研究および発表論文

研究課題とその概要

科研費による研究

科学研究費:特別推進研究(1)
大都市大震災軽減化特別プロジェクト臨海部における津波災害総合シミュレータの開発
助教授(群馬大学工学)片田敏孝, 助教授 目黒 公郎[代表者]

科学研究費:特別推進研究(COE)
量子ドット構造による電子物性の制御と次世代エレクトロニクスへの応用
教授 榊 裕之[代表者], 教授 藤田 博之,COE「量子ドット」プロジェクト研究グループ, 助教授 年吉 洋
単結晶シリコンナノ構造の新規製作法の開発とそれを用いたナノエレクトロメカニカル素子の構築

人間の意図・行動理解に基づく柔軟なヒューマン・マシン・インタラクションの実現
助教授 佐藤 洋一[代表者],杉本晃宏(国立情報学研究所)
現実のものとなりつつあるユビキタスコンピューティング環境において,計算機端末における利用を前提とした従来型のヒューマン・コンピュータ・インタラクションの限界が指摘されている.本研究では,ユーザに対してコンピュータとのインタフェースそのものを必要以上に意識させることなく,必要なときに必要な情報を提示することを可能とする透明なインタフェースの実現を目的とし,実世界環境に埋め込まれたセンサ群および装着型センサからの情報をもとに,人間のおかれている状況や,人間の行動・意図を理解するための基盤技術を開発する.

(若手奨励研究費)材料の不確実性を考慮したコンクリートの耐久性評価
講師 加藤 佳孝
本研究ではコンクリート構造物の宿命である,材料,施工,環境の不確実性を考慮したコンクリート構造物の耐久性を予測する手法を提案することを目的とする.最終目的はコンクリート構造物に関する全ての不確実性を考慮することであるが,本研究の範囲では主に材料に起因する不確実性を対象とし,随時拡張していく予定である.不確実性を考慮した予測のメリットは,設計当初あるいは供用開始時には,予測結果もかなりの幅を持つ結果としてアウトプットされる.しかし,竣工検査の結果や日常点検あるいは詳細点検の結果,不確実な情報がある程度確実になった場合には,予測結果の幅が徐々に小さくなっていくことになる.このとき,劣化予測の精度向上と点検(主に非破壊検査などを使用した詳細検査)の費用対効果を比較することにより,点検にどの程度予算を使用するべきかを検討することができる.無論,用いた材料や構造物のおかれた環境毎に費用対効果は異なることが予想されるため,この結果を用いることにより,複数の構造物を対象とした場合の点検優先順位を決定することができる.なお,これらの検査の価値評価に関するシステム設計は本年度の研究対象ではないが,本研究の最終的な目標である.

科学研究費:特定領域研究(1)
マイクロケモメカトロニクスの創成に関する総括研究
教授 藤田 博之[代表者],教授(早大)庄子習一,教授(東大)北森武彦,教授(工学院大)三浦宏文,教授(東北大)江刺正喜,教授(九州大)高木誠,教授(工学院大)畑村洋太郎,教授(姫路工大)寺部茂,教授(大阪大)増原宏
本研究は特定研究(B)「マイクロケモメカトロニクスの創成」を円滑に,また効果的に推進するために総括機能を発揮する.特定研究全体の研究方針の策定,研究項目間の企画の調整,研究成果の広報,研究成果に対する評価・助言を行う.また,必要に応じて研究会などの企画に助言や招待講演者の推薦を行う.以上の特定領域研究総括班の機能に加え,本研究の特徴である研究グループ間の共同研究を効率的に遂行するための積極的な提言を行う.

科学研究費:特定領域研究(2)
強相関ソフトマテリアルの動的エントロピー制御とマクロ相分離
教授 田中 肇[代表者], 助手 荒木 武昭
ソフトマテリアルは,自己組織化によりさまざまな空間スケールで多様な構造を形成する.その構造を安定化させる力が熱エネルギー程度で弱いというのがこの物質群がソフトである理由であるが,このことは,構造が他の物質にくらべ不安定である反面,わずかな外場で劇的な構造変化を誘起すること可能であることを示唆している.例えば,我々は,最近セッケン膜系においてスポンジ相からラメラ相への流動誘起トポロジー転移を発見し,また,交流電場により相分離構造を準安定な定常的な構造として安定化させることに成功した.本研究では,これらの研究をさらに発展させ,セッケン膜やコロイド粒子の作る3次元周期構造などの平衡構造,高分子系の相分離構造などの非平衡構造を,流れ場,電場,光強度場などの外場の変調により動的に制御することを目指す.特に,階層ごとの動的制御,秩序変数間の動的結合という全く新しい視点から研究を進める.さらに,このようにして形成した構造を不安定化させマクロ相分離を誘起することにより,成分物質を効率よく回収する方法についても,リサイクルという観点から研究を行う.

超機能デバイスシステム創成を目指した統合的熱管理システムの研究
教授 西尾 茂文[代表者], 助手 永田 真一, 助手 高野 清
高集積化・高密度実装への傾斜により発熱密度が急増しているLSIチップの空冷技術に対して, (a)チップからの発熱を再電力化し放熱負荷を低減する方法, (b)高効率に空気へ放熱する方法[(b-1)放熱面積の拡大, (b-2)高性能ヒートシンク, (b-3)導入空気温度の低温化]の開発が必要である. 本研究では, これらを統合した熱管理システムの開発を目的としている.(b-1)については,細径COMSOS Heat Pipeを内蔵することにより銅の100倍程度の実効熱伝導率を有する薄型熱拡散プレート,および内径0.5mmのSEMOS Heat Pipeを内蔵した薄型熱拡散プレート,(b-2)については,マイクロチャネル・ヒートシンクの最適化について検討している.COSMOS Heat Pipeについては銅の40倍程度の実効熱伝導率の達成,SEMOS Heat Pipeについては動作限界の把握を行った.

モデル脳におけるコーディングとエルゴード性に関する数理的研究
教授 合原 一幸
脳内の機能は多数のニューロン群の協調と競合作用が生み出しているが,電気生理実験においては通常,同じ刺激を繰り返し提示して,少数の (通常は単一の) ニューロン活動の試行平均を計測して発火特性を調べる.その際,この単一ニューロンの試行平均とニューロン群の単一入力に対する応答の集団平均とがどのような条件の下で等価になるかを考える,生理学的エルゴード性問題について理論解析を行った.具体的には,リークのある積分型ニューロンから成るニューラルネットワークモデルを用いて,外部入力,内部結合構造,個別ニューロン特性の 3 要素の再現性への影響を解析した.その結果,外部入力の影響が大きく,ニューロンの内部記憶が短く,外部入力に比べて内部結合の影響が小さいときに発火系列の再現性が大きいことが明らかになった.また,同期と非同期,再現性と非再現性などに着目して,ニューロンの応答特性を解析し,ニューロン集団として同期発火を示すが試行平均では同期性があまり見られない例や逆にニューロン集団では同期の度合いが低いが試行平均としては高い同期性が見られる例を具体的に見出すとともに,エルゴード性が成立する条件を定式化した.

遺伝子・タンパク質系ダイナミクスの非線形システム的理解
教授 合原 一幸
最近の技術的進歩により,個々の遺伝子およびタンパク質の性質が網羅的に明らかにされるのと平行し,複数の遺伝子・タンパク質間の相互作用が示す動的な振る舞いを予測・理解することの重要性が認識されてきている. タンパク質による遺伝子発現の制御やタンパク質・タンパク質間の相互作用は高い非線形性を有し,それらの組み合わせによって構成されている細胞内ネットワークは高い非線形性と複雑性を有したシステムとなっている.近年細胞内ネットワークの振る舞いを予測する,という観点からシミュレーションが大きな注目を集めているが,細胞内ネットワークが示す動的挙動を予測し,その背後にどのような一般的な性質があるのか,という問題を明らかにするためには,コンピューターによるシミュレーションのみでは不十分であり,非線形力学を中心とした数理的理論・手法を用いて現象の抽象的理解を深め,同時に,細胞内ネットワークの解析に適した数理的理論・手法を適時開発・発展させてゆくことが不可欠である. 本研究では,このような観点から,遺伝子・タンパク質ネットワークのダイナミクスについての一般理論の構築を行ってきている.特に,タンパク質による遺伝子の制御ダイナミクスとタンパク質・タンパク質間相互作用ダイナミクスの間に存在する時間スケールの違い,様々な細胞内ダイナミクスに内在する時間遅れ,遺伝子発現・タンパク質反応における確率的な挙動など,細胞内ネットワークに特有の性質を取り入れた一般理論と解析のための数理的手法の構築を行ってきた.また,シミュレーションを援用した新しい細胞内ダイナミクスの予測,そして人工遺伝子ネットワークの設計理論の模索なども行っている.

高・強誘電体膜を用いた極低電圧・超低消費電力FET, 及び高性能新機能素子の開発
教授 平本 俊郎[代表者],教授(東工大)石原 宏
本研究は,将来のIT文明の基盤となりうるポータブルヒューマンインターフェース機器への応用を目指して,超低電圧・超低消費電力で高性能な新デバイスを開発することを目的とする.論理回路向けトランジスタでは,低電圧での超高速性を維持しつつ消費電力を削減する新しい回路型式に適したデバイス構造を提案した.従来のデバイスおよび回路では,電源電圧が低下すると低スタンバイ電力と高速性を同時に満たすことが困難であったが,本提案では,回路とデバイスの協調によりこのトレードオフを解消する.一方,メモリ素子については,強誘電体膜をSRAM素子に用いる低電圧・低消費電力SRAM を提案した.メモリにおいても,従来は低スタンバイ電力と不揮発性を同時に満たすことは困難であったが,新材料の導入により電流を遮断してもデータが消失しない回路構成を実験により示した.

ナノ集積構造制御に基づくオリゴピリジルの固体超分子発光材料の設計
教授 荒木 孝二
結晶や固体中でのクロモフォアの相対位置をはじめとする分子集積様式を制御することができると,単分子系とは異なる多様な固体発光特性を示すことが期待される.本研究では,このような光物性を「ナノ集積様式に基づく超分子発光特性」ととらえ,蛍光性ポリピリジル化合物の分子構造とナノ集積構造,ナノ集積構造と超分子発光特性との関連を検討した.その結果,結晶構造の違いにより,発光色が青から緑まで変化するだけでなく,発光効率にも大きく影響することが判明した.このような発光特性の変化は,結晶中の複素環相互の配列が大きく影響していることを示す結果が得られ,ナノ集積構造制御に基づく新規な固体超分子発光材料開発が可能であることを示した.

超分子核酸構造体の高次階層構造制御とその機能設計
教授 荒木 孝二
分子間相互作用の階層化という方法論に基づく高超分子核酸構造体の高次階層構造制御を行い,非共有結合で形成された柔軟なアルキルシリル置換ヌクレオシドの超分子フィルム作製に成功した.アルキルシリル基の構造とアルキル基末端に導入するオキシエチレン鎖の長さについて検討した結果,核酸塩基間の水素結合をオキシエチレンユニットが阻害しないように分子構造を最適化とすると,塩基間多重水素結合で形成された一次元テープ状ユニットが,さらにテープ間水素結合で結合した二次元シートとなり,オキシエチレン鎖同士の極性相互作用によりシート間が集積して,柔軟性のある超分子フィルムが得られることが判明した.

ナノ集積構造制御に基づくオリゴピリジルの固体超分子発光材料の設計
教授 荒木 孝二[代表者], 助手 務台 俊樹

超分子核酸構造体の高次階層構造制御とその機能設計
教授 荒木 孝二[代表者], 助手 務台 俊樹

生体分子を有するポリマーの疎水性相互作用を利用した特異な細胞接着基質の構築
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ
糖鎖とヌクレオシドの両方を有する高分子(各種共重合体)を設計・合成し, これを生体機能発現の「認識分子」として, 生体材料表面, 微粒子表面や細胞表面における分子レベルでの空間分布を制御することにより, より高い機能を発現する集合体組織へと発展させることを行っている.

カルコゲニド架橋遷移金属クラスター錯体の構築
教授 溝部 裕司
硫黄により架橋された同種または異種の遷移金属を含むクラスター構造は,生体内の金属タンパク・金属酵素の,そして工業的には水素化脱硫触媒の活性部位に存在し,各種反応を効率的に促進するための鍵となる役割を果たしている.本研究では,様々な遷移金属を使いながら,目的とする組成と構造を有する,硫黄または同族のセレン,テルルにより架橋された遷移金属多核骨格を自在に構築する,高収率反応経路を開発することを目的とする.

気相中における光触媒反応の機構解明と新規応用法の開発
助教授 立間 徹
気相中における光触媒反応プロセスの未解明な部分を明らかにし,より新しい光エネルギー変換プロセスへの応用・展開をめざす.

人文社会科学のための空間データの効率的収集・構築手法の開発
教授 柴崎 亮介

ウェブマイニングの為のウェブウェアハウス構築に関する研究
教授 喜連川 優[代表者],助教授(お茶の水女子大)小口正人,中野 美由紀
本研究では更なる新しいサービスを模索すべく,その第一歩としてWEBコンテンツを柔軟に操作可能とする強力なプラットフォームを構築することを目的とする.サーチエンジン企業はクロールしたページ群をインデクスを抽出した後に棄却しているが,本研究では,新たなアプリケーションを実証すべくコンテンツマイニング,リンクマイニングを行えるように,ページ,リンク構造,並びに アンカーテキスト等をウェアハウス化することを試みる.

電極界面修飾を利用する光合成反応中心電子伝達鎖の光レドックス特性解明
教授 渡辺 正
光合成の明反応では,少なくとも十数段階の電子授受を経ながら量子収率ほぼ1.0で光→電子エネルギー変換が進む.こうした驚異の効率は反応中心コア複合体などにおける電子伝達分子間の絶妙な電位チューニングから生まれると推測されるが,過去の化学滴定測定データは大きくバラついているため,精密な解析には使えない.そこで,まず光化学系I反応中心のP700をターゲットに,電極界面修飾を用いた分光電気化学法によるレドックス電位計測を行った.その結果,高等植物のP700については +469 mV vs. SHE(±1.5 mV, n=12)と精度の高い計測が可能とわかり,開発した計測法の有用性が確認できた.

ナノメートルオーダの3次元構造物の高速制御の研究
助教授 川勝 英樹
キャリアが1GHz以上のレーザドップラー計を実現し,大きさ10nmオーダの3次元構造物の10pmオーダの振動を100MHzまで計測可能とした.また,走査型プローブ顕微鏡の試料ラテラル方向の自励振幅をサブオングストロームオーダとすることに成功した.

形態変化する分子を用いた並行計算と分散計算
助教授 藤井 輝夫,山本 貴富喜,大学院学生 金田祥平,教授(東大)萩谷昌巳[代表者],助教授(東大)陶山 明,特任講師(東大)John A. Rose,助教授(東大)浅沼浩之,助教授(東工大)村田智,教授(大阪大)岩崎裕,助教授(大阪大)吉信達夫,教授(大阪電通大)西川明男
本研究では,分子コンピューティング技術をナノテクノロジーとバイオテクノロジー(特に遺伝子解析)へ応用することを念頭において,分子と分子反応の設計論を確立することを目指している.そのうちの特に分子反応の制御に関わる反応の多重化の一形態としてマイクロ生化学システムを用いた分子コンピューティングの実装技術について研究を進めている.

ロボットの動作観察とタスク・スキル獲得による人間の作業熟練過程の解明
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史,(電気通信大) 木村 浩
従来,人の動作観察からロボットの動作・行動を生成する研究として「まねによる学習(Learning from Observation)」などがあるが,そこでは踊り・ジェスチャ・歩行のように実行時に関節情報と簡単な接触情報以外のセンサ情報を必要としない動作のみが扱われてきた.本研究では,実行時に視覚・力覚・触覚などのマルチモーダルな知覚が必須である腕・手・指を用いた組み立てなどの作業動作を対象とし,運動・行動のダイナミックな結合を通しての作業熟練過程の実現と解明を目指す.

情報セキュリティ基盤に起因するリスクを管理するための情報経済工学的研究
助教授 松浦 幹太
お金で解決するようなわかりやすい情報セキュリティ対策は,従来にない安心感をもたらし得る.本研究では,経済工学的リスク管理によって「(当該研究領域の公募概要に掲げられている)安心して生活できる情報環境」に貢献すべく,3つのアプローチを併用した.第一に,経済学的基礎理論構築と政策経済学的実態調査を行い,本研究の本質的方向性に関する正当性確認を完了させた.第二に,リスク定量化を推進する政策学的施策設計を行い,リスク管理の実現性に関する社会制度的基礎を整えつつある.第三に,ネットワーク取引に関わる可用性確保と事後紛争解決機能のための暗号学的・工学的要素技術開発を行い,リスク管理の実現性に関する技術的基礎を整えつつある.今後は第二・第三のアプローチで完成度を高め,全体をとりまとめる必要があろう.

科学研究費:基盤研究(A)(1)
マルチメディアによる地震災害の事後対応過程の検討
助教授 目黒 公郎[代表者],林春男 京都大学防災研究所 教授,A.S.ヘーラト

建築市場・建築産業の現状と将来像
教授 野城 智也,早稲田大学教授 嘉納成男[代表者]
俯瞰的視野にたって今後,都市建築に関してどのような新たな職能が必要とされるのか,そのシーズとニーズを明らかにする

生体細胞の凍結過程におけるミクロ熱・物質移動の能動的促進と活性評価法の確立
助教授 白樫 了,日本大学工学部 教授 棚澤一郎[代表者],日本大学工学部 教授 尾股定夫
生体組織の凍結保存を成功させる最良の方法は,組織細胞の急速凍結によって細胞内液をガラス化することである,大寸法の組織では全体の急速冷却はふつう困難であるが,凍結に先だって十分な濃度の凍害防御剤を細胞内に導入することで,ガラス化が実現できることが分かってきた.本研究では,電場を用いた能動的手法による凍害防御剤の導入方法の効果を実験的に検証する.

科学研究費:基盤研究(A)(2)
粘弾性相分離の機構解明とその普遍性の検証
教授 田中 肇[代表者], 助手 荒木 武昭
我々は,最近,のろまな大きな分子とすばやい小さな分子を混ぜた動的に非対称な混合系において,これまで知られている相分離様式では説明できないまったく新しい相分離様式(粘弾性相分離)を発見した.本研究の目的は,この粘弾性相分離における3次元構造形成機構の解明,その普遍性の範囲の明確化,その物理的起源の解明(特に過渡的ゲル化との関係)にある.具体的には,いまだ解明されていない3次元系における構造形成ダイナミクスを調べるために,高速レーザ走査顕微鏡を用いた実時間3次元構造解析法を確立し,過渡的ゲル形成の素過程を明らかにするとともに,粘弾性相分離で形成されるスポンジ状の構造のトポロジー的特徴とその時間発展を位相幾何学的側面から明らかにする.また,我々は,最近,コロイド粒子を粘度の高い液体粒子とみなす全く新しいシミュレーション法を開発し,この問題を解決することに成功した.そこで,流体力学的相互作用を取り入れたこの方法を用い,コロイド・エマルジョン系の相分離が粘弾性相分離として記述できるか否かを微視的なレベルから検証する.

材料破壊と構造崩壊の連成を考慮した有限要素解析法に関する研究
教授 都井 裕[代表者], 助手 高垣 昌和
連続体損傷力学に基づく構成方程式を導入した有限要素解析法,いわゆる局所的破壊解析法に関するこれまでの研究成果に基づき,解のメッシュ依存性,計算効率,構成式の理論的・実験的根拠,材料定数の決定などに関わる基本的問題点を解消し,材料損傷・破壊統合解析プログラムのプロトタイプを構築することを研究目的とする.今年度は低サイクル疲労挙動の部分連成解析と静的・動的損傷挙動の完全連成解析を試みた.

現実的な装置を用いた場合の量子暗号プロトコルの安全性評価と量子情報理論の定式化
教授 今井 秀樹[代表者], 助教授 松浦 幹太, 助手 古原 和邦
現在利用されている暗号技術は,計算量的安全性に頼っており,例えば量子計算機が実用化されるとそれらの暗号技術に頼った電子社会は崩壊する.その対策として,量子論に安全性を置くプリミティブが研究されてきたが,現実的な装置を用いた場合のシステム化は研究困難であった.本研究では,そのようなシステムで用いるプロトコルの安全性評価を,評価に必要となる理論研究と並行させて実施した.とくに実装に係る問題解決で大きな進展をみた.

量子ナノ構造中の電波束コヒーレンス伝導・損失・利得スペクトルに関する研究
教授 平川 一彦
サブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子は,その速度の微分に比例する電磁波を放出・吸収し,その周波数はテラヘルツ(THz)領域にある.従って,電子が放出・吸収するTHz電磁波を検出・解析することにより,ナノ構造中の電子のダイナミクスを明らかにすることができる.本研究においては,THz電磁波の放射・吸収をプローブとして,(1)量子効果デバイス中の電子波束のダイナミクスと伝導・損失・利得の解明,(2)極短チャネルトランジスタ中の非定常伝導と超高電界伝導,(3)分子伝導における電子・分子・機械変形相互作用など分子伝導特有の新しい物性を明らかにする.

電気で走る近未来車両の先進制御技術に関する研究
教授 堀 洋一
電気モータのもつ特長(速いトルク応答,分散配置,容易な出力トルクの把握)を生かした,電気自動車ならではの新しい制御を追求する.

層状結晶格子を利用した非鉛系強誘電機能材料の設計
教授 宮山 勝[代表者], 助手 野口 祐二
非鉛系のビスマス層状構造酸化物を用い,その層状結晶格子を活用して従来にない強誘電機能および異物性融合機能を発現させるための材料設計を行うことを目的とし,以下の研究を行った.(1)チタン酸ビスマス系での高温電気伝導が酸素−p型混合伝導性であり,ペロブスカイト層中へのバナジウム添加により酸素欠損の低減およびランタン置換によりビスマス欠損の低減がもたらされることを明らかにし,分極特性の向上に有効であることを見出した (2) マンガンを添加したチタン酸ビスマス単結晶において層に平行方向では電子導電性,垂直方向では強誘電性が発現することを見出し,強誘電状態の制御によりメモリー効果をもつ電子導電性制御が可能であることを初めて明らかにした.

リサイクルによる半導体級シリコンの製造
教授 前田 正史[代表者],助手 三宅 正男
本研究では,微量不純物を含有するスクラップシリコンを高速で高純度化し,高純度半導体シリコン素材を製造する新しい方法を開発することを目的とする.はじめに不純物レベルに寛容な太陽電池級シリコンを対象とし,その高速製造を目標とする.最終的には半導体シリコンの再生を目指す.高速精製が達成し,その結果として生産性向上が可能となれば,価格競争力が与えられ,真の省エネルギーリサイクルが実現する.

マイクロ・ナノマシン技術を用いた分子モータの新しい単分子計測
助教授 金 範兌代表者], 助教授 年吉 洋, 助教授 竹内 昌治, 助教授 野地 博行
本研究の目的は,生物の分子モータの回転運動特性を解明にするために,マイクロ・ナノマシン技術を用いて,単分子レベルで計測する技術を確立することである.ミトコンドリアの生体膜に存在するATP合成酵素のうち,膜内在性部分のF0モータの回転特性を解明する.F0モータの回転を誘発するための局部的プロトン場形成させることができるナノ電極アレイを製作する.

環境シミュレーションに基づくコンクリート構造物の高機能補修システムの開発
講師 加藤 佳孝, 教授 魚本 健人[代表者], 助教授 大岡 龍三, 助教授 岸 利治, 教授 古関 潤一,鹿児島大学 助教授 武若耕司
我が国の社会情勢を鑑みれば,少子高齢化が進むこと,経済状況の不振などを考慮すれば,膨大な数の社会資本ストックをできうる限り低コスト(人,費用)で管理していくことが必要不可欠である.さらに,既設構造物の更新コストは新設構造物の約3倍の費用を必要とするだけでなく,環境負荷への影響が多大である.この様な状況下では,構造物の社会システムに対する価値が低下していなければ,できうる限り延命することが得策である.本研究では,特に,構造物の劣化および再劣化に多大な影響を及ぼす環境作用を定量的に評価することで境界条件を明確とし,この結果に基づいたコンクリート構造物の補修システムを開発することを目的としている.さらに,再劣化のメカニズムを明らかとすることにより,構造物の部材,部位に応じた補修工法,補修範囲の選定が適切に実施することが可能となる高機能なシステムを開発する.

複合現実感交通実験スペースの構築によるサステイナブルITSの研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 池内 克史, 教授 須田 義大
本研究は,現実の交通空間とバーチャル空間を複合した「複合現実感交通実験スペース」を構築し,そこで観測・解析されるヒューマン・ファクター特性(利用者の交通選択行動,運転挙動,情報レスポンスなど)に基づいて,サステイナブルなITSの設計・評価を行うものである.

科学研究費:基盤研究(B)(1)
スマート型空間構造システムの開発と構造挙動に関する研究
助教授 川口 健一
元来,建築構造物の形態は建設以後変化しない.しかし,近年,建築構造物への要求は大きく多様化しており,開閉式ドームなどの可変式の建築が登場するようになってきている.このような傾向は,通常のビル建築以上に,ドーム構造や展示施設などの特殊構造をもった大規模集客施設,いわゆる空間構造物と呼ばれる建築構造物において顕著である.しかし,従来の開閉式ドームなどに代表される可変式構造物は既存の重工業的な技術の延長であったため,空間構造本来の軽量性という特徴を失ってしまっている. 本研究では,空間構造物本来の特徴である軽量性を損なわず,様々な荷重,用途条件下で最も適した構造システムを形成するスマート構造としての可変空間構造を開発することを研究の目的とする. 本研究は全体を3つのphaseに分けて行なう. phase1.既往解析プログラムの発展.基本モデルの作成. phase2.解析システムの確認,張力安定トラスモデル載荷,振動実験 phase3.可変制御モデルの作製と構造実験 本年度は,昨年までのモデル載荷実験及びプログラム開発に基づき,可変制御モデルの作成を行った.可変部分には形状記憶合金に基づく金属系の温度制御による可変部材を用いた.ある程度の応力制御が出来ることを確認したが,製品化されている部材の径が極端に細いため,建築構造としての応力レベルを負担することが出来ず,今後の課題である.

高解像度衛星画像を用いた都市災害地域の自動判読手法の開発
助教授 山崎 文雄[代表者], 特別研究員 小檜山 雅之,(独)防災科学技術研究所地震防災フロンティア研究センター研究員 松岡昌志,アジア航測株式会社 防災部総合防災課研究員 三富創,ImageCat Inc.CEO Ronald T.Eguchi
空間解像度が1mのIKONOS衛星などの高解像度衛星画像を,被害地域と被害程度の迅速な把握へ利用するため,災害直後の画像のみを用いた災害把握を行う手法を開発する.とくに都市の地震災害を考えた場合,その都市域の建物特性や密集度などによって,被害の様相に大きな差があるものと考えられる.本研究は,2001年インド西部地震,2001年ニューヨーク貿易センタービル(WTC)テロ,それに1995年兵庫県南部地震を代表的な例として取り上げて,発展途上国の都市域,高度集積都市,日本の密集市街地の3つを対象とした被害自動判読手法を検討する.

公共建設調達における契約システムの評価モデル
教授 野城 智也,助教授(東大) 小澤一雅[代表者]
公共建設調達における契約システムを評価するためのモデルを開発することを目的にする

神経系情報による外部機器の融合的制御システムの開発
助教授 竹内 昌治,特任講師(東大) 鈴木隆文[代表者],教授(東大) 満渕邦彦

科学研究費:基盤研究(B)(2)
非対称結合量子井戸を用いた半導体フォトリフラクティブ素子の研究
教授 黒田 和男[代表者], 教授 荒川 泰彦, 助教授 志村 努, 助手 芦原 聡,助教授(神戸大学) 的場 修
本研究の目的は,半導体量子井戸フォトリフラクティブ素子に,トンネル障壁を介して複数の特性の異なる量子井戸を結合させた非対称結合量子井戸構造を導入することにより,電界屈折率効果の増大やバンド幅の拡大など素子性能の向上を図ることにある.本年度はGaAsN/GaN量子井戸構造を形成し,その光物性を測定し,フォトリフラクティブ効果の可能性を探索した.

リラクサー系強誘電体によるフォトリフラクティブ材料の研究
助教授 志村 努[代表者], 教授 黒田 和男, 助教授 小田 克郎,助教授(神戸大学)的場修, 助手 芦原 聡
本研究は,リラクサー型強誘電体によるフォトリフラクティブ材料の研究を行い,これまでに無い大きな屈折率変化を持つバルク・フォトリフラクティブ材料を実現しようとするものである.圧電効果の大きな材料は,光弾性効果との組み合わせにより実効的に大きな電気光学定数が得られ,フォトリフラクティブ効果も大きくなる.このことからわれわれは,リラクサー型強誘電体のひとつとして,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3とPbTiO3の固溶体であるPZN/PT単結晶に着目し,フラックス法による結晶育成を行った.その結果二光波混合ゲイン21cm-1という大きなフォトリフラクティブ効果を観測した.さらに,鉄,マンガン,ロジウム等の不純物を添加し,効果の増強,応答速度の高速化,感度波長の拡大等を試みた.

偏心を有する不整形建築物のねじれ地震応答性状の評価と予測に関する研究
助教授 中埜 良昭[代表者], 助手 真田 靖士
本研究の主目的は,平面上の構造非整形性を有するRC造構造物を対象に,@応答スペクトル法の枠組みに整合しうる地震応答評価手法を提案し,Aその有効性と適用範囲を実験的・解析的に検証すること,およびBねじれ応答を制御するための設計クライテリアを提案すること,にある. 本研究で検討する評価手法は,有偏心架構の非線形応答時における等価剛性に立脚した振動モードの変動を考慮した等価1自由度系解析に基づくものである.したがって,従来の弾性時における剛性偏心のみを指標とした場合には顕在化しない問題,例えば耐震改修時における耐震要素として鉄骨枠付きブレースを用いた場合,その弾性剛性がRC造壁に比較して低いがゆえに軽視されがちな耐力偏心の問題も,非線形応答時の等価剛性を考慮することにより架構のねじれ応答性状を統一的に評価・推定できる手法を検討する.

非線形波力の摂動解に表れるセキュラー項の除去と模型試験による検証
教授 木下 健
非線形波力のうち2次波力(長周期変動漂流力,2次高周波波力)や波漂流減衰力については,従来の方法で得られるが,より高次の波力,たとえば3次波力や波漂流付加質量の計算では,セキュラー項が表れ求解できない.本研究ではこの問題の新しい求解法を見出す.

マイクロPIVによる微小流路内電気浸透流の可視化計測技術の開発
助教授 大島 まり[代表者], 教授 小林 敏雄, 助教授 谷口 伸行, 助手 佐賀 徹雄
近年では,ゲノム解析に代表されるような生化学実験や分析操作をマイクロファブリケーションによって製作したチップ上で行う研究が世界的に着目されている.スケールを微小化することにより,表面積/体積比が増大し,分子拡散効果が相対的に増大することから,反応や分析操作の高速化や効率化が可能である.一方,マイクロ生化学システムにおいては,マイクロ流路内の流れを介した反応が原理となっているため,マイクロスケールに特有な流動現象が現れる. 一般にマイクロ生化学システムでは電気浸透流を用いている.電気浸透流は流体操作が容易である一方,複雑な流動現象であり,未知の部分が多い.そこで,本研究では電気浸透流の物理現象を解明するために,微小空間スケールにおける計測技術の開発を目的としている. 具体的な手法としては,画像計測法として確立されているPIV(Particle Image Velocimetry)をマイクロスケールの流れに適用したマイクロPIVの開発を行う.チャネル幅200μm-30μm のマイクロチャネルをモデルとして用いて,マイクロPIVを微小流路内電気浸透流に適用した際に解決すべき点を明らかにするとともに,マイクロPIVの計測技術の確立を目指す.

Flameletアプローチに基づく乱流燃焼場のLESモデリング代表者部局 情報基盤センター・生産技術研究所(兼担)
助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 大島 まり, 助手 佐賀 徹雄
本研究では,特にエネルギー環境問題において重要な位置を占める燃焼流れを対象に数値解析モデリングを確立して合理的な設計法としての導入を図る.そこで,乱流変動が支配的と考えられる乱流燃焼場に対してスケール分離の概念を導入し,流れマクロスケールをラージ・エディ・シミュレーション(LES)により,化学反応との干渉スケールをflameletアプローチに基づく火炎モデルにより解析する方法を確立する.

量子ドットの光イオン化を用いた超高感度中赤外光検出器の開発
教授 平川 一彦
中赤外光領域は,リモートセンシング,赤外線カメラ,環境モニタリング,生物・化学分光などの分野で急速にその重要性を増しつつある.我々は,自己組織化InAs量子ドットを高移動度変調ドープ量子井戸中に埋め込んだ横方向伝導型量子ドット赤外光検出器構造を提案し,量子ドットの光イオン化を利用して,高い光検出感度を実現している.本研究の目標は,我々が提案している横方向伝導型量子ドット赤外光検出器の実用化である.そのために,本研究では以下の点を目標に研究を進める.(1)自己組織化量子ドットの作製条件と電子状態の解明(2)量子ドット中のサブバンド間遷移過程の解明(3)量子ドット赤外光検出器の性能評価(4)量子ドット赤外光検出器の構造最適化(5)赤外単一光子検出の実現

力覚を用いたネットワークコラボレーションの研究
助教授 瀬崎 薫[代表者], 助手 小松 邦紀

水素結合性主鎖を有する超分子繊維の創製とその機能開発
教授 荒木 孝二
共有結合された主鎖を持つ高分子ではなく,一次元多重水素結合により形成された疑似高分子鎖を持つ超分子繊維を溶融紡糸により作製した.多重水素結合で形成される水素結合性擬似高分子鎖は比較的剛直なため,非極性で柔軟性に富む長鎖アルキルシリル側鎖で包むという分子設計指針を行った.その結果,二重水素結合鎖を持つ核酸誘導体および三重水素結合鎖を形成するトリアミドシクロヘキサンおよびトリアミドベンゼン誘導体を用いて分子構造最適化を行うと,溶融紡糸もしくは加熱紡糸により,柔軟性のある超分子繊維が作製できることを実証した.また,側鎖の嵩高さを利用して,疑似高分子鎖の一次配列制御も容易に実現できることを示した

水素結合性主鎖を有する超分子繊維の創成とその機能開発
教授 荒木 孝二[代表者], 助手 務台 俊樹

溶存オゾンの吸着による高濃度オゾン反応場の創生と水処理への応用(継続)
教授 迫田 章義[代表者], 助手 下ケ橋 雅樹,泉順
本研究は,新規に開発されたシリカ系吸着剤に溶存オゾンを吸着させることによって高濃度の反応場を創生し,この反応場で有機汚染物質を分解する新しい水処理プロセスを開発しようとするものである.具体的には,吸着剤の性質,吸着条件の観点から溶存オゾンおよび水処理の対象となる一般的な有機化合物(フェノール,トリクロロエチレンなど)の吸着特性を実験的に明らかにすること,オゾンと有機物が共に濃縮された吸着相における双方の分解反応機構を明らかにすること,さらに細孔内とバルク水中でのオゾン有機物分解反応の詳細な比較を行って吸着剤細孔内への濃縮効果を明瞭にして水処理プロセスの設計に展開することを目的としている.

3d遷移金属および希土類合金の硬X線発光磁気円二色性の研究
教授 七尾 進
X線発光分光法は,材料にX線を照射し,材料からの二次発光スペクトルを調べることによって,材料を構成する元素の電子状態を調べる測定法である。磁性材料の場合,照射するX線に円偏光したX線を用いると,円偏光の向きによって材料の発光応答が異なる現象が生じる。これを,発光磁気円二色性という。X線発光の円二色性を応用して,磁性材料の電子状態を,磁性電子ごとに調べることが本研究の目的である。発光分光装置の改良を行いつつ,希土類・遷移金属系合金をはじめとする種々の磁性材料における測定を行い極めて有用な知見を得た。

細胞を用いた糖鎖合成と高機能高分子化
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ,教授(慶大)佐藤智典
本研究は,各種の動物細胞,植物細胞を糖鎖生産工場として利用するという発想により,「糖鎖プライマー」を細胞に与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,多岐にわたる糖鎖ライブラリーを構築し,糖質ポリマーを合成しようとするものである.糖鎖に疎水性の基を付けた「糖鎖プライマー」を細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.さらに,得られた糖鎖の機能解析を行い,優れた機能を有した糖鎖を素材とした機能性糖鎖高分子を作製する.

糖鎖を有する生分解性ポリマーの合成
教授 畑中 研一
本研究では,材料の物性こそがまず重要であるという観点から,どんな種類の高分子材料にも生分解性を付与してしまおうという全く新しい試みを行う.すなわち,目的に合った物質特性を有する各高分子材料に生分解性を付与していこうという積極的な立場で新素材開発に取り組んでいこうとするものである.具体的には,種々の高分子材料の分子鎖中に単糖あるいはオリゴ糖鎖を組み込み,材料本来の物性を損なうことなく生分解性を付与していこうという試みを行う.さらに,糖鎖部分がどのような構造であれば生分解を受けるのか,すなわち,生分解されるために必要な糖鎖の最小単位は何であるのかを明らかにする.本年度は,主鎖中にラクトースを有する芳香族ポリエステルを合成した.配分金額

小型バイオハイブリッド人体代謝シミュレータ開発と新規毒性評価系としての利用(継続)
助教授 酒井 康行[代表者], 教授 迫田 章義,((株)東レリサーチセンター)谷口 佳隆
既存の単一培養細胞からなる毒性評価系では,吸収・代謝・分配といった人体内での毒性発現に至までのプロセスが考慮されない.そこで,これらを考慮する実験系として,膜上に培養された小腸上皮細胞と担体内に高密度培養された肝細胞および標的臓器細胞(腎臓・肺など)を生理学的な培養液灌流回路で接続する新規かつ小型簡便な毒性評価システムを開発し,システム内での毒性発現の経時変化を観察すると共に,システムを一種の吸収・代謝シミュレータとして位置づけ,反応液を他のバイオアッセイで評価する新たな利用法についても検討を開始している.

光誘起表面反応を併用したCVD法によるダイヤモンド膜の低温形成
助教授 光田 好孝[代表者],光田研 大学院学生 保科誠,技術官 葛巻 徹
光誘起表面反応を併用したCVD法によるダイヤモンド膜の低温形成ダイヤモンド膜の気相生成上の問題に,高基体温度(800〜900℃)がある.これは,sp3軌道を維持するために表面を終端するH原子が,高温(700℃以上)でないと脱離しないためである.そこで,本研究では,低基体温度成長のために,光励起反応による原子の吸着・脱離過程について測定し,H原子を低温脱離させる光誘起表面反応を実現させ,この結果を用いてダイヤモンド膜を低温で形成することを目的とする. 本年度は,高圧合成Tb型単結晶を用いて,昨年作製したドース機構を用いて,試料表面のダングリングボンドを水素で終端処理を行った.超高真空中に残存する水素と区別するために重水素を用い,試料加熱による気体分子の熱解離を利用している.光励起脱離の測定を行うためには,試料表面が目的とする終端構造である必要があるため,水素終端試料から熱脱離する水素分子の質量スペクトル測定を行い,熱脱離測定によって試料表面の終端構造を確認した.得られた水素終端表面に対して,YAGレーザーの4倍波を照射し光脱離する種の特定および試料温度依存性の測定を行っている.

不揮発性メモリの実現に向けた高誘電率キャパシタ材料の低温形成
助教授 光田 好孝[代表者],技術官 葛巻 徹
キャパシタ材料である強誘電体膜の結晶化に不可欠な熱処理は,特性劣化の主要な原因でもある.そこで,本研究では,イオン衝撃による膜の結晶化を促進し,電子デバイス級の高品質な結晶膜の作製を目的とする. 引き続き,代表的な強誘電体の一つであるチタン酸バリウムを研究対象に選び現有の両極性スパッタリング装置を用いて,基板には電子デバイスへの応用などの観点からシリコン基板,ターゲットには得られる薄膜組成が化学量論組成となるように混合比を調整した粉末ターゲットを用いて,チタン酸バリウム薄膜の作製を行った.昨年までに低基板温度でもイオン衝撃により薄膜の結晶化が進行して比誘電率の増加が確認されたが,結晶欠陥に依存する漏れ電流に起因する誘電損失が大きい欠点も明らかとなっている.そこで,印加バイアスを減少すると同時に照射イオン電流を増加させるために,用いるプラズマの電離密度の向上を目指した研究を行った.その結果,誘電損失が減少する傾向が確認され,プロセスの最適化により高い比誘電率と低い誘電損失との両方を実現させる可能性が示された.

液状化対策としての地盤固化処理工法の設計合理化に関する研究
教授 古関 潤一[代表者], 助手 佐藤 剛司
砂質地盤の液状化対策として固化処理工法を適用した場合の設計を合理化するために,改良地盤に作用する引張応力と,これに抵抗する引張強度を精度よく評価する手法を確立することを目的として,実験的な検討を実施している.本年度は,初期中間主応力の大きさを変化させながら平面ひずみ状態で圧縮試験を行い,三次元応力下での破壊規準の形状を明らかにした.

地盤材料の繰返し変形特性を求める中空ねじり試験法の精度向上に関する研究
教授 古関 潤一
地盤材料の繰返し変形特性を中空ねじり試験により求める場合の精度を向上させることを目的として,試験結果に及ぼす端面摩擦とベッディングエラーの影響について検討している.本年度は,初期異方性と応力誘導異方性および主応力軸方向の回転の影響を考慮できる新しい亜弾性モデルの構築を行った.

擬似衛星を利用した都市空間におけるシームレス高精度測位システムの開発
教授 柴崎 亮介

環境アセスメントのための建設工事騒音予測手法の開発研究
教授 橘 秀樹[代表者], 教授 桑原 雅夫, 助教授 坂本 慎一, 助手 上野 佳奈子,財団法人小林理学研究所 所長 山本貢平
近年,建設工事騒音も環境騒音の一つとして重要視されてきており,環境アセスメントにおいても正確な予測が必要となってきている.この問題に対して,まずエネルギーベースの考え方に立った予測計算法を構築し,騒音源の発生出力の測定・評価方法について検討を行った.また予測の原データとなる各種建設用機械の音響出力の実測調査も行った.

接合部変形・柱脚変形を伴う鉄骨架構の地震応答挙動
助教授 大井 謙一[代表者], 助手 嶋脇 與助
わが国における鉄骨接合部の設計法では,保有耐力接合の考え方に代表されるように,接合部の強度確保を中心としたものであった.阪神・淡路大震災の反省からも溶接による剛接合が必ずしも耐震設計上の最適解ではなく,接合部自体の弾塑性変形性状やエネルギー散逸性能に立脚した新しい設計法の出現が望まれる.本研究ではメカニカルファスナーと金物による梁端接合部ディテールならびに露出形式の柱脚ディテールを対象として,いずれも部分強度・半剛接接合部を有する部材模型試験体を耐震性能観測装置に接続し,強制振動実験により接合部のエネルギー散逸性能を含む振動特性を実測する.自然地震に対する応答観測体制を完成し,この種の接合部変形を含む鉄骨架構の地震応答性状に関する実証的な資料を収集する.

繊維強化セラミックスの誘電特性を用いた非接触・非破壊損傷検出による残存強度の測定
教授 香川 豊[代表者], 助教授 朱 世杰, 助手 本田 紘一,宇部興産褐、究所 石川敏弘
構造体となった織物SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の内部に蓄積した損傷量(D)と残存強度(R)を大気中,非接触,非破壊で定量的に求める方法を構築する.

MHzリプロンの実時間直接測定による液体表面ダイナミクスの高速観察
助教授 酒井 啓司[代表者], 助手 美谷 周二朗
液体表面はきわめて化学的・物理的な活性に富んだ反応場であり,またその対称性の破れから新しい分子集合体形成の環境として期待されている.しかし表面での分子反応はわずか一分子層程度の厚みの空間で起こるため,感度のよい液体表面物性測定法の開発が望まれていた.本研究は,液体表面への分子の高速吸着・脱離現象や2次元相転移の動的プロセスを高い時間分解能で調べる手法として実時間相関処理による高周波リプロン計測システムの構築を目的とする.これまで当研究室で培った光散乱技術にコンピュータを利用した高速相関処理を組み合わせることにより,10msという短時間でのリプロン分光が可能になった.さらにこのシステムを2次元分子反応の観察に応用する研究を進めている.

マイクロ波散乱計を用いた海面計測手法の開発
助教授 林 昌奎
能動型マイクロ波センサの1つであるマイクロ波散乱計を用いた風,波,流れなどの海面情報計測手法の開発を行っている.海面におけるマイクロ波散乱に及ぼす風,波,流れの影響を,理論と実験の両面から解析する.海面からのマイクロ波散乱メカニズムを明確にする.また,マイクロ波散乱計を用いた衛星リモートセンシングによる海面計測手法を開発する.

RF信号処理用超高周波シリコンナノ振動子
教授 コラール ドミニク[代表者], 教授 藤田 博之, 助教授 金 範凵CCNRS/IEMN BUCHAILLOT, Lionel,CNRS/IEMN AGACHE, Vincent,CNRS/IEMN BOE, Alexandre,CNRS/IEMN LEGRAND, Bernard
本研究の目的は,半導体技術を援用したマイクロ・ナノ加工によりGHz帯の振動子を作り,無線情報通信に用いる送受信機の格段の性能向上と,小型1チップ化を図るものである.

CO2排出を半減する環境共生型都市・建築・設備技術の開発
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介,宋 斗三,協力研究員 白石靖幸,顧問研究員 村上周三,研究員 伊香賀俊治
都市と建築に係わるCO2排出量を50%削減するための具体的な都市計画,建築計画,設備技術上の対策を提示する.特に,都市部におけるエネルギーの流れ,物質循環構造に焦点をあてたエネルギー・物質の利用効率の高い都市環境社会システムの提案を行い,未だ充分とはいえない建築物のライフサイクルを通しての環境負荷評価手法(LCA:ライフサイクルアセスメント)及びLCCO2(ライフサイクルCO2)データベースの実用化を図る.更に,実際の建築プロジェクトを通してLCCO2半減を可能とする新たな環境共生型の建築・設備技術の開発を行う.

アクエアス・コンピューティングのドロプレット実装と分子強化学習への応用
助教授 藤井 輝夫,大学院学生 金田祥平,助教授(東工大)山村雅幸[代表者]
分子を情報担体とした溶液系によって計算を行う「アクエアス・コンピューティング」のアルゴリズムに基づいた実装デバイスとして,微量体積の液滴操作を行うことができるマイクロ流体デバイスを製作し,分子計算の実現に必要な生化学反応及び分離操作の実現を試みている.

サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
教授 山本 良一
本研究に於いて,サーファクタント(surfactant)と呼ばれる表面活性剤で下地基盤表面を修飾し,その表面物性を変化させることにより薄膜成長の制御を行い,良質のヘテロ界面を有する金属多層膜を作製し,その機能を向上させる.具体的には,(1)サーファクタント媒介エピタキシー法や薄膜の配向面を制御する手法であるシーディッドエピタキシー法により金属多層膜の界面構造あるいは配向面を原子層レベルでの正確な制御,(2)垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果を示す金属多層膜にサーファクタントエピタキシー法を応用することによる極限的に高品質なヘテロ界面を有する金属多層膜の作製,(3)磁性や電気伝導に及ぼす界面の影響を調べることにより,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果のメカニズムを明確にすること,そして(4)得られた知見をもとに金属多層膜を設計・作製し,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果等の金属多層膜の物性を向上させることである.

科学研究費:基盤研究(C)(1)
東京湾に注ぎ込む4河川の再現モデルDHMと東京湾流動モデルtideとの統合
助教授 デュシュマンタ ダッタ

マイクロ/ナノビジュアリゼーションに関する国際共同研究企画調査
教授(埼玉大学) 川橋正昭 [代表者],教授(北海道大学)井口 学,教授(関西大学) 植村知正, 助教授 大島 まり,助教授(東大) 岡本孝司,教授(東洋大学)加藤洋治,助教授(日本大学)木村元昭, 助手 佐賀 徹雄,助手(東京大学)杉井康彦,助教授(横浜国)西野耕一,教授(九大)速水洋,助教授(埼玉大学)平原裕行,教授(東京理科大学)本阿弥眞治,助教授(北海道大学)村井祐一,教授(東洋大学)望月 修,教授(岐阜大学)山下新太郎,教授(福井大学)山本富士夫
医療・環境などにおいてマイクロ/ナノテクノロジーの発展に対する社会的要請は高まりつつある.このようなマイクロ/ナノテクノロジーを支える計測技術の中で,マイクロ/ナノビジュアリゼーション技術は最も有用かつ有効な計測技術である.そこで,本研究ではマイクロ/ナノビジュアリゼーションに関する,内外の動向調査とともに今後の方向性を明らかにしていく.

科学研究費:基盤研究(C)(2)
STMによる準結晶の原子構造と電子状態に関する研究
助教授 枝川 圭一
本研究では,STM法により準結晶の原子配列秩序の特徴を明らかにし,同時にSTS法を用いて準結晶の表面電子状態を調べることを目的としている.これにより,理論的に予測されているcritical stateやconfined state等準結晶特有の電子状態に関する知見が得られることが期待される.

ナノプローブを用いたInAs微細構造の表面近傍電子状態評価と電子伝導機構の解明
助教授 高橋 琢二
複合型走査プローブ顕微鏡技術(ナノプローブ)を利用して,InAs薄膜,量子細線および量子ドット構造における表面近傍電子状態を評価すること,ならびに電子伝導機構を解明することを目指した.その結果,レーザ光照射下でのSTMによる単一量子細線構造の光吸収特性の評価,導電性探針AFMでの直接電流計測によるInAs細線領域の可視化,およびKFMによるInAs薄膜・量子細線の表面ポテンシャルの評価,等に成功している.

分子軌道法を基にした分子動力学方の非晶質酸化物への応用
助教授 井上 博之

ウォートルス三兄弟の研究:ニュージーランドと米国コロラド州における活動を中心に
教授 藤森 照信[代表者],藤森研 学術研究支援員 丸山雅子

道路空間画像における車両と歩行者を協調させた追跡・状況認識技術の開発
助教授 上條 俊介[代表者], 教授 坂内 正夫
画像上における車両と歩行者を統一的にトラッキングするためのアルゴリズムを,時空間MRFモデルを改良することにより開発する.

科学研究費:基盤研究(S)
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
教授 高木 堅志郎[代表者], 助教授 酒井 啓司, 助手 美谷 周二朗
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他,分子内振動や回転運動にも分配される.これらの自由度間にはカップリングが生じ,これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている.本研究は,新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して,振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする.本年度は連続波レーザー励起光カースペクトロスコピー装置と高分解能ブリュアン散乱装置の高性能化を図り,液晶等方相における分子の並進運動と回転運動の結合輸送係数の定量測定を行った.さらにこれを分子形状から理論的に導くことを目指している.

熱輸送デバイス/熱電エンジンによる熱回収システム化技術
教授 西尾 茂文[代表者],教授(東大) 相澤龍彦
エネルギー資源・環境保全の課題に対し,低温排熱の有効利用技術を実現することが一つの重要課題として研究を行っている.周知のように熱エネルギーは低温排熱として多量が廃棄されているが,この状況を脱するには,構造シンプル性に基づく動力化(電力化)装置が不可欠である.本研究では,構造シンプル性を有する熱電素子に注目する.熱電素子の課題は,1)現実に利用できている温度差と排熱自体としての温度差の比である温度差利用率の飛躍的向上,2)熱電素子の集積度の飛躍的向上である.1)については,500K程度まで作動する細径熱輸送デバイスを創製し,これを高効率フィン構造として利用することにより温度差利用率を飛躍的に高める.2)については,Bi-Te系のシート材を創製し,それを積層化することにより,集積度の飛躍的向上を図る.この二つのキー要素を開発することにより,排熱発生パターンや場所に依存しない汎用の低温排熱動力化システムを構築する.

CFDの逆問題解析に基づく室内温熱・空気環境の最適設計システムの開発
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三,顧問研究員 村上周三,協力研究員 白石靖幸
本研究は,室内温熱・空気環境解析シミュレーションの逆変換法を用いる総合的な室内の温熱・空気環境の設計システムの構築を目的とする.室内の環境性状を設計目標値に最大限近似させるための室内の物理的な環境条件を求める手法,すなわち逆問題解析による環境の自動最適化設計システムの開発を行う.このシステムは,様々な室内環境の制御要素の組み合わせ及び室内環境の最適化の合理的な判断ができるため,経験のない空間においても適用可能となる.この解析手法の完成により,目標とする(例えば,省エネルギー的で健康的な)室内環境の自動設計が可能となる.

組積造構造物の経済性を考慮した効果的耐震補強手法の開発
助教授 目黒 公郎

科学研究費:萌芽研究
レーザーによる生体膜のマイクロ・マニピュレーション
教授 高木 堅志郎[代表者], 助教授 酒井 啓司, 助手 美谷 周二朗
生体膜は脂質分子が溶液中で自己組織化的に会合して形成する2次元分子集合体である.本研究は,独自に開発されたレーザー光による2次元面の変形・制御技術を利用して,溶液や大気中に保持された生体膜を非接触につまみ,引っ張り,その応答を調べるという「生体膜マニピュレーション」を行う.本年度は大気中に保持された界面活性剤の薄膜について,レーザーによる厚み変形を印加しての応答測定を試みた.この応答関数から,界面活性剤分子どうしが溶質を介して互いに及ぼしあう様々な相互作用を,分子レベルで直接測定することが可能になる.

極薄研磨保持具の高速製造法に関する研究
教授 谷 泰弘
水晶振動子の高速化においてはウェーハを薄肉化する必要がある.したがって,水晶を研磨する研磨加工用保持具も薄肉化する必要がある.本研究では電鋳技術やスピンコーティング技術を利用して従来製法では不可能であった超薄型の保持具の製造法を検討する.

電場・磁場を用いた非平衡状態における氷晶の相変化アクティブ制御に関する研究
助教授 白樫 了
水溶液(特に電解質)中の氷晶は,周囲の溶液の電場による発熱や交番磁場による渦電流による発熱等により,再結晶や結晶成長などに影響を与える可能性がある.本研究では,磁場や電場を用いた氷晶の形態のアクティブな制御の可能性を探る

病原性細胞の産生する糖鎖を用いる抗体作成に関する基礎研究
教授 畑中 研一
各種のガン細胞,バクテリア等を糖鎖の生産工場として利用するという発想により,培地中に「糖鎖プライマー」を与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,糖質ポリマーを合成することによって,糖鎖抗原を構築することを試みている.糖鎖に疎水性の基を付けた糖鎖プライマーを細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.得られた糖鎖の機能解析を行い,高い抗原性を有する糖鎖高分子を作製する.本研究で用いる『糖鎖プライマー法』は簡便であり,化学合成のような職人芸を必要としない.また,糖鎖の構造を解析することなしに抗体作成を行える点に特徴がある.通常,生合成された糖脂質は細胞内や細胞膜に留まるが,脂質部分が一本鎖アルキルの糖鎖プライマーは,糖鎖伸長後に膜上に留まることができず,培地中に多量に放出される.しかも,アジドなどの細胞内で安定に存在する置換基をあらかじめ糖鎖プライマーのアグリコン部分に導入しておくことによって,生成する糖脂質を容易に高分子化することが出来る.

環境汚染物質の胎児移行性の簡便評価に適したin vitro血液胎盤関門モデル
助教授 酒井 康行[代表者],教授(東大医科研)高橋恒夫,助手(東大医科研)渡辺信和
本研究は,様々な環境汚染物質の母体から胎児への移行性評価のための簡便なin vitro評価系を,代表的な環境汚染物質の透過性・蓄積性などを実際に測定,ヒト灌流胎盤実験のデータと比較検討することを通じて,確立することを目的とする.これらをある程度再現するとされている2つのin vitro細胞モデルを本研究では評価の対象とする.具体的には,母体ウィルスやグロブリンの胎児への移行モデルとしての使用例があるヒト胎盤絨毛ガン細胞由来のBeWo細胞や,ヒト胎盤絨毛から最も信頼されている手法で単離・精製した栄養芽細胞を,市販の半透膜培養器上で培養するモデルを対象とする.これらを用いて,重金属や他環芳香族類・内分泌攪乱性物質など主要な環境汚染物質群を母体側に負荷しその胎児側への透過と細胞層内の蓄積評価や,実環境サンプルを用いた包括的な毒性の透過実験などを行い,その有効性と限界性を評価する.

分散配置レーザスキャナによる歩行者や車両のリアルタイムトラッキング手法
教授 柴崎 亮介

インフレータブルストラクチャーの形態解析
助教授 川口 健一
近年,従来の空気膜構造とは明らかに異なる構造が提案されつつある.これらの構造は,インフレータブル構造と呼ばれ,内部に空気などの気体を導入し,その圧力により強度を得る構造である.従来,空気膜構造と呼ばれる構造があったが,近年の材料工学の飛躍的な進歩に支えられ,その形態的なバリエーションは従来の空気膜構造の概念を遥かに超えるものとなっている.本研究では,これらのインフレータブル構造について,その形態から分類調査を行い,さらに,そのインフレーション過程に着目して,インフレータブルの可能性と,最適なインフレーション過程について数値解析を用いた考察を行う.解析に際しては,従来の荷重型制御では解析不能であった大変位過程に対し,内包気体の分子量に着目する新しい手法を提案し,安定的な解析を行う手法を開発する. 本年度は,プログラム解析結果を確認するために実大(直径6m)のインフレータブルドームモデルを作成し,数度にわたりインフレート実験を行った.解析結果との検証は目下実施中である.

透光性を持つ周波数選択型電波遮蔽複合材料の実現
教授 香川 豊[代表者], 助手 本田 紘一
可視光領域の光は透明マトリックス材料対比95%以上透過し,周波数20〜70GHzのミリ波帯域中,目的とする周波数を中心とした任意の10GHzの帯域で電界強度比で最低95%以上の電波衰退ができる,厚さ5mm以下の複合材料を電波の偏光機能を利用して実現する.目的とする周波数に対応できる周波数選択型の電波遮蔽材料特性設計の方法を提案する.

次世代電荷デバイス用ニオブ粉末の新しい製造プロセス
教授 前田 正史[代表者],CBMMアジア(株) 今葷倍正名, 助教授 岡部 徹
本研究は次世代の高性能電荷デバイス(コンデンサ)の基幹素材となりうる高純度ニオブ粉末を製造する新しい製造プロセスの開発を目指したものである.研究対象となるニオブは,その全量がバルク素材として利用されてきたため,これまで粉末としての用途が無かった.このため,ニオブ粉末の製造プロセスを対象とした既存の研究はほとんど無い.ニオブコンデンサの実用化研究が進む中で,高純度で微細なニオブ粉末は不可欠な素材となりつつあるが,本研究によって効率良く低いコストでニオブ粉末を製造する基盤技術が開発されれば,電荷デバイス産業に技術革新をもたらす可能性がある.

大型雨水貯留槽・浸透槽を利用した季節間蓄熱空調システムの開発・研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介,宋 斗三, 助教授 谷口 伸行,協力研究員 白石靖幸,研究員 山田常圭,(三建設備)水谷国男,(前川製作所)真田勝
本研究では都市部において地中に埋設される雨水貯留槽・浸透槽に着目し,これを地中の蓄熱熱源として利用し,更に防災用水設備としても複合利用することにより,経済的に実用可能な季節間蓄熱空調システムを考察するものである.雨水浸透槽から土壌への放熱・採熱特性を,実験と数値伝熱シミュレーションにより検討する.これにより本考察システムの放熱・採熱能力を固定し,通常の空気熱源式空調システムに比較した時の省エネルギー効果について検討する.本システムが地下水涵養や防災用水確保等の効果も複合的に有していることを踏まえ,システム導入における費用対効果についても検討を行う.

柔軟構造を有する次世代多点微小神経電極の開発
助教授 竹内 昌治,特任講師(東大) 鈴木隆文[代表者],教授(東大) 満渕邦彦

携帯型位置測定端末を用いた交通空間での人間行動測定のための基礎理論の構築
教授 桑原 雅夫[代表者],助手 田中伸治,助手(神戸大)
本研究では,携帯電話などが持つ簡便で一般に普及している位置測定機能によって得ることができる位置情報をもとに,交通空間における人の動きを分析する手法を開発することを目的とする.

科学研究費:特別研究員奨励費
鉄道のレール頭頂面に発生する波状摩耗の発生・成長メカニズムに関する研究
教授 須田 義大[代表者],張業継(特別研究員)
レールに発生する波状摩耗に関する理論的な検討を行った.数学的モデリング構築を目的に軌道と車両の高周波における相互作用に着目した線形モデルを構成した.また走行条件や軌道条件を評価する手法の検討も行った.

途上国における都市の環境保全
教授 迫田 章義[代表者],研究員 Sarantuyaa Zandaryaa
発展途上国の都市における種々の環境破壊は極めて深刻な事態に至っている.排気ガスによる大気汚染,廃棄物による水環境汚染や土壌汚染等がその典型的な発現例であるが,これらの原因として共通することは,地域の物質フローが適切に管理されていないことにある.そこで本研究はモンゴルの首都ウランバートルおよびその周辺地域を対象とし,都市の環境を保全しつつ持続可能な発展をするための地域物質フローを設計・提示することを目的とする.

光造型技術と胎児肝細胞を用いた血管構造を持つin vitro肝組織再構築
助教授 酒井 康行[代表者],日本学術振興会外国人特別研究員 姜金蘭
肝組織のin vitro再構築に焦点を当て,胎児由来の肝細胞を,光造型や積層・機械加工併用法を用いて作製された生分解性テンプレートに播種・灌流培養することで,肝組織相当物をin vitroで再構築すると共に,肝切除マウスを用いたin vivo移植実験により,その肝機能代替性・高度な組織化・成熟化などを評価する.これらを通じて,従来の生体肝移植を将来的には代替できるような再構築型肝組織作製のための基礎方法論の確立を目指す.

室内化学物質空気汚染の解明と健康居住空間の開発
教授 加藤 信介[代表者],外国人特別研究員 朱清宇
近年,建材から放散される揮発性有機化合物による室内空気汚染が大きな社会問題となっている.室内に放散された化学物質は,室内気流による移流・拡散,人体による吸引,壁面や吸着剤等による吸脱着などを繰り返して室外に排出される.人体による吸引が最も少なくなるためには化学物質を呼吸域に対流させずに速やかに室外に排出させること,室内に残留した化学物質を吸着剤などに効果的に吸着させることなどの室内環境設計が重要である.

EB-PVDによる耐剥離界面を持つ耐熱コーティングの研究
教授 香川 豊[代表者],日本学術振興会特別研究員 川添敏
現状の材料系を変えずにセラミックスの高靭化機構を導入した界面の幾何学的最適化を目指し,耐剥離界面の設計指針を行う.

SiC繊維強化SiCの物理的・化学的損傷の非接触分離検出
教授 香川 豊[代表者],日本学術振興会特別研究員 間宮嵩幸
損傷未知のSiC繊維強化SiCの誘電率測定による非接触・非破壊損傷検出を行い,物理的・化学的損傷を分離して検出し,損傷検出法として実用化への方向性を示すことを目的とする.

時間パラメータを利用した高温での熱遮蔽コーティングの損傷検出
助教授 朱 世杰[代表者],日本学術振興会特別研究員 松村功徳
ピコ秒パルス法と透過光波面測定手法を組合せて,高温での熱遮蔽コーティングの損傷検出装置を新たに開発する.

積層周期構造を利用した高効率熱反射セラミックス表面複合材料の開発
助教授 朱 世杰[代表者],日本学術振興会特別研究員 長沼 環
高温で用いるセラミックス上に100ミクロ以下の薄い熱反射積層複合材料を設けることにより,熱を60〜80%の効率で反射することのできる表面材料を実現する.

マイクロ流体デバイスにおけるバイオ解析操作の集積化
助教授 藤井 輝夫[代表者],大学院学生 金田祥平
医療診断等に用いるためのマイクロ流体デバイスについて,高度な集積化を進める目的で,微量流体制御を行うための技術開発を進めている.具体的には,単一操作だけでなく反応や分析までの一連のバイオ操作を可能とするために空気圧駆動のマイクロバルブを開発し,これまでに開発済みの流体制御技術と組み合わせることによって,機能集積型デバイスの実現を試みる.

セルエンジニアリングデバイスの研究
助教授 藤井 輝夫, 教授 藤田 博之[代表者],博士研究員 Serge Ostrovidov
本研究では,生体内部において細胞組織が高度に構造化されていることを念頭におき,マイクロ流体環境をうまく制御することにより,組織構築を行うことができるようなマイクロ流体デバイスの実現を目指す.特に内部に膜構造を有するようなデバイスを製作し,複数種の細胞を共培養することによって,膜を隔てて細胞を組織化し,具体的な生体機能を発現しうるような系について検討を進めている.

バイオ細胞からの電気・光学的信号を検出するためのマイクロデバイス
助教授 藤井 輝夫, 教授 藤田 博之[代表者],博士研究員 Erwan Lennon
本研究は,微小流路の近傍に電極構造を集積化し,交流電界を加えることによって,細胞一つ一つについて,その電気的な特性(主としてインピーダンス)を計測することを目指すものである.また,MHz〜GHzにいたる高周波領域の計測を試みることによって,細胞だけでなく細胞内部の要素に関する計測可能性について検討を進めている.

生態系炭素循環評価のためのクロロフィル,窒素分布のリモートセンシング手法の開発
教授 安岡 善文[代表者],安岡研 博士研究員 Baruah Pranab Jyoti
本研究では,陸域,沿岸の生態系の物質循環において重要な役割を果たしているクロロフィル,窒素などの生物・化学的なパラメータを,地上レベル,航空機レベル,人工衛星レベルでのリモートセンシングにより計測する手法を開発する.特に,近年の最先端技術である超高スペクトル分解能(ハイパースペクトル)リモートセンシング手法により,これらの生物・化学パラメータの空間分布を計測することを目的とする.

マイクロ加工技術を応用した現場型微生物遺伝子解析装置の開発
助教授 藤井 輝夫,大学院学生 福場辰洋[代表者]
本研究は,半導体製作技術を応用した微細加工技術によって小型の微生物遺伝子解析装置の開発を行うものである.特に深海や地下深部などの海中環境に形成される微生物相をその解析対象としている.小型化に伴う省電力化,可搬性向上,使用試薬・廃液量の低減などの効果が期待されるが,これらの特性は現場型解析装置にとって不可欠な要素である.現在は主にPCR法を用いた高感度遺伝子検出及び解析を行うための装置の開発・評価を進行中である.

ドライバーの運転状況に基づく,都市環境での安全交通に関する研究
教授 池内 克史
都市環境における交通の安全確保のために,ドライバーの運転状況に基づく交通モデルを作成し,実際の計測データとの比較検討を行う.現代における都市交通の解析とその中で個々の運転者におきる様々な状況について詳細に検討を加え,交通に影響を与える要因を数値化することにより精密なモデルを構築する.モデルをもとに実際のフィールドでおきている現象の解析を行う.

科学研究費:若手研究(A)
磁気ピンセットを用いた1分子操作による回転分子モーターの研究
助教授 野地 博行
タンパク質で出来た回転分子モーターを分子単位で操作するために磁気ピンセットを開発した.これを用いて,モーターの制御や,分子内ポテンシャル測定を行う.

チタンの新しい製造プロセス
助教授 岡部 徹
本研究は,金属熱還元反応における電気化学的な反応を利用してチタンを還元する新しい製錬法の開発を目的とする.具体的には,原料と還元剤を直接接触させず,還元剤が放出する電子を利用して溶融塩中でチタンを還元し,高純度のチタンを製造する新しい還元プロセスの開発を目指す.

科学研究費:若手研究(B)
真空中静電浮上および浮上体の駆動に関する研究
助教授 新野 俊樹
本研究では,真空中のメカトロニクスの無摩擦化を最終目的とし,浮上システムの提案を行う.完全非磁性すでに実現された静電レールによる浮上システムをさらに進展させる.まず,すでに開発された,直流直流浮上を応用し,増幅器の出力として±3000V程度必要であったものを±300V程度まで低減する.次に,直流交流浮上もこのシステムに応用する.さらに,静電レール対して静電ステッピングモータを組み込み,搬送システムのモデルを構築する.本研究は,これらの目標を達成することで,真空中での静電浮上を応用した,搬送位置決めシステムの実現性をさらに実用に近い形で実証することを目的とする.本研究は平成14年度15年度の2年計画であり,2年度目である.

海上浮体式構造物の底質への影響に関する基礎的研究
講師 北澤 大輔
浮体式構造物に付着した海洋生物の落下が底質に及ぼす影響について調査するとともに,影響の度合いを定量的に見積もることができる底質モデルを開発する.

高分子複合化技術による生分解性プラスチック材料の相構造設計と分解速度制御
助教授 吉江 尚子
生分解性高分子ブレンドの相構造設計が分解性制御に結びつくと考え,高分子複合化技術に基づいて分解速度制御の観点から相構造設計をするための指針をまとめる。

地球温暖化による世界の大洪水の変化
助教授 鼎 信次郎
地球温暖化に伴ってこれまで以上に大きな洪水がすでに頻発しているのではないか,と疑われ始めてから10年程度が経過したが,この疑問に答えうる研究成果はほとんど存在しない.そこで,気候モデルによる地球温暖化予測結果とグローバル水文モデルを用い,近年生じた世界各地の大洪水に関して,さらには将来どこかで生じる大洪水に関して,それらの洪水と温暖化との関連性をbest estimate で示すことのできるシステムを構築する.

室内音響評価のための3次元数値音場シミュレーションシステムの構築
助教授 坂本 慎一
音響設計をより綿密に行うための波動数値解析の利用法として,従来の物理量(インパルス応答および残響時間などの各種聴感物理量)による評価だけでなく,音場再生による聴感評価まで含めたシステムを可能とすることを目指し,波動数値解析に基づく音場再生システムの構築ならびにその適用性の検討を目的とした2ヵ年にわたる研究を計画している.今年度はその基礎的段階として,まずPCクラスタシステムによる音場解析環境の整備を行い,その上で有限差分法による波動数値解析スキームの高精度化・高効率化について検討を行った.その結果,従来の方法に比べて計算可能な周波数範囲を拡張することができることを示した.

シリコンナノ生体情報計測デバイス
助教授 竹内 昌治
神経電位計測を低侵襲で行うためのシリコンのナノプローブの製作法を確立する.

科学研究費:学術創成研究費
深海知能ロボットの開発研究
教授 浦 環[代表者], 教授 浅田 昭,教授(北海道大学 ) 蒲生俊敬,教授(東北大学) 藤本博巳,主任研究官(産業技術総合研究所), 助教授 藤井 輝夫, 助手 能勢 義昭,学術研究支援員 杉松治美
2001年度から5年計画で,大型母船を必要とせず,特定の技術者ではなく観測する科学者自身が展開できる,水深4,000m級の深海を航行できる高度に知能化された信頼性の高い自律型海中ロボットを開発し,これをマリアナ海域などの熱帯地帯に展開して観測をおこなうプロジェクトを開始した.本プロジェクトでは,建造した深海知能ロボット(r2D4)を用いて熱水地帯の連続観測をおこない,熱水地帯で起こっている現象を観測する新たな観測システムを構築,その成果を工学にフィードバックすることを目的とする.3年目となる本年7月,r2D4のハードウェアおよび基本ソフトウェアが完成,同月,駿河湾および佐渡沖に潜航,極めて位置精度の高い海底面情報を得た.引き続き12月,沖縄石垣島南方のメタンハイドレード地帯である黒島海丘で計4回の潜航をおこない,サイドスキャンソナーおよびインターフェロメトリーソナーによる詳細な海底地形の観測に成功した.来年度は4,000m級のマリアナ背弧海盆の熱水地帯観測を予定している.

科学研究費:特別推進研究(2)
量子ドット構造による電子物性の制御と次世代エレクトロニクスへの応用
教授 榊 裕之[代表者], 教授 荒川 泰彦, 教授 黒田 和男, 教授 岡野 達雄, 教授 桜井 貴康, 教授 藤田 博之, 教授 平川 一彦, 教授 平本 俊郎, 助教授 志村 努, 助教授 福谷 克之, 助教授 小田 克郎, 助教授 高橋 琢二, 助教授 年吉 洋,教授(東大)家泰弘,教授(東大)白木泰寛,助教授(東大)染谷隆夫,助教授(東大)勝本信吾,助教授(東大)深津晋,助教授(東大)長田俊人,名誉教授(東大)三浦登,教授(東工大)安藤恒也
電子の量子力学的な波動性をよりよく制御する手段として10 nm級の量子細線や箱(ドット)構造を活用する初の提案は, 1975年に榊によって初めてなされた. その後さらに, 量子細線FETや量子ドットレーザが, 榊と荒川らによって提唱された. 特に量子ドットでは, 電子の自由運動が完璧に禁止され, 特定のエネルギー状態の電子のみが許容されるため, 様々な新物性と機能の出現が期待される. こうしたドットは, 当初形成が困難であったが, 近年実現が可能となり, その物性の解明だけでなく, レーザ・メモリー・光検出器への応用も進展を見せている. こうした研究に関しては, 本学の研究者は部局を超えた協力を進め, 国際的にも先導的役割を果たしてきた. この共同研究の一層の進展を図るため, 2000年度文部省の支援で中核的研究拠点(COE: Center of Excellence)プロジェクトが発足した. 5年計画で, 量子ドットと関連構造の形成法の高度化と物理過程の解明を基盤にして, 優れた特性や新機能を持つ先端素子の探索と実現を目指すための研究を進めている.

マイクロ環境制御器中の高機能細胞によるセンシングシステム
教授 藤田 博之[代表者],教授(北陸先端科技大)民谷栄一
本研究は,アレルギー応答に関わる肥満細胞,環境ホルモン応答に関わる乳ガン細胞,記憶機能に関わる脳神経初代培養細胞,などの高機能細胞を用い,これらの細胞の機能と応答を評価できる測定系を集積化したマイクロシステムの構築を目標とする.

産学官連携イノベーション創出事業費補助金

産学官連携イノベーション創出事業費補助金
過熱水蒸気による未利用バイオマスの工業原料化に関する研究(継続)
教授 迫田 章義[代表者],(株)中国メンテナンス 宍戸弘
現在,循環型社会に移行することの重要性が大きく叫ばれている.しかしながら,有限な化石資源を基盤とする限りは原理的に完全循環型の社会は不可能であり,これを実現するためには早晩,再生可能資源(植物などの生物体=バイオマス)を基盤とする社会経済システムに転換しなければならない.本研究では,バイオマスを常圧過熱水蒸気に接触させ,水溶性工業原料を生成・分離回収すると同時に残さの燃焼によって自らのプロセス駆動エネルギーを得る「可搬式過熱水蒸気バイオマス工業原料化プロセス」を研究開発することを目的とし,地域で発生する未利用バイオマスから地域で需要の見込める工業原料を製造するモデルプロセスを設計・試作・稼動することを最終目標として研究を進めている.

都市基盤の豊かさを再編成するモフォロジカル技術の開発
教授 野城 智也
多様に特化し,かつ刻々変化する個々のニーズに対応し,建物のインフィルを生体組織的に変容させるモフォロジカル技術を開発する.これにより都市基盤である建物のスケルトンのライフサイクル生活価値を高め,所有から利用にシフトした新たな豊かさを再編成することを目指す.具体的には,以下の3つの目標実現を目指す.(1) 可変型のインフィルシステムを試作し,これを実建物で試作して,その実用化への目途を立てる (2)インフィイル部品のリース・レンタルの運用方に関する知識体系の確立し,サービス・アグリーメンメント型契約にかかわるひな形を開発する(3)リース・レンタルにかかわるロジスティックス及び顧客管理のための情報ツールを試作しその実用化への目途を立てる

サブナノフラット大面積ガラス基板の製造技術に関する研究
アネルバ 今村 有孝[代表者],アネルバ 石橋 啓次,信越石英 神屋 和雄,信越石英 藤ノ木 朗,KFTech 川副 博司, 助教授 井上 博之, 助手 宇都野 太

建設技術研究開発費補助金

建設技術研究開発費補助金
高解像度大気汚染モデルによる道路交通政策評価システムの構築
教授 桑原 雅夫
局部的に大きなバラツキのある大気汚染濃度を詳細に再現できるモデルを構築し,道路交通政策の設計と評価に資する.本システムは,大気汚染物質排出量と濃度に関する時間解像度を10〜30分,空間解像度を10〜100m程度の達成を目標として,劣悪な汚染状況下にある地点を特定して,そこを救うことができる対策立案・評価に有力な手法を提案する.

建築インフィルの静脈ロジスティックス支援ツールの開発
教授 野城 智也
建築ストックの有効活用と,インフィル構成材の使い回しによる資源生産性向上を実現するため,静脈ロジスティックス(調達・物流)を稼働させるための支援ツールを,実務での使用にたえる水準に達することを目標に開発する.

厚生労働科学研究費補助金

厚生労働科学研究費補助金
肝細胞移植系の確立と肝幹細胞の分離および培養
助教授 酒井 康行,教授(東大分生研)宮島篤[代表者],助手(東大医)渡部徹郎
肝幹細胞の分離とin vitroにおける増殖・分化の制御は,細胞移植・人工肝臓・再構築型肝組織移植などの治療にとって必要不可欠な基礎技術であるが,血球系の幹細胞に比べて著しく遅れている.本研究では,分子遺伝学および発生工学の技術が利用可能なマウスをモデルとして,上述の課題の解決を目指す.この中で酒井らの分担課題は,生分解ポリマー担体を用いた再構築型肝組織の開発と,移植実験による評価である.

受託研究

受託研究
地下鉄トンネルの地震時挙動に関する研究
教授 小長井 一男
沖積地盤および洪積地盤中のトンネルについて,周辺地盤の地震応答およびトンネル覆工に生じるひずみを計測している.今年度は昨年度に引き続きトンネル覆工に生じるひずみを軽減する手法として,トンネル中柱端部に挿入する免震装置について検討を加えた.

ナノスケール触媒の機能解明の実験的考察
助教授 福谷 克之
ナノ触媒シミュレーターの開発に伴い,実験的側面からの研究・考察を行っている.本年度は貴金属ナノ触媒のモデルとして,貴金属超薄膜の構造と反応性を調べた.水素解離反応に対して活性化障壁のないAu/Ir系では,Auがデンドリックな成長をすることを明らかにした.一方Pt表面にAuを成長させた表面では,水素解離反応に対して活性化障壁が存在することを明らかにした.

超小型ガスタービン実用化先導研究
教授 加藤 千幸[代表者],教授(平成帝京大学)吉識晴夫,教授(東大)長島利夫,教授(東大)金子成彦,教授(都立大)湯浅三郎,教授(法政大)水木新平,助教授(東工大)長崎孝夫
超小型ガスタービンは,二次電池や燃料電池と比較して,高いエネルギー密度・パワー密度を有するため,自走ロボットや携帯電子機器用の次世代電源として,その実用化に期待が集まっている.本プロジェクトでは,羽根車外径8mm〜40mm,出力数10W〜数kWのガスタービンシシステムの試作を行い,その実用化のための課題を明確にする.

帆による非係留型メガフロート(巨大海洋構造物)の位置保持に関する研究
教授 木下 健
大型浮体であるメガフ ロートは,現在のところ,比較的静謐な海域に係留設置することをベースに開発されているが,波浪や風の影響下で非係留で自律的位置決め機能が不可欠と考えられる系については,まだ未検討である.自動位置決めの方式,それに適した浮体形式の初期的検討と,その有力候補である帆による自動航行の概念設計を行う.さらに,実機設計の為のデータ収集を目的とした,200m規模浮体の実海域実験の基本設計を行う.

成形加工シミュレーション統合CAEシステムの基盤技術開発
教授 柳本 潤
成形加工シミュレーション統合CAEシステム開発を目的とした3DSプロジェクト(経済産業省/NEDO/IMSセンター)の一部を受託したもの.CAEシステム高精度化の鍵を握る材料構成式の改良のため,金属材料結晶方位変化を解析できる理論の開発を新たに実施した.

MIcro PIVによるマイクロデバイス内流れの可視化計測
助教授 大島 まり
生態系の多様なスケールのなかで,マイクロスケールにおいて重要な役割を果たしているのは細胞といえる.細胞は流体を介して物質の輸送や交換を行っていることから,細胞を取り巻くマイクロな流動現象を把握することは重要な課題である.本研究においては,マイクロスケールの流動現象を解明するために,微小空間スケールにおける計測技術の開発研究を行う.さらに,マイクロ細胞培養デバイスを対象としてマイクロスケールの流れに適用し,細胞に与えるマイクロ流動現象を解明していくことを目的としている.

ナノ加工技術を用いた膜タンパク質のナノバイオロジー
助教授 野地 博行[代表者], 助教授 竹内 昌治, 助教授 藤井 輝夫
生体分子のダイナミクスを分子単位で観察・操作する研究をナノバイオロジーと定義し,これをさらに推進するために半導体製作技術などに用いられているナノ加工技術を利用する.特に研究が遅れている膜タンパク質のナノバイオロジーを目指す.

3次元生態系モデルによる琵琶湖水質分布の数値計算
講師 北澤 大輔[代表者],助教授(岡山大)大久保賢治,助教授(京大)秋友和典
琵琶湖北湖の湖底付近における溶存酸素低下の原因について,生態系モデルを用いた数値シミュレーションにより調査し,また水質改善装置による効果を予測する.

文化遺産の高度メディアコンテンツ化のための自動化手法
教授 池内 克史
文化遺産の画像情報, 形状情報を自動的に処理し, 高度メディアコンテンツへと変換する手法を研究する. 具体的には, 鎌倉の大仏や人間国宝の匠の技といった文化遺産を, テレビカメラや距離センサーを用いて観測する. この画像データをもとに, 最新のコンピュータビジョンの研究成果を用いて, 幾何情報, 光学情報, 環境情報, 時系列情報といった4つの側面からのモデル化を行う. そのため, センサー系, 処理アルゴリズム, およびこれらのパッケージ化に関する研究を行う.

J15-22(4022) ひずみSi/SiGe中のキャリア輸送特性の実験的評価
教授 平川 一彦
ひずみSi/SiGe系MOSFETにおいては,格子のひずみ効果がバンド構造,有効質量,散乱機構,飽和速度などに大きな影響を与えることが予想されている.本研究においては,ひずみSi/SiGe系MOSFET中のキャリア輸送に関する基本的な枠組みを実験的に明確にするべく,低電界および高電界下での輸送現象の評価技術を確立すると共に,実験的評価を行ってその物理モデルを確立する.

J15-30(4030) コヒーレンス性評価
教授 平川 一彦
量子力学的にコヒーレントな系の伝導は回路論的には"reactive"であり,直流の伝導もなければ,電気信号に対する損失も利得もない.従って,ナノデバイスが機能を果たすためには,適度な散乱・散逸が必要不可欠であり,ナノ構造デバイス中の電子波束のデコヒーレンスと伝導特性の理解が必要不可欠である.本研究では,フェムト秒レーザパルスにより半導体中に励起されたキャリアが放射するTHz電磁波から,量子効果デバイス中の電子波束のデコヒーレンス機構を解明するとともに,電子系の伝導率スペクトルを測定し,量子効果デバイスが示す利得の周波数限界などを明らかにする.

J15-36(4036) 中赤外検出器の開発とGaAs系結晶成長
教授 平川 一彦
単一電子トランジスタとサブバンド間遷移を用いて中赤外単一光子検出器の実現を目指すとともに,それに必要な高純度GaAs系ヘテロ構造の結晶成長を行う.

電子証拠物に関する研究
助教授 松浦 幹太
完全に実時間の信頼できる分散ディレクトリは原理的に不可能なため, ネットワークセキュリティ技術で対策を講じても, 何らかの紛争が発生し得る. 我々は, その紛争処理において有効な資料となる「電子証拠物」の概念を提唱し, 証拠物生成の要素技術を研究している. 例えば, 電子マネーのユーザが秘密データの搾取にあってそれを悪用されても, 「悪用されたのだ」ということを第三者に証明できる技術を開発した. また, 単一機関に頼らず電子取引時刻を保証する電子時刻印システムにおいて, 精度を従来の「日」のオーダーから「秒」のオーダーへ飛躍的に高める技術を開発し, そのプロトタイプを示した.

無機系フォトクロミック材料
助教授 立間 徹
銀ナノ粒子を分散させた酸化チタン薄膜に紫外線・可視光などを照射することによって発色消色が可能な表示材料について,発色性能の向上,色の保持・制御をめざす.

室内環境の最適化に関する基礎調査
教授 加藤 信介
種々のトレードオフ関係にある室内環境要素を調整し,省エネルギー的かつ健康で快適な室内環境をLCAを考慮して設計するために必用となる事項及びその有力な手法に関する調査,検討を行う.

室内空気中の化学物質を吸着・分解し低減化する建材の評価法の検討
教授 加藤 信介
建材からの化学物質による室内の汚染空気の質を積極的に改善する建材等について,その試験方法,評価方法の調査検討を行う.これらの性能を持つ建材の化学物質を吸着・分解する性能試験方法,評価方法はJISでは未制定であり,これらの建材等を評価する試験方法の標準化を図る.

火の粉による延焼シミュレーションのモデル構築とモデルの検証
教授 加藤 信介
火災拡大に大きな影響を持つ火炎性状や火災域の風性状等の物理現象を厳密に解析するため,CFDの予測手法を利用し,燃焼反応モデルとガスとスス放射モデルを組込んだ火災熱気流シミュレーション手法を開発し,市街地火災時の火災プルームを予測する.次に,火災熱気流中の火の粉の挙動は固気二相流であるため,火の粉の抗力と重力を考慮し,ラグランジュ運動方程式を用いて,火の粉の密度,直径と発生位置などをパラメータとして,火の粉の飛散挙動と飛散範囲を予測する.また,火の粉飛散中の燃焼反応も考慮し,火の粉の質量変化もシミュレーションした.

自然換気併用オフィスにおける可搬型パーソナル空調機の研究開発
教授 加藤 信介[代表者],宋 斗三,大学院学生 梁禎訓
省エネと快適性を両立させたオフィス環境を創造することを目的とし,省エネかつ机上設置可能な形態の可搬型パーソナル空調機の開発を目指す.アダプティブ制御・フィジオロジカル制御を組み込み,人の生理現象に適合する快適感を生み出すタスク制御システムの開発のために,熱的適応性の研究,熱・空気環境因子と人体生理の要因分析・定量化の初期検討を行う.

ITSに関する基礎的先端的研究
教授 桑原 雅夫
ITS施策の効果・評価にあたって重要となる人間(ドライバ)の挙動・反応・選択行動に着目し,ITSの共通的な技術である交通計画技術,画像認識技術,車両制御技術を融合した基礎的先端的な研究を実施する.

精細Web3Dによる年情報配信システムの開発
教授 柴崎 亮介

ユニット住宅のLCA評価研究
教授 野城 智也
ユニット住宅のLCAの観点から評価する手法を開発する

人間活動を考慮した世界水循環水資源モデル
助教授 沖 大幹
科学技術振興機構CREST研究としてのものであり,気候モデルと親和性の高い陸面水文植生モデルの水循環過程の高度化,気候変化や適地選択と直結した農業生産モデルの開発,水田分布の推定など稲作への配慮,生態系や環境用の水需要の導入,最先端のIT技術を利用した大規模データベースと数値モデルシミュレーションとの結合により,今後懸念されている世界の水危機に関する情報を日本から発信する.

21世紀のアジアの水資源変動予測
助教授 沖 大幹
科学技術振興調整費による「21世紀のアジアの水資源変動予測」の一部分を成し,将来の温暖化時の水資源,洪水,渇水の予測を行うものである.具体的には,複数の気候モデルによる温暖化予測結果に基づき,自然系として利用可能な将来の水資源賦存量の算定を行ない,農業生産に必要となると推計される灌漑水量,人口増加や工業発展などを想定した上で将来の水資源需要量を求めて,2050年のアジア域の水資源アセスメントを行なう.

水循環インフォマティクス
助教授 沖 大幹
15年度は,プロジェクトが開始されたばかりであるが空間情報科学研究センターで開発される集中型データマイニングシステムを用いて,そのシステムの有用性の検証と改良を行いつつある.また,それを用いることによってアジアモンスーンの季節変化に伴う降水変動特性が解明されつつある.

TRMM/PR等を用いたインドシナ半島における熱帯水循環の統合解析
助教授 沖 大幹
平成15年度は,熱帯降雨観測衛星による水文循環の包括的な研究のうち,雲システムの日周的挙動と地形との相互作用,ならびに,TRMM/PRによる土壌水分推定結果が,大気大循環モデルの数値シュミレーション再現精度に及ぼす影響について特に焦点をあて,インドシナ半島中央部,タイ国チェンマイ地点における地上データ観測とTRMM観測の同期データ収集,東南アジア各国の水文気象データ収集と整理・解析,そして,大気大循環モデルによる土壌水分境界数値実験を行う.

鉄道システムを対象とした災害・事故の早期警報/危機管理システムの研究(施設系のハイブリッド安全性評価法の確立)
助教授 岸 利治[代表者], 教授 古関 潤一, 助教授(東大) 石田 哲也, 講師(東大) 内村 太郎
コンクリート構造物や土構造物などの社会基盤施設の劣化変状予測システムの構築を行う.具体的には,コンクリート構造物の余寿命予測技術の開発と高度化および適用範囲の拡大を行い,また,繰り返し載荷が盛土材料の変形特性に及ぼす影響を実験的に把握し,地震荷重作用下の擁壁の変位量予測手法の構築を行う.

高精度画像解析に基づく事故分析詳細データベース構築の研究
助教授 上條 俊介[代表者], 教授 坂内 正夫
オンライン事故検出システムを開発し,事故画像収集を行う.交通工学研究者との共同研究において事故要因を詳細に解析し,画像とともにデータベース化を行う.

道路交通画像処理技術の動向調査
助教授 上條 俊介[代表者], 教授 坂内 正夫
高度交通システムにおいては,その情報量の豊富さから画像センサーの導入が進んでいる.本研究では,様々な用途に向けて開発されている画像処理技術の最新研究動向を調査する.

コーティング層/基材の界面設計
教授 香川 豊
コーティング層/基材の界面の構造および,その力学に及ぼす影響を実験・解析により把握し,モデル化を図る.

循環型社会における問題物質群の環境対応処理技術と社会的解決
教授 前田 正史
本研究は,循環型社会における問題物質群の最適化処理について技術的な評価を行い社会学的な解決を目指すものである.問題物質群の最適化処理およびクローズドループ化の可能性を探求するために,問題物質の発生と循環メカニズムの現状掌握を行っている.具体的には,オキシハロゲン物質,カドミウム,鉛,水銀,ヒ素,およびイオウなどを取り上げ,これらの性質,生成原因,生成量を調査し,マテリアルフローを検討している.さらに,これらの物質に対する安定・無害化処理技術の有効性を評価し,社会的に受容可能な形での処理・処分技術の研究を行っている.

文部科学省 革新的原子力システム技術開発公募(電力中央研究所からの再委託): 酸化物燃料の電解還元処理に関する技術開発
助教授 岡部 徹
電解還元プロセスにおいて,高い処理速度と還元率を達成するためには,原料酸化物の粒径や原料装荷方法などの原料仕様を最適化することが重要である.また,電解の後半に酸化物表面が金属膜に覆われるような状況においても還元速度をなるべく低下させないためには,プロセス上の工夫も必要となる.そこで,コールド工学プロセス 試験装置を製作し,原料仕様がプロセスに与える影響を明らかにすると同時に,還元生成物と塩の分離性能,得られる金属の純度について評価を行っている.具体的には,雰囲気制御装置付き電気炉および反応容器を作製し,アルゴンガス雰囲気下約600〜1000℃の範囲の一定温度で,導電体を介した反応(EMR)制御により金属還元剤が放出する電子を利用して酸化 物を還元する実験を行っている.初年度および次年度は,還元装置の作製と活性金属の活用が高い強還元雰囲気下での電気化学的な反応の制御・計測技術の確立も目指すが,従来の電解還元法との比較検討を行うための実験装置の整備も行う.

PCR等のナノスケール反応に関する研究
助教授 藤井 輝夫[代表者],山本 貴富喜
ナノスケール反応に関する要素技術の確立を目的として,マイクロ流体デバイス上に構成したマイクロチャンバーにおいてゲノムDNAの抽出や増幅等を可能とするような,微量液体操作技術を開発し,実際に抽出や反応を行うことを試みている.

微量液体操作技術の研究開発
助教授 藤井 輝夫[代表者], 助教授 大島 まり,山本 貴富喜,技術官 瀬川茂樹,博士研究員 Eric Leclerc,大学院学生 金田祥平,大学院学生 木下晴之
粒子法による多相流解析手法に対して検証例題を提供するため,マイクロ流体デバイスにおけるの精密な計測実験を行い,検証データを得ると同時に,新規微量液体操作技術の研究開発を進めている.

マイクロ細胞ハンドリング技術の開発
教授 藤田 博之
半導体微細加工を用いたマイクロ構造を用いて,細胞を操作し培養するチップを実現するための研究を行っている.

超高速・超並列ナノメカニクス
助教授 川勝 英樹
2002年度科学技術振興事業団戦略的創造研究事業採択課題である.ナノカンチレバーを用いた原子レベルの質量や場の計測,固体試料の広帯域周波数特性マッピング,マルチカンチレバーを用いた細胞の多点計測,生体分子の高速計測を実現する.

シャドウマスクを用いた多機能マイクロパターニング装置の開発
助教授 金 範
マイクロマシン技術を用いた微細シャドウマスクと多機能噴射システムの設計と製作に関する技術開発を行う.研究の遂行上,さらに生研のCIRMMと韓国機械研究院とは,研究交流推進確認書も結んでありその研究協力活動の一環としても,極めて有用である.

光スキャナーの開発
助教授 年吉 洋
画像表示用の光スキャナを,2自由度のマイクロ共振系を使って実現するマイクロメカトロニクス技術の開発

コンクリートの品質に対する化学混和剤の作用効果に関する研究
教授 魚本 健人[代表者],受託研究員・杉山知巳
コンクリートの品質,特に硬化コンクリートの耐久性を論じうる上で,使用材料や配合条件がコンクリートの空隙構造に与える影響を検討することは非常に重要である.また,近年コンクリート製造に欠かせない材料の一つになっている化学混和剤に関しては,空隙構造に対する作用効果が明確になっていない. そこで,化学混和剤の持つ種々の特性が,硬化コンクリートに及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,様々な化学混和剤,中でも最も頻繁に用いられている減水剤系の混和剤を中心に,減水性,凝結遅延性,空気連行性等の特性が,硬化体の空隙構造形成過程に与える影響を明確にする.

PC供試体を用いた載荷試験
教授 魚本 健人[代表者],受託研究員 恒国光義
PC桁の損傷状態における挙動から健全殿評価指標・モニタリング項目の基礎データを得る.損傷状態をモデル化したPC桁供試体(6体)の製作,計器の設置,動的載荷および静的載荷試験,試験結果から損傷状態における挙動を評価

地震計の設置位置に関する研究
助教授 目黒 公郎
日本道路公団試験研究所からの受託研究

計算科学技術活用型特定研究開発推進事業「環境・災害監視のためのアジア衛星観測ネットワークの構築」
教授 安岡 善文[代表者],助手 遠藤貴宏,博士研究員 Tran Hung,博士研究員 Jan Kucera,大学院生 竹内渉
東京大学生産技術研究所では,東京駒場,タイバンコク(アジア工科大学院)において人工衛星NOAA/AVHRR,TERRA/MODISデータの受信を行っている.本研究は,これらのデータの利用・配布ネットワークを構築すると共に,これらのデータを活用した,環境・災害評価のための広域分布データセットを構築することを目的とする.

空調からの排熱がヒートアイランド現象に与える影響に関する研究
助教授 大岡 龍三
ヒートアイランドの形成要因の一つであると考えられる空調排熱が,実際の都市温熱環境に及ぼす影響について,モデル街区を対象に数値シミュレーションにより検討を行う.特に空調排熱形態に着目した検討を行う.

大都市における基礎抗を利用した地中熱空調システムの普及・実用化に関する研究
助教授 大岡 龍三
地中熱空調システムの更なる普及のため,都市部で主として採用されている場所打ち杭を地中熱交換器として利用した地中熱空調システムを提案する.場所打ち杭を用いた地中熱交換器や高効率水冷ヒートポンプの開発,最適運転手法・設計手法・施工方法の検討,コストスタディなどを含めた開発を行い,現在一般的に普及している空冷ヒートポンプを用いたセントラル方式に比べて,省エネルギー率(電力量削減率)30%,単純投資回収年数10年以内を目標としたシステムとして確立することを目的とする.

火災進展に伴う流れ場の数値予測と机上予測手法の提案
助教授 大岡 龍三
火災進展に伴う流れ場の数値予測手法を検討するものであり,さらに,計算結果に基づき,簡易な机上予測手法を提案することが目的である.作業内容は,1)数値計算手法の検討,2)建築研究所火災風洞実験との比較と検証,3)机上予測モデルの提案.

浮体動揺および潮流下におけるCompliant Vertical Access RiserのVIV挙動に関する研究
助教授 林 昌奎,教授(東大)鈴木英之[代表者]
大水深化にともないFPSOのコスト上昇の原因となるフレキシブルライザーに替わり,コスト的に有利なCVAR (Compliant Vertical Access Riser)を用いたFPSO-CVARについて検討を加えるものである.CVARはわが国発の技術であり,基本的な特性については既にかなりの検討が行われているが,本研究では課題として残されている浮体動揺と潮流下におけるCVARのVIV(渦励振挙動)を実験と解析の両面から明らかにして,疲労挙動など実用的な見地から評価を加えるものである.

光材料の構造的性質に関する研究
教授 山本 良一
近年,コンピューターの計算スピードの飛躍的な向上により,第一原理計算手法を用いた研究が各分野において進められているが,光材料における構造と物性に関する研究はなされていないのが現状である.本研究では,第一原理分子動力学法を用い,電子論の立場から,感光性の高い新たなSiO2ガラス系材料の探索を行い,ファイバーグレーティング(書き込み)のプロセス開発に寄与することを目的とする.

ワイヤレスITシステムを中心とした時刻関連情報の電子的保証と利用に関する研究
助教授 松浦 幹太
時刻情報の電子的保証は,電子文書の証拠性を担保するために重要である.とりわけ同期が自明ではないワイヤレス環境では暗号学的な電子的保証技術が重要である.本研究では,ディジタルテレビ放送のデータ部分を巧みに応用し,トランザクションの大量高速処理に適した超高精細電子時刻印の実装技術を開発している.

革新的原子力システム技術開発公募事業

革新的原子力システム技術開発公募事業
気相吸着法による窒素同位体濃縮技術開発
産業創造研究所 柏研究所長 熊谷幹郎[代表者], 教授 迫田 章義,東京工業大学大学院理工学研究科 教授 河村雄行,総合研究大学院大学先導科学研究科 教授 松本吉泰,九州大学大学院総合理工学研究院 教授 寺岡 靖剛,核燃料サイクル開発機構大洗工学センター システム技術開発部 田中健哉,三菱重工業(株) 原子力事業本部 國嶋 茂,研究員 泉順,東京ガス(株) 石倉威文
窒化物燃料の燃焼に伴う放射性炭素の生成を防ぐには,燃料中の窒素としてN15を用いる必要があることから,低コストの窒素同位体濃縮技術の開発が窒化物燃料サイクル成立の課題とされている.本研究では,分離効率が高く設備が簡素で廃棄物が殆ど発生しないと期待できるアンモニアガスを用い,気相吸着法,特に圧力スイング吸着法による窒素同位体濃縮の技術を開発する.

未来開拓学術研究推進事業

MOTプログラム
コーポレートガバナンスとしての技術倫理マネジメントシステム
教授 野城 智也[代表者], 教授 板倉 周一郎
我が国独自の事例から引き出された教訓に基づく教材を開発することにより,MOT受講者がコーポレート・ガバナンスの手段として,企業・組織において工学倫理マネジメントシステム(Engineering Ethics Management System)を構築し運用していくための能力を習得する教材を開発する

民間等との共同研究

民間等との共同研究
広帯域空力音の数値予測手法に関する研究
教授 加藤 千幸[代表者],民間等との共同研究員(財団法人鉄道総合技術研究所)高石武久
鉄道車両の高速化に伴い,従来は余り問題にはならなかった,比較的高周波の空力騒音の低減が,環境保全上重要な課題となりつつある.本共同研究では,高周波空力騒音の数値的予測技術を開発し,低騒音化に資することを目的とする.

連続体損傷力学に基づく構成方程式モデリングと材料損傷・破壊問題の統合的有限要素解析への適用に関する研究
教授 都井 裕[代表者], 助手 高垣 昌和
連続体損傷力学に基づく構成方程式を導入した有限要素解析法,いわゆる局所的破壊解析法の基本的問題点を解消し,材料損傷・破壊統合解析プログラムの三次元プロトタイプを構築するとともに,高速増殖炉用高温構造物に対する設計裕度の最適化のための損傷評価手法を構築することを研究目的とする.本年度は,環状き裂の熱疲労進展試験に対する完全連成解析を試みた.

アクティブ・パッシブ切換え型免震装置に関する研究
教授 藤田 隆史[代表者],民間等共同研究員 古川 裕紀
単結晶引上げ装置は,弱地震動によって,機器自体ではなく製造中の単結晶が破損する.本研究は,このような単結晶引上げ装置の地震対策のために,弱地震動に対しては良好なアクティブ免震性能を発揮して単結晶の破損を防止し,強地震動に対してはパッシブ免震によって引上げ装置自体の破損を防止することが可能なアクティブ・パッシブ切換え型免震装置を開発している.また,アクチュエータとしては,アクティブ・パッシブ切換えが最も自然に行えるリニアモータを採用している.本年度は,実験モデルによる振動制御実験を行って,ほぼ満足し得る性能を確認した.

環境調和型超微細粒鋼創製基盤技術の開発
教授 柳本 潤
経済産業省/NEDO/JRCMによるプロジェクトの一部.単純成分鋼によるスーパースチール開発に利用できるプロセス−内部組織解析モデルを,ミクロ計算科学によって構成した.

材質予測モデルと制御の研究
教授 柳本 潤
高温-高速変形における炭素鋼金属組織の同定とモデル化を目的として,高温高速多段圧縮試験装置(サーメックマスターZ)を用いた実験などを実施し,合金鋼の変形特性や組織の変化を調べ,材質予測モデルを作成する.

血液ポンプにおける溶血・血栓予測を目的とした流体解析プログラムの研究
助教授 大島 まり[代表者],テルモ株式会社研究開発センター 主任研究員 森 武寿,三菱重工業株式会社 ポンプ・水車部 生産設計・開発グループ長 長田 俊幸
血液ポンプを題材として,ポンプ内にて発生する溶血及び血栓を予測可能とする流体解析プログラムに関する研究を行う.

メタンハイドレートの誘電損失特性解明に関する基礎研究
助教授 白樫 了
高圧・低温環境下で安定なメタンハイドレートの電場による分解促進の可能性を検討することを目的として,メタンハイドレートの誘電損失特性の測定を行う.

工学シミュレーションにおけるハイパーフォーマンス・コンピューティング技術の開発と応用
助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 大島 まり
流体解析など工学における大規模数値シミュレーションとそれに伴う大容量データのための高速,汎用的なコンピュータ環境として,並列計算,可視化インターフェース,ネットワークなど要素技術の開発と総合的なシステム構築について検討する.今年度は,並列計算機における大規模ソフトウェア開発環境と可視化システムの評価などを行った.

エンジン内の強い乱れを考慮した噴霧挙動モデルの開発
助教授 谷口 伸行[代表者], 助手 佐賀 徹雄
エンジン流動設計などで重要となる強い乱れの中の噴霧拡散メカニズムの解析とその有効な数値予測モデルを開発する.今年度は,一様格子乱流中での噴霧挙動を高速ビデオ画像による可視化およびラージ・エディ・シミュレーションに基づく数値計算によって解析検討した.

生体膜で働くプロトン駆動のナノマシン
助教授 野地 博行

複雑生命情報システムのモデル理論研究
教授 合原 一幸
複雑システムの数理モデル化に関して,ニューラルネットワークモデルや遺伝子・タンパク質ネットワークモデルなどの生命情報システムのモデル理論に関する研究を行なう.

配電作業ロボットの動作指令生成に関する研究
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史・助手 影澤 政隆
配電作業の軽減を目的として開発された九州電力配電ロボットは, 現在オペレータが遠隔操作で制御を行っているが, これを当研究室で開発された3次元物体認識の手法を用いることによって, 自動化することを目指す. 本年度は, 物体のグローバルな認識を行う手法の研究に着手し, 配電器材の認識に成功した.

高精密金型材料創製技術の開発
教授 林 宏爾
金属材料研究開発センターの国家プロジェクト「精密金型」において,金型材料用の超微粒超硬合金の粒度を一層微細化するための指針を基礎的に検討する.

1. 超微粒子分散等構造制御技術(2)超微粒子分散技術2. 技術の体系化
助教授 井上 博之

酸化チタン上に析出した銀ナノ粒子の多色フォトクロミズム〜新現象の機構解明と応用展開
助教授 立間 徹
多色フォトクロミズムの機構解明と,光で可逆に書き込み・消去できる電子ペーパーなどのマルチカラー表示材料や光多重記録材料としての応用展開を進める.

室内化学物質空気汚染に関する研究
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三,民間等共同研究員 安宅勇二
揮発性化学物質が原因と考えられるシックハウス症候群の対策研究として,揮発性の化学物質がどの程度,建材に吸着され室内空気から除去されるかを文献調査および実験結果の解析から検討するものである.数値流体力学(CFD)を用いて,これらの現象を解析する技術の基礎を検討する.

交通管理システムの高度化に関する研究
教授 桑原 雅夫
自動車から排出される大気汚染物質の低減を目的とする信号制御手法に関する研究.

渋滞情報に関する研究
教授 桑原 雅夫
VICS渋滞情報提供のために集積されたデータを用いて,精度の高い旅行情報の予測について研究する.

リアルタイム交通情報予測システムに関する研究
教授 桑原 雅夫
初期交通量より交通シミュレーションプログラムを実行し,得られた値から推定予想処理のプログラムを実行して近未来シミュレーションを作成,検証を行う.

セメント系深層混合処理工法改良土の力学特性の研究
教授 古関 潤一[代表者], 助手 佐藤 剛司,民間等共同研究員 鈴木吉夫
深層混合処理工法の設計法の合理化を目的として,一軸・三軸状態での圧縮・引張試験とこれらを対象とした有限要素解析を実施して改良土の力学特性について検討している.

実世界データからの行動分析手法に関する研究
教授 柴崎 亮介

都市域DEM作成手法の開発
教授 柴崎 亮介

最新のIT技術を活用したエネルギー・インフォメーション・サービス・プロバイダー(EISP)ビジネスモデルの開発
教授 野城 智也
建築や施設の環境負荷低減(地球温暖化ガス削減)と省エネルギーのためのエネルギー・インフォメーション・サービスに関して,施設を所有・管理している顧客にWEBベースの情報提供と実用的なアドバイスが実施できるビジネスモデルを開発する.

フレッシュモルタルの分散・凝集構造に着目した高性能AE減水剤の分散効果および温度が流動性に及ぼす影響に関する研究
助教授 岸 利治[代表者], 株式会社エヌエムビー 永峯秀則
フレッシュモルタルの分散・凝集構造に着目して,高性能AE減水剤の分散効果や温度が流動性に与える影響に関して検討する.

トンネル内異常走行車両の検出精度向上に関する研究
助教授 上條 俊介
高速道路のトンネル内といった低画角画像において,低速車両や事故車両等の異常事象をリアルタイムに検出するアルゴリズムを開発する.

「ナノテクノロジープログラム(ナノマテリアル・プロセス技術)ナノコーティング技術プロジェクト」コーティング界面の損傷モデル構築
教授 香川 豊[代表者], 助教授 吉川 暢宏, 助教授 朱 世杰, 助手 本田 紘一,研究機関研究員長谷川誠,研究機関研究員半谷禎彦,研究機関研究員銭立和,研究機関研究員Dericioglu Arcan Fehmi,日本学術振興会特別研究員松村功徳,日本学術振興会特別研究員長沼 環
セラミックス皮膜・金属基材からなるコーティングシステムの機能・性能に及ぼす界面損傷について,その評価を可能にする力学モデルの構築

「ナノテクノロジープログラム(ナノマテリアル・プロセス技術)ナノコーティング技術プロジェクト」ナノコーティングパフォーマンスの解析・評価技術および異種材料界面に関する材料ナノテクノロジー技術
教授 香川 豊[代表者], 助教授 吉川 暢宏, 助教授 朱 世杰, 助手 本田 紘一,機関研究員 長谷川誠,機関研究員 Ramasamy Sivakumar,協力研究員 半谷禎彦,協力研究員 長沼環,協力研究員 Dericioglu.Arrcan Fehmi,日本学術振興会特別研究員 松村功徳
セラミックス皮膜・金属基材からなるコーティングシステムの機能やパフォーマンスについて,ナノからマクロにわたる迅速で精密な評価技術の研究開発及び「コーティング工学」,コーティングデータベース構築

電気化学スーパーキャパシタ電極材料の開発
教授 宮山 勝
高エネルギー密度(高容量)と高出力密度(高速充放電)特性を兼ね備えたリチウム二次電池の正極材料を,液層からの合成と電子伝導性カーボンとの複合化により作製する研究を行っている.これまでに八チタン酸/カーボン系およびオリビン型リン酸鉄リチウムカーボン系などで,高容量を維持しつつ高速充放電が可能な電極材料を見出している.

自律型海中ロボットのドッキング技術の研究
教授 浦 環[代表者],民間等共同研究員 小原敬史
自律型海中ロボットは,通常の潜航ではエネルギ補給ができず,オペレータとの通信が困難である.しかし,海底ケーブルに接続されたステーションにドッキングすることができれば,そこで電池に充電し,陸上との間でデータの受け渡しができる.そのためには,ロボットはステーションに自動ドッキングできなければならない.本研究では,専用のロボットシュミレータを用いて,ドッキング手法,エネルギおよびデータの授受システムの構築をおこない,ドッキング装置の研究開発をおこなっている.

粘菌を用いた認識と形成の数理解析によるアプローチ
助教授 藤井 輝夫[代表者],協力研究員 高松敦子
真性粘菌という原生生物を用いて,外部環境の認識,細胞での情報処理,行動決定のメカニズムについて,生物の「形とリズム」に着目して非線形科学的観点からの考察を進めている.そのための実験系を実現する具体的な手法としてマイクロ加工技術を応用し,「生きた数理モデル」の構築を試みている.

RF MEMSに関する研究
助教授 川勝 英樹
GHzオーダの3次元構造物の作製と評価技術を用いてRFMEMSデバイスの研究を行っている.

マイクロ生化学チップの研究
助教授 竹内 昌治
食品検査等に応用可能なマイクロ生化学チップの開発研究

ナノ立体構造の製作に関する研究
助教授 竹内 昌治
ナノサイズの立体構造を半導体プロセスを利用して製作する技術の開発研究

生体分子モータのエネルギーの工学利用
助教授 竹内 昌治
生体分子モータの機械的動作を工学的に利用するシステムの開発研究

マイクロメカトロニクスに関する共同研究
助教授 年吉 洋[代表者], 教授 藤田 博之, 教授 増沢 隆久, 助教授 川勝 英樹, 助教授 金 範凵C 助教授 竹内 昌治, 教授 コラール ドミニク, 教授 荒川 泰彦, 教授 平本 俊郎, 助教授 藤井 輝夫, 助教授 野地 博行, 助教授 染谷 隆夫,講師(東大)三田吉郎,マイクロメカトロニクス,マイクロメカトロニクス国際研究センター,LIMMS/CNRS-IIS
マイクロメカトロニクスに関するフランス科学研究庁と生産技術研究所との共同研究グループLIMMS (Laboratory for Integrated Micro Mechatronic Systems) の運営

個別要素法を用いたコンクリート等輸送装置の性能評価に関する共同研究(その2)
講師 加藤 佳孝, 教授 魚本 健人[代表者],魚本研 大学院生 吉国美涼
現在,建設現場におけるコンクリートや土砂の輸送は,ベルトコンベヤやダンプトラック等で行われている.しかし,ベルトコンベヤは傾斜角度に限界があり,またダンプトラックでは迂回する道路が必要となり,いずれの工法も設備規模が大きくなることや,コスト,自然環境面で問題があることが指摘されている.この様な現状に対して,共同研究組織は急傾斜地でのコンクリート輸送を可能となる装置を開発し,実証実験によってその有効性を確認している.しかし,実証実験を基礎としているため,必ずしも施工性能の評価が十分でなく,検証した範囲内での性能保証しかできないのが現状である.本共同研究では,この実証実験結果を活用し個別要素法を用いた数値解析により試験装置の施工状況を表現するとともに,施工性能の評価(適用限界等)を解析的に検討するものである.前述したように,本装置は建設現場における自然環境を破壊することなく,コンクリートや土砂を効率的に輸送することが可能であり,極めて有効な輸送手段である.

コンクリート構造物の補修工法に関する研究
講師 加藤 佳孝, 教授 魚本 健人[代表者], 助教授 岸 利治,技官 星野富夫, 民間等共同研究員 勝木太,伊藤正憲 斉藤仁 渡部正 ,元売正美 竹田宣典 宇野祐一 里隆幸 北澤英宏,榊原弘幸 戸田勝哉 平間昭信 河原崎広 伊藤学,深津章文 松田敏 森本丈太郎 椎名貴快 弘中義昭,小川彰一 槇島修
劣化したコンクリート構造物の補修は重要な課題であるが,現実には多種多様な工法が採用されている.しかし,異なった材料および適用を行った場合にどのような効果があるかは明らかにされていない.本研究はそれぞれの方法で補修した場合にどのようなメカニズムで更なる劣化を防止するかを暴露実験ならびに解析で明らかにし,最適工法を考案することを目的とする.

コンクリート構造物の次世代型非接触・非破壊検査手法に関する調査研究
講師 加藤 佳孝, 教授 魚本 健人[代表者],魚本研 大学院生 金田 尚志
膨大な社会資本ストックを抱えるとともに,少子高齢化社会を迎える我が国においては,今後の社会基盤施設の維持管理は,できうる限り効果的かつ効率的に実施する必要がある.特に,コンクリート構造物はストック量の大きな割合を占めており,効果的な維持管理の実施が急務である.コンクリート構造物の維持管理の基本は,現状の構造物の性能および将来における性能を予測することである.これまでにも,超音波,AE法,レーダ法など様々な非破壊検査が,構造物の現状の性能を把握するツールとして用いられてきた.しかし,提案されている手法のほとんどがひび割れ,内部空洞などに代表される欠陥検知であり,コンクリート構造物の耐久性能の低下を予測する情報としては不足しているのが現状である.これまでは,情報の補完のために局部破壊検査を実施している.局部破壊検査は,コンクリートの現状を精度良く評価することはできるが,あくまでも局部的な情報であるため構造物全体の性能を評価するには多大な労力を必要とする.このような現状に対して,本研究では鉄筋コンクリート構造物の代表的な劣化現象である鋼材腐食の支配因子である塩害・中性化に着目し,検査の効率性を重要視した非接触かつ非破壊で検査する新たな手法を確立することを目的としている.本研究の目的が達成されれば,飛躍的に維持管理効率が高まると考えている.

コンクリート構造物の劣化診断ソフトの開発
教授 魚本 健人[代表者],清水 隆史, 西川 忠, 高津 忠, 肥田 研一,山下 英俊,田中 英紀,吉田 克弥,守分 敦郎,太田 資郎,笠井 和弘
コンクリート構造物の経年劣化について各種劣化現象のデータを収集しており,そのデータベースを利用してPCによる対話形式の劣化診断システムの構築を目指す.

ガラス繊維補強プラスチック製コンクリート補強材の開発
教授 魚本 健人[代表者],共同研究員 杉山基美
現在,使用されているFRPは,コンクリート構造物に鋼材の代わりに用いる場合,アルカリによる腐食を受けやすい.そこで,本共同研究では,耐アルカリ性の高いGFRPの開発を行っている.

コンクリート構造物の非破壊検査に関する研究
教授 魚本 健人[代表者],魚本研 大学院生 金田尚志,共同研究員 武井 彰
各種劣化構造物を非接触で非破壊的に検査する手法について研究する.

線路構造物の大変形動的挙動解析
助教授 目黒 公郎
鉄道施設などの線路構造物の大変形挙動を最新の大変形破壊解析手法である応用要素法(AEM)を用いた解析する

超薄ゲート絶縁膜MOSFETの評価技術およびモデル化の研究
助教授 井上 博之,教授(東大)鳥海明[代表者],助手(東大)喜多浩之
超薄ゲート絶縁膜MOSFETの評価技術および絶縁膜材料に関する研究

新幹線の新たなアクティブ制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 佐々木浩一(JR東日本)
新幹線車両の高速走行に関して,振動乗心地に着目し,新たなアクティブ振動制御理論を適用する可能性について検討を行った.エネルギー消費を押さえるセルフパワードアクティブ制御の可能性を検討するため,要素技術開発,制御則の検討,シミュレーションとベンチ試験などを実施した.

車両・台車・軌道の弾性を考慮した鉄道車両のMBD解析手法の研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 佐藤祐三(東急車輛)
車両・台車・軌道等の弾性を考慮した鉄道車両の運動・振動特性を検討した.マルチボディダイナミクス解析手法を検討し,鉄道車両の振動・乗心地問題および走行性能の評価を行った.

ドライバー特性の研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 酒井洋一(日産)
自動車を運転するドライバには様々なタイプが存在し,運転行動もまた多種多様である.運転行動のうち,特にステアリング操作に着目し,自動車の操縦・安定性との関係から特徴を見出し,ドライバ特性を体系化を試みた.本年度は,ドライビングシミュレータを用いる手法について主として検討した.

電磁サスペンションの研究
教授 須田 義大
サスペンションの機能向上, 性能向上, 乗心地向上, 省エネルギー化などを目標に, 電磁サスペンションの検討を進めた. 主として制御系の検討を行い,試作電磁サスペンションによる実車試験を実施した.

鉄道車両の車内快適性の室内実験に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 林 哲也(JR東海)
鉄道車両の車内快適性を,現車において計測された動揺データと,仮想現実の技術を使用して再現し,実験室内において評価を行うための方策について検討した.

鉄道における台車運動性能向上に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 中居拓自(住友金属)
鉄道車両の台車運動性能を向上させるために,車両とレール間のクリープ力特性の制御,台車ボギー角の強制操舵制御,空気ばね系の制御について方策と制御手法の検討を行い,実車両試験機により評価試験を実施した.

鉄道における車両・レール間の摩擦制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 荻野智久(帝都高速度交通営団),民間等共同研究員 栗原 純(帝都高速度交通営団)
鉄道車両の運動性能は主に車両とレール間の摩擦特性により決定されるため,摩擦特性の制御は運動性能向上に非常に効果がある.摩擦制御手法の効果的な手法と,運動性能改善効果について,シミュレーションと模型試験機,実車両試験を用いて評価した.

鉄道における車両・レール間のクリープ力に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等共同研究員 岸本康史(住友金属テクノロジー)
鉄道車両における車輪/レール接触とクリープ力特性に関して,接触面に摩擦調整材を適用した場合のクリープ力特性を検討した.数値解析モデルを構築し,2ローラ実験装置で検証した.さらに車両の曲線通過特性向上効果についても,理論とモデル実験により評価した.

スクリュ可塑化総合評価システムの研究
教授 横井 秀俊[代表者],民間等との共同研究員 徐 世中
当研究室では,射出成形におけるスクリュ可塑化過程の研究をとおして,これまで可視化観察や熱流速パターン,スクリュトルク分布,ノズル部樹脂温度分布等の各種計測・解析手法を開発してきた.本研究では,これらの実験装置を統合した同時計測システムを開発し,総合的なスクリュ性能の評価方法の開発を目的としている.本年度は,スクリュ種類の,スクリュ種類の違いによるシリンダ軸方向のトルク分布パターンへの影響を明らかにした.また,加熱シリンダ壁面における熱流束計測では,市販の熱流束センサを用い,樹脂と加熱シリンダ間の熱移動状態を計測する手法を確立した.

異方性磁粉を用いた繊維配向状況評価方法の開発
教授 横井 秀俊[代表者],民間等との共同研究員 太田 隆
本研究では,プラスチック・ゴム成形品内部の繊維配向状態の新しい評価方法の検討を目的としている.磁粉の異方性磁気に注目して,材料にトレーサとして予め微量の磁粉を配合する.材料内の繊維と磁粉繊維の配向挙動に相関があれば成形品の磁気異方性を計測することにより成形品内部の繊維配向状態を評価することが可能となる.本年度は,異方性磁気特性を直行する三つの方向から計測することにより配向の強さ,および特定の二次元面内における配向の強度を評価する方法を提案し,型内の三次元繊維配向挙動を明らかにすることに成功した.

射出成形におけるタイガーストライプ・フローマーク生成現象の実験解析
教授 横井 秀俊[代表者],産学連携研究員 大和田茂,民間等との共同研究員 長谷川智巳
当研究室では,射出成形における外観不良現象に関して,各種計測・可視化実験手法を開発し解析を行ってきた.本研究では,自動車バンパー等の大型成形品表面に現れる典型的な外観不良現象であるタイガーストライプ・フローマークの生成過程および生成機構の解明に焦点を絞り,系統的な可視化実験解析を通して統一的なモデルと有効な改善策の確立を行うことを目的としている.本年度は,流動過程の非対称なファウンテンフロー現象により同フローマークが生成することを確認し,この過程で形成される成形品の表面性状との関連性を明らかにした.また,同フローマークが生成する条件を検討するため長尺金型を作製し,樹脂粘弾性特性との関連性を計測する手法を確立した.

LSIのシグナルインテグリティ開発
教授 桜井 貴康
半導体チップの微細化が進行するにつれて,デジタル信号においてもオーバーシュート・アンダーシュートなど信号波形が乱れることによって引き起こされる不具合の問題が大きくなっている.本研究では,この信号の確かさ(シグナルインテグリティ)の実体評価のための要素技術開発,シグナルインテグリティを考慮したLSI設計フロー構築のための要素技術の開発およびLSIシグナルインテグリティに関する課題の発掘と解決策の提示を行うことを目的とする.

ディープサブミクロン世代の設計法の研究
教授 桜井 貴康
近年半導体チップの微細化が進行し,最小設計寸法は0.1ミクロンを切るサイズ(ディープサブミクロン)にまで達している.ディープサブミクロン世代においては電源電圧やしきい値電圧の低下のため,従来の回路形式をそのまま使用できない.本研究課題ではディープサブミクロン世代のLSIで問題となる消費電力の増大や高速データ転送技術に対処するため,低電圧回路や高速シリアルリンク回路などの低消費電力・高性能回路に関する研究を行う.

ダイナミックリークを低減するナノサーキットの研究
教授 桜井 貴康
MOSデバイス寸法がナノ領域に入るにしたがって,絶縁膜破壊防止の観点から電源電圧は今後も低下を続けると予想されている.その際,しきい値電圧も低下させる必要がある.その結果漏れ電流が増加し,動作時でさえ支配的になってくることが予測される.いわゆるアクティブリークの問題である. 非動作時の漏れ電流(スタティックリーク)に関しては,我々は今までにBGMOS(Boosted Gate MOS)やSCCMOS(Super cut-off CMOS)などのリークカット方式を確立した.本研究ではこれらの成果を踏まえ,将来のダイナミックリークを削減するための手法を確立し,実用化への道を開くことを目的とする. 遅延スラックを利用したVDD,VTH,サイジングによるリーク電力低減化への統括的設計手法などの設計指針を確立するとともに,現在低消費電力化手法として最もよく試用されているクロックゲーティングが有効でなくなる世代でのZigzag CMOSなどによる高速な選択的ブロック活性化手法,ゲート・ソースの逆バイアスによって洩れ電流をカットオフ制御する新手法など,リークカットへの新手法を実証する.

システムレベル低電力化方式の研究
教授 桜井 貴康
技術の進歩にともなってひとつのチップに詰め込まれるトランジスタの数が増え,消費電力を下げる回路技術が重要になっている.桜井研究室では電源電圧を下げることが低消費電力化の効果が高いことに着目し,低電圧下においても動作するプロセッサ設計などを行っている. しかしハードウェアだけで工夫をするよりも,システム全体で考えるとより消費電力を小さくすることができる.本研究課題では携帯電話への応用を視野に入れながら,ソフトウェアと協調して負荷に応じて電源電圧を動的にコントロールすることにより,消費電力を減らすことができる電圧ホッピング技術の開発も行っている.

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 池内 克史, 教授 須田 義大
サステイナブルITSに関わる車両計測・地図データ等の研究

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
複合現実感交通実験スペースを構築し,それを活用したヒューマン・ファクターに関する基礎研究及びそれに立脚した各種ITS応用研究を実施する.

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
複合現実感交通実験スペースを構築し,それを活用したヒューマン・ファクターに関する基礎研究及びそれに立脚した各種ITS応用研究を実施する.

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
複合現実感交通実験スペースを構築し,それを活用したヒューマン・ファクターに関する基礎研究及びそれに立脚した各種ITS応用研究を実施する.

サステイナブルITSに関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者], 教授 須田 義大, 教授 池内 克史
複合現実感交通実験スペースを構築し,それを活用したヒューマン・ファクターに関する基礎研究及びそれに立脚した各種ITS応用研究を実施する.

文化財デジタル化の為の3次元計測技術および高精度CG再現技術の研究
教授 池内 克史
対象物に適した高精度3次元計測技術の研究行う.対象物の光学特性や形状などから対象物を正確に再現する為の手法,技術を確立する

選定研究

選定研究
共鳴伝導の数値計算によるナノデバイスの理論設計
助教授 羽田野 直道
ナノメートルスケールの伝導体の中の量子力学的電子状態を理論計算する手法を開発することが本研究の目的です.特に,量子細線のつながった量子ドットにおける電子の共鳴状態を数値的に計算し,量子ドットの形状や相互作用がその系の電気伝導性に与える影響を調べます.それによって回路素子の理論設計を行います.

複合化技術による新規環境調和型高分子材料の開発
助教授 吉江 尚子
生分解性高分子材料に対して,高分子構造の徹底解析と高分子ブレンドの作成及び解析の技術を応用展開し,戦略を持ってブレンド化,表面修飾,傾斜構造化などの高分子複合化を施すことにより高機能性材料の開発する。

市街地および公共空間における車両と歩行者を強調させた追跡・状況認識技術の開発
助教授 上條 俊介
画像上における車両と歩行者を統一的にトラッキングするためのアルゴリズムを,時空間MRFモデルを改良することにより開発する.また,道路空間に限らず様々な公共空間への適用を試みる.

展開研究

展開研究
超小型ガスタービンの試作研究
教授 加藤 千幸[代表者], 助手 西村 勝彦
羽根車外径8mm,回転数120万rpm, タービン入口温度950℃,出力40W程度の超小型ガスタービンエンジンの中核となる,超小型超高速ロータに関する試作研究を行う.

MIcro PIVによるマイクロデバイス内流れの可視化計測
助教授 大島 まり[代表者], 助教授 藤井 輝夫, 助教授 酒井 康行
生態系の多様なスケールのなかで,マイクロスケールにおいて重要な役割を果たしているのは細胞といえる.細胞は流体を介して物質の輸送や交換を行っていることから,細胞を取り巻くマイクロな流動現象を把握することは重要な課題である.本研究においては,マイクロスケールの流動現象を解明するために,微小空間スケールにおける計測技術の開発研究を行う.さらに,マイクロ細胞培養デバイスを対象としてマイクロスケールの流れに適用し,細胞に与えるマイクロ流動現象を解明していくことを目的としている.

細胞を生産工場とした糖鎖合成法の確立と医療用バイオ素子・システムへの応用
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ,教授(ワシントン大)箱守仙一郎
各種の動物細胞,植物細胞を糖鎖生産工場として利用するという発想により,「糖鎖プライマー」を細胞に与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,多岐にわたる糖鎖ライブラリーを構築し,糖質ポリマーを合成している.糖鎖に疎水性の基を付けた「糖鎖プライマー」を細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.さらに,得られた糖鎖の機能解析を行い,優れた機能を有した糖鎖を素材とした機能性バイオ素子・システムを作製している.

分相を利用した微小球ガラスの開発
助教授 井上 博之
ガラスは均質で透明な材料であり,組成や形状の大きな自由度を特徴としている.さらに,ガラスに異質相を析出させることにより,新たな特性を付加することができる.光や熱により着色・消色するフォトクロミックガラス,非線形光学効果を示す半導体微粒子分散ガラスは,ガラス中に析出する微小な結晶相による光学的機能付加の例である. 本研究は,酸化物ガラス中にハロゲン化物ガラスの微小球を析出させて,微小球光閉じ込め効果を有する複合ガラスを作製することを目的としている.

グループ研究

グループ研究
快適性の工学的応用に関する研究グループ
教授 須田 義大[代表者], 教授 加藤 信介, 助教授 曲渕 英邦, 助手 上野 佳奈子
室内,車両内の物理的環境(温熱環境,視的快適につながる照明,騒音など音環境,振動,空間の開放感,公共の場におけるテリトリの確保による利用されない無駄なスペースの発生など)の調整・制御をより合理的に行うために,人間の環境に対する認知,行動要因を解明し,室内や車両内などの環境の快適性と人間行動の関係を説明するモデル構築を目標に活動を行っている.定例の会合による討論,実地調査,関連する研究者との会合を実施した.

耐震構造学研究グループ
教授 藤田 隆史[代表者],須藤 研,小長井 一男,都井 裕,助教授 大井 謙一,山崎 文雄,中埜 良昭,古関 潤一,川口 健一,目黒 公郎,助手 Jorgen Johansson,真田 靖士,大堀 真敬,嶋脇 與助,小檜山 雅之,佐藤 剛司,宮崎 明美,吉村 美保,名誉教授 岡本 舜三,田中 尚,川井 忠彦,田村 重四郎,柴田 碧,佐藤 壽芳,岡田 恒男,高梨 晃一,教授(東大)龍岡文夫,(東大)廣井脩,所長(防災科学技術研究所)片山恒雄,他約20名
耐震構造学研究グループERSは,1967年に耐震工学を専攻する研究者の集まりとして発足して以来,今日までの36年間にわたり,活発な研究活動を続けてきている.ERSは土木・建築・機械など,異なった分野を研究対象とする研究者が,共通する基礎知識や研究手段を探り,それを様々な角度から検討・分析するとともに,互いの研究成果を検証し合うことによって,より正確な現象の理解と新たな技術の発展や創造を目ざしてきた研究グループである.今日ERSは,研究者数,研究実績,研究設備のいずれにおいても,国内はもとより国際的にも有数の研究グループとして広く知られている.本年度は,所内外のメンバーの研究発表と研究情報の交換の場である定例会を隔月に開催し,定期刊行物として35年間続けてきているBulletinも例年通り刊行した.また,千葉実験所における研究施設(地震による構造物破壊機構解析設備,構造物動的破壊試験装置等)を利用した実験も頻繁に行った.

TSFD(乱流シミュレーションと流れの設計)研究グループ
教授 吉澤 徴, 教授 加藤 信介, 教授 加藤 千幸, 助教授 谷口 伸行[代表者], 助教授 半場 藤弘, 助教授 大島 まり, 助教授 大岡 龍三, 助手 横井 喜充, 助手 西村 勝彦,宋 斗三
TSFD研究グループは,さまざまな理工学分野で必要とされている乱流の数値シミュレーションを実用的解析手法として確立することを目指している.そのために,流体物理学,機械工学,生体工学,建築・都市環境工学などの観点から,乱流の統計理論的研究の推進,数値シミュレーション解析法の開発,数値シミュレーションの実証と応用などの多方面にわたる研究を進めている.その最新研究成果を生産研究TSFD特集号やIIS Annual Reportに公表するとともに,乱流の数値シミュレーションに関する定期的な研究集会や国際シンポジウムの企画開催,数値解析ソフトウェアの公開提供などを行っている.

工学とバイオ研究グループ
助教授 藤井 輝夫, 教授 荒木 孝二, 助教授 大島 まり, 助教授 川口 健一, 教授 黒田 和男, 助教授 酒井 康行, 教授 榊 裕之, 教授 迫田 章義, 助教授 志村 努, 助教授 白樫 了, 助教授 鈴木 高宏, 助教授 竹内 昌治, 助教授 立間 徹, 助教授 野地 博行, 教授 畑中 研一, 教授 平川 一彦, 教授 藤田 博之, 講師 北條 博彦, 教授 溝部 裕司, 教授 柳本 潤, 助教授 吉江 尚子, 助教授 吉川 暢宏, 教授 渡辺 正[代表者]
工学とバイオ技術との接点は飛躍的に拡大しており,人工システムを主な対象としてきた工学の,バイオ関連分野への応用可能性を議論することはきわめて重要である.本研究グループでは,生体における構成要素の形状と機能との関係を明らかにした上で,それをいかに利用するかを問う,という姿勢を念頭におきながら,工学とバイオ技術との接点を広く探るための活動を展開している.

国際共同研究

国際共同研究
海洋資源採取システム要素技術としての大水深ライザーの動的応答解析手法の開発
助教授 林 昌奎
海底油田,メタンハイドレートなど海底に埋蔵されている天然資源の開発には,陸上のような開発手法が適用出来ない.海洋での資源開発は船舶,浮体海洋構造物など海面浮かぶ構造物から海底にライザー管と呼ばれる水中線状構造物を用い,信号,物質などの伝達を行う.近年,海洋開発は水深1000メートルを超える超大水深の海域まで広がり,直径数十センチメートルのライザー管が置かれる環境は厳しさをましている.この研究では韓国のソウル大学の研究グループと共同で,超大水深 おけるライザー管の動的応答解析手法の開発を行っている.

国際学術交流協定に基づく共同研究

国際学術交流協定に基づく共同研究
熱帯の雷に関する共同研究
教授 石井 勝[代表者],バンドン工科大学 講師 Syarif Hidayat
熱帯における雷活動に関する研究を,インドネシアのバンドン工科大学生産工学部との間の学術交流協定の一環として実施している.雷放電によって放射される電磁波の受信データを基に,雷活動の日変化,年変動,地域特性などを調査している.

環境・エネルギー応用ナノ構造制御材料の共同研究ラボ
教授 宮山 勝
日伊科学技術協力プログラムに基づき,低環境負荷発電や環境汚染ガス検知などの環境・エネルギー応用に適用できるナノ構造制御機能材料の展開を目的とした研究を行っている.燃料電池,ガス分子検知素子などに関し,ナノサイズで構造制御したイオンおよび電子伝導性の無機・有機材料,それらの複合体,ナノ多孔体の設計と開発を,研究者交流等により進めている.

集積化マイクロメカトロニックシステム
教授 藤田 博之
1995年より10名程度のフランス人客員研究員及びポストドクトラル研究員を生産研に迎え, 1〜3年間の滞在中に研究をして頂いている. 日仏の研究者で構成する科学評価委員会を毎年開催して, 研究成果の評価を受けている. 1999年6月に,協定の更新を行い,更に3年間共同研究を継続することになった.

東京大学生産技術研究所とスイス連邦工科大学ローザンヌ校マイクロエンジニアリング学科との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 教授 コラール ドミニク, 助教授 川勝 英樹, 助教授 金 範凵C 助教授 年吉 洋, 助教授 藤井 輝夫,教授(東大)樋口俊郎
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPLF)と交流協定を結び,半導体マイクロマシニングとその応用,マイクロ・ナノレベルの動作をするメカトロニクス,および関連の技術に関して研究交流集会や学生の交換を行っている.

東京大学生産技術研究所と韓国機械研究院(KIMM)との間における研究交流推進確認書
教授 藤田 博之[代表者], 教授 増沢 隆久, 助教授 金 範凵C 助教授 川勝 英樹, 助教授 年吉 洋, 助教授 竹内 昌治
韓国機械研究員(KIMM)と交流協定を結び,ナノメカトロニクスに関して,研究交流集会の開催や研究員の受入を行っている.

科学技術振興費

科学技術振興費・主要5分野の研究開発委託事業(RR2002)
戦略的基盤ソフトウエアの開発
教授 加藤 千幸[代表者], 助教授 谷口 伸行, 教授 板倉 周一郎, 助教授 大島 まり, 客員助教授 佐藤 文俊,教授(東大)矢川元基,助教授(東大)奥田洋司,主任研究官(国立医薬品食品衛生研究所)中野達也,副センター長(物質・材料研究機構)大野 隆央,顧問研究員 小池秀耀
次世代の産業基盤となる,バイオ,ナノ,流体・構造分野など5分野のシミュレーションソフトウエアを産学連携により開発し,公開,普及する.

脳の動的情報表現のモデル化とその情報処理への応用
教授 合原 一幸
本研究は,コミュニケーションの創発プロセスを,脳の情報処理機構を考慮して情報を入出力する構成要素からなるシステムとしてモデル化するものである.すなわち,人間,あるいは人間の集まり,あるいは環境を含んだ全体を,システムとして考え,そのシステムを表現する数理モデルを構築する. 人間一人をシステムとして捉えれば,脳がどのような情報表現を用いて情報処理を行っているかという問題になる.本研究では,大脳皮質の領野間の結合関係を模した層状構造を持つニューラルネットワークを用いて,脳における時空間情報表現の形成過程を数理モデル化するとともに,新しいフォワード伝播型強化学習則を提案した. また,2人の人間を1つのシステムとして捉えれば,お互いが相手の内部状態を推定する系とみなすことができる.自己と同等の他者を観測するときに生じる困難を解決する方法として,本研究では自己を客観的に観察し学習したダイナミクスモデルを他者の内部状態の推定に利用する「自己観測原理」を提案した. 多人数の相互作用は人間関係のシステムとして捉えられる.本研究では,相応性と感情の同一視という心理学的現象をモデル化することで,Heiderのバランス理論が成立することをシミュレーションで示した.

大都市大震災軽減化特別プロジェクトW-1.「地震防災統合化研究-事前対策」
助教授 目黒 公郎[代表者],村上ひとみ 山口大学 助教授,根上彰生 日本大学 助教授

人・自然・地球共生プログラム「陸域生態系モデル作成のためのパラメタリゼーションに関する研究-リモートセンシングによる陸域生態系パラメータの計測」
教授 安岡 善文[代表者],助手 遠藤貴宏,博士研究員 Baruah Pranab Jyoti,産学官連携研究員 安川雅紀,産学官連携研究員 小川有子,大学院生 竹内渉
地上観測と衛星観測の併用により,植物の光合成能,生産量などの生態系パラメータを広域で計測する手法を開発する.地球規模での環境・気候変動のモデル化には広域での高精度陸域生態系パラメータの入力が不可欠であるが,本研究では,地上観測データから衛星データまでのスケールアップにより生態系パラメータの広域分布を計測する手法を開発することを目的とする.

戦略的基盤ソフトウエアの開発
客員助教授 佐藤 文俊
次世代の産業基盤となる,バイオ,ナノ,流体・構造分野など5分野のシミュレーションソフトウエアを産学連携により開発し,公開,普及する.

一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト,固体・ガス状試料の安全性評価システムの開発
助教授 酒井 康行,教授(岡山大環境理工)小野芳朗[代表者],教授(岡山大農)白石友紀,チームリーダー(理研植物科学セ)山口勇,研究員(理研植物科学セ)榊原均,室長(産総研海洋資源環境)川幡穂高,((株)関西総合環境センター)太田秀和,助教授(岡山大自然科学)綾野克紀,助教授(岡山大環境理工)比江島慎二,研究員(産総研地圏資源環境)竹内美緒
都市や地域から排出される一般・産業廃棄物・バイオマスについて無害化処理と再資源化を図る技術開発において,その安全性を評価することは必須である.そこで,化学分析や各種バイオアッセイの総合的な利用が考えられ,その中で酒井はヒト肺細胞を用いたガスまたは灰・浮遊粒子状物質の安全性評価を担当する.

科学技術振興費・リーディングプロジェクト
21世紀のアジアの水資源変動予測 土地利用・地表面環境の全球時空間補間推定
教授 柴崎 亮介

地球水環境インフォマティクスの確立 衛星データ統合化システムの構築
教授 柴崎 亮介

一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト
教授 野城 智也[代表者], 教授 迫田 章義
バイオマスシステムの物流システムの開発有機系廃棄物は,地域的に広範に発生する.それら,都市・地域から排出される廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムが構築されなければ,複合処理・再資源化システムは稼働しない.また稼働したとしても,かえって輸送のための化石燃料使用量を増やしたり,再資源化施設での生産品を高価格にしてしまう.そこで,現実の経済社会のなかで,廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムを構築することを目的にする

e-Society 基盤ソフトウェアの総合開発: 先進的なストレージ技術およびWeb解析技術
教授 喜連川 優
本プロジェクトは,大きく先進的なストレージ技術の研究開発とWEB解析技術に分けられる.まず,先進的なストレージ技術研究開発においては,人類が取り扱うデータは,2000年で3エクサバイトと推計され,2003年には40エクサバイトに達すると見込まれる.このようなデータの洪水に対し,本プロジェクトでは従来にはない戦略的ソリューションを見出すことを研究目的とする.具体的には,1)高度ディザスタリカバリ機構,2)ストレージ超高速アクセス機構,3)ストレージ管理コスト低減機構に関する研究開発を行う.続いて,Web解析技術においては,従来,社会の出来事はテレビニュースや新聞などのメディアを通して国民に報道されて来たが,最近では,社会現象自体の多くがサイバー空間(ウェブ空間)でなされつつある.現時点では,ウェブ上の貴重な社会情勢に関する知識は殆ど活用されておらず,本プロジェクトでは効率良くサイバー空間の活動を抽出するツールを開発する.一方,現在のサーチエンジンは現時点の状態のみのサーチに終始している.データベースがデータウエアハウス技術を生み出してきたのと同様,「歴史を紐解くサーチエンジン」は大きな潜在的需要が見込める.即ち,本プロジェクトは,定期的に日本全国のウェブページを収集および蓄積することで大規模なウェブアーカイブを構築し,コンテンツ,リンク,および時系列解析を用いた多様な分析に基づくサイバー空間調査事業を立ち上げることを目的とする.

「日本社会に適した危機管理システム基礎構築」の中のサブテーマ「情報処理面から見た危機管理システムの構築」
助教授 目黒 公郎
災害対策基本法にもとづいて主として自然災害を対象として整備されている防災体制はわが国ではもっとも一元的な危機管理体制に近いものである.本研究ではこれを下敷きにして,どのような危機に対しても一元的に対応できるわが国の社会風土に適した危機管理体制の構築を目的として,以下のような達成目標を設定する. 本年度は欧米諸国が市民安全対策(Civil Defense)計画として採用しているさまざまな原因に対する一元的な危機管理計画の分析を行い,人材育成システム,組織運営,情報処理,災害対応プログラムの観点からわが国の現行の危機管理の仕組みと比較検討する.

その他

その他
アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究(地震断層近傍のハザード評価)
教授 小長井 一男[代表者], 助教授 山崎 文雄, 教授 古関 潤一, 助教授 目黒 公郎
表記の大課題のうち,地震断層の直接関わる被害のハザード評価と対応策について検討し,被害事例のデータアーカイブス構築,ハザード評価のツールボックスを整備するものである 配分金額 3473000円

地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明(土石流動シミュレーション技術の開発)
教授 小長井 一男[代表者],助手 Jorgen JOHANSSON
環太平洋火山地帯は同時に地震の巣でもある.このような地域に堆積する火山性屑砕物は多孔質で脆く,雨水を含む状況でこれが破壊すると,粒子間隙の水圧の著しい上昇が起こり,長距離で高速の土砂流動を引き起こす.こうした土砂流動は最も悲惨な災害に繋がりえるもので,その破壊現象の実際を踏まえ,速度と到達距離の予測が防災対策上欠かせない.本研究は効率的かつ実用的な予測ツールの開発を試みるものである.

非エルミート行列の固有値分布の数値計算アルゴリズム
助教授 羽田野 直道
非エルミート行列の固有値分布は,物理の様々な局面(確率過程の時間発展演算子など)で現れます.しかし,これまで巨大な非エルミート行列の固有値分布を計算する一般的なアルゴリズムはありませんでした.我々は,共役傾斜法とランチョス法を組み合わせてグリーン関数のノルムを計算するという新しい手法を開発しました.

トンネリング時間の新しい定義
助教授 羽田野 直道
電子がトンネル障壁をトンネルする際にかかる時間はどれだけか,そもそもそのような時間が定義できるのか,というのは量子力学の根本的な問題の一つです.我々は,トンネル障壁内の共鳴状態の寿命という観点から,トンネリング時間を定義することを提案します.

フラクタル媒体による光トラッピング
助教授 羽田野 直道
フラクタルな形状をもす媒体に高周波を入射すると,ある時間,媒体にトラップされるという実験的報告がなされました.我々はそれを電磁波の共鳴状態と考えて解析した結果,フラクタル性を進めるほど,共鳴状態の寿命が無限に長くなるという結論を得ました.

経済物理学におけるモデリング
助教授 羽田野 直道
外国為替相場の揺らぎは,相転移点直上の揺らぎと共通しているという点から,物理的興味を持たれています.我々は,その揺らぎの特徴を捉えるため,複数の為替相場の相互作用を考慮した新しいモデルを提唱しました.そのモデルによるシミュレーション結果は実データをよく再現します.

非平衡ダイナミクスと非エルミート行列の固有値分布
助教授 羽田野 直道
非平衡モデルの時間発展は非エルミート行列で表現されます.我々は,非エルミート行列の固有値分布を計算する新しいアルゴリズムを使って,非平衡ダイナミクスと,時間発展演算子の固有値分布の関係を議論します.

血液分析のためのマイクロチップの開発と流動解析
助教授 大島 まり
MEMS技術を生かした血液分析のマイクロチップを開発していく際に,チップ内の流動現象を把握する必要がある.そこで,本研究はマイクロ混相流れを解析するための数理モデルの開発と数値解析手法の開発を行い,実験とともに検証する.

デジカメでわかるCTスキャンのしくみ−医用画像診断装置とバイオメカニクス−
助教授 大島 まり[代表者], 助教授 吉川 暢宏
CTやMRIの画像診断装置はデジタル画像が基礎となっている.そこで,身近にあるデジカメやコンピュータを用いて実験することにより,CTスキャン装置の仕組みについて学ぶ.また,3次元画像の構成について学ぶ.

分散されたデバイスと相互作用し賢くなる知的空間 -科学技術振興事業団 個人研究推進事業 さきがけ研究21-
助教授 橋本 秀紀
人間を観測し, その意図を把握して適切な支援を提供する人工的な空間の創造を目指す.具体的には, その空間内に分散配置された多数のデバイスがネットワーク化され, 人間から得られる多様なデータの取得手法とそ, の情報化および知能化を検討し, データの持つ意味を抽出して適切な支援を発現する仕組みを提案する.

フッ化物ガラス中の希土類イオンの発光設計に関する研究
助教授 井上 博之
フッ化物ガラス中の希土類イオンの発光特性の研究を行っている.本研究を通して,種々の希土類イオンの特性を計算機上で予測することができることがわかってきた.これを用いて,種々の光学材料の設計を目指して,現在研究を行っている.

光電気化学技術の基礎と応用に関する研究
助教授 立間 徹
エネルギー貯蔵型光触媒コーティングによる防錆技術を開発する.

膨張コンクリートのひび割れ抵抗機構の解明とひび割れ幅定量評価手法の構築
助教授 岸 利治
膨張コンクリートのひび割れ抵抗性に関する微視的機構の解明と,機構に基づいたひび割れ幅算定式の構築に取り組む.極めて複雑なケミカルプレストレスト部材の挙動に対し詳細な検討を加え,正攻法で微視的機構の解明に取り組むところに本研究の特徴がある.

科学技術振興調整費 先導的研究等の推進課題名「地球水循環インフォマティクスの確立」
教授 喜連川 優
本研究では,世界36箇所のリファレンスサイトにおいて観測された水循環に関するデータならびに関連する水循環関連データのアーカイブシステムの構築を目標とする.リファレンスサイトにおいて観測されたデータは,観測項目,時間間隔,データフォーマット,データ品質等が異なる多種多様なデータであるが,データアーカイブシステムにおいては,各地の観測データを統合化してアーカイブする機能を実現するとともに,データ利用者には,希望する観測項目,時間間隔,データフォーマットにて柔軟にアクセス可能なユーザインタフェースを提供する.また,自動観測装置の故障やバッテリーの消耗等により,観測されたデータには誤った値が含まれる場合があり,それら誤った観測値を修正あるいは削除する必要があるが,誤った値の検出,修正,削除の作業を行うことができるのは,データ観測装置および観測時における観測値の自然環境,状況をしる観測者のみである.そこで,世界36箇所のリファレンスサイトにいる観測者自身がインターネットを通じてシステムにアクセスし,容易にデータ品質チェックを行うことができるトランザクショナルなWEBインタフェースを作成する予定である.最終的には100TB規模の大規模なデータを統合化する必要があり,最新のストレージシステムテクノロジを駆使したデータアーカイブ系を構築する.

画像処理による高速道路における統計量取得に関する研究
助教授 上條 俊介
道路計画等においては,交通量や平均速度等の調査が頻繁に行われている.そこで,これらの効率化を図るため画像処理による自動化技術の開発を行う.

道路構造データに基づく事故要因データマイニングの研究
助教授 上條 俊介
従来の交通工学的知見にとらわれず,情報技術における知識発見の手法を適用し,従来に無い知見を自動的に発見するための研究を行う.

画像による交差点リアルタイム交通量計測に関する研究
助教授 上條 俊介
時空間MRFモデルによれば,2次元画像空間でのトラッキング自由に行えるため,ネットワーク信号制御に必要な分岐率情報が容易に取得できると期待される.本研究では,その精度検証を行うとともに,実用化へ向けた課題を解決する.

高度マイクロ化学プロセスプラットフォームの材料加工技術研究に基くマイクロ材料加工論の体系化研究
教授 藤田 博之[代表者], 助教授 竹内 昌治
マイクロ流体システムを実現するための材料および微細加工技術について,必要な基礎的知見を取得,収集,整理して体系化することを試みている.

材料劣化を考慮したコンクリート構造物の構造安全性能評価手法の開発
講師 加藤 佳孝[代表者],鹿児島大学 助手 山口明伸,埼玉大学 助手 牧剛史
本研究は,これまで個別に検討されてきた,耐久性能評価,耐震性能評価,品質評価に関する研究を統合することにより,構造物の安全性能を時間軸上で適切に評価することができる手法を開発することを目的としている.各々の既往の研究は,単独の現象の解明,精度向上に資するものがほとんどであり,この意味においては非常に有益な成果を得ている.しかし,研究成果を使用するユーザーのニーズを考慮していないため,実用化されるに至っていないことが問題である.本研究では,各々のニーズを明確にすることにより,個別の開発手法を統合する点が独創的である.統合化の方法として,最終的に構造物の性能を評価する応答解析プログラムを用いて,パラメトリックスタディーを行うことにより,構造安全性能に影響を与える材料劣化の情報(精度,影響範囲など)を整理する.この結果を受けて,必要となる情報(ニーズ)を提供することが可能な,劣化予測手法,品質評価手法を確立する.ただし,劣化予測手法自体は,ミクロスケール(nm〜cm)の材料情報を基盤とするものであり,劣化予測の精度を低下させるものではなく,品質評価手法も同様である.このような検討方法は,今後のコンクリート工学全体の研究成果の体系的整理の手法として役立つものと確信している.

圧縮充填空隙粉体比則によるコンクリートの高耐久化限界に関する研究
講師 加藤 佳孝
今後我々は,莫大な社会資本ストックを建造当時よりも遙かに少ない人口で,維持管理しなければならない.つまり,既設構造物に関してはより少ない投資で効率的に維持管理し,新設構造物に関しては,品質のよいものを低コストで建造していくことが重要である.ここで,高耐久コンクリートとは,ワーカビリティーを確保した範囲内で低水セメント比とし,発熱を抑えることにより実現可能である.この時,どこまで低水セメント比化が可能であるのだろうか?例えば,セメントの密度を3.16(g/cm3)と仮定し,セメントの実績率を75%,ペースト中に空気が混入しないと仮定すれば,限界の水セメント比は10.5%と単純に計算可能である.つまり,セメントの実績率がわかれば,ワーカビリティーの問題などを無視すれば空間的に可能な低水セメント比の限界がわかる.一方,コンクリートの配合設計法をみると,過去の膨大な経験的な知見により,数回の試し練りのもと設計配合を決定する方法が未だに採用されている.このような方法では,受け入れる材料の品質が変動する毎に,試し練りをし,設計配合を修正していくことが必要となる.このような状況は,純粋なコストの増大をもたらすことは勿論のこと,産業廃棄物として廃棄されるコンクリート量が増大することによる多大な環境負荷,天然資源の無駄使いによる環境負荷など,今後の社会生活において多大な影響を及ぼすこととなる.このような状況を脱するためには,コンクリートの配合設計を理論的に構築していくことが重要な課題となる.本研究では,限界低水セメント比の理論的検証および空間的特性を考慮した理論的配合設計方法の確立を目的とする.

コンクリート構造物の補修工法の品質評価に関する研究
講師 加藤 佳孝
20世紀の我が国は欧米諸国に追いつくことを最大目標に,産業の育成,設備の拡充,新製品の製造等に全力を尽くしてきた.その結果,経済は高度に成長し我が国は世界的に見ても裕福な国に変貌した.都市基盤設備のストック状況として,橋梁を例にとると1950年からピーク時の1970年頃まで年平均約2500の橋梁が新設され,現在,約13.6万橋のストックが存在しているといわれている.これは,日本の全人口で考えれば,約1000人に1橋の割合で存在していることとなる.年平均2500橋が新設されてきたということは,今後,同程度の割合で維持管理(長寿命化)あるいは更新をする必要があることを物語っている.また,最近ではトンネルの崩落事故等に代表されるような早期劣化が問題となってきており,今後,効率的に補修・補強を実施していくことが重要である.しかし,現状の補修技術は,どちらかと言えば場当たり的な対応がなされており,経験的に適切と考えられる補修工法を実施しているに過ぎない.これに対して,最近では補修したコンクリート構造物の再劣化が懸念されており,補修後5〜10年でコンクリートの劣化が生じる報告がある.この様な現状を解決するためには,現在提案されている補修工法の特性を定量的に評価していく必要がある.本研究室では,このような問題に対して,各種補修工法の品質評価を実施している.

非侵襲的生体内遺伝子機能発現計測系の開発
教授(東大医科研)榊佳之[代表者], 教授 平川 一彦,助教授(東大医科研)程 肇,グループ長(浜松ホトニクス)鈴木, 教授 榊 裕之
科学技術振興調整費

相関エレクトロニクスの研究
教授 平川 一彦,(NTT基礎研)平山祥郎[代表者]
(戦略的基礎研究推進事業)量子力学的にコヒーレントな系の伝導は回路論的には"reactive"であり,直流の伝導もなければ,電気信号に対する損失も利得もない.従って,ナノデバイスが機能を果たすためには,適度な散乱・散逸が必要不可欠であり,ナノ構造デバイス中の電子波束のデコヒーレンスと伝導特性の理解が必要不可欠である.本研究では,フェムト秒レーザパルスにより半導体中に励起されたキャリアが放射するTHz電磁波から,量子効果デバイス中の電子波束のデコヒーレンス機構を解明するとともに,電子系の伝導率スペクトルを測定し,量子効果デバイスが示す利得の周波数限界などを明らかにする.

量子構造を用いた遠赤外線光技術の開拓と量子物性研究
教授 平川 一彦,教授(東大)小宮山進[代表者]
(戦略的基礎研究推進事業)単一電子トランジスタとサブバンド間遷移を用いて中赤外単一光子検出器の実現を目指すとともに,それに必要な高純度GaAs系ヘテロ構造の結晶成長を行う.

最終処分場管理における化学物質リスクの早期警戒システムの構築(環境省・廃棄物処理等科学研究費)
国立環境研究所室長 井上雄三[代表者], 助教授 酒井 康行, 教授 迫田 章義
適切な廃棄物管理体系を構築する上で,バイオアッセイを含む種々の影響評価手法を適切に組み合わせることが重要と考えられる.化学的・生物学的モニタリング手法の埋立地浸出水などの実試料への適用を進める中で,それらの手法の相互比較と適切な組合せを通じて,最適かつ簡便なモニタリング体系を構築使用としている.迫田・酒井らの主要な分担課題は,数理解析を用いた毒性支配物質(群)の同定手法の開発であり,その結果を処理フローの改善などの具体的な施策に結びつけようとしている.

[バイオ人材育成システム開発事業]医療工学の指導的人材の育成
教授(東北大) 山口隆美[代表者], 助教授 大島 まり,教授(東北大) 大内憲明,教授(東北大) 大隈典子,教授(東北大) 佐藤正明,教授(東北大) 和田仁
平成14年度経済産業省補正予算事業として採択され,医工連携を視野に入れ新しい人材教育を行うため,医学分野および工学の分野の双方を取り入れたカリキュラムの開発を行った.