑えることができる.2)試作システムを利用してマルチパスによる測位精度の低下を軽減・防止する手法を開発する.具体的には,非常に多くのコリレータを利用して相関ピークを大局的に探す方法,3次元数値地図から得られるマルチパスの予測結果を利用してマルチパスを含んだ搬送波レプリカを受信機側で生成し,それを利用して明瞭な相関ピークを得る方法の二つを主な比較対象とする.3)疑似衛星と衛星測位システムとの連携によって実現できる測位精度の空間分布を予測するために,萌芽研究で開発された測位シミュレーションシステムを高度化する.これを利用して上記のようなマルチパスの影響低減方法の効果を面的に評価するほか,疑似衛星の配置計画の支援を行う.

環境アセスメントのための建設工事騒音予測手法の開発研究
教授 橘 秀樹[代表者], 教授 桑原 雅夫, 財団法人小林理学研究所 山本貢平, 助教授 坂本 慎一, 助手 上野 佳奈子, 研究員 矢野博夫
近年,建設工事騒音も環境騒音の一つとして重要視されてきており,環境アセスメントの一項目となっている.この問題に対して,まずエネルギーベースの考え方に立った予測計算法を提案し,騒音源の発生出力の測定・評価方法について検討した.本年度は昨年度に引き続いて各種の工事用機器の発生騒音量の実測,発破工事の衝撃音のエネルギーなどの実測を行い,騒音源データの把握方法の検討を行った.

サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
教授 山本 良一[代表者],神子 公男
本研究に於いて,サーファクタント(surfactant)と呼ばれる表面活性剤で下地基盤表面を修飾し,その表面物性を変化させることにより薄膜成長の制御を行い,良質のヘテロ界面を有する金属多層膜を作製し,その機能を向上させる.具体的には,(1)サーファクタント媒介エピタキシー法や薄膜の配向面を制御する手法であるシーディッドエピタキシー法により金属多層膜の界面構造あるいは配向面を原子層レベルでの正確な制御,(2)垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果を示す金属多層膜にサーファクタントエピタキシー法を応用することによる極限的に高品質なヘテロ界面を有する金属多層膜の作製,(3)磁性や電気伝導に及ぼす界面の影響を調べることにより,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果のメカニズムを明確にすること,そして(4)得られた知見をもとに金属多層膜を設計・作製し,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果等の金属多層膜の物性を向上させることである.

マイクロ波散乱計を用いた海面計測手法の開発
助教授 林 昌奎
能動型マイクロ波センサの1つであるマイクロ波散乱計を用いた風,波,流れなどの海面情報計測手法の開発を行っている.海面におけるマイクロ波散乱に及ぼす風,波,流れの影響を,理論と実験の両面から解析する.海面からのマイクロ波散乱メカニズムを明確にする.また,マイクロ波散乱計を用いた衛星リモートセンシングによる海面計測手法を開発する.

RF信号処理用超高周波シリコンナノ振動子
教授 藤田 博之, 教授 コラール ドミニク[代表者], 助教授 金 範凵C (CNRS/IEMN) BUCHAILLOT Lionel, 博士研究員 AGACHE Vincent, (CNRS/IEMN) BOE Alexandre, (CNRS/IEMN) LEGRAND Bernard
本研究の目的は,半導体技術を援用したマイクロ・ナノ加工によりGHz帯の振動子を作り,無線情報通信に用いる送受信機の格段の性能向上と,小型1チップ化を図るものである.

アクエアス・コンピューティングのドロプレット実装と分子強化学習への応用
助教授 藤井 輝夫, 大学院学生 金田 祥平, 助教授(東工大) 山村 雅幸[代表者]
分子を情報担体とした溶液系によって計算を行う「アクエアス・コンピューティング」のアルゴリズムに基づいた実装デバイスとして,微量体積の液滴操作を行うことができるマイクロ流体デバイスを製作し,分子計算の実現に必要な生化学反応及び分離操作の実現を試みている.

科学研究費:基盤研究(C)(1)
北太平洋における FREAK WAVE の解明と克服のための基礎研究
教授 木下 健
北太平洋における異常波浪の発現特性をリモセン等により調査するとともに,水槽内に再現し,予測システムの構築を目標にして,船舶構造規則の改定,避航システムの開発等による海難事故の激減を目指す基礎研究計画を作成する.

東京湾に注ぎ込む4河川の再現モデルDHMと東京湾流動モデルMEL3D−tideとの統合
国土交通省 国土技術政策総合研究所 沿岸海洋研究部 主任研究官 中山 恵介, 助教授 デュシュマンタ ダッタ[代表者]

東京湾に注ぎ込む4河川の再現モデルDHMと東京湾流動モデルMEL3D−tideとの統合
国土交通省 国土技術政策総合研究所 沿岸海洋研究部 主任研究官 中山 恵介, 助教授 デュシュマンタ ダッタ[代表者]
世界の大部分の人々は,広い意味での河川沿川・沿岸域に生活しており,多くの恩恵・影響を授受している.しかし,無差別な開発・汚染に伴い環境破壊が深刻な問題となり,このままでは数十年後には経済活動・生命に大きなダメージを与えることが予想される.そこで,極めて優れた環境評価・予測手法の開発が必要となる.しかし,Delf 3D-FLOW, POM, MIKE11等のモデルは,現実の湾への適用にはいくつかの問題点を抱えている.国土技術総合研究所では,これまで非静水圧モデルMEL3D-tideの開発を行ってきた.このモデルは,LESモデルを用いることにより,スケールに応じた流体の混合過程を考慮することができる.しかし,非静水圧モデルにより河川流入時の再現性の精度向上ができても,詳細な河川流量,栄養塩濃度等がわからなければ総合的な再現性を議論することができない.本件研究の目的は,東京大学生産技術研究所で開発されたDHMを用いることにより,河川流量等を計算し,MEL3D-tideで必要なデータを取得することである.そのためには,お互いのモデルの統合が必要である.統合されたモデルにより,台風経過後の東京湾の水質予測,河口付近での混合過程・内部波の挙動の解析,さらには東京湾口におけるモニタリングシステムに組み込むことにより,急潮など漁業に被害を及ぼす災害の予防・対策にも用いることが可能となる.

科学研究費:基盤研究(C)(2)
高レイノルズ数壁面乱流の実用計算のためのDESの基礎的研究
助教授 半場 藤弘[代表者], 助手 横井 喜充
高レイノルズ数の壁面乱流のLESを可能にするため,DES(detached eddy simulation)という方法が近年提案された.しかしチャネル乱流の検証計算では,壁近くのRANS領域と壁から離れたLES領域をつなぐ界面で,速度分布に不整合(段差)が生じるという欠点が指摘された.そこで本研究ではまず,DESの速度の不整合の原因を解明し改善方法を提案する.不整合を単なる数値的な誤差としてではなく,RANSとLESという異種の乱流モデルを融合する際に生じる根本的な問題ととらえ,欠点の改良のための基礎的研究を行なう.さらにDESを一般化し任意の面でRANSとLESを切替えられるハイブリッド乱流モデルの開発を試みる.

至近距離での雷放電の電磁界観測にもとづく帰還雷撃のモデリング
教授 石井 勝
耐雷設計の主な対象となる負極性第1雷撃の電流値を,遠方での電磁界観測から推定するためのモデルがまだ確立されていない.本研究では夏季の高構造物への雷撃電流と,至近距離の電磁界を同時観測し,雷放電路下部の電気的構造を解明することによって,第1雷撃の帰還雷撃モデルの構築をはかる.

バイオマス由来物質・エネルギーの地域循環システムの創生(新規)
教授 迫田 章義[代表者], 助教授(広島大) 松村 幸彦, 教授(東大) 五十嵐 泰夫, 教授 畑中 研一, 教授 野城 智也, 生産開発科学研究所 奥 彬, 静岡大 中崎 清彦
標記の特定領域研究等の大型プロジェクトを申請・発足させるための準備として,わが国およびアジア諸国におけるバイオマス資源の分布,利活用の現状,バイオマスタウン化構想などを調査研究した.

ウォートルス三兄弟の研究:ニュージーランドと米国コロラド州における活動を中心に
教授 藤森 照信[代表者],藤森研 学術研究支援員 丸山雅子
明治政府のお雇い外国人ウォートルス兄弟(The Waters Brothers)の離日後の足跡を明らかにする.彼らはアイルランドに生まれ,イギリスとドイツで教育を受け,アジア(香港,上海,日本),ニュージーランド,米国と拠点を転々とさせながら,各地で指導的な技術者として建築,土木,鉱山,電気,機械などの諸分野で活躍した.彼らの生涯を通して,19世紀後半に世界のフロンティアで活動した冒険技術者たちの実像に迫る.

生体軟組織のin vivoひずみ計測法の開発
助教授 吉川 暢宏
生体内部力学場を有限要素解析により評価するためには,材料パラメータの同定が必須である.その非侵襲測定のため,X線CTを用いて取得した三次元画像データに基づく手法を開発する.この基盤技術の開発により,高精度の画像情報と有限要素シミュレーションを融合し,組織の形状に関する情報ばかりでなく,力学場に関する情報をも提供する,高度な診断と治療が可能となる.

科学研究費:基盤研究(S)
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
教授 高木 堅志郎[代表者], 助教授 酒井 啓司, 助手 美谷 周二朗
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他,分子内振動や回転運動にも分配される.これらの自由度間にはカップリングが生じ,これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている.本研究は,新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して,振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする.本年度は連続波レーザー励起光カースペクトロスコピー装置と高分解能ブリュアン散乱装置の高性能化を図り,液晶等方相における分子の並進運動と回転運動の結合輸送係数の定量測定を行った.さらにこれを分子形状から理論的に導くことを目指している.

熱輸送デバイス/熱電エンジンによる熱回収システム化技術
教授 西尾 茂文[代表者], 助教授 白樫 了
エネルギー資源・環境保全の課題に対し,低温排熱の有効利用技術を実現することが一つの重要課題として研究を行っている.周知のように熱エネルギーは低温排熱として多量が廃棄されているが,この状況を脱するには,構造シンプル性に基づく動力化(電力化)装置が不可欠である.本研究では,構造シンプル性を有する熱電素子に注目する.熱電素子の課題は,1)現実に利用できている温度差と排熱自体としての温度差の比である温度差利用率の飛躍的向上,2)熱電素子の集積度の飛躍的向上である.1)については,500K程度まで作動する細径熱輸送デバイスを創製し,これを高効率フィン構造として利用することにより温度差利用率を飛躍的に高める.2)については,Bi-Te系のシート材を創製し,それを積層化することにより,集積度の飛躍的向上を図る.この二つのキー要素を開発することにより,排熱発生パターンや場所に依存しない汎用の低温排熱動力化システムを構築する.

CFDの逆問題解析に基づく室内温熱・空気環境の最適設計システムの開発
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三,顧問研究員 村上周三, 助手 黄弘
本研究は,室内温熱・空気環境解析シミュレーションの逆変換法を用いる総合的な室内の温熱・空気環境の設計システムの構築を目的とする.室内の環境性状を設計目標値に最大限近似させるための室内の物理的な環境条件を求める手法,すなわち逆問題解析による環境の自動最適化設計システムの開発を行う.このシステムは,様々な室内環境の制御要素の組み合わせ及び室内環境の最適化の合理的な判断ができるため,経験のない空間においても適用可能となる.この解析手法の完成により,目標とする(例えば,省エネルギー的で健康的な)室内環境の自動設計が可能となる.

ナノ物体の物性計測と可視化観察の同時遂行を目指すナノ・ハンド・アイシステム
教授 藤田 博之[代表者],安宅 学, 助教授(香川大) 橋口 原
本研究の目的は,これまで培ってきたナノマシン技術,位相干渉計測を含む高分子能透過電子顕微鏡技術等をナノハンド・アイ・システムへとさらに発展させ,極微領域の評価の技術として確立することである.

組積造構造物の経済性を考慮した効果的耐震補強手法の開発
教授 目黒 公郎[代表者], 博士研究員 MAYORCA ARELLANO Julisa Paola, 博士研究員 NASROLLAHZADEH NESHELI Kourosh, 大学院学生 NAVARATNARAJAH Sathiparan
世界の地震被害による犠牲者の多くは,耐震性の低い石やブロック,レンガや日干しレンガなどを積み上げて建造する構造物(これを組積造構造物という)の崩壊によって生じている.本研究は,耐震性の低い既存の組積造構造物を,それぞれの地域が持つ技術と材料を用いて,しかも安く耐震化できる手法を開発することである.本研究で提案している工法は,「100ドル耐震補強法」と呼ばれるもので,安価な「荷造りひも:ポリプロピレン高分子樹脂繊維(PPバンド)」を用いた簡易耐震補強工法により,1-2階建ての組積造建物1棟を100米ドル程度で補強し,人的被害を大幅に軽減するものである.実験と数値解析的なアプローチによって研究を進めている.

科学研究費:萌芽研究
遺跡地震痕跡の工学的評価手法の開発と地震履歴カタログ整備への応用
教授 小長井 一男
本研究の目的は,地震痕跡から当該地域での地震の揺れを推定する手法を開発することにある.考古学的手法で年代特定された地震について,その揺れの状況を推定できるなら,年間数千ヶ所に及ぶ遺跡の発掘が行われているわが国で,(1)地震の発生時期と (2)地震動の強さの地域分布を客観的な指標を持って示し得る.そしてそれは,「過去の地震履歴」を確認するだけでなく,その発生確率の推定結果(地震調査研究推進本部)が公表されている今世紀前半の東海・南海地震などの巨大地震への対応を検討する上でも極めて重要な意味を持つ.地震痕跡として頻繁に見つかるものには(a)地すべり痕跡,(b)液状化痕跡,そして(a),(b)ほど頻繁ではないが,(c)地震断層痕跡がある.本研究では特に(a), (b)を対象に遺跡に刻まれた地震強度情報を工学的指標で表記し,電子化された地震カタログとして整備することで,その後に続くであろう全国的な規模の調査の雛型を提供する.

人工臓器における大規模集積流路ネットワークの形態設計・評価に関する研究
助教授 白樫 了[代表者], 助教授 酒井 康行, 助手 高野 清
本研究では,流路系を熱物質交換という機能の下に組織化されたマルチスケールの大規模集積流路ネットワークとしてとらえ,流路ネットワークの設計・製造理論の構築を目指している.その例として,埋め込み可能な人工臓器の流路設計理論と製作法を開発している.最終的には流路ネットワークの機能と形態の関連を結ぶ理論の構築が狙いである.

人間の創造力(Creativity)を引き出す空間に関する研究
助教授 橋本 秀紀
人間の創造力はコンピュータで代替できず,人間が人間である所以である.本研究は人間の五感に情報を提示することによって人間の持つ創造力を効率的に引き出し活用する空間を工学的に実現することを目指している.本研究では現実の知的空間を作り,そこから得られる知見をフィードバックし創造力を引き出す手法を求めるというプラグマティックな方法論により,創造力を引き出す空間の設計手法を検討する.

透光性を持つ周波数選択型電波遮蔽複合材料の実現
教授 香川 豊
可視光を透過するが電波を透過させない機能を持つ複合材料を実現するための基本メカニズムについて検討した.電波の偏光作用を利用することが可能であることが明らかになった.

病原性細胞の産生する糖鎖を用いる抗体作成に関する基礎研究
教授 畑中 研一
各種のガン細胞,バクテリア等を糖鎖の生産工場として利用するという発想により,培地中に「糖鎖プライマー」を与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,糖質ポリマーを合成することによって,糖鎖抗原を構築することを試みている.糖鎖に疎水性の基を付けた糖鎖プライマーを細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.得られた糖鎖の機能解析を行い,高い抗原性を有する糖鎖高分子を作製する.本研究で用いる『糖鎖プライマー法』は簡便であり,化学合成のような職人芸を必要としない.また,糖鎖の構造を解析することなしに抗体作成を行える点に特徴がある.通常,生合成された糖脂質は細胞内や細胞膜に留まるが,脂質部分が一本鎖アルキルの糖鎖プライマーは,糖鎖伸長後に膜上に留まることができず,培地中に多量に放出される.しかも,アジドなどの細胞内で安定に存在する置換基をあらかじめ糖鎖プライマーのアグリコン部分に導入しておくことによって,生成する糖脂質を容易に高分子化することが出来る.

環境汚染物質の胎児移行性の簡便評価に適したin vitro血液胎盤関門モデル
助教授 酒井 康行[代表者], 教授(東大) 高橋 恒夫, 助手(東大) 渡辺 信和
本研究は,様々な環境汚染物質の母体から胎児への移行性評価のための簡便なin vitro評価系を,代表的な環境汚染物質の透過性・蓄積性などを実際に測定,ヒト灌流胎盤実験のデータと比較検討することを通じて,確立することを目的とする.ヒト胎盤絨毛ガン細胞由来のBeWo細胞や,ヒト胎盤絨毛栄養芽細胞を,市販の半透膜培養器上で培養するモデルを対象とする.これらを用いて,主要な環境汚染物質群を母体側に負荷しその胎児側への透過性評価や,実環境サンプルを用いた包括的な毒性の透過実験などを行い,その有効性と限界性を評価する.

SARS及び呼吸器感染患者の在室建物における室内感染拡散予防対策
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三, 助手 黄弘
SARS(重症急性呼吸器症候群)及び呼吸器感染患者の呼吸・咳によるウィルスが付着されたエアロゾルの室内拡散メカニズムを解明し,SARSのような大量感染を引き起こす感染病が流行した場合,感染者あるいはその可能性のある者が在室している建物(一般住宅,病院)や多くの人が密集している室内においてそれぞれの建物や空間の機能を考慮した室内感染拡散の予防及び防止のための「室内空気環境制御マニュアル」を作成する.特に,病院内の空気感染ルートを明らかにし,感染拡散防止のための感染者用陰圧局所換気装置及び空調設備システムを提案する.

回転可能な接合部のもつ不安定な機構を活用した施工・安全性に優れた骨組構造の開発
教授 藤井 明[代表者], 助教授 川口 健一, 助手 橋本 憲一郎
本研究の目的は,回転可能な接合部のもつ不安定な機構を活用した骨組みによって,施工性の良い構造・構法を開発するとともに,こうした構造・構法を利用した実際の建物への計画学的な展開を探ることである. 仮設・移動可能な建築物を研究対象としているが,こうした構造物にあっては,建設期間の短縮,建設作業を容易にすることが要求される.そこで,本研究では,回転可能な接合部を用いて,不安定な架構を形成し,ケーブルによる張力導入によってその架構を安定化させることを提案する.これによって,地上作業のみによって骨組みを組立て,立ち上げていくことができる.これは,作業の安全・簡略・短縮化に寄与すること大である.また,このような接合部を用いることで,部材もシンプルになり,何度も繰り返しての組立て・解体が可能となる.構造・構法に関しては,先に提案した展開過程の不安定な骨組みの挙動を明らかにし,その挙動を可能にする接合部を開発する.また,ケーブル部材の配置を検討し,解析・実験によって張力導入及び張力導入後の強度を確認する.構造的な解析と並行して,これらの構造が展開可能な建築物を,主にスケールの観点から計画学的に発案・検証し,解析にフィードバックしていく.

畳み込みを利用した膜構造の形態解析
助教授 川口 健一
膜構造は軽量,柔軟,透光性などを主な特徴とする多機能材料であるが,実際の構造物として利用される場合,柔軟性が利用される場合は少ない.建築構造の分野において膜構造の畳み込みに関する基本的な性質に着目した研究は,今日までほとんどなされていないのが現状である.広がりを持つ膜材をどのような形に収納し,どのような手順で展開するかという研究は建設現場における作業能率に関るだけでなく,展開型の新しい膜構造や開閉型のドーム構造への応用等,従来の膜構造では考えられなかった新しい応用を引き出す可能性を持っている.本研究では,膜の幾何学的形状に着目し,初期形状と目的形状との間に設定した畳み込みの軽量を最小化することにより,畳み込み経路と畳み込み形状を同時にかつ自動的に決定していく解析法を開発することを目的とする.本研究は膜材料の幾何学に関する研究を基礎とするため,まず,応用数学や宇宙工学の分野における基礎研究的な調査を行う必要がある.初年度である平成16年度は, この調査研究と,膜構造の畳み込み解析に関する基礎理論の展開を行った.

電気化学的機構に基づくメカニカル電池の開発
助教授 立間 徹[代表者], 助手 高田 主岳
酸化還元活性種を組み込んだ,高分子ゲル,有機・無機キセロゲル,クレーなどを,機械的に圧縮・伸張することによって動作する,メカニカル電池の開発を目指す.動作原理は,酸化還元活性種を組み込んだ有機高分子等を圧縮することにより,膜内の親水疎水,静電的相互作用や環境などを変化させ,酸化還元電位の変化を誘起する(機械エネルギー→化学エネルギー変換).それを二つ組み合わせることにより,それら間に生じる電位差を利用して発電を行う素子(機械エネルギー→電気エネルギー変換)を開発する.これらの結果に基づき,どのような応用の可能性があるのかを評価する.

チタン鉱石から直接金属チタン粉末を製造する方法
助教授 岡部 徹[代表者], 助教授 井上 博之, 助教授 光田 好孝
現在のチタンの製造プロセス(クロール法)では,酸化チタンの品位が90 %以上のアップグレード鉱石(高品位鉱石)を原料として用いているが,高品位鉱石の使用はチタン製錬のコストを上げる主な要因となっている.チタンの生産量は年々増大しており,今後も一層の需要拡大が見込まれるため,資源も豊富で廉価な低品位のチタン鉱石を利用する新しいタイプのチタン生産技術の確立は緊急かつ重要な課題である.しかし,低品位のチタン鉱石は不純物として多量の酸化鉄を含むため,塩化工程で多量の塩化鉄廃棄物(FeClx)が生成し,同時にクロール法における塩素のロスをもたらすため,低品位鉱石が使用できるチタンの製造プロセスは現状では確立されていない.本研究は,現行のクロール法(塩化製錬法)からの脱却を目指し,チタン鉱石をプリフォーム原料として利用する新しいタイプのチタン製錬法の可能性を追及する.

携帯型位置測定端末を用いた交通空間での人間行動測定のための基礎理論の構築
教授 桑原 雅夫
本研究では,携帯電話などが持つ簡便で一般に普及している位置測定機能によって得ることができる位置情報をもとに,交通空間における人の動きを分析する手法を開発することを目的とする.

科学研究費:特別研究員奨励費
形状記憶合金デバイス設計のための計算力学システムの開発
教授 都井 裕[代表者], 博士研究員 李 宗賓
FSMAの磁気・超弾性変形,多孔質SMAの超弾性挙動などを対象とした3次元構成方程式を誘導し,これらを用いた2次元・3次元デバイスの磁場・超弾性およびマクロ・メソ連成挙動を対象とした有限要素解析法を確立するとともに,SMA/FSMAデバイスの設計を支援するための汎用的な計算システムのプロトタイプを開発することを目的とした研究を進めている.本年度は,ハイブリッド型2次元SMAアクチュエータの磁場・超弾性挙動の有限要素解析を実施した.

途上国における都市の環境保全(継続)
教授 迫田 章義[代表者], 博士研究員(迫田研) Sarantuyaa Zandaryaa
発展途上国の都市における種々の環境破壊は極めて深刻な事態に至っている.排気ガスによる大気汚染,廃棄物による水環境汚染や土壌汚染等がその典型的な発現例であるが,これらの原因として共通することは,地域の物質フローが適切に管理されていないことにある.そこで本研究はモンゴルの首都ウランバートルおよびその周辺地域を対象とし,都市の環境を保全しつつ持続可能な発展をするための地域物質フローを設計し,政策決定のための情報の提示を行うことを目的とする.

20世紀モンゴル・ウランバートルの都市形成史
教授 藤森 照信[代表者], 日本学術振興会外国人特別研究員 包 慕萍
農耕文明を基盤に定義されてきた都市の概念では,遊牧社会には都市がないと結論づけられてきた.このような従来の都市概念をそのままモンゴルに当てはめるのではなく,遊牧社会の過去から現在までの社会状況を認知した上で,もうひとつの「都市像」を検証するために,この一年間の研究活動を進めてきた.この一年間は,主に仏教建築及び1920年代以来建設された建築と都市計画の歴史を明らかにした.また,モンゴル国ウランバートルで近代建築悉皆調査を行った.900棟の現存する歴史建築を調査票に記録し,その中で200棟を選別し,詳細なデータベースを作成した.文献調査とデータベースを合わせて考察し,「遊牧都市」の形成,変容過程を検証し,その都市空間構造を明らかにする.モンゴル都市の未来への発展のため,その足元の歴史像を提供することが本研究の社会への還元だと考えている.

潜在的な経年劣化リスクを反映した鉄筋コンクリート構造の竣工後早期品質同定システム
助教授 岸 利治[代表者], JSPS外国人特別研究員 PHAN Quoc HuuDuy
構造物中のコンクリート品質を早期に判定する手法およびシステムの開発と,検査結果を解析モデルにインプットし,コンクリートの長期性能を予測する検査システムを構築することを目的とする.

セルエンジニアリングデバイスの研究
助教授 藤井 輝夫[代表者], 博士研究員 Serge Ostrovidov
本研究では,生体内部において細胞組織が高度に構造化されていることを念頭におき,マイクロ流体環境をうまく制御することにより,組織構築を行うことができるようなマイクロ流体デバイスの実現を目指す.特に内部に膜構造を有するようなデバイスを製作し,複数種の細胞を共培養することによって,膜を隔てて細胞を組織化し,具体的な生体機能を発現しうるような系について検討を進めている.

バイオ細胞からの電気・光学的信号を検出するためのマイクロデバイス
助教授 藤井 輝夫[代表者], 博士研究員 Erwan Lennon
本研究は,微小流路の近傍に電極構造を集積化し,交流電界を加えることによって,細胞一つ一つについて,その電気的な特性(主としてインピーダンス)を計測することを目指すものである.また,MHz〜GHzにいたる高周波領域の計測を試みることによって,細胞だけではなく細胞内部の要素に関する計測可能性について検討を進めている.

先端的細胞・組織構築のための3次元マイクロ構造の製作に関する研究
助教授 藤井 輝夫[代表者], 博士研究員 Christophe Provin
本研究では,シリコーン樹脂によるレプリカモールディング法において,局面を含む3次元的な構造を有する鋳型構造を用いることによって,細胞をこれまで以上に高密度に配置できる流路構造を実現する.これと並行して,それらの構造を複数のコンパートメントに仕切ることによって,例えば小腸や肺に代表されるように空間的に仕切られた構造の内外で物質のやりとりを行う組織機能について人工的な再構築を試みる.

励振とトンネル検出用のナノ位置決めアクチュエータを組み込んだRFナノ電気機械システム
教授 藤田 博之
研究の目的は,半導体技術を援用したマイクロ・ナノ加工によりGHz帯の振動子を作り,無線情報通信に用いる送受信機の格段の性能向上と,小型1チップ化を図るものである. このため本研究では,近年急速な発展を遂げているマイクロマシーニング技術に着目し,これを用いて10〜100ナノメートル級寸法のシリコン振動子を作り,高性能無線送信機に必要なGHz帯の共振周波数の実現を目指す.マイクロマシーニング技術は,10nmを切る立体微細加工ができるだけでなく,CMOSチップの製造プロセスと適合性がよいため1チップの集積化が可能となり,上述の技術課題を解決することが期待できる.また,静電駆動用のギャップを数10nm程度に縮めることで,高周波回路の低電圧を加えただけで励振を行えるようにする.一方,振動子を小型化すると振動振幅も小さくなり,検出方法が問題となる.本研究では,真空トンネル電流が0.1nm程度のギャップ変化に応じて一桁増減する現象に着目し,既に実証済みのマイクロマシン応用トンネル電流センサを適応することで,超高感度の振動検出を実現する.

ボトムアップ方式とトップダウン方式の両アプローチによるマイクロ・ナノ表面局部成形の研究
助教授 金 範
従来のリソグラフィ法においてプロセスの複雑さ,材料の選択性等の観点から見るとシャドーウマスクを用いた直接パターンする方法は優れている.本研究室では,既にFIB加工により製作されたナノスケールでのシャドーウマスクを製作し,ナノパターンを行ったが,今回には,SOI基板を用いてマイクロ加工技術により,シリコンの結晶構造からの異方性エッチングを利用し,Low stressのシリコン材料でナノスケールのステンシルマスクを製作する.

生態系炭素循環評価のためのクロロフィル,窒素分布のリモートセンシング手法の開発
教授 安岡 善文[代表者], 博士研究員(安岡研) Baruah Pranab Jyoti
本研究では,陸域,沿岸の生態系の物質循環において重要な役割を果たしているクロロフィル,窒素などの生物・化学的なパラメータを,地上レベル,航空機レベル,人工衛星レベルでのリモートセンシングにより計測する手法を開発する.特に,近年の最先端技術である超高スペクトル分解能(ハイパースペクトル)リモートセンシング手法により,これらの生物・化学パラメータの空間分布を計測することを目的とする.

時間パラメータを利用した高温での熱遮蔽コーティングの損傷検出(継続)
教授 香川 豊, 助教授 朱 世 杰, 特別研究員PD 松村功徳[代表者]
熱遮蔽コーティングの耐久性向上には高温下での損傷発生やその累積の過程を知ることが必要であるが,既存の手法では多くの損傷から剥離やクラックを分離して検出することは困難である.本研究では,近赤外光をコーティング試料に照射し,AI2O3酸化物層近傍に生じた剥離やZrO2トップコート中に生じたマイクロクラックによる散乱光を測定し,散乱の結果生じる光の遅れや位相遅れを検出した.

高速多重極境界要素法に基づく波動的大規模音響数値予測手法の開発
助教授 坂本 慎一, 学術振興会特別研究員 安田洋介[代表者]
大規模3次元波動音場計算における計算量・必要記憶容量の大幅な低減のための高速多重極境界要素法(FMBEM)により,実用性・汎用性の高い音響数値解析予測手法を構築することを目的としている.本年度は,実用性の観点から要望の大きい計算時間の把握を目指して,FMBEMに必須である反復解法の収束性状に関する検討を行ったほか,各種連成問題への対応の1つとして,FMBEMの領域分割法への適用に関して検討した.

マイクロ加工技術を応用した現場型微生物遺伝子解析装置の開発
助教授 藤井 輝夫, 博士研究員 福場 辰洋[代表者]
本研究は,半導体製作技術を応用した微細加工技術によって,小型の微生物遺伝子解析装置の開発を行うものである.特に深海や地下深部などの環境に形成される微生物相をその解析対象としている.小型化に伴う省電力化,可搬性向上,使用試薬・廃液量の低減などの効果が期待されるが,これらの特性は現場型解析装置によって不可欠な要素である.現在は主としてPCR法を用いた高感度遺伝子検出及び解析を行うための装置の開発・評価を進めている.

マイクロ流体デバイスにおけるバイオ解析操作の集積化
助教授 藤井 輝夫, 大学院学生 金田 祥平[代表者]
医療診断等に用いるためのマイクロ流体デバイスについて,高度な集積化を進める目的で,微量流体制御を行うための技術開発を進めている.具体的には,単一操作だけでなく反応や分析までの一連のバイオ操作を可能とするために空気圧駆動のマイクロバルブを開発し,これまでに開発済みの流体制御技術と組み合わせることによって,機能集積型デバイスの実現を試みる.

鉄道のレール頭頂面に発生する波状摩耗の発生・成長メカニズムに関する研究
教授 須田 義大[代表者], 西南交通大学校(中国) 張業継
レールに発生する波状摩耗に関する理論的な検討を行った.数学的モデリング構築を目的に軌道と車両の高周波における相互作用に着目した線形モデルを構成した.また走行条件や軌道条件を評価する手法の検討も行った.

ドライバーの運転状況に基づく,都市環境での安全交通に関する研究
教授 池内 克史
都市環境における交通の安全確保のために,ドライバーの運転状況に基づく交通モデルを作成し,実際の計測データとの比較検討を行う.現代における都市交通の解析とその中で個々の運転者におきる様々な状況について詳細に検討を加え,交通に影響を与える要因を数値化することにより精密なモデルを構築する.モデルをもとに実際のフィールドでおきている現象の解析を行う.

ロボットによる物体操作のための視触覚処理に関する研究
教授 池内 克史
本研究では,別々に取得された物体の3次元幾何モデルと2次元の画像情報を統合することによって,写実的な物体の見えを生成することを目的とし,コンピュータビジョンの技術を用いたアルゴリズムとシステムの開発を行う.また,開発したシステムを用いて,有形文化財の電子保存,ロボットによる物体認識等への応用技術の開発を行う.

偏光解析に基づく透明物体の3次元形状・屈折率・吸収係数の計測技術の開発
大学院学生 宮崎 大輔[代表者], 教授 池内 克史
本研究では,透明物体の3次元形状と屈折率,吸収係数(色を表すパラメータ)をリアルタイムで計測する手法を開発する.物体を観測したとき,手前に見える面を表面,奥を向いている面を裏面と呼ぶ.本研究では,まず,透明物体の表面形状と裏面形状を同時に算出する手法を開発する.これは,計測した偏光データと計算した偏光データとの差を減らすように形状を修正していくような反復計算により実現できる.このとき,偏光データの計算には,偏光を扱えるように改良したレイトレーシング法を用いる.光が半透明物体内部を通過するとき,進んだ光路長にしたがって光は吸収されるが,光が吸収される度合いを吸収係数と呼ぶ.RとGとBそれぞれの吸収係数で半透明物体の色を表現できる.対象物体を複数の方向から観測するための回転装置を開発し,それによって得られた複数の偏光データから,半透明物体の3次元形状と屈折率,吸収係数を同時に推定する手法を開発する.

三次元形状データを用いた文化財の復元
大学院学生 増田 智仁[代表者], 教授 池内 克史
本研究では,無数のセグメントとして存在する文化財の復元のシミュレーションを,コンピュータグラフィックス上でジグソーパズルのように行う手法を開発したいと考えている.このようなジグソーパズルを行う足掛かりとして,三次元データの位置合わせに関する先行研究を調査し,目的に最適な位置合わせアルゴリズムの設計を行う.次に,セグメント間の類似度を定量的に評価し,対応関係をとる手法を考える.これらのアルゴリズムを統合して,復元シミュレーションのためのシステムを構築する.実験にあたって文化財の三次元計測を行い,データを準備し,これらを用いてシステムの有効性を示す.

車載センサによる広域三次元空間モデルの構築と文化遺産空間のディジタル化
大学院学生 小野 晋太郎[代表者], 教授 池内 克史
コンピュータビジョンの分野では,実空間のオブジェクトを現実感高くモデル化する研究が盛んに行われている.本研究では都市空間のように広域にわたる実空間を対象とした現実感の高い三次元インタラクティブモデルを効率的に生成する手法を提案し,ITSや文化遺産の保護に役立てることを目指す.これまでに提案してきた車両に積載した水平ラインレンジセンサを用いて外部の装置を利用せずに車両の挙動を推定する手法を利用して,どの精度まで対象空間を正確に復元できるかを評価するとともに,その手法から得られる時空間距離画像の幾何的特性を解析する.映像情報の統合を行い,テクスチャモデルの作成を試みる.文化遺産空間のデジタル保存やITSアプリケーションの開発を行うことで対外的にわかりやすく,インパクトの高い成果を創出する.

科学研究費:若手研究(A)
磁気ピンセットを用いた1分子操作による回転分子モーターの研究
助教授 野地 博行
ATP合成酵素のF1モーターのエネルギー変換機構を,磁気ピンセットによる1分子操作により解明する.

ひび割れ進展の能動的制御によるRC部材の新しいせん断抵抗機構の実用化に関する研究
助教授 岸 利治
RCひび割れ経路依存性を利用したせん断耐荷装置(SCID)によるせん断耐荷機構の解明を目指すと共に最適加工パターンの検討を行う.SCIDの効果の寸法依存性等をチェックし柱への適用性についても検討する.さらに,施工上必要となる最低限のせん断補強鉄筋との併用効果の確認と最適化についても検討を行う.そして,設計に用いるせん断耐力評価式を構築し,SCIDを用いた部材の簡易設計手法の確立を目指す.

チタンの新しい製造プロセス
助教授 岡部 徹
本研究は,金属熱還元反応における電気化学的な反応を利用してチタンを還元する新しい製錬法の開発を目的とする.具体的には,原料と還元剤を直接接触させず,還元剤が放出する電子を利用して溶融塩中でチタンを還元し,高純度のチタンを製造する新しい還元プロセスの開発を目指す.

科学研究費:若手研究(B)
ハイパー・フレキシブルメカニズムによる安全・安心化技術の実現
助教授 鈴木 高宏
本研究では,ひも等のような非常に柔らかい要素から構成される,実用的なロボットシステムを考え,その制御法について研究を行い,実験装置の開発によりその有効性を検証する.具体的には,上述のような,ロープやワイヤー,またはファイバーのような超柔軟要素によるマニピュレータアームを持つシステムを考え,特に災害救助での作業や,医療分野における低侵襲手術への適用において必要とされるタスクを実現する制御法の開発を行う.同時に,超柔軟要素を持つ系に一般に適用できる制御手法についての研究を行い,上記以外にも考えられる応用システムの提案を行っていく.

高分子複合化技術による生分解性プラスチック材料の相構造設計と分解速度制御
助教授 吉江 尚子
生分解性高分子ブレンドの相構造設計が分解性制御に結びつくと考え,高分子複合化技術に基づいて分解速度制御の観点から相構造設計をするための指針をまとめる。

画像を中心としたクロスメディア型コンテンツ統合とその制作・閲覧環境に関する研究
助手 田中 浩也, 教授 柴崎 亮介[代表者]

地球温暖化による世界の大洪水の変化
助教授 鼎 信次郎
地球温暖化に伴ってこれまで以上に大きな洪水がすでに頻発しているのではないか,と疑われ始めてから10年程度が経過したが,この疑問に答えうる研究成果はほとんど存在しない.そこで,気候モデルによる地球温暖化予測結果とグローバル水文モデルを用い,近年生じた世界各地の大洪水に関して,さらには将来どこかで生じる大洪水に関して,それらの洪水と温暖化との関連性をbest estimate で示すことのできるシステムを構築する.

室内音響評価のための3次元数値音場シミュレーションシステムの構築
助教授 坂本 慎一
音響設計をより綿密に行うための波動数値解析の利用法として,従来の物理量(インパルス応答および残響時間などの各種聴感物理量)による評価だけでなく,音場再生による聴感評価まで含めたシステムを可能とすることを目指し,波動数値解析に基づく音場再生システムの構築ならびにその適用性の検討を目的として研究を行った.まず最初に,基礎的検討として,有限差分法による波動数値解析スキームの高精度化・高効率化について検討を行い,その評価を行った.また,この音場計算法をいくつかの室空間(ホール等)に応用し,可視化および可聴化の3次元音場シミュレーションを行った.

水熱炭化処理によるメタン発酵残渣の高度利用技術の開発
客員助教授 望月 和博, 寄付講座教員 佐藤伸明[代表者]
食品加工残渣や家畜糞尿などの有機系廃棄物の有効利用としてメタン発酵技術が有望であるが,副産物として窒素およびリンを含む発酵残渣や排水の発生が問題となっている.これらは,堆肥化・液肥化することも可能だが,その需要にも限りがあるため,余剰の窒素あるいはリンが環境中へ放出されてしまう.一方で,海外では,食料や飼料の大量生産により炭素,窒素,リン資源が消費されており,持続可能な生産を維持するためにも,炭素,窒素,リン資源の適切な循環が求められる.しかし,現状では廃棄物の海外への搬出は法規制されており,堆肥製品の輸出は経済性や安全性(腐敗・検疫)などから実現されていない.これまで申請者らは,水熱反応技術によりセルロースやグルコースなど有機物炭素の約6割を炭化物として固定化できることを明らかにしており,メタン発酵残渣の場合にも同様に固体炭化物の生成が可能である.また,この炭化物が窒素やリンを含むものならば,付加価値の高い土壌改良材として海外へ輸送・返還することも可能である. 本研究は,メタン発酵残渣の処理問題の解決と炭素・窒素・リン資源の適切な循環利用を達成する手段として水熱炭化反応の可能性を明らかにすることを目的に,1)水熱炭化反応における炭素,窒素,リンの挙動および炭化反応メカニズムの解明,2)水熱炭化物のキャラクタリゼーション,3)水溶性副産物のメタン発酵基質原料としての利用,4)メタン発酵への水熱炭化反応の導入による効果,について検討を行うものである. 2004年度は,検討課題1)水熱炭化反応における炭素,窒素,リンの挙動および炭化反応メカニズムの解明,を実施した.素性の明らかな廃棄物原料(食品系や畜産系など)やメタン発酵システムから排出される性状の異なるメタン発酵残渣について,既存の回分式の高温高圧反応装置を用いて水熱炭化実験を行ない,原料(メタン発酵残渣)中の窒素およびリン含有量が反応生成物(炭化物,水溶性副産物)に与える影響について解析を行った.

貴金属の溶解速度の電気化学測定
助手 三宅 正男[代表者], 教授 前田 正史
スクラップからの貴金属回収プロセスでは,金属成分を水溶液中へイオンとして溶出させる浸出工程が必要である.しかしながら,金や白金などの貴金属は化学的に安定なため,溶解には強力な酸を用いた長時間の処理を必要とし,結果として大量の処理困難な廃液を発生する問題がある.このような難溶解性貴金属の溶解性を向上させる手法として,Ca,Mg,Zn といった卑な金属の蒸気と接触させ化合物を形成させる処理が有効であることが最近明らかにされた.この合金化処理によって,単体ではほとんど溶解しない金属が容易に溶解するようになる.しかし,系統的な研究は行われておらず,合金化による溶解性向上の機構は不明なままである.そこで本研究では,合金化した貴金属元素の酸性水溶液中への溶解挙動を回転電極法により調査する.

マイクロメカトロニクス技術を利用したフォトニック結晶機能性素子の研究
講師 岩本 敏
これまでに微小機械電気システム(MEMS)を利用した新規な機能性フォトニック結晶素子を提案し,数値計算によりその動作を実証してきた.本研究では,実際のMEMS集積化フォトニック結晶素子の作製と光変調動作の実現を目指す.

科学研究費:学術創成研究費
ソフトマター:多自由度・階層系の協同的機能発現の新しい基本原理
教授 田中 肇[代表者], 助手 荒木 武昭
高分子・液晶・コロイドに代表されるソフトマターの最大の特徴は,その幾重にもわたる階層的な構造にある.また,一見単純に見える水などの液体もある種の階層構造を内包することが最近の研究から明らかになりつつある.このような階層間の複雑な関わりが,生体物質に代表されるソフトマターの示す機能の協同的な発現の仕方と深く関わっていることが予想される.しかし残念ながら,液体成分を介した階層間の動的結合,例えば,液体成分の流れが階層間にどのような結合をもたらすか,液体自身の階層性がソフトマターの性質にどのように関わっているかといった問題は,これまで殆ど研究されてこなかった.本研究ではこれらの問題に注目し,ソフトマター,ひいては生物の多様な機能の発現の基本的な原理に迫ることを目指す.

深海知能ロボットの開発研究
教授 浦 環[代表者], 教授 浅田 昭, 助教授 藤井 輝夫, 助手 能勢 義昭, 教授(東大) 蒲生俊敬, 教授(東北大) 藤本博巳, 主任研究官(産業技術総合研究所) 中村光一, 学術研究支援員 杉松治美
2001年度から5年計画で,大型母船を必要とせず,特定の技術者ではなく観測する科学者自身が展開できる,4,000m級の大深度を航行できる高度に知能化された信頼性の高い自律型海中ロボットを開発し,これをマリアナ海域などの熱帯地帯に展開し観測をおこなうプロジェクトを開始した.開発した深海知能ロボットr2D4をプラットフォームとして用いて熱水地帯を連続潜航し,諸現象を観測する新たな観測システムを構築,その成果を工学にフィードバックすることが目的である.4年目となる2004年5月,マリアナ熱水地帯への潜航が実現.r2D4は,マグマ活動が活発化している北西ロタ第一海底火山に潜航し,東側の崖近辺で搭載するマンガン硫黄濃度計が高いマンガンイオン濃度を検出するなど,熱水の湧出を裏付ける箇所を発見した.また,最終潜航では海山頂上付近で搭載するTVカメラによる熱水プルームのビデオ撮影に成功した.なお,潜航開始深度200mを越える海域での展開時にロボットの慣性航法装置(INS)に蓄積される対水流速誤差の修正方法を開発し,これにより高精度ロボット位置情報を得ることができた.研究最終年度である来年度は,8月にJAMSTECの「かいれい」を母船としてr2D4を伊豆小笠原背弧海盆に潜航させ銅やニッケルを含む熱水鉱床の観測をおこなう予定である.

科学研究費:特別推進研究(2)
量子ドット構造による電子物性の制御と次世代エレクトロニクスへの応用
教授 榊 裕之[代表者], 教授 荒川 泰彦, 教授 黒田 和男, 教授 岡野 達雄, 教授 桜井 貴康, 教授 藤田 博之, 教授 平川 一彦, 教授 平本 俊郎, 教授 志村 努, 助教授 福谷 克之, 助教授 小田 克郎, 助教授 高橋 琢二, 助教授 年吉 洋, 教授(東大) 家 泰弘, 助教授(東大) 染谷隆夫, 教授(東大) 勝本信吾, 助教授(東大) 深津 晋, 助教授(東大) 長田俊人, 名誉教授(東大) 三浦 登, 教授(東工大) 安藤恒也, 教授(武蔵工大) 白木泰寛
電子の量子力学的な波動性をよりよく制御する手段として10 nm級の量子細線や箱(ドット)構造を活用する初の提案は, 1975年に榊によって初めてなされた. その後さらに, 量子細線FETや量子ドットレーザが, 榊と荒川らによって提唱された. 特に量子ドットでは, 電子の自由運動が完璧に禁止され, 特定のエネルギー状態の電子のみが許容されるため, 様々な新物性と機能の出現が期待される. こうしたドットは, 当初形成が困難であったが, 近年実現が可能となり, その物性の解明だけでなく, レーザ・メモリー・光検出器への応用も進展を見せている. こうした研究に関しては, 本学の研究者は部局を超えた協力を進め, 国際的にも先導的役割を果たしてきた. この共同研究の一層の進展を図るため, 2000年度文部省の支援で中核的研究拠点(COE: Center of Excellence)プロジェクトが発足した. 5年計画で, 量子ドットと関連構造の形成法の高度化と物理過程の解明を基盤にして, 優れた特性や新機能を持つ先端素子の探索と実現を目指すための研究を進めた.

産学官連携イノベーション創出事業費補助金

産学官連携イノベーション創出事業費補助金
サブナノフラット大面積ガラス基板の製造技術に関する研究
助教授 井上 博之, アネルバ 今村 有孝[代表者], アネルバ 石橋 啓次, 信越石英 神屋 和雄, 信越石英 藤ノ木 朗, KFTech 川副 博司, 助手 宇都野 太
非晶質の材料で,現在の研磨技術では達成できないナノレベルの平坦な表面を有する基盤を製造する技術の開発を目指している.シリカガラスの表面に対して,様々な手法の処理をAFMを用いて評価を行っている.

建設技術研究開発費補助金

建設技術研究開発費補助金
建築インフィルの静脈ロジスティックス支援ツールの開発
教授 野城 智也
建築ストックの有効活用と,インフィル構成材の使い回しによる資源生産性向上を実現するため,静脈ロジスティックス(調達・物流)を稼働させるための支援ツールを,実務での使用にたえる水準に達することを目標に開発する.

高解像度大気汚染モデルによる道路交通政策評価システムの構築
教授 桑原 雅夫
局部的に大きなバラツキのある大気汚染濃度を詳細に再現できるモデルを構築し,道路交通政策の設計と評価に資する.本システムは,大気汚染物質排出量と濃度に関する時間解像度を10〜30分,空間解像度を10〜100m程度の達成を目標として,劣悪な汚染状況下にある地点を特定して,そこを救うことができる対策立案・評価に有力な手法を提案する.

厚生労働科学研究費補助金

厚生労働科学研究費補助金
1分子PCRデバイスの開発
助教授 野地 博行
極少量のDNA試料から迅速に目的のDNAを検出するために,1分子レベルのPCRを可能とするデバイスを開発する.これにより,世界最小・最速のPCRデバイスを目指す.

産業技術研究助成事業

産業技術研究助成事業
高精度画像認識技術に基づく交通事象検出システムの実用化研究
助教授 上條 俊介
時空間MRF(第一階層)から出力される車両軌跡情報を認識分類することにより,停止・低速・車線変更・避走等の車両挙動を抽出(第二階層),さらにこれら複数の車両挙動を組み合わせて事故・渋滞・異常停止といった事象を検出する(第三階層)というように,意味階層構造によるアルゴリズムの構築を目指す.第二階層および第三階層についてはreasoningによる構築をはじめとして,統計処理を組み合わせて高度化することをも考える.当該年度は高速道路直線部における事象検出を研究対象とする.

受託研究

受託研究
地下鉄トンネルの地震時挙動に関する研究
教授 小長井 一男
沖積地盤および洪積地盤中のトンネルについて,周辺地盤の地震応答およびトンネル覆工に生じるひずみを計測している.今年度は土丹層である広尾と,新木場の東京礫層での地震記録を比較し表層地盤の影響による基盤波形の変化を確認した.

ナノスケール触媒の機能解明の実験的考察
助教授 福谷 克之
ナノ触媒シミュレーターの開発に伴い,実験的側面からの研究・考察を行っている.本年度は貴金属ナノ触媒のモデルとして,PtおよびIr上でのAu薄膜の成長を調べた.いずれの表面でも,第1層目は樹枝状に成長しフラクタル構造を呈することがわかった.一方2層目以降は,樹枝状構造を取らず,3角形またはランダムな形状のコンパクトな島を形成することがわかった.モンテカルロ法を用いてシミュレーションを行い,テラス拡散とエッジ拡散が重要な役割を果たすことを明らかにした.

量子ホール系における核磁気共鳴を利用した固体量子ビット素子の開発
助教授 町田 友樹
半導体核スピンのコヒーレント制御による量子ビット素子の開発を行うとともに,スピン物性を探求する.

非係留外洋大型浮体の帆翼利用による位置制御システムについての検討調査
教授 木下 健
大型浮体であるメガフ ロートは,現在のところ,比較的静謐な海域に係留設置することをベースに開発されているが,波浪や風の影響下で非係留で自律的位置決め機能が不可欠と考えられる系については,まだ未検討である.自動位置決めの方式,それに適した浮体形式の初期的検討と,その有力候補である帆による自動航行の概念設計を行う.

Type-W損傷数値シミュレーション技術の開発
教授 都井 裕
マルチスケール解析に関する先行基礎研究成果を拡張発展させることにより,Type-W損傷の進行過程のシミュレーションに不可欠な,メソスケール(結晶粒スケール)における元素拡散挙動と高温下力学的挙動の連成場計算手法を開発するとともに,これらをベースにした寿命予測・強度評価のためのマクロスケールモデルを構築することを目的とした研究を進めている.本年度は,TypeW損傷に関する既存モデリング,メソスケールモデリングおよびマクロスケールモデリングの概念について検討した.

成形加工シミュレーション統合CAEシステムの基盤技術開発
教授 柳本 潤
成形加工シミュレーション統合CAEシステム開発を目的とした3DSプロジェクト(経済産業省/NEDO/IMSセンター)の一部を受託したもの.CAEシステム高精度化の鍵を握る材料構成式の改良のため,金属材料結晶方位変化を解析できる理論の開発を新たに実施した.

バイオ・マイクロ流体分野に関する学術動向の調査・研究
助教授 大島 まり
生体系の多様なスケールのなかで,マイクロスケールにおいて重要な役割を果たしているのは細胞といえる.細胞は流体を介して物質の輸送や交換をおこなっていることから,細胞を取り巻くマイクロな流動現象を把握することは重要な課題である.マイクロ流体に関する研究は,特にナノスケールでは必ずしも連続体として取り扱えない領域になることから,連続体を中心としている機械工学分野だけでなく,他の分野の知識も必要となる.このようにマイクロ流体分野はまだ新しい分野であり,確立したアプローチが存在しない.したがって,本研究ではバイオに関連したマイクロ流体の国内外の動向調査,そしてその結果を踏まえて研究にどのようにフィードバックをかけるべきかを検証していく.

粒子法によるマルチフィジクスシミュレータ
助教授 大島 まり[代表者], 助教授 藤井 輝夫,山本 貴富喜, 技術専門職員 瀬川茂樹, 大学院学生 金田祥平, 大学院学生 木下晴之
粒子法による多相流解析手法に対して検証例題を提供するため,マイクロ流体デバイス内の流れ場をマイクロPIVにより可視化計測を行う.マイクロPIVのシステムの構築と検証データを得るための新規微量液体操作技術の研究開発を進める

物理的一方向関数の研究
助教授 松浦 幹太
人工物を認証する機能に関して,その安全性の根拠が計算論的な仮定にある技術は多数存在する.本研究では,人工物の物理的性質を物理的一方向性関数としてモデル化し,その性質に安全性の根拠を求める最新技術について,研究動向調査を行った.さらに,安全性の根拠に関して,暗号学的に分析を行った.

コーティング層/基材の界面設計
教授 香川 豊
コーティング層/基材の界面の構造および,その力学に及ぼす影響を実験・解析により把握し,モデル化を図る.本年度は,SiC繊維強化SiCコーティングした酸化物系セラミックスの耐環境コーティングとしての機能を調べた.

ASEANバイオマス研究開発総合戦略
教授 迫田 章義[代表者], 客員助教授 望月 和博
アジア地域では米作の伝統があり,米の工業用バイオマスとしての潜在価値は高い.ここでは,糠,もみ殻,わらを含めたイネの総合利用に基づくバイオマスリファイナリー(=ライスリファイナリー)を提案し,小規模分散型で地域ごとの特色を考慮して設計される「バイオマスタウン」における主要プロセスとしての運用のフィジビリティーを明示する.

N15濃縮プロセスの開発(継続)
教授 迫田 章義
窒化物燃料の燃焼に伴う放射性炭素の生成を防ぐには,燃料中の窒素としてN15を用いる必要があることから,低コストの窒素同位体濃縮技術の開発が窒化物燃料サイクル成立の課題とされている.本研究では,分離効率が高く設備が簡素で廃棄物が殆ど発生しないと期待できるアンモニアガスを用いた気相吸着法,特に圧力スイング吸着法による窒素同位体濃縮技術を開発する.

吸着オゾン酸化プロセスにおける動的反応解析,劣化因子の解析(新規)
教授 迫田 章義[代表者], 助手 下ケ橋 雅樹, 技術専門職員(迫田研) 藤井隆夫, 産学官連携研究員(迫田研) 蔡宗岳
排水中に溶存する有害物質とオゾンをハイシリカゼオライトの細孔へ選択的に吸着させ高度に濃縮された反応場を創製することにより,小型で高性能なPRTR対象有害物質分解システムを開発する.さらに本反応場を大気中のVOCにも適用して中小企業向けの小型分解システムを開発する.本年度は吸着オゾン酸化プロセスにおける基礎的データとして,カラム内の動的反応挙動,処理能力の劣化メカニズムを解析する.

バイオマス多段階利用プラント群のシステム基本設計及びインパクト解析(新規)
教授 迫田 章義[代表者], 客員助教授 望月 和博, 助手 下ケ橋 雅樹, 助手(東大生研寄付講座) 佐藤伸明
バイオマスの多段階利用システムについて,構想の作成,運営組織の立ち上げ,規制・諸手続のクリア,実証プラントの設計・建設・運転,性能の確認,物質・エネルギー収支の解析,採算性の検討,環境への影響評価などを行い,その有効性と課題を明らかにする.

ナノクラスター錯体の合成と新規触媒反応の開発
教授 溝部 裕司
各種有機および無機反応において触媒として,またそれ自身機能材料としても有用である遷移金属クラスターについて,様々な金属の組成・構造を有する遷移金属多核骨格の合理的な構築法の探索を広汎に行い,一般性の高い種々の反応経路を確立する.そして得られた多核錯体を特異な1次元から3次元構造をもつ集積体へと誘導し,その反応性や機能の飛躍的向上をめざす.

再生可能原料からの環境調和高分子材料の研究開発の人材育成に関わる発酵生産,製品加工,環境評価等のスキルスタンダードの作成とその指導方法の開発
助教授 吉江 尚子
経済産業省のバイオ人材育成事業「再生可能原料からの環境調和型高分子材料の研究開発及び生産に係わる技術者の育成」において,人材育成の対象となる技術者に必要な技術(スキルスタンダード)を発酵生産,高分子構造・物性,製品加工,環境評価等の領域ごとに明確にする.さらに,その技術の習得のためのカリキュラムを作成し,その一部分を講義等により実証する.

室内空気中の化学物質を吸着・分解し低減化する建材の評価法の検討(2)
教授 加藤 信介
室内空気中のホルムアルデヒドやVOCを吸着・分解し,空気質を改善する建材の評価方法(低減効果,効果の持続性など)や試験方法を開発し,その理論的な解析ならびに製品試験により有効性を検証する.

自然換気併用オフィスにおける可搬型パーソナル空調機の研究開発
教授 加藤 信介[代表者],大学院学生 梁禎訓
省エネと快適性を両立させたオフィス環境を創造することを目的とし,省エネかつ机上設置可能な形態の可搬型パーソナル空調機の開発を目指す.アダプティブ制御・フィジオロジカル制御を組み込み,人の生理現象に適合する快適感を生み出すタスク制御システムの開発のために,熱的適応性の研究,熱・空気環境因子と人体生理の要因分析・定量化の初期検討を行う.

2棟間モデルを用いた風環境解析業務
教授 加藤 信介
都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための調査研究の一環として,市街地における建物の形状・配置に起因する強風の発生がもたらす環境障害ならびに自然風が阻害されることによる通風・換気性能の低下減少を,2棟間モデルを用いた数値計算により解析する.

賃貸住宅におけるインフィルリース方式に関する研究
教授 野城 智也
賃貸住宅志向の高まりと住まいへのこだわり志向を考えると,賃貸住宅の空間性の向上が課題となる.そこで,変更が容易なインフィルを用い,オーダーメイドの空間を実現する,新しい賃貸住戸の供給方式を事業方式として確立させるため,建物と符合させないインフィル部材の賃貸借方式についての研究を行なう.

ユニット住宅のLCA評価研究
教授 野城 智也
ユニット住宅のLCAの観点から評価する手法を開発する

エネルギーモニタリング及び建築環境評価の市場と周辺技術に関する調査研究
教授 野城 智也
これまで開発を進めてきたエネルギーモニタリングシステムを市場で有効に活用することを念頭に置き,関連技術・システムの市場動向と周辺要素技術の調査および,本システムによって蓄積されるデータを用い建築環境評価を行うにあたってのデータ分析手法の整理・検討を行う.

ハウステンボス省エネルギー・環境効率向上アクションプラン策定・評価に関する研究
教授 野城 智也
ハウステンボスにおけるエネルギーの高効率利用,環境負荷低減を実現するための評価研究

鉄道システムを対象とした災害・事故の早期警報/危機管理システムの研究(施設系のハイブリッド安全性評価法の確立)
助教授 岸 利治[代表者], 教授 古関 潤一, 助教授(東大) 石田 哲也, 講師(東大) 内村 太郎
コンクリート構造物や土構造物などの社会基盤施設の劣化変状予測システムの構築を行う.具体的には,コンクリート構造物の余寿命予測技術の開発と高度化および適用範囲の拡大を行い,また,繰り返し載荷が盛土材料の変形特性に及ぼす影響を実験的に把握し,地震荷重作用下の擁壁の変位量予測手法の構築を行う.

道路交通騒音予測に対する音響数値解析手法の適用性に関する研究
助教授 坂本 慎一
環境アセスメントにおける道路交通騒音予測では,標準的にはエネルギーベースの予測計算法が用いられる.しかし,現在でも都市近郊部に見られるような複雑な道路構造―高架・平面併設道路およびそれに遮音壁が取り付いた構造や掘割・半地下構造道路等―では既往の手法では予測精度が低下する.それに代わる手法として,波動音響数値解析の適用性を検討している.今年度はそのための基礎的データを収集することを目的として,名古屋市に建設中の半地下構造道路からの音響伝搬に関する現場実験を行った.スピーカ音源を用いた実験により,半地下構造道路からの詳細な音響放射特性データを収集した.

千年持続学の確立(都市の持続性に関する学融合的研究)
助教授 村松 伸
都市とは何か,都市はどのように,なぜ持続(もしくは消滅)するのかを(1)異分野の専門家を招聘してフォーラムを開催する,(2)定点的,移動的都市のフィールドワークを実施することによって今後の都市のあり方に対して社会的提言を行う.

循環型社会における問題物質群の環境対応処理技術と社会的解決
教授 前田 正史
本研究は,循環型社会における問題物質群の最適化処理について技術的な評 価を行い社会学的な解決を目指すものである.問題物質群の最適化処理およびク ロー ズドループ化の可能性を探求するために,問題物質の発生と循環メカニズムの 現状掌 握を行っている.具体的には,オキシハロゲン物質,カドミウム,鉛,水 銀,ヒ素, およびイオウなどを取り上げ,これらの性質,生成原因,生成量を調査 し,マテリア ルフローを検討している.さらに,これらの物質に対する安定・無害 化処理技術の有 効性および処理に必要な社会的費用を評価し,社会的に受容可能な 形での処理・処分技術の研究を行っている.

社会的受容性獲得のための情報伝達技術の開発
教授 山本 良一[代表者], 教授 安井 至, 研究員 松村寛一
インターネット情報伝達と技術のサポート,アンケート解析,及び教育用ソフト製作を行う.インパクト法の構築・トレードオフデータの作製および廃棄リサイクルシナリオの構築を図る.

文部科学省 革新的原子力システム技術開発公募(電力中央研究所からの再委託): 酸化物燃料の電解還元処理に関する技術開発
助教授 岡部 徹
電解還元プロセスにおいて,高い処理速度と還元率を達成するためには,原料酸化物の粒径や原料装荷方法などの原料仕様を最適化することが重要である.また,電解の後半に酸化物表面が金属膜に覆われるような状況においても還元速度をなるべく低下させないためには,プロセス上の工夫も必要となる.そこで,コールド工学プロセス試験装置を製作し,原料仕様がプロセスに与える影響を明らかにすると同時に,還元生成物と塩の分離性能,得られる金属の純度について評価を行っている.具体的には,雰囲気制御装置付き電気炉および反応容器を作製し,アルゴンガス雰囲気下約600〜1000℃の範囲の一定温度で,導電体を介した反応(EMR)制御により金属還元剤が放出する電子を利用して酸化物を還元する実験を行っている.

複数AUVの協調制御に関する研究
教授 浦 環[代表者], 受託研究員 須藤拓
複数AUVを実環境でロバストに動作させるための制御手法について研究する.具体的には@水中測位精度の実測値,浅海域における外乱,ノイズの影響を考慮した実環境下の協調制御シュミレーションの実施,AAUVのアクティブ変針制御のシュミレーション上での検討をおこなう.

アーティスティックロボットの研究開発
教授 浦 環
次世代ロボットであるアーティスティックロボットの研究においては,人間のように自然で優雅な様々な動作およびエンタテイメント(起立,道歩行,ジャンプ,ムーンサルト,ダンスなど)をおこなうことができるロボットのプロトタイプを開発し,またこれを基に2020年までには,陸上および海中など極限環境での実用化を目指している.本年度は,ロボットに自然な動作を可能とするInertia Actuator, Cam Changerやロボット制御技術の開発を進めてシュミレーションレベルでの実験をおこない,プロトタイプの製作を進める.

PCR等のナノスケール反応に関する研究
助教授 藤井 輝夫[代表者],山本 貴富喜
ナノスケール反応に関する要素技術の確立を目的として,マイクロ流体デバイス上に構成したマイクロチャンバーにおいてゲノムDNAの抽出や増幅等を可能とするような,微量液体操作技術を開発し,実際に抽出や反応を行うことを試みている.

マイクロ細胞ハンドリング技術の開発
教授 藤田 博之
半導体微細加工を用いたマイクロ構造を用いて,細胞を操作し培養するチップを実現するための研究を行っている

高度マイクロ化学プロセスプラットフォームの材料加工技術研究に基くマイクロ材料加工論の体系化研究
教授 藤田 博之[代表者], 助教授 竹内 昌治
マイクロ流体システムを実現するための材料および微細加工技術について,必要な基礎的知見を取得,収集,整理して体系化することを試みている.

ナノ物体計測のための操作観測技術の開発
教授 藤田 博之
電界の力,化学結合力,把持力,応力などを利用して,ナノ物体を操作するツールを提供するとともに,走査型プローブ顕微鏡,電子顕微鏡の『見る』機能と組み合わせて,ナノ物質の機械的特性及び電気的特性を,ナノ物質を見ながら計測する技術を開発する.

超高速・超並列ナノメカニクス
教授 川勝 英樹
ミクロンからサブミクロンオーダのカンチレバーを一本,もしくは複数個用いて,原子レベルの力の場や,質量の検出,物質同定を行っている.

シャドウマスクを用いた多機能マイクロパターニング装置の開発
助教授 金 範
マイクロマシン技術を用いた微細シャドウマスクと多機能噴射システムの設計と製作に関する技術開発を行う.研究の遂行上,さらに生研のCIRMMと韓国機械研究院とは,研究交流推進確認書も結んでありその研究協力活動の一環としても極めて有用であるもので,本課題の研究開発を受託により2003年度から連続して行っている.

生物機能の革新的利用のためのナノテクノロジー・材料技術の開発
助教授 竹内 昌治
ナノ加工技術を利用して生体分子材料の機能的利用法をさぐる.

コンクリートの品質に対する化学混和剤の作用効果に関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 受託研究員 杉山知巳
コンクリートの品質,特に硬化コンクリートの耐久性を論じうる上で,使用材料や配合条件がコンクリートの空隙構造に与える影響を検討することは非常に重要である.また,近年コンクリート製造に欠かせない材料の一つになっている化学混和剤に関しては,空隙構造に対する作用効果が明確になっていない. そこで,化学混和剤の持つ種々の特性が,硬化コンクリートに及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,様々な化学混和剤,中でも最も頻繁に用いられている減水剤系の混和剤を中心に,減水性,凝結遅延性,空気連行性等の特性が,硬化体の空隙構造形成過程に与える影響を明確にする.

地方公共団体担当者のための耐震診断・耐震改修工事事例集作成のための検討及び研究(総務省消防庁からの受託研究)
教授 魚本 健人[代表者], 客員教授 林 省吾, 客員教授 天野 玲子
消防庁では防災拠点となる公共施設等の耐震化の促進を地方公共団体に指導しているが,平成15年4月1日現在の地方公共団体が防災拠点として使用する公共施設の耐震化率は,約54%に留まっている.また,平成16年10月の新潟県中越地震においては,4市町村において庁舎が使用できなくなるといった被害(すべて,旧耐震基準に基づく建築物)が発生している.消防庁では,引き続き地方公共団体の計画的な耐震化推進を求めていくこととしており,その取組を支援するために,地方公共団体担当者のための耐震診断・耐震改修工事事例集を作成するものとし,そのための検討及び研究を行う.

計算科学技術活用型特定研究開発推進事業「環境・災害監視のためのアジア衛星観測ネットワークの構築」
教授 安岡 善文[代表者], 助手 遠藤 貴宏, 博士研究員(安岡研) Tran Hung, 博士研究員(安岡研) Jan Kucera, 大学院学生(安岡研) 竹内 渉
東京大学生産技術研究所では,東京駒場,タイバンコク(アジア工科大学院)において人工衛星NOAA/AVHRR,TERRA/MODISデータの受信を行っている.本研究は,これらのデータの利用・配布ネットワークを構築すると共に,これらのデータを活用した,環境・災害評価のための広域分布データセットを構築することを目的とする.

大都市における基礎抗を利用した地中熱空調システムの普及・実用化に関する研究
助教授 大岡 龍三
地中熱空調システムの更なる普及のため,都市部で主として採用されている場所打ち杭を地中熱交換器として利用した地中熱空調システムを提案する.場所打ち杭を用いた地中熱交換器や高効率水冷ヒートポンプの開発,最適運転手法・設計手法・施工方法の検討,コストスタディなどを含めた開発を行い,現在一般的に普及している空冷ヒートポンプを用いたセントラル方式に比べて,省エネルギー率(電力量削減率)30%,単純投資回収年数10年以内を目標としたシステムとして確立することを目的とする.

世界の水問題解決に資する水循環科学の先導
助教授 沖 大幹[代表者], 助手(東大生研) 芳村 圭, 教授(山梨大) 竹内 邦良, 助教授(山梨大) 石平 博, 独立行政法人土木研究所 深見 和彦, 助教授(京大防災研) 立川 康人, 助手(京大防災研) 田中 賢治, 助教授(総合地球環境学研究所) 鼎 信次郎
灌漑や貯水池操作に代表される,人間活動が直接地域の水循環に及ぼしている影響をエージェント的に数値モデル化し,自然系の水循環シュミレーションと結合させてより現実的なグローバル水循環変動の算定を行う研究を推進する.ならびに課題推進の円滑化をはかり,外部推進委員を交えた委員会を運営する.

データマイニングシステムによる地球水循環変動メカニズムの解明
助教授 沖 大幹[代表者], 助手(東大生研) 芳村 圭, 特任研究員(東大生研) イスラム モハマド シラジュール, 特任研究員(東大生研) 竹内 渉
長期再解析や長期衛星データを含む統合地球水循環データセットを用いて,過去から現在における長期トレンドの類似点を発見して,温暖化時の気候モデル予測結果を現実的で定量的な予測に翻訳する手法を開発する.具体的には,統合地球水循環データセットから年々変動の基本振動モードに関する解析ツールの開発し,基本振動モードの抽出,トレンド解析,再解析データと現業モデル間の類似点の発見,翻訳関数の決定等を行う.

人間活動を考慮した世界水循環水資源モデル
助教授 沖 大幹[代表者], 教授 安岡 善文, 教授 喜連川 優,根本 利弘,中野 美由紀, 助手(東大生研) 芳村 圭, 助手(東大生研) 遠藤 貴宏, 科学技術振興機構 宮崎 真, 科学技術振興機構 沈 彦俊
アジアの視点を踏まえた日本独自の世界水資源モデルを開発し,アセスメントを行う.大規模データベースと結合された水資源モデルの開発,水田分布の推定等稲作への配慮,環境用水需要の導入によって,世界の水危機の現状とその軽減,回避策,将来展望に対するアジアからの情報発信を可能にする.

波浪および潮流下におけるCompliant Vertical Access RiserのVIV挙動解析法の開発
教授(東大) 鈴木英之[代表者], 助教授 林 昌奎
大水深化にともなうFPSOのコスト上昇の原因となるフレキシブルライザーに替わり,わが国発の技術であり,コスト的に有利なCVAR (Compliant Vertical Access Riser)を用いたFPSO-CVARについて検討を加えるものである.本研究では波浪,潮流下における浮体とCVARの相互作用,CVARのVIV(渦励振挙動)を実験と解析の両面から明らかにし,疲労挙動など実用的な見地から評価を加えるものである.

ITSに関する基礎的先端的研究
教授 桑原 雅夫
ITS施策の効果・評価にあたって重要となる人間(ドライバ)の挙動・反応・選択行動に着目し,ITSの共通的な技術である交通計画技術,画像認識技術,車両制御技術を融合した基礎的先端的な研究を実施する.

文化遺産の高度メディアコンテンツ化のための自動化手法
教授 池内 克史
文化遺産の画像情報, 形状情報を自動的に処理し, 高度メディアコンテンツへと変換する手法を研究する. 具体的には, 鎌倉の大仏や人間国宝の匠の技といった文化遺産を, テレビカメラや距離センサーを用いて観測する. この画像データをもとに, 最新のコンピュータビジョンの研究成果を用いて, 幾何情報, 光学情報, 環境情報, 時系列情報といった4つの側面からのモデル化を行う. そのため, センサー系, 処理アルゴリズム, およびこれらのパッケージ化に関する研究を行う.

油絵描画ロボットに関する研究
教授 池内 克史
油絵描画プロセスから絵を描く手順,手法の基礎的データの抽出を行い,技法を言語化しインプリメントすることにより,一連の文書によって描画を行うロボットに関する研究を行う.

民間等との共同研究

民間等との共同研究
広帯域空力音の数値予測手法に関する研究
教授 加藤 千幸[代表者], 財団法人鉄道総合技術研究所 高石武久
鉄道車両の高速化に伴い,従来は余り問題にはならなかった,比較的高周波の空力騒音の低減が,環境保全上重要な課題となりつつある.本共同研究では,高周波空力騒音の数値的予測技術を開発し,低騒音化に資することを目的とする.

ポリゴンモータから発生する流体騒音の数値解析
教授 加藤 千幸[代表者], コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 品質保証総括部 秋山 修
ポリゴンモータ近傍の流体数値計算を行い騒音源を同定し,低騒音化の形状を試作して,騒音測定実験によりその有効性を検証している.

流れの制御による空力騒音減法に関する研究
教授 加藤 千幸[代表者], 東日本旅客鉄道株式会社 水島文夫
新幹線の車両連結部間際からの空力音発生メカニズムを明らかにするとともに,車両周りの流れを制御することにより空力音を低減する方法について研究をしている.

模型車両による1軸台車の走行性能に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 財団法人 鉄道総合技術研究所 宮本 岳史
走行性能を改善した1軸台車の模型車両による検討

人間行動生態心理学に基づく自動車車内の快適性評価に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 教授 加藤 信介, 教授 合原 一幸, 教授 板倉 周一郎, 助教授 曲渕 英邦, 助手 上野 佳奈子, 研究員 田淵 義彦, トヨタ自動車株式会社 竹田 博信
従来主観的な評価を主体としてきた自動車車内の快適性について,人間行動モデルの構築と生態心理学の手法を適用した新たな評価手法を検討している.快適性を与える因子の分析,評価実験を通じた検討を行った.

マルチボディダイナミクスを用いた車両運動解析に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 三菱重工業広島研究所 矢延 雪秀
鉄道車両のマルチボディダイナミクス解析に関する検討を行っている.分岐器におけるレール断面変化を考慮したシミュレーションなど,従来困難であったシミュレーションを実施した.

走行性能を改善した1軸台車の模型車両による検討
教授 須田 義大[代表者], 鉄道総合技術研究所 宮本 岳史
優れた曲線旋回性能を有する1台台車車両において,防振性能を向上させる手法について検討した.台車のピッチング自由度を考慮した新方式台車構造を考案し,シミュレーションによる検討のほか,スケール模型車両を製作し,走行試験装置における走行試験を実施し,基本的な走行性能を確認した.

連続体損傷力学に基づく構成方程式モデリングと材料損傷・破壊問題の統合的有限要素解析への適用に関する研究
教授 都井 裕[代表者], 助手 高垣 昌和
連続体損傷力学に基づく構成方程式を導入した有限要素解析法,いわゆる局所的破壊解析法の基本的問題点を解消し,材料損傷・破壊統合解析プログラムの三次元プロトタイプを構築するとともに,高速増殖炉用高温構造物に対する設計裕度の最適化のための損傷評価手法を構築することを研究目的とする.本年度は,環状き裂の熱疲労進展試験に対する完全連成解析のメッシュ依存性低減と計算効率向上について検討した.

金属接合の疲労寿命シミュレーションの開発
教授 都井 裕
従来温度サイクル試験で評価していた金属接合疲労寿命を,連続体損傷力学に基づくシミュレーション,すなわち有限要素法に基づく部分連成解析法と数値材料試験法の組み合わせにより評価するための計算手順を確立することを目的とした研究を行った.シミュレーション結果を実験結果と比較することにより,その有用性の評価および今後の検討課題の抽出を行った.

アクティブ・パッシブ切換え型免震装置に関する研究
教授 藤田 隆史[代表者], 民間等共同研究員 古川 裕紀
単結晶引上げ装置は,弱地震動によって,機器自体ではなく製造中の単結晶が破損する.本研究は,このような単結晶引上げ装置の地震対策のために,弱地震動に対しては良好なアクティブ免震性能を発揮して単結晶の破損を防止し,強地震動に対してはパッシブ免震によって引上げ装置自体の破損を防止することが可能なアクティブ・パッシブ切換え型免震装置を開発している.アクチュエータにはリニアモータとACサーボモータを,また,制御則にはモデルマッチング法をはじめ種々の手法を,実験モデルを用いた振動制御実験を通して,比較検討している.

転がり型免震装置に関する研究
教授 藤田 隆史[代表者], 民間等共同研究員 上田 智士
本研究では,円弧と傾斜した直線からなる形状のレール上を転がる車輪によって鉛直荷重を支持する直線運動機構を,直交するように上下に重ねた機構を基本構造とする免震装置を対象として,その美術品展示ケースや戸建住宅への応用について研究している.実大の美術品展示ケースおよび戸建住宅の実験モデルを用いた振動実験を実施し,良好な免震性能を確認するとともに,作成した解析モデルの妥当性を検証している.

環境調和型超微細粒鋼創製基盤技術の開発
教授 柳本 潤
経済産業省/NEDO/JRCMによるプロジェクトの一部.単純成分鋼によるスーパースチール開発に利用できるプロセス−内部組織解析モデルを,ミクロ計算科学によって構成した.

材質予測モデルと制御の研究
教授 柳本 潤
高温-高速変形における炭素鋼金属組織の同定とモデル化を目的として,高温高速多段圧縮試験装置(サーメックマスターZ)を用いた実験などを実施し,合金鋼の変形特性や組織の変化を調べ,材質予測モデルを作成する.

血液ポンプにおける溶血・血栓予測を目的とした流体解析プログラムの研究
助教授 大島 まり[代表者], テルモ株式会社研究開発センター・主任研究員 森 武寿, 三菱重工業株式会社ポンプ・水車部・生産設計・開発グループ長 長田 俊幸
血液ポンプを設計する際に,ポンプ内にて溶血及び血栓が発生しないようにポンプ設計をすることは重要な課題である.そこで,LESによりポンプ内の流動解析を行うとともに溶血と血栓の評価を行う.その際に溶血については,新たな評価式の構築を行い,血栓についてはメカニズムの解明を行うとともに評価式を提案する.

メタンハイドレートの誘電損失特性解明に関する基礎研究
助教授 白樫 了[代表者],鹿島建設株式会社 技術研究所
高圧・低温環境下で安定なメタンハイドレートの電磁波による分解促進可能性を検討することを目的として,メタンハイドレートの誘電損失特性の測定を行うものである.

工学シミュレーションにおけるハイパーフォーマンス・コンピューティング技術の開発と応用
助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 大島 まり, (株)ケイ・ジー・ティ 宮地 英生
流体解析など工学における大規模数値シミュレーションとそれに伴う大容量データのための高速,汎用的なコンピュータ環境として,並列計算,可視化インターフェース,ネットワークなど要素技術の開発と総合的なシステム構築について検討する.今年度は,並列計算機における大規模ソフトウェア開発環境と可視化システムの評価などを行った.

エンジン内の強い乱れを考慮した噴霧挙動モデルの開発
助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 大島 まり, 助手 佐賀 徹雄, トヨタ自動車(株) 山田 敏生
エンジン流動設計などで重要となる強い乱れの中の噴霧拡散メカニズムの解析とその有効な数値予測モデルを開発する.今年度は,一様格子乱流中での噴霧挙動を高速ビデオ画像による可視化およびラージ・エディ・シミュレーションに基づく数値計算によって解析検討した.

SLSプロセスのリコーティングに関する研究
助教授 新野 俊樹
ラピットプロトタイピングの1手法であるSLSプロセスにおいて,2連ローラ・リコータ,もしくはスキージ+ローラ・リコータにより積層した粉末を押しつけて密度を高める為の条件や最適な構造を試作研究する.

ナノ加工技術を利用した膜タンパク質のナノバイオロジー・独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
助教授 野地 博行[代表者], 助教授 藤井 輝夫, 助教授 竹内 昌治
マイクロ・ナノ加工技術を利用した新しい膜タンパク質1分子計測の方法論を確立する.

複雑生命情報システムのモデル理論研究
教授 合原 一幸
複雑数理モデルプロジェクトの重要な応用分野である複雑生命情報システムのモデル理論およびハードウエアニューラルネットワークモデルに関する研究を行なう.特に,ニューラルネットワークモデルや遺伝子・タンパク質ネットワークモデルなどの生命情報システムの数理モデル構築のための基礎研究および人工ニューラルネットワークのハードウエア実装に関する実験研究を行なう.

マイクロマシニング技術とナノテクノロジーの融合技術の調査・研究
教授 榊 裕之[代表者], トヨタ自動車株式会社 部長 藤川 東馬
車輌電子システムは,駆動・制御・認知の3要素から成立っている.特に車輌状況,運転者状態等の認知や検出に対する重要性が増している.このため,当研究室で推進してきたナノエレクトロニクス技術を発展させ,マイクロマシニング技術と結合させて新たな機能を持つ素子の可能性を探索し,車輌や運転者の状況を認識するための技術の展開を図る.

量子構造を応用した光電変換機構の研究
教授 榊 裕之[代表者], トヨタ自動車株式会社 バF部長 土屋 泰広
次世代の太陽電池や光センサーを開発するために,@新しい光電変換理論を検討するとともに,量子構造活用の可能性を探り,さらにB量子構造による光電変換特性の検討を行う.特に太陽電池や光検出器の効率や機能を高める手段として,光電変換層の一部にナノスケールの量子井戸や量子細線や量子ドット構造の活用可能性を検討する.本研究では,これまで本研究室が蓄積してきた半導体ナノ構造に関する知見を結集して,光電変換への応用の特色と限界を明らかにする.

電子証拠物技術に関する研究
助教授 松浦 幹太
電子署名は即時的な認証目的にはよく使われるが,公開鍵基盤の限界などの理由により,長期的証拠性担保には単体では使い難い.本研究では,この問題を解決する電子証拠物技術について,動向調査を行うと共に,事後立件能力に着目してフレームワークを構築した.具体的には,事後検証用トークンのセキュリティ属性フォーマットについて,立件可能性の観点から最適フォーマットを明らかにした.

トラスト/リスク・メトリクスの研究
助教授 松浦 幹太
認証機能などを支える情報セキュリティ基盤において,検証判断などに用いる情報の信頼性,およびその情報運用に伴うリスクをモデル化する研究は,未成熟である.本研究では,とくに無線通信環境に着目し,各主体が複数のトラスト属性を持って複数の脅威と有機的な結合関係を持つモデルを構築し,その基本性質を計算機実験によって明らかにした.

個人認証のマルチモーダル化に関する研究
助教授 松浦 幹太
利便性と安全性を両立させながら個人認証機能を達成するために有望な技術として,生体認証技術がある.しかし,単一の生体認証技術に頼ることの限界が,近年,現実的な脅威モデルを仮定した実証研究によって示されつつある.この限界を打破するため,複数のモードを統合して,個人認証システムの安全性を高める技術を研究した.とくに,追加モードによってライブネス検証を行う新技術を考案し,その基本性質を明らかにした.

日本における情報セキュリティ投資評価手法に関する研究
助教授 松浦 幹太
情報セキュリティの投資効果を評価する際に,その効果をROSI(Return on Security Investment)の観点からどこまで仔細に分析できるのかを明らかにする必要がある.そこで我々は,効果を反映する経済指標の調査を行って実態を分析し,また,得られた指標値などを活用して投資効果分析支援システムを構築する際に有効な基礎理論の調査と,それらの理論の特徴分析を行った.

「ナノテクノロジープログラム(ナノマテリアル・プロセス技術)ナノコーティング技術プロジェクト」コーティング界面のフルマルチスケール界面力学設計技術の高度化
教授 香川 豊[代表者], 助教授 吉川 暢宏, 助手 長谷川誠,協力研究員 半谷禎彦
セラミックス皮膜・金属基材からなるコーティングシステムの機能やパフォーマンスについて,ナノからマクロにわたる迅速で精密な評価技術の研究開発及び「コーティング工学」,コーティングデータベース構築を行う.

ナノガラス技術プロジェクト1. 超微粒子分散等構造制御技術(2)超微粒子分散技術 2. 技術の体系化
助教授 井上 博之
ガラス中にナノレベルの結晶粒の析出や分相を利用して,微粒子を分散させた複合材料を作製する.さらに,このガラス材料に希土類イオンなどを添加した場合の,光学特性を制御する手法を開発し,その特性の計測を行っている.また,このようなナノレベルの粒子や分相の光物性に与える影響を理論的に解析することを試みている.

人体生理モデルの実用化に関する研究
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三, 東京ガス 大森 敏明
人体と環境,人体内部の生理反応を同時に考慮して人体温冷感を総合的に解析するために,人体の生理反応を適切にシミュレートする手法について研究を行う.

空調シミュレーション技術の研究
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三, 日本設計 佐藤 昌之, 民間等共同研究員 松本 隆志
室内温熱空気環境を対流・放射の連成シミュレーションにより解析する技術手法を開発する.ある室内モデルを想定し,モデルの温熱空気環境を対流シミュレーションと放射シミュレーションを連成させて解くシミュレーション技術手法の開発の研究を行う.

室内化学物質空気汚染に関する研究
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三, 民間等共同研究員 安宅 勇二, 吉野石膏 横山 至
どのような揮発性化学物質がどの程度の量建材から放散されるか,また放散された化学物質がどのように室内気流に輸送拡散され人体に吸引されるか,さらには屋外に換気によって排出されるか,建材にどの程度吸着されて室内空気から除去されるのか等を検討する.

施設のエネルギーマネジメント効率化ビジネスモデルの事前調査
教授 野城 智也
施設におけるエネルギーモニタリングマネジメント効率化のための,ビジネス・プロセス・アウトソーシングモデル開発のためのフィジービリティー調査をおこなう.

フレッシュモルタルの分散・凝集構造に着目した高性能AE減水剤の分散効果および温度が流動性に及ぼす影響に関する研究
助教授 岸 利治[代表者], 株式会社エヌエムビー 永峯秀則
フレッシュモルタルの分散・凝集構造に着目して,高性能AE減水剤の分散効果や温度が流動性に与える影響に関して検討する.

酸化チタン上に析出した銀ナノ粒子の多色フォトクロミズム〜新現象の機構解明と応用展開
助教授 立間 徹
多色フォトクロミズムの機構解明と,光で可逆に書き込み・消去できる電子ペーパーなどのマルチカラー表示材料や光多重記録材料としての応用展開を進める.

トンネル内異常走行車両の検出精度向上に関する研究
助教授 上條 俊介
既存の画像認識システムをより精度を高くし,異常事象を検出できるように改良する.

CCTV画像処理技術の開発
助教授 上條 俊介
トンネル防災対策として,異常事象の早期発見を実現するためのCCTV画像センター技術を開発する.

画像処理による顔位置姿勢の実時間計測に関する研究
助教授 佐藤 洋一
本研究では, 1台のカメラにより撮影された画像から顔の3次元位置・姿勢を高速かつ高精度に計測するための画像処理技術を開発する. 具体的には, 平均顔形状モデルにもとづき人物の顔の3次元位置・姿勢を追跡するとともに, 各人物に関する正確な顔形状モデルを同時に構築することにより単眼での顔追跡を実現するアルゴリズムを設計し, その有効性を実験により実証する.

半導体級シリコンの高速高純度精製技術開発
教授 前田 正史[代表者], 民間共同研究員 山内 則近
大型特殊電子ビーム溶解装置を用いて,実用化規模におけるシリコンスクラップの高速高純度精製技術の開発を目的としている.大型溶解容器中における,不純物の蒸発挙動や溶融シリコンのマランゴニ効果を精密に検証することにより,小型実験によって得られている不純物の蒸発速度および到達純度を飛躍的に向上させることができる.同時にシリコン精製において得られた知見は,周辺技術や他の超高純度物質精製に応用できるため,波及効果は大きい.

材料非線形性を考慮した最適設計に関する研究
助教授 吉川 暢宏
地震動等により極限状態まで荷重が加わることが予想される構造物に対する設計手法を検討するにあたり,構造材料の弾塑性変形を考慮した最適設計アルゴリズムを開発した.これまで主流であった線形弾性体構造に対する感度解析と数理計画法に基づく最適設計に代わり,ゲーム理論を応用した最適設計手法を開発した.

大深度海底火山活動海域における自律型海中ロボットの行動の研究
教授 浦 環[代表者], 民間等共同研究員 小原敬史
自律型海中ロボット(AUV)は21世紀の海洋観測プラットフォームとして実用展開が期待されている.ここでは,活発な火山活動を続ける大深度海底火山海域をAUVにより観測することを目的として,そのために必要なロボット展開技術を研究している.

自律型ロボットによる音響ホーミングに関する共同研究
教授 浦 環[代表者], 民間等研究員 小島淳一
多くの鯨類は鳴音を出すことが知られているが,マッコウクジラの場合には潜水時にクリックと呼ばれる鳴音を出す.このクリックを利用して自律型ロボットによる音響ホーミングの研究をおこない,マッコウクジラ追跡システムを構築する.具体的には,自律型ロボットにハイドロフォンを搭載し,パッシブソナーの原理でクリックを収集しリアルタイムで解析して,マッコウクジラの位置測定および個体識別をおこなうというものである.システムを開発し,音響ホーミングシステムの実海域試験をおこなうために,ロボットの自律機能の向上,搭載するハイドロフォンアレイによる音響位置測定の研究,水中位置高精度測位の研究,マッコウクジラのクリック解析ソフトのアルゴリズムの研究等をおこなう.

次世代ユビキタス光MEMSモジュールとシステムを目指した光波面の動的制御に関する研究と応用
教授 藤田 博之
波動光学応用(光波面の動的制御)に適した光MEMSデバイスの基盤技術を確立する.

RF−MEMSの設計・製作に関する研究
教授 藤田 博之
新概念のRFデバイスの創出による無線端末の特性向上および小型化に関する共同研究

光ファイバアレイ超高密度ピッチ変換デバイスに関する研究
教授 藤田 博之
超高密度に細径化された光ファイバアレイを固定し,システムとしてのピッチ変換デバイスを研究・開発する.

マイクロ・ナノメカトロニクスに関する共同研究
助教授 年吉 洋[代表者], 教授 藤田 博之, 教授 増沢 隆久, 教授 川勝 英樹, 助教授 金 範凵C 助教授 竹内 昌治, 教授 コラール ドミニク, 助教授 藤井 輝夫, 教授 荒川 泰彦, 教授 平本 俊郎, 助教授 野地 博行, 助教授 染谷 隆夫, 東大 三田 吉郎
マイクロ・ナノメカトロニクスに関するフランス国立科学研究庁(CNRS)と生産技術研究との共同研究グループLIMMS (Laboratory for Integrated Micro Mechatronic Systems)の運営

光スキャナの開発
助教授 年吉 洋[代表者], セイコーエプソン株式会社 與田 光宏
画像表示用の光スキャナをシリコン半導体マイクロマシニングにより製作する技術をセイコーエプソン株式会社と共同研究する.

光スキャナの開発
助教授 年吉 洋[代表者], スタンレー電気株式会社 谷 雅直
2次元に駆動する圧電駆動型の光スキャナの実用化研究をスタンレー電気株式会社と共同で行う.

MESMデバイスと高耐圧ドライバ回路のモノリシック化技術
助教授 年吉 洋[代表者], 大学院学生 高橋 一浩
高耐圧集積回路とマイクロアクチュエータを集積化する技術を東芝研究開発センターと共同研究する.

MEMS技術をつかったパッシブ/アクティブ接触子(接触機構)の研究
助教授 年吉 洋[代表者], 山一電機株式会社 野口 優
ベアチップまたはウエハレベルでの電気的試験を行うためのソケットに使用する機械的および電気的接続を目的とした接触子を山一電機株式会社と共同研究開発する.

劣化したコンクリート構造物の補修工法に関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 助教授 岸 利治, 講師 加藤 佳孝,技官 星野富夫, 民間等共同研究員 勝木太,伊藤正憲 斉藤仁 渡部正 ,元売正美 竹田宣典 宇野祐一 里隆幸 北澤英宏,榊原弘幸 戸田勝哉 平間昭信 河原崎広 伊藤学,深津章文 松田敏 森本丈太郎 椎名貴快 弘中義昭,小川彰一 槇島修
劣化したコンクリート構造物の補修は重要な課題であるが,現実には多種多様な工法が採用されている.しかし,異なった材料および適用を行った場合にどのような効果があるかは明らかにされていない.本研究はそれぞれの方法で補修した場合にどのようなメカニズムで更なる劣化を防止するかを暴露実験ならびに解析で明らかにし,最適工法を考案することを目的とする.

コンクリート構造物の次世代型非接触・非破壊検査手法に関する調査研究
教授 魚本 健人[代表者], 講師 加藤 佳孝,魚本研 大学院生 金田 尚志, 加藤(佳)研 研究実習生 小根澤淳志
膨大な社会資本ストックを抱えるとともに,少子高齢化社会を迎える我が国においては,今後の社会基盤施設の維持管理は,できうる限り効果的かつ効率的に実施する必要がある.特に,コンクリート構造物はストック量の大きな割合を占めており,効果的な維持管理の実施が急務である.コンクリート構造物の維持管理の基本は,現状の構造物の性能および将来における性能を予測することである.これまでにも,超音波,AE法,レーダ法など様々な非破壊検査が,構造物の現状の性能を把握するツールとして用いられてきた.しかし,提案されている手法のほとんどがひび割れ,内部空洞などに代表される欠陥検知であり,コンクリート構造物の耐久性能の低下を予測する情報としては不足しているのが現状である.これまでは,情報の補完のために局部破壊検査を実施している.局部破壊検査は,コンクリートの現状を精度良く評価することはできるが,あくまでも局部的な情報であるため構造物全体の性能を評価するには多大な労力を必要とする.このような現状に対して,本研究では鉄筋コンクリート構造物の代表的な劣化現象である鋼材腐食の支配因子である塩害・中性化に着目し,検査の効率性を重要視した非接触かつ非破壊で検査する新たな手法を確立することを目的としている.本研究の目的が達成されれば,飛躍的に維持管理効率が高まると考えている.

コンクリート橋のモニタリングに関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 講師 加藤 佳孝, 魚本研 受託研究員 恒國光義, 魚本研 大学院生 岡崎慎一郎, 岸研 研究員 ウォック ハウ ユイ ファン
コンクリート橋のモニタリングによる維持管理の高度化および効率化をはかるため,各種センサーを搭載した実橋のモニタリングを実施している.上部工のたわみ,変形,振動等をレーダー,光ファイバー,加速度計等で計測すると同時に,モデルに基づいた限界値との対比から安全性を照査する手法を開発している.

ハーフプレキャスト工法によって作成した梁の疲労破壊性状に関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 講師 加藤 佳孝, 共同研究員 石塚健一
本研究では,トラス鉄筋を用いたPCハーフプレキャスト工法による梁構造物の正の疲労荷重に対する耐久性を明らかにすることにより,本校法においてトラス鉄筋を設計に取り込むことの是非について検討する.

コンクリート構造物の非破壊検査に関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 魚本研 大学院生 金田 尚志, 共同研究員 武井 彰
各種劣化構造物を非接触で非破壊的に検査する手法について研究している.目視検査では見つけることのできない欠陥を非破壊検査で検査するための新しい手法の開発を行うとともに,その結果を踏まえた評価手法の開発を行っている.

線路構造物の大変形動的挙動解析
教授 目黒 公郎
鉄道施設などの線路構造物の大変形挙動を最新の大変形破壊解析手法である応用要素法(AEM)を用いた解析する

空調機器や分散電源からの排熱がヒートアイランド現象に与える影響に関する研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介, 助手 黄 弘, 東京ガス 小島 弘, 東京ガス 大森 敏明
人工排熱がヒートアイランド現象に与える影響を定量的に明らかにし,その緩和方法を検討する.屋外空間の温熱環境の数値予測ツールの開発を行う.

居住域スケールの屋外温熱環境への影響因子に関する基礎的な解析研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 助手 黄 弘, 東京電力 古田 康衛, 東京電力 中嶋 まどか
屋外空間の温熱環境の数値予測ツールの開発を行うとともに,その影響因子について考察するものであり,屋外温熱環境評価を行う.

数値シミュレーションモデルによる首都圏のヒートアイランドの進展に関する研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 客員教授 天野 玲子, 鹿島建設 椿 治彦, 鹿島建設 高木 賢二, 鹿島建設 山中 徹
ヒートアイランド現象の原因究明とその対策による新しい都市インフラ整備のあり方を提言することを目的とする.

二周波降水レーダによる地表面計測手法の予備的検討
助教授 沖 大幹[代表者], 助手(東大生研) 芳村 圭
GPM(全球降水観測計画)の主衛星に搭載予定の二周波降水レーダ測定データを利用して,地表面の水文量を観測推定するアルゴリズムの開発を行う.昨年度作成された全球1度格子10年にわたる陸面土壌水分量の時空間分布データセットを用い,想定される二周波数による土壌表面からの後方散乱の変動を推定する,forwardの放射伝達モデルを開発する.

構成材料の空間的特性を考慮したコンクリートの物質移動のモデル化に関する研究
講師 加藤 佳孝[代表者], 共同研究員 川口和広
本研究では,コンクリートを構成する材料の空間的特性を考慮した物質移動(二酸化炭素,塩化物イオン等)のモデル化を行うことを目的としている.

超薄ゲート絶縁膜MOSFETの評価技術およびモデル化の研究
助教授 井上 博之, 教授(東大) 鳥海 明[代表者]
超薄ゲート絶縁膜MOSFETの評価技術および絶縁膜材料に関する研究

高速鉄道車両のイノヴェーティブ・デザインに関する研究
教授 須田 義大[代表者], 民間等共同研究員 佐々木浩一
次世代の高速鉄道車両に対して,走行安定性,乗り心地向上,エネルギー消費などについて飛躍的な性能向上を図る手法について検討を行っている.本年度は,省エネルギー性を考慮した新たなアクティブ制御手法について深度化し,台上走行試験によりその効果を確認した.また,車両の乗り心地評価モデルについての検討を深めた.

鉄道車両用空気ばねによる輪重変動の研究
教授 須田 義大[代表者], 民間等共同研究員 中居 拓自
鉄道車両の空気ばね系では,緩和曲線を低速で通過すると,輪重変動を助長する問題を抱えている.本研究では,輪重抜けを抑制するための制御手法を検討し,実験によりその効果を確認した.

1軸台車の応用による通勤車両のイノベーションに関する研究
教授 須田 義大[代表者], 民間等共同研究員 平井 正明
通勤車両の性能向上,コストダウン,軽量化などを図るためのイノベーティブな方法について検討している.一軸台車を適切に採用することにより,曲線通過性能,走行安定性,乗り心地等がどのように改善されるか,模型車両とマルチボディタイナミクスを用いたシミュレーションにより評価した.

鉄道における車輪・レール間の摩擦制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 民間等共同研究員 荻野 智久, 民間等共同研究員 栗原 純, 民間等共同研究員 岸本 康史
鉄道車両の急曲線通過性能を向上させるために,車輪・レール間の摩擦力制御の研究開発を行っている.摩擦調整材の適切な使用方法を確立するために,模型実験,シミュレーション,実車両走行試験を実施した.

電磁サスペンションのエネルギ回生に関する研究
教授 須田 義大[代表者], トヨタ自動車株式会社 井上 博文, カヤバ工業株式会社 近藤 卓宏
自動車用電磁サスペンションの性能向上について,基礎的応用的研究を行っている.従来からの防振特性およびタイヤ接地性向上の検討に加えて,振動エネルギの回生について,理論的および実験的な検討を行った.

鉄道車両内快適性の室内実験に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 民間等共同研究員 林 哲也
鉄道車両の客室内の快適性を向上させることを目標に,シミュレータ実験手法の開発および評価の方法の検討を行っている.振動・動揺に対する乗り心地評価を主体に検討を進め,被験者の状態,走行条件などが与える影響について検討した.

大型車両用の電磁ダンパーの減衰力制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者], 日野自動車株式会社 佐々木 隆, 日野自動車株式会社 土田 典裕, カヤバ工業株式会社 伊藤 隆
大型車両方の電磁ダンパに関して,基礎的応用的研究を進めている.荷重や走行条件に応じた最適な減衰力特性について検討を加えており,シミュレーションによる評価,実験による検討により,適切な特性を検討した.

人間と深くインタラクションするパーソナルムーバーの研究
教授 須田 義大[代表者], ソニー株式会社 石井 真二, ソニー株式会社 小坂 雄介
都市における個人の移動を目的とした新たな小型車両,すなわちパーソナルムーバーについて,基礎的かつ実践的な研究開発を行っている.小型タイヤの特性,人間を含んだ車両の動特性などについて,検討を実施した.

熱硬化性高分子材料の二色射出成形技術の開発
教授 横井 秀俊[代表者], NOK株式会社 太田 隆
二色射出成形機とゲート切替装置を熱硬化性高分子材料に適用し,金型内での流動挙動制御による高機能複合体の成形が可能な射出成形技術の開発を目的としている. 本年度は,熱硬化性硬化性高分子材料であるゴム材料に適用可能な二色射出成形機の設計,及び本成形機を用いたゴム材料の二色サンドイッチ成形を行い,金型内における粘度の異なるゴム材料の二層流動現象の解析に着手した.その結果,熱可塑性樹脂材料では金型表面における冷却固化層の形成により中心部を低粘度の樹脂材料が流動することにより二層構造を容易に形成しうるが,熱硬化性材料では逆に金型表面において低粘度層を形成し,均一な二層構造となるように流動制御を行うことが困難であることが明らかとなった.そこで,本結果に基づきゲート切替装置の構造に大幅な変更を加えた.

寸法精度に優れたフィラー高充填樹脂複合材の成形加工技術開発
教授 横井 秀俊
本研究は,面精度(平滑性)に優れた新しい成形加工技術およびそれを実現するための生産プロセスを開発することを目的としている.本年度は,流動性に劣るフィラー高充填組成物の成形検討を行い,成形条件と成形品面精度の関係を詳細に検討した.また,面精度を決める主要パラメーターの抽出作業を行い,面精度を改良する成形方法を具体的に示すことができた.

射出成形におけるタイガーストライプ・フローマーク生成現象の実験解析
教授 横井 秀俊[代表者], 産学官連携研究員 大和田 茂
当研究室では,射出成形における外観不良現象に関して,各種計測・可視化実験手法を開発し解析を行ってきた. 本研究では,自動車バンパー等の大型成形品表面に現れる典型的な不良現象であるタイガーストライプ・フローマークの生成過程および生成機構の解明に焦点を絞り,系統的な可視化実験解析を通して統一的なモデルと有効な改善策の確立を行うことを目的としている.これまでに,流動過程の非対称なファウンテンフロー現象により同フローマークが生成することを確認し,この過程で形成される成形品の表面性状との関連性を明らかにした. 本年度は,さらに,ランナー切替機を用いた2色成形により,フローマーク生成と内部流れの関連性を計測する手法を確立するとともに,その生成過程を明らかにした.また,金型処理面,材料配合特性,流動長650mmのバーフロー金型を用いた成形条件面のアプローチから有効なフローマーク改善策を検討した結果,顕著な有効性を示すいくつかの手法を見出した.

ディープサブミクロン世代の設計法の研究
教授 桜井 貴康
ディープサブミクロン世代のLSIで問題となる消費電力の増大や高速データ転送技術に対応するための技術を考案する

ダイナミックリークを低減するナノサーキットの研究
教授 桜井 貴康
アクティブリーク支配下における電力削減技術を目指す

システムレベル低電力化方式の研究
教授 桜井 貴康
携帯機器用システムLSIの低電力化方式について,制御方式や回路技術の開発を目的とする

LSIの動的IR-Drop評価・制御技術開発
教授 桜井 貴康
LSIにおける動的IR-Drop評価のための要素技術の開発動的IR−Dropを抑制したLSI設計フロー構築のための要素技術の開発LSIの動的IR-Drop評価・抑制に関する課題の発掘と解決策の提示

円滑化走行支援システムの実用可能性に関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
本研究では,走行シミュレーションとドライビングシミュレータを接続したシステムを用いて,円滑化走行支援システムの実用可能性に関する実験を行う.

道路交通データを用いた応用システムの研究
教授 桑原 雅夫
都市間高速道路の利用者への旅行時間提供のためには,まず,その計測手段を提案することが必要である.本研究では,料金収受システムデータを用いて区間走行所要時間情報の演算方法開発を行っている.

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
複合現実感交通実験スペースを構築し,それを活用したヒューマン・ファクターに関する基礎研究及びそれに立脚した各種ITS応用研究を実施する.

交通管制システムの高度化に関する研究
教授 桑原 雅夫
本研究は自動車から排出される大気汚染物質の低減を目的とする信号制御手法に関する研究を行う.

作業者支援システム(PhaseX)の動作指令生成技術に関する研究
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史・助手 影澤 政隆
本共同研究は,作業者と作業者支援システムを撮影した2次元画像から,それぞれの3次元モデルを作成して,離隔距離を計測することにより,作業者との安全性を確保する技術を研究する.更に,H14年〜H15年の共同研究で,人の視線と姿勢で作業対象の3次元位置を教示する技術を確立したため,本共同研究では,視線を用いて作業者支援動作を生成する研究を行う.また,当研究室で保有する物体認識技術を活用して,画像を用いて作業者支援システムを連れ回す研究を行う.

文化財デジタル化の為の3次元計測技術および高精度CG再現技術の研究
教授 池内 克史
対象物に適した高精度3次元計測技術の研究行う.対象物の光学特性や形状などから対象物を正確に再現する為の手法,技術を確立する

選定研究

選定研究
量子ホール系を利用した半導体核スピン量子ビット素子の開発とスピン物性探求
助教授 町田 友樹
量子ホール端状態を利用して半導体素子中の核スピンを局所的に制御して,量子ビット素子を開発するとともに,基礎的なスピン物性を探求する.

高親和性分子を用いた階層構造を持つ組織の構築
助教授 酒井 康行[代表者], 助手 小島 伸彦
生体組織にみられる様々な高度階層構造のin vitro作製を目的として,高い親和性を持つ一組もしくは複数組の分子を利用し,任意の三次元担体内表面において簡便迅速に異なる細胞からなる多重シートを形成可能な技術を確立する.モデル臓器や移植用の臓器のin vitro再構築のための基盤要素技術となることが期待される.

動的分子集積制御による次世代有機ナノ材料の開発
講師 北條 博彦
本研究では,有機材料の新しい設計方針として動的分子集積制御を提案し,そうして作られた分子集積体の新しいナノ材料としての可能性を検討する.動的分子集積制御とは,分子間相互作用の動的な過程すなわち反応,拡散,吸着現象などを利用して分子の集合状態を制御することであり,この方法によって生成物の物性だけでなくサイズや形状(球状,チューブ状,膜状など)をも制御することを意図している.

リユーサブルな展開構造モデルの試作
助教授 川口 健一
本研究では,宇宙工学分野で主に開発が進んでいる展開構造物の原理を地上構造物へ応用し,遠隔地や山岳地等,交通が不便で労働力の確保しにくい場所,既存の公園などの敷地に短期間,リユーサブルな構造物(避難施設,通信関連設備,レクリエーション施設等)を最小限の輸送力,労働力で構築する為の展開型構造システムを開発する為の基礎的資料を得ることを目的とする. 従来,このような構造物の開発は建築分野においても行われているが,ごく少数の実施例があるのみであり,また,真にリユーサブルな展開構造システムは実現していない.我々は,既にシザーズ型展開構造のモデル(展示用)を試作し,建築構造物への応用の可能性について感触を得ている.本研究では単なる展開構造物ではなく,真にリユーサブルなシステムを目指した試作及び実験を行う.

都市文化遺産・資産エンサイクルペディア
助教授 村松 伸
都市文化遺産・資産開発学のプラットフォーム構築と3つの都市でのボーリング調査−地球規模での『都市文化遺産・資産エンサイクルペディア』編纂のために,サマルカンド,マラッカなど異なった生態圏に属する都市を実地調査し,都市文化遺産・資産開発学の学問的基盤を作る.

低級塩化物を利用するチタンの新しい高速製造法
助教授 岡部 徹
資源が豊富で抜群の比強度と耐食性を有するチタンは,次世代の素材として期待されているが,鉱石から金属を製造するプロセスの効率が極めて低く高コストであるため,現状ではほとんど普及していない.本研究では,チタンの低級塩化物(TiCl2 あるいはTiCl3:固体)を原料として用いて,チタンを高速かつ(半)連続的に製造するプロセスの開発を行う.本プロセスは,今後発生量の増大が予想される塩化物廃棄物やチタンスクラップの処理にも応用できるため,高度循環型社会の構築を目指す上でも重要な基盤プロセスとなり得る.

展開研究

展開研究
フェムト秒パルス光波シンセシス
教授 志村 努[代表者], 助手 芦原 聡
現状では限られているフェムト秒光パルスの得られる波長域を広げ,将来的には200 nm〜10 mの全域で任意の波長の高エネルギーフェムト秒パルス光を得ることを目標として,新しい波長変換技術と,それに付随する超短パルス波形制御技術の研究を行っている.特に,波長域の拡大,100 fs以下の超短パルス長を保ったままでの変換効率の向上,さらにソリトン現象を用いたパルス圧縮の実現とを目指している.周期分極反転構造を持つ非線形光学結晶を用い,さらにパルス面(光波形の空間的包絡面)と,分極反転構造をいずれも傾斜させるという方法を考案し,位相速度整合と群速度整合を同時に満足させ,高い変換効率を得た.100fsのパルス長を維持したまま1.55 μmから775 nmへの波長変換で50%の変換効率を実現した.また,2段階の波長変換である,カスケーディング非線形光学効果を用いて,基本波と第2高調波の同時ソリトン圧縮を実現し,110 fs のパルスを35 fsに圧縮した.現在,周期分極反転構造の2次元化による,単一デバイスでの2段階波長変換の実現と高効率化,周期分極反転構造の周期を空間的に変化させた光パルスの断熱的ソリトン圧縮に取り組んでいる.

ナノアイスの構造と機能
助教授 福谷 克之[代表者], 教授 田中 肇, 助教授 高橋 琢二, 技術職員 小倉正平, 助手 ビルデ マーカス
本研究では,ナノサイズの氷の構造および相変化と反応性に関する研究を行っている.金属表面に微細な氷の構造を作製し,その形態と物理的性質を明らかにするため,走査トンネル顕微鏡の改造を行った.また反応性を調べるため,フーリエ変換赤外吸収分光装置の改良を行った.金属表面に成長させた氷の水素分布を核反応法と熱脱離法用いて調べ,ガラス化および結晶化温度近傍で顕著な変化が生じることを見いだした.

金属ナノ粒子を用いたプラズモン光電気化学デバイスの開発
助教授 立間 徹[代表者], 助手 高田 主岳
金属ナノ粒子と半導体を組み合わせた系において,金属ナノ粒子のプラズモン共鳴に基づく光吸収によって電荷分離が起こることを明らかにした.その機構を解明し,増感型太陽電池や光触媒などのエネルギー変換デバイス開発への展開を図る.

グループ研究

グループ研究
TSFD(乱流シミュレーションと流れの設計)研究グループ
TSFD(乱流シミュレーションと流れの設計)研究グループ, 助教授 半場 藤弘[代表者], 教授 加藤 千幸, 助教授 谷口 伸行, 助教授 大島 まり, 教授 加藤 信介, 助教授 大岡 龍三, 助手 横井 喜充, 助手 西村 勝彦,宋 斗三
TSFD研究グループは,さまざまな理工学分野で必要とされている乱流の数値シミュレーションを実用的解析手法として確立することを目指している.そのために,流体物理学,機械工学,生体工学,建築・都市環境工学などの観点から,乱流の統計理論的研究の推進,数値シミュレーション解析法の開発,数値シミュレーションの実証と応用などの多方面にわたる研究を進めている.その最新研究成果を生産研究TSFD特集号やIIS Annual Reportに公表するとともに,乱流の数値シミュレーションに関する定期的な研究集会や国際シンポジウムの企画開催,数値解析ソフトウェアの公開提供などを行っている.

快適性の工学的応用に関する研究グループ
教授 須田 義大[代表者], 教授 加藤 信介, 助教授 曲渕 英邦, 助手 上野 佳奈子
室内,車両内の物理的環境(温熱環境,視的快適につながる照明,騒音など音環境,振動,空間の開放感,公共の場におけるテリトリの確保による利用されない無駄なスペースの発生など)の調整・制御をより合理的に行うために,人間の環境に対する認知,行動要因を解明し,室内や車両内などの環境の快適性と人間行動の関係を説明するモデル構築を目標に活動を行っている.定例の会合による討論,実地調査,関連する研究者との会合を実施した.

耐震構造学研究グループ(継続)
教授 藤田 隆史[代表者], 教授 小長井 一男, 教授 都井 裕, 教授 古関 潤一, 教授 目黒 公郎, 助教授 中埜 良昭, 助教授 川口 健一, 助手 Jorgen Johansson, 助手 大堀 真敬, 助手 嶋脇 與助, 助手 小檜山 雅之, 助手 佐藤 剛司, 助手 吉村 美保, 名誉教授 田中 尚, 名誉教授 川井 忠彦, 名誉教授 田村 重四郎, 名誉教授 柴田 碧, 名誉教授 佐藤 壽芳, 名誉教授 岡田 恒男, 名誉教授 高梨 晃一, 教授(東大) 龍岡 文夫, 教授(東大) 廣井 脩, 理事長(防災科学技術研究所) 片山 恒雄,他約20名
耐震構造学研究グループERSは,1967年に耐震工学を専攻する研究者の集まりとして発足して以来,今日までの37年間にわたり,活発な研究活動を続けてきている.ERSは土木・建築・機械など,異なった分野を研究対象とする研究者が,共通する基礎知識や研究手段を探り,それを様々な角度から検討・分析するとともに,互いの研究成果を検証し合うことによって,より正確な現象の理解と新たな技術の発展や創造を目ざしてきた研究グループである.今日ERSは,研究者数,研究実績,研究設備のいずれにおいても,国内はもとより国際的にも有数の研究グループとして広く知られている.本年度は,所内外のメンバーの研究発表と研究情報の交換の場である定例会を隔月に開催し,定期刊行物として36年間続けてきているBulletinも例年通り刊行した.また,千葉実験所における研究施設(地震による構造物破壊機構解析設備,構造物動的破壊試験装置等)を利用した実験も頻繁に行った.

有機分子の機能とバイオ分野への応用を考える研究会
教授 畑中 研一[代表者], 助教授 吉江 尚子, 教授(東大) 石原一彦, 助教授(東大) 小川桂一郎, 助教授(東大) 菊地和也
部局(専門)の異なる研究者が,生体機能性を有する有機分子を題材として自己組織化などの物理化学的な性質から生体適合性までを議論し,バイオマテリアルとして利用可能かどうかの出口(製品化)を探る研究会.東大内における連携であることの機動力を活かし,関連する周囲の研究者を取り込みながら研究開発を行っている.また,本研究会は化学とバイオを題材とするものであるが,応用分野としては「医用」というよりむしろ「生体工学」と「生体材料」に主眼を置いた研究開発を目指している.

千年持続学研究グループ「過去から現代にわたる社会システムに学び,将来に向けた社会の持続的発展の確保に関する研究」
助教授 沖 大幹[代表者], 助教授 村松 伸, 助教授(東大) 城山 英明, 助教授(東大) 佐藤 仁
平成14年6月の科学技術・学術審議会学術分科会の報告「人文・社会科学の振興について」を踏まえ,文部科学省の事業予算により「人文・社会科学振興のためのプロジェクト研究事業」を日本学術振興会が平成15年度より新たに実施することとなった.当該事業は,現代社会において人類が直面している様々な問題の解明と対処のため,人文・社会科学を中心とした各分野の研究者が協働し,学際的,学融合的に取り組む研究を進めるとともに,その成果を社会への提言として発信することを目的としている.

国際学術交流協定に基づく共同研究

国際学術交流協定に基づく共同研究
環境・エネルギー応用ナノ構造制御材料の共同研究ラボ
教授 宮山 勝
日伊科学技術協力プログラムに基づき,低環境負荷発電や環境汚染ガス検知などの環境・エネルギー応用に適用できるナノ構造制御機能材料の展開を目的とした研究を行っている.燃料電池,ガス分子検知素子などに関し,ナノサイズで構造制御したイオンおよび電子伝導性の無機・有機材料,それらの複合体,ナノ多孔体の設計と開発を,研究者交流等により進めている.

東京大学生産技術研究所とスイス連邦工科大学ローザンヌ校マイクロエンジニアリング学科との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 教授 コラール ドミニク, 教授 川勝 英樹, 助教授 金 範凵C 助教授 年吉 洋, 助教授 藤井 輝夫, 教授(東大) 樋口 俊郎
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPLF)と交流協定を結び,半導体マイクロマシニングとその応用,マイクロ・ナノレベルの動作をするメカトロニクス,および関連の技術に関して研究交流集会や学生の交換を行っている.

東京大学生産技術研究所と韓国機械研究院(KIMM)との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 教授 コラール ドミニク, 助教授 金 範凵C 教授 川勝 英樹, 助教授 年吉 洋, 助教授 竹内 昌治
韓国機械研究員(KIMM)と交流協定を結び,ナノメカトロニクスに関して,研究交流集会の開催や研究員の受入を行っている.

東京大学生産技術研究所とフィンランド・VTTエレクロトニクス研究所,VTT情報技術研究所との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 教授 コラール ドミニク, 助教授 金 範凵C 教授 川勝 英樹, 助教授 年吉 洋, 助教授 竹内 昌治
フィンランド・VTTエレクロトニクス研究所,VTT情報技術研究所と交流協定を結び,マイクロメカトロニクス(MEMS)に関して,研究交流集会の開催や研究員の受入を行っている.

個人研究推進事業

個人研究推進事業(さきがけ研究21)
量子ホール系における核磁気共鳴を利用した固体量子ビット素子の開発
助教授 町田 友樹
量子ホール系端状態における電子スピン−核スピン相互作用を利用して半導体核スピンを電気的にコヒーレント制御する.この技術を利用して,量子ビット素子の開発を行う.

東京大学生産技術研究所とドイツ・カールスルーエ工科大学との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 教授 コラール ドミニク, 助教授 金 範凵C 教授 川勝 英樹, 助教授 年吉 洋, 助教授 竹内 昌治
ドイツ・カールスルーエ工科大学と交流協定を結び,マイクロメカトロニクスと精密生産技術に関して,研究交流集会の開催や研究員の受入を行っている.

科学技術振興費

科学技術振興費・主要5分野の研究開発委託事業(RR2002)
戦略的基盤ソフトウエアの開発
教授 加藤 千幸[代表者], 助教授 谷口 伸行, 助教授 大島 まり, 助教授 佐藤 文俊, 主任研究官(国立医薬品食品衛生研究所) 中野達也, 副センター長,教授[(独)物質・材料研究機構] 大野 隆央, 顧問研究員 小池秀耀, 特任教授 寺坂晴夫, 社長[アドバンスソフト(株)] 小池秀耀, 部長[(財)高度情報科学技術研究機構] 中村壽
「戦略的基盤ソフトウェアの開発」プロジェクトは,文部科学省ITプログラムの一環として2002年度からスタートしたものであり,わが国の科学技術重点分野である,バイオ・ナノ分野やエネルギー・環境分野における,世界水準の実用ソフトウェアの開発を目的としている.タンパク質の構造や化学物質との相互作用などを分子軌道法により計算したり,空気の流れや流れから発生する騒音や構造物の振動などを基礎方程式から直接予測したりする,計算科学シミュレーションは次世代の産業基盤技術としてその実用化に大きな期待が集まっている.本プロジェクトは,生産技術研究所 計算科学技術連携研究センターが開発拠点となり,東京大学大学院工学系研究科,国立医薬品食品衛生研究所,独立行政法人物質・材料研究機構,財団法人高度情報科学技術研究機構,アドバンスソフト株式会社などとの産学官連携により,(1)次世代量子化学計算,(2)タンパク質ー化学物質相互作用解析,(3)ナノシミュレーション,(4)次世代流体解析,(5)次世代構造解析の5つの物理化学シュミレーションソフトウェアと,それらの大規模計算を将来のコンピュータ・ネットワーク環境で効率的に実行するための基盤情報技術として,(6)統合プラットホーム,(7)HPC(High Performance Computing)ミドルウェアの実証開発を進めている.これまで40本のソフトウェアを公開し,ダウンロード件数は10,000件をこえ,ユーザーからきわめて高い関心を集めている.また,開発したソフトウェアを産業界に普及させるため,「産業応用推進協議会」が設立され,実証計算や普及活動を行っている.

脳の動的情報表現のモデル化とその情報処理への応用
教授 合原 一幸
本研究は,コミュニケーションの創発プロセスを,脳の情報処理機構を考慮して情報を入出力する構成要素からなるシステムとしてモデル化するものである.すなわち,人間,あるいは人間の集まり,あるいは環境を含んだ全体を,システムとして考え,そのシステムを表現する数理モデルを構築する. 人間一人をシステムとして捉えれば,脳がどのような情報表現を用いて情報処理を行っているかという問題になる.本研究では,大脳皮質の領野間の結合関係を模した層状構造を持つニューラルネットワークを用いて,脳における時空間情報表現の形成過程を数理モデル化するとともに,新しいフォワード伝播型強化学習則を提案した. また,2人の人間を1つのシステムとして捉えれば,お互いが相手の内部状態を推定する系とみなすことができる.自己と同等の他者を観測するときに生じる困難を解決する方法として,本研究では自己を客観的に観察し学習したダイナミクスモデルを他者の内部状態の推定に利用する「自己観測原理」を提案した. 多人数の相互作用は人間関係のシステムとして捉えられる.本研究では,相応性と感情の同一視という心理学的現象をモデル化することで,Heiderのバランス理論が成立することをシミュレーションで示した.

大都市大震災軽減化特別プロジェクトW-1.「地震防災統合化研究-事前対策」
教授 目黒 公郎[代表者],村上ひとみ 山口大学 助教授,根上彰生 日本大学 助教授
わが国の地震防災対策上の最重要課題は既存の耐震性の不十分な建物(これを既存不適格建物と言う)の耐震改修である.しかしこれがうまく進展していない状況を踏まえ,改善策の研究として,a)「簡便・高精度な耐震補強/耐震診断技術」,b)「室内の安全性」,c)「耐震補強推進制度/システム」の3つの研究課題を実施している.a)は耐震診断や耐震改修を身近なものと感じ実施してもらえるように,簡便で高精度な手法を提案するものである.b)は地震時の家具の挙動をはじめとして,室内空間の安全性を評価し対処してもらえる環境整備を図る研究である.c)は耐震改修を促進するための制度やシステムの研究である.技術以上に制度的な不備が問題となっている現状を踏まえ,耐震改修に強いインセンティブを与える制度を検討している.

人・自然・地球共生プログラム「陸域生態系モデル作成のためのパラメタリゼーションに関する研究-リモートセンシングによる陸域生態系パラメータの計測」
教授 安岡 善文[代表者], 助手 遠藤 貴宏, 博士研究員 Baruah Pranab Jyoti, 産学官連携研究員 安川 雅紀, 産学官連携研究員 小川 有子, 博士研究員 竹内 渉, 大学院学生 大吉 慶,赤塚 慎,山路 毅彦
地上観測と衛星観測の併用により,植物の光合成能,生産量などの生態系パラメータを広域で計測する手法を開発することを目的とする.地球規模での環境・気候変動のモデル化には広域での高精度陸域生態系パラメータの入力が不可欠であるが,本研究では,地上観測データから衛星データまでのスケールアップにより生態系パラメータの広域分布を計測する手法を開発する.

戦略的基盤ソフトウエアの開発
助教授 佐藤 文俊
次世代の産業基盤となる,バイオ,ナノ,流体・構造分野など5分野のシミュレーションソフトウエアを産学連携により開発し,公開,普及する.

一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト,固体・ガス状試料の安全性評価システムの開発
助教授 酒井 康行, 教授(岡山大) 小野 芳郎[代表者], 教授(岡山大) 白石 友紀, リームリーダー(理研) 山口 勇, 室長(理研) 榊原 均, 室長(産総研) 川幡 穂高, (株)KANSOテクノス 太田 秀和, 助教授(岡山大) 綾野 克紀, 助教授(岡山大) 比江島 慎二, 研究員(産総研) 竹内 美緒
都市や地域から排出される一般・産業廃棄物・バイオマスについて無害化処理と再資源化を図る技術開発において,その安全性を評価することは必須である.そこで,化学分析や各種バイオアッセイの総合的な利用が考えられ,その中で酒井はヒト肺細胞を用いたガスまたは灰・浮遊粒子状物質の安全性評価を担当する.

科学技術振興費・リーディングプロジェクト
地球水循環インフォマティクスの確立
教授 柴崎 亮介
今後数年間の間はきわめて多数の地球観測衛星が運用され,それらの衛星データを統合的に用いることによって,大気−陸域間や大気−海洋間の全水循環過程をほぼカバーできる.地球観測衛星委員会の協力を得て衛星観測データを収集し,それを統合的に利用するために,データカタログ機能の高度化,ネットワークによるデータ転送,フォーマット変換,幾何補正,多種データの重ね合わせ,複合アルゴリズムの適用,データベース化など,膨大なデータに対する高度なデータ処理システムを開発する.その中でも特に以下の項目について研究を行う.1)衛星データカタログ機能の高度化のためのメタデータモデルの検討衛星データのカタログ検索や処理履歴,品質関連情報などの取得を容易にするメタデータモデルを,国際標準化の動きと連動させながら検討する.2)衛星データの統合化アルゴリズムの検討異なる解像度,撮影時期の衛星画像を精密に重ね合わせた実験的統合化コンテンツを作成し,統合利用アルゴリズムを検討する.

一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト
教授 野城 智也
バイオマスシステムの物流システムの開発有機系廃棄物は,地域的に広範に発生する.それら,都市・地域から排出される廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムが構築されなければ,複合処理・再資源化システムは稼働しない.また稼働したとしても,かえって輸送のための化石燃料使用量を増やしたり,再資源化施設での生産品を高価格にしてしまう.そこで,現実の経済社会のなかで,廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムを構築することを目的にする.

e-Society 基盤ソフトウェアの総合開発: 先進的なストレージ技術およびWeb解析技術
教授 喜連川 優
本プロジェクトは,大きく先進的なストレージ技術の研究開発とWEB解析技術に分けられる.まず,先進的なストレージ技術研究開発においては,人類が取り扱うデータは,2000年で3エクサバイトと推計され,2003年には40エクサバイトに達すると見込まれる.このようなデータの洪水に対し,本プロジェクトでは従来にはない戦略的ソリューションを見出すことを研究目的とする.具体的には,1)高度ディザスタリカバリ機構,2)ストレージ超高速アクセス機構,3)ストレージ管理コスト低減機構に関する研究開発を行う.続いて,Web解析技術においては,従来,社会の出来事はテレビニュースや新聞などのメディアを通して国民に報道されて来たが,最近では,社会現象自体の多くがサイバー空間(ウェブ空間)でなされつつある.現時点では,ウェブ上の貴重な社会情勢に関する知識は殆ど活用されておらず,本プロジェクトでは効率良くサイバー空間の活動を抽出するツールを開発する.一方,現在のサーチエンジンは現時点の状態のみのサーチに終始している.データベースがデータウエアハウス技術を生み出してきたのと同様,「歴史を紐解くサーチエンジン」は大きな潜在的需要が見込める.即ち,本プロジェクトは,定期的に日本全国のウェブページを収集および蓄積することで大規模なウェブアーカイブを構築し,コンテンツ,リンク,および時系列解析を用いた多様な分析に基づくサイバー空間調査事業を立ち上げることを目的とする.

「日本社会に適した危機管理システム基礎構築」の中のサブテーマ「情報処理面から見た危機管理システムの構築」
教授 目黒 公郎
災害対策基本法にもとづいて主として自然災害を対象として整備されている防災体制はわが国ではもっとも一元的な危機管理体制に近いものである.本研究ではこれを下敷きにして,どのような危機に対しても一元的に対応できるわが国の社会風土に適した危機管理体制の構築を目的とする.

危機管理対応情報共有技術による減災対策災害情報の共有化に関する研究
教授 目黒 公郎
総合的な観点から効果的な災害対応を展開する上で行政組織間において共有が必要とされる災害情報を分析し,その内容,項目,用語の整理と情報共有基盤の運営の規範について調査する.また,国の機関により収集される災害情報の共有化と利活用に関する規範について調査する.

大型有形・無形文化財の高精度デジタル化ソフトウェアの開発
教授(京都大) 松山 隆司[代表者], 教授 池内 克史
東京大学が中心となって開発する大型有形文化財のデジタル化ソフトウェアでは,100mを超える大型有形文化財を全ての点でcm以下の精度でモデル化できることを目標に,@500枚を超える距離画像を全ての点でcm以下の精度で位置あわせできる高精度同時位置合わせアルゴリズムA500枚を超える距離画像を現状のものに比して100倍程度高速に位置あわせできる高速位置合わせアルゴリズムBテラバイトに達する大規模距離データを処理できる統合アルゴリズムを開発する.また,屋外の大型文化財のシームレスな色彩表現を得るためC色彩画像・距離画像間高精度位置合わせアルゴリズムD太陽などの照明環境推定による画像間色彩調整アルゴリズム処理を開発する.さらに,テラバイトに達する大規模データを高速に転送・表示するための,E高効率化表示・転送アルゴリズムを開発する.

その他

その他
共鳴伝導の数値的研究によるナノデバイスの理論設計
助教授 羽田野 直道
導線のついたメゾスコピック系の共鳴状態を数値的正確に求める新しい方法を開発した.これを用いてナノデバイスのコンダクタンスを精密に計算できる.この手法は,ナノデバイスの理論設計をする際に威力を発揮すると期待される.

血液分析のためのマイクロチップの開発と流動解析
助教授 大島 まり[代表者], セイコーインスツルメンツ株式会社 新荻正隆, セイコーインスツルメンツ株式会社 山本七二男, 大学院学生 木下晴之, 大学院学生 張東植
MEMS技術を生かした血液分析のマイクロチップを開発していく際に,チップ内の流動現象を把握する必要がある.そこで,本研究はマイクロ混相流れを解析するための数理モデルの開発と数値解析手法の開発を行い,実験とともに検証する.

女子中学生・高校生の理科に対する意識および取組みに関する調査研究
助教授 大島 まり
(財)文教協会の行っている調査・研究等に関する助成である.一般に理工系へ進学する女子生徒の数は大変少ない.そこで,出張授業を通して,女子学生の理科や数学に対する意識を調査する.また男子学生と比較して理科に対してどのようなアプローチをするのかを物理の実験を通して調査する.

セキュリティ情報の分析と共有システムの開発
教授 今井 秀樹[代表者], 助教授 松浦 幹太
科学技術振興調整費(重要課題解決型研究)「セキュリティ情報の分析と共有システムの開発」の中で,サブ課題2−2−9および4−2−2を今井研究室・松浦研究室で担当した.具体的には,情報通信機器における情報セキュリティ事故の早期警戒,事故発生時の被害局所化のための技術開発,プライバシー関連技術開発,さらに認証プロトコル設計の安全性評価および設計指針策定に関する研究などを行った.

量子構造を用いた遠赤外線光技術の開拓と量子物性研究
教授 平川 一彦[代表者], 教授(東大) 小宮山進
(戦略的基礎研究推進事業)単一電子トランジスタとサブバンド間遷移を用いて中赤外単一光子検出器の実現を目指すとともに,それに必要な高純度GaAs系ヘテロ構造の結晶成長を行う.

フレキシブルデバイス
教授 藤岡 洋
本研究では従来のバルク半導体結晶状に作製されているデバイスとは異なり,柔軟な基盤の上に成長した半導体薄膜素子を有機物に転写した後,剥離することによってこの構造を実現する.

膨張コンクリートのひび割れ抵抗機構の解明とひび割れ幅定量評価手法の構築
助教授 岸 利治
膨張コンクリートのひび割れ抵抗性に関する微視的機構の解明と,機構に基づいたひび割れ幅算定式の構築に取り組む.極めて複雑なケミカルプレストレスト部材の挙動に対し詳細な検討を加え,正攻法で微視的機構の解明に取り組むところに本研究の特徴がある.

光電気化学技術の基礎と応用に関する研究
助教授 立間 徹
エネルギー貯蔵型光触媒コーティングによる防錆技術を開発する.

科学技術振興調整費 先導的研究等の推進課題名「地球水循環インフォマティクスの確立」
教授 喜連川 優
本研究では,世界36箇所のリファレンスサイトにおいて観測された水循環に関するデータならびに関連する水循環関連データのアーカイブシステムの構築を目標とする.リファレンスサイトにおいて観測されたデータは,観測項目,時間間隔,データフォーマット,データ品質等が異なる多種多様なデータであるが,データアーカイブシステムにおいては,各地の観測データを統合化してアーカイブする機能を実現するとともに,データ利用者には,希望する観測項目,時間間隔,データフォーマットにて柔軟にアクセス可能なユーザインタフェースを提供する.また,自動観測装置の故障やバッテリーの消耗等により,観測されたデータには誤った値が含まれる場合があり,それら誤った観測値を修正あるいは削除する必要があるが,誤った値の検出,修正,削除の作業を行うことができるのは,データ観測装置および観測時における観測値の自然環境,状況をしる観測者のみである.そこで,世界36箇所のリファレンスサイトにいる観測者自身がインターネットを通じてシステムにアクセスし,容易にデータ品質チェックを行うことができるトランザクショナルなWEBインタフェースを作成する予定である.最終的には100TB規模の大規模なデータを統合化する必要があり,最新のストレージシステムテクノロジを駆使したデータアーカイブ系を構築する.

合成開口レーダ(SAR)画像による波浪情報導出アルゴリズムの開発
助教授 林 昌奎
合成開口レーダ画像データは,海面におけるマイクロ波後方散乱の強さの平面分布を表す.海面でのマイクロ波散乱は,海洋の海上風,海流,波浪などに大きく影響される.特に,マイクロ波散乱における波浪の影響は,水面傾斜によるマイクロ波の局部入射角の変化,水粒子運動速度の相違による高周波波面形状の変化として現れる.波浪による局部的なマイクロ波散乱の変化は,シマウマ模様の合成開口レーダ画像を作り出す.そのシマウマ模様の合成開口レーダ画像データから,海面形状とマイクロ波散乱との関係を用い,海洋の波浪情報を導出するアルゴリズムを開発する.

科学技術振興調整費による緊急研究開発等「スマトラ島沖大地震及びインド洋津波被害に関する緊急調査研究」
教授 目黒 公郎
津波発生時に地域住民や観光客などが避難する施設の建設と適切な配置,さらに効果的な警報システムについてまとめる.その際に,地震や津波に極端に弱い構造物への対処法と,これを維持するホテル群のネットワークと資金を有効活用する仕組みも考える.

環境研究総合推進費 極値現象を含む機構変化シナリオを用いた温暖化影響評価
助教授 沖 大幹[代表者], 助手(東大生研) 芳村 圭
地球主ミレータを用いた空間・時間高解像な気候モデル出力を利用し,極値現象(台風,干ばつ,熱波,エルニーニョ等の異常気象)を勘案した温暖化影響の予測を高精度に行うとともに,影響被害軽減のための方策を検討することを目的とする.

医療工学技術者創成のための再教育システム
教授(東北大) 山口隆美[代表者], 助教授 大島 まり, 教授(東北大) 大内憲明, 教授(東北大) 大隈典子, 教授(東北大) 佐藤正明, 教授(東北大) 和田仁
科学技術振興調整費・新興分野人材養成として採択された.医工連携を視野に入れ新しい人材教育を行うため,医学分野および工学の分野の双方を取り入れたカリキュラムの開発を行い,授業を行っていく.