研究および発表論文

研究課題とその概要

科研費による研究

科学研究費:特別推進研究(1)
人文社会科学のための空間情報科学
教授 柴崎 亮介[代表者],教授 柴崎 亮介, 協力研究員 史 中超 大学院学生 中川 雅史
空間情報科学の手法や知見を活かして, 人文社会科学との新たな融合領域を創生することを目標に研究を行っている. 今年度は, 3次元空間データの取得技術を利用した世界遺産の3次元モデル構築と考古学への応用をテーマにした.

人間の意図・行動理解に基づく柔軟なヒューマン・マシン・インタラクションの実現
助教授 佐藤 洋一[代表者],杉本晃宏(国立情報学研究所)
現実のものとなりつつあるユビキタスコンピューティング環境において,計算機端末における利用を前提とした従来型のヒューマン・コンピュータ・インタラクションの限界が指摘されている.本研究では,ユーザに対してコンピュータとのインタフェースそのものを必要以上に意識させることなく,必要なときに必要な情報を提示することを可能とする透明なインタフェースの実現を目的とし,実世界環境に埋め込まれたセンサ群および装着型センサからの情報をもとに,人間のおかれている状況や,人間の行動・意図を理解するための基盤技術を開発する.

科学研究費:特別推進研究(2)
量子ドット構造による電子物性の制御と次世代エレクトロニクスへの応用
教授 榊 裕之[代表者], 教授 荒川 泰彦, 教授 黒田 和男, 教授 岡野 達雄, 教授 桜井 貴康, 教授 藤田 博之, 教授 平川 一彦, 教授 平本 俊郎,教授(東京大物性研)三浦 登,教授(東京大物性研)家 泰弘,教授(東京大工学部)白木靖寛,教授(東京工業大学)安藤 恒也, 助教授 志村 努, 助教授 福谷 克之, 助教授 小田 克郎, 助教授 高橋 琢二,助教授(東京大物性研)勝本 信吾,助教授(東京大学大学院総合文化研究科)深津晋
電子の量子力学的な波動性をよりよく制御する手段として10 nm級の量子細線や箱(ドット)構造を活用する初の提案は, 1975年に榊によって初めてなされた. その後さらに, 量子細線FETや量子ドットレーザが, 榊と荒川らによって提唱された. 特に量子ドットでは, 電子の自由運動が完璧に禁止され, 特定のエネルギー状態の電子のみが許容されるため, 様々な新物性と機能の出現が期待される. こうしたドットは, 当初形成が困難であったが, 近年実現が可能となり, その物性の解明だけでなく, レーザ・メモリー・光検出器への応用も進展を見せている. こうした研究に関しては, 本学の研究者は部局を超えた協力を進め, 国際的にも先導的役割を果たしてきた. この共同研究の一層の進展を図るため, 2000年度文部省の支援で中核的研究拠点(COE: Center of Excellence)プロジェクトが発足した. 5年計画で, 量子ドットの形成法の高度化と物理過程の解明を基盤にして, 優れた特性や新機能を持つ先端素子の探索と実現を目指すための研究を進めている.

科学研究費:基盤研究(A)(1)
生体細胞の凍結過程におけるミクロ熱・物質移動の能動的促進と活性評価法の確立
教授(日大)棚澤一郎,教授(日大)尾股定夫, 助教授 白樫 了[代表者]
生体組織の凍結保存を成功させる最良の方法は,組織細胞の急速凍結によって細胞内液をガラス化することである,大寸法の組織では全体の急速冷却はふつう困難であるが,凍結に先だって十分な濃度の凍害防御剤を細胞内に導入することで,ガラス化が実現できることが分かってきた.本研究では,電場を用いた能動的手法による凍害防御剤の導入方法の効果を実験的に検証する.

社会・文化的特性を考慮した持続可能性配慮型建設システムの創出に関する研究
教授 野城 智也[代表者],教授 野城智也(代表者),教授(東大)吉見俊哉,教授(早稲田大学)大塚直,助教授(京都大学)古阪秀三 助教授(大阪大学)下田吉之 ,教授(工学院大学)吉田倬郎教授,教授(拓殖大学)吉田恒昭,教授(東大)國島正彦,室長(竹中工務店)室英治
本研究は,以下の三つの事項を明らかにすることを目的とする.目的2は建設行為そのものの仕組に係わる課題であり,目的3は建設行為をコントロールする仕組みにかかわる課題である. 目的1:「持続可能配慮型建設システム」と社会的・文化的特性の関係を明らかにする「持続可能配慮型建設システム」は単なる技術的な仕組みのみならず,社会的・経済的な仕組みも含む.例えば,除却される建物から発生する解体材の再利用を推進するには,単に,解体材を原料とする再利用材の開発や,その品質を向上などの技術的方策に加えて,組織間の関係やプロジェクト手順の再構築及び制度の整備など社会的・経済的方策を統合・融合させて機能させることが必要になる.社会的・経済的な仕組みは,その国・地域のもつ社会的特性のみならず文化的特性にも大きく影響されると考えられる.本研究は,「持続可能配慮型建設システム」の様態は,その国・地域の社会的・文化的特性によって多様に展開しうるという理解にたって,その様態と特性との間の関係をモデル化することを第一の目的とする. 目的2:マテリアルフロー・バランスからみた「持続可能配慮型建設システム」の具体像を明らかにする.「持続可能配慮型建設システム」の具体像は,種々の観点・側面から定義することができる.本研究は,資源の利用様態に焦点をあて,その国または地域のマクロなマテリアル・フローの特性からみて,再生材の技術的仕様の設定を含め,資源利用・循環の方式をどのように設定したらよいかを明らかにすることを第二の目的とする.ここでいう資源利用・循環の方式は,技術的な仕組みと,社会的・経済的な仕組みの両者を含む. 目的3:生産主体のサービス・プロバイダー化の寄与効果と可能性を明らかにする日本を含む先進工業国では,建設セクターと他セクターとの物品・サービスのやりとりのマクロな動態が,需要サイドよりも供給サイドに影響される度合いが高まってきている(研究代表者野城・研究業績(9)).とすると,建設産業自身が,多大な資源消費を誘引する体質を持っている限り,マテリアルフロー・バランスからみた「持続可能配慮型建設システム」の具体像が描けたとしても絵に描いた餅になってしまう.では,建設の生産にかかわる主体の業態が,プロダクト・プロバイダー(モノの供給者)からサービス・プロバイダー(サービスの供給者)に変わったらどうなるのか?本研究は,こういった着想にたって,建設の生産主体がプロダクト・プロバイダーからサービス・プロバイダーに移行することによる,持続可能性を阻害する要因の作用の軽減度合を明らかにするとともに,その国・地域の社会的・文化的特性のもとでサービス・プロバイダー生産組織の業態の移行が成立するための顕在的・潜在的可能性を明らかにすることを第三の目的にする.

科学研究費:基盤研究(A)(2)
地震断層近傍の地盤変形の空間分布を考慮した構造物の破壊モードの制御
教授 小長井 一男
1999年8月のトルココジャエリ地震,そして9月の台湾集集地震と立て続けに発生した巨大地震は,その希有な規模の断層変位と断層上の構造物被害の甚大さという点で,地震工学に携わる研究者に多くの課題を投げかけるものとなった.これらの地震は,我々研究者に,地盤の強いゆれで構造物が揺すられるという従来の想定シナリオにとどまることを許さず,断層進展に伴う著しい地盤変形を想定し適切な対応を検討することを強く迫っている.どの程度の断層変形が地表に現れるのか,またその変形に対して社会基盤の対応をどうするのか,断層変形の綿密な調査や新たに開発した大変形解析手法(LPFDM, AEM, 確率有限要素法),そして模型実験などにより検討している.

粘弾性相分離の機構解明とその普遍性の検証
教授 田中 肇[代表者], 助手 荒木 武昭
我々は,最近,のろまな大きな分子とすばやい小さな分子を混ぜた動的に非対称な混合系において,これまで知られている相分離様式では説明できないまったく新しい相分離様式(粘弾性相分離)を発見した.本研究の目的は,この粘弾性相分離における3次元構造形成機構の解明,その普遍性の範囲の明確化,その物理的起源の解明(特に過渡的ゲル化との関係)にある.具体的には,いまだ解明されていない3次元系における構造形成ダイナミクスを調べるために,高速レーザ走査顕微鏡を用いた実時間3次元構造解析法を確立し,過渡的ゲル形成の素過程を明らかにするとともに,粘弾性相分離で形成されるスポンジ状の構造のトポロジー的特徴とその時間発展を位相幾何学的側面から明らかにする.また,我々は,最近,コロイド粒子を粘度の高い液体粒子とみなす全く新しいシミュレーション法を開発し,この問題を解決することに成功した.そこで,流体力学的相互作用を取り入れたこの方法を用い,コロイド・エマルジョン系の相分離が粘弾性相分離として記述できるか否かを微視的なレベルから検証する.

現実的な装置を用いた場合の量子暗号プロトコルの安全性評価と量子情報理論の定式化
教授 今井 秀樹[代表者], 講師 松浦 幹太, 助手 古原 和邦
現在利用されている暗号技術は,計算量的安全性に頼っており,例えば量子計算機が実用化されるとそれらの暗号技術に頼った電子社会は崩壊する.その対策として,量子論に安全性を置くプリミティブが研究されてきたが,現実的な装置を用いた場合のシステム化は研究困難であった.本研究では,そのようなシステムで用いるプロトコルの安全性評価を,評価に必要となる理論研究と並行させて実施した.

層状結晶格子を利用した非鉛系強誘電機能材料の設計
教授 宮山 勝[代表者],(助手)野口祐二
非鉛系のビスマス層状構造酸化物を用い,その層状結晶格子を活用して従来にない強誘電機能および異物性融合機能を発現させるための材料設計を行うことを目的とし,以下の研究を行った.(1)チタン酸ビスマス(BIT)系での高温電気伝導が酸素−p型混合伝導性であること,および層に平行方向でその導電率が高いことを明らかにし,酸素空孔低減が強誘電物性制御の重要な因子であることを見出した (2) 分極特性の異なる2種の強誘電性ペロブスカイト層が交互に積層した交代層格子単結晶を作製し,層に垂直方向での分極特性を始めて確認した。これより,交代層格子でも構成層の物性は独自に発現することを明らかにした。

海中微生物探査のためのマイクロ現場分析システムの開発
助教授 藤井 輝夫[代表者],山本 貴富喜,大学院学生 福場辰洋,研究員 長沼 毅(広島大学)
マイクロチップによる反応分析技術をコアにして,海中において使用可能な小型の現場遺伝子分析システムの開発を進めている.具体的には,高圧,高温の海水中から微生物を採取し,そのDNAを回収した後に遺伝子配列の増幅や分離検出などを行うことが出来るマイクロチップの設計,製作を行い,その性能評価を行っている.

マイクロ・ナノマシン技術を用いた分子モータの新しい単分子計測
助教授 金 範兌代表者], 助教授 野地 博行, 講師 竹内 昌治, 助教授 年吉 洋
本研究の目的は,生物の分子モータの回転運動特性を解明にするために,マイクロ・ナノマシン技術を用いて,単分子レベルで計測する技術を確立することである.ミトコンドリアの生体膜に存在するATP合成酵素のうち,膜内在性部分のF0モータの回転特性を解明する.F0モータの回転を誘発するための局部的プロトン場形成させることができるナノ電極アレイを製作する.

組積造構造物の経済性を考慮した効果的耐震補強手法の開発
助教授 目黒 公郎

鯨類観測AUVの研究開発
助手 能勢義昭[代表者], 教授 浦 環, 教授 浅田 昭, 客員教授 浅川 賢一, 客員教授 バール ラジェンダール, 助教授 藤井 輝夫,主任研究官(水産工学研究所)赤松友成
鯨類の観測は船舶を用いた計量を主とするが,近年では,小型無線機やARGOS衛星を利用した調査もおこなわれている.だが,海面に浮上している状態の鯨類の観測は可能だが,広い海域の海中を高速で移動する鯨類の水中観測は困難を極める.そこで,本研究では,高速潜航性能が高く雑音の少ない自律型海中ロボット(AUV)を利用して,海中を移動する鯨類に触れることなく観測できる新しい移動観測プラットフォームの確立を目指す.鯨類の多くは鳴音と呼ばれる声を出す.ザトウクジラの鳴音は複雑なフレーズを形成しており,マッコウクジラはクリック音を出す.AUVにハイドロフォンを取り付け,鳴音を捉え,鳴いているクジラを識別,追跡,観測することにより,鯨類の生態観測を促進していく.研究初年度である本年は,AUVに搭載可能なハイドロフォンの小型アレーを試作し,マッコウクジラのクリック音を小笠原諸島において録音し,信号処理技術を用いて解析し,個体識別をおこなう研究を進めた.また,ザトウクジラについては別途録音した鳴音を,高度なコンピュータ処理技術を用いて解析し個体識別をおこなう研究を進めた.

科学研究費:基盤研究(B)(1)
スマート型空間構造システムの開発と構造挙動に関する研究
助教授 川口 健一
元来,建築構造物の形態は建設以後変化しない.しかし,近年,建築構造物への要求は大きく多様化しており,開閉式ドームなどの可変式の建築が登場するようになってきている.このような傾向は,通常のビル建築以上に,ドーム構造や展示施設などの特殊構造をもった大規模集客施設,いわゆる空間構造物と呼ばれる建築構造物において顕著である.しかし,従来の開閉式ドームなどに代表される可変式構造物は既存の重工業的な技術の延長であったため,空間構造本来の軽量性という特徴を失ってしまっている. 本研究では,空間構造物本来の特徴である軽量性を損なわず,様々な荷重,用途条件下で最も適した構造システムを形成するスマート構造としての可変空間構造を開発することを研究の目的とする. 本研究は全体を3つのphaseに分けて行なう.phase1.既往解析プログラムの発展.基本モデルの作成.phase2.解析システムの確認,張力安定トラスモデル載荷,振動実験phase3.可変制御モデルの作製と構造実験 本年度は,代表的空間構造である立体トラス及び膜構造に着目して,研究を進めることとした.スマート構造の自己モニタリング及び制御プログラムに発展させるための準備として,既に開発している立体トラス構造の弾性逆解析プログラムを2次元構造物である膜構造へ適応するため,理論構成及び解析プログラムを発展させた.これにより,線形範囲で膜構造の変位,応力制御を行なうための基本的な手法を確立する見通しが立つようになった.さらに,膜構造の自己モニタリングを行なうための低剛性センサーを開発する必要があるため,PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を膜構造のセンサーとして用いるための基礎的な実験を行ない,膜面に貼られたPVDFセンサーの基本的な確認した.川口助教授は10月15日より10月20日まで,韓国ソウルで行なわれたAPCS(シェルと空間構造に関するアジア太平洋会議)に出席し,PVDFを低剛性センサーとして用いるための実験結果について研究発表を行った.

科学研究費:基盤研究(B)(2)
非対称結合量子井戸を用いた半導体フォトリフラクティブ素子の研究
教授 黒田 和男[代表者], 教授 荒川 泰彦, 助教授 志村 努, 助手 芦原 聡
本研究の目的は,半導体量子井戸フォトリフラクティブ素子に,トンネル障壁層を介して複数の特性の異なる量子井戸を結合させた非対称結合量子井戸構造を導入することにより,電界屈折率効果の増大,バンド幅の拡大など素子性能の向上を図ることにある.本年度はAlGaAs/GaAs量子井戸のエキシトン共鳴を用いたフォトリフラクティブ素子を製作し,性能を評価した.特に,多重量子井戸とクラッド層の間のエネルギーステップが素子特性に大きく影響することを見出し,これにより,回折効率,空間分解能,時間応答の制御が可能であることを実験的に確かめた.

モード選択光励起による位相コヒーレント光散乱法の確立(継続)
教授 田中 肇[代表者],(日本分光)大久保 優晴
本研究の目的は, 従来の熱揺らぎに基づく動的光散乱法にかわり, 光励起したモードの共鳴スペクトルとしてそのモードのダイナミクスを探るという新しい原理に基づく"位相コヒーレント光散乱法"を確立することにある. この方法は, 光により熱・濃度・回転拡散, 表面波などの各種モードを選択的に励起し, その共鳴スペクトルをスーパーヘテロダイン方式の光散乱により, 位相情報まで含めて測定するという方法であり, 従来パワースペクトルとしてしか観測できなかった光散乱スペクトルを, 複素周波数スペクトルとして観測することが可能となる. 我々は, 既に, 縦波音波に関して, 従来法に比べ分解能にして2桁以上高い音響フォノンの複素ブリュアン・スペクトルの測定に成功している. 本研究では, 縦波音波以外の動的モードへもこの方法を応用し, 材料の動的な物性測定のための強力なスペクトロスコピーとして確立するとともに, 実用化に向けてシステムの操作性を向上させることを目指す.

リラクサー系強誘電体によるフォトリフラクティブ材料の研究
助教授 志村 努[代表者], 教授 黒田 和男, 助教授 小田 克郎,助手 的場 修, 助手 芦原 聡
本研究は,リラクサー型強誘電体によるフォトリフラクティブ材料の研究を行い,これまでに無い大きな屈折率変化を持つバルク・フォトリフラクティブ材料を実現しようとするものである.圧電効果の大きな材料は,光弾性効果との組み合わせにより実効的な電気光学定数が大きくなるため,フォトリフラクティブ効果に寄与する結晶内電場の大きさが同じでも,より大きな屈折率変化が得られる.このことからわれわれは,圧電材料として近年研究が盛んなリラクサー型強誘電体のひとつとして,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3とPbTiO3の固溶体であるPZN/PT単結晶に着目し,フラックス法による結晶育成を行った.その結果二光波混合ゲイン21cm-1という大きなフォトリフラクティブ効果を観測した.

水深の浅い場合の海洋構造物に働く非線形波力の理論計算と模型試験による検証
教授 木下 健
波浪中に係留された海洋構造物の非線形運動をより正確に推定することを目指している.海洋構造物に働く非線形波力のうち,波漂流附加質量について,物体固定座標を用いた摂動展開により定式化,プログラミングを行っている.

マイクロPIVによる微小流路内電気浸透流の可視化計測技術の開発
助教授 大島 まり[代表者], 教授 小林 敏雄, 助教授 谷口 伸行, 助手 佐賀 徹雄
近年では,ゲノム解析に代表されるような生化学実験や分析操作をマイクロファブリケーションによって製作したチップ上で行う研究が世界的に着目されている.スケールを微小化することにより,表面積/体積比が増大し,分子拡散効果が相対的に増大することから,反応や分析操作の高速化や効率化が可能である.一方,マイクロ生化学システムにおいては,マイクロ流路内の流れを介した反応が原理となっているため,マイクロスケールに特有な流動現象が現れる. 一般にマイクロ生化学システムでは電気浸透流を用いている.電気浸透流は流体操作が容易である一方,複雑な流動現象であり,未知の部分が多い.そこで,本研究では電気浸透流の物理現象を解明するために,微小空間スケールにおける計測技術の開発を目的としている. 具体的な手法としては,画像計測法として確立されているPIV(Particle Image Velocimetry)をマイクロスケールの流れに適用したマイクロPIVの開発を行う.チャネル幅200μm-30μm のマイクロチャネルをモデルとして用いて,マイクロPIVを微小流路内電気浸透流に適用した際に解決すべき点を明らかにするとともに,マイクロPIVの計測技術の確立を目指す.

半導体ミクロおよびナノ・グレイン物質の物性支配機構の解明と制御の研究
教授 榊 裕之[代表者], 助教授 高橋 琢二
SiO2の上のSiやGaAs基盤上のInAsなどの成長では, 数μmから数nmのサイズの多結晶グレイン状膜が得られる. この種の膜には, その質を一段と高める必要のあるものと, 物性の解明と新機能の探索をすべきものがある. 本研究では個々のグレイン単位で物性の支配要因を新手法を駆使して調べ, 物性の新制御や新素子応用を探る. 具体的にはSiのミクロンオーダーのグレイン界面に生じる境界障壁の作用を解明抑制し, 格段に高い伝導度を実現する道を探り, さらに, 10 nm級のグレインを電子電荷の蓄積要素やレーザなどの各種の光デバイス活性材料として活用するために障壁の効果を十分に高めるとともに, 界面の欠陥に伴うキャリアの再結合など負の効果を抑制する手法に関する新知見を得た.

テラヘルツ放射をプローブとした10フェムト秒領域におけるキャリアダイナミクスの研究
教授 平川 一彦[代表者], 教授 榊 裕之, 教授 荒川 泰彦,(産総研)島田洋蔵
サブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子は, その速度の微分に比例する電磁波を放出し, その周波数はテラヘルツ(THz)領域にある. 従って, 電子が放出するテラヘルツ電磁波を検出・解析することにより, 電子の実時間領域における運動に関する情報を得ることができる. 特に, 以下の3点を目標として, 研究を遂行する. 1)10フェムト秒程度のパルス幅のテラヘルツ光を検出する超広帯域テラヘルツ電磁波検出系を確立する. 2)光励起により生成した電子波束のフェムト秒領域における非平衡な速度−時間特性を求め, 速度オーバーシュート効果を明らかにするとともに, 超高速トランジスタの動作限界を予測する. 3)半導体超格子中の電子の速度の時間波形を観測し, 超格子の伝導度スペクトルを直接求めることにより, テラヘルツ領域でのゲインの有無に決着をつける.

量子ドットの光イオン化を用いた超高感度中赤外光検出器の開発
教授 平川 一彦[代表者], 教授 榊 裕之, 教授 荒川 泰彦,(産総研)島田洋蔵
中赤外光領域は,リモートセンシング,赤外線カメラ,環境モニタリング,生物・化学分光などの分野で急速にその重要性を増しつつある.我々は,自己組織化InAs量子ドットを高移動度変調ドープ量子井戸中に埋め込んだ横方向伝導型量子ドット赤外光検出器構造を提案し,量子ドットの光イオン化を利用して,高い光検出感度を実現している.本研究の目標は,我々が提案している横方向伝導型量子ドット赤外光検出器の実用化である.そのために,本研究では以下の点を目標に研究を進める.(1)自己組織化量子ドットの作製条件と電子状態の解明(2)量子ドット中のサブバンド間遷移過程の解明(3)量子ドット赤外光検出器の性能評価(4)量子ドット赤外光検出器の構造最適化(5)赤外単一光子検出の実現

揺らぎを排した量子スケールMOSFETにおける物理現象の探究と集積化応用の研究
教授 平本 俊郎
本研究の目的は,サイズ揺らぎのないナノスケールの極微細MOSFETにおける物理現象を実験により探究して,量子輸送現象のモデリングを行い,これらを集積化するための基礎データを得ることである.これまでにも,極微細MOSFETに量子効果や単電子効果の報告はあるが,これらの現象はデバイスのサイズ揺らぎはポテンシャル揺らぎに起因していることが多く,純粋にサイズが小さいことによる物理現象を室温で観測した報告は皆無に等しいかった.本研究では,異方性エッチングを用いた極めて揺らぎの少ない作製プロセスを開発し,室温において良好な量子効果を観測することに成功した.

「福祉制御工学」の体系化に関する基礎研究
教授 堀 洋一
福祉分野を想定した独特の制御手法の開発を目論むもので,福祉制御工学という学術領域を作りたいと考えている.(1)カメラ画像情報による非日常性の検出,(2)介護ロボットのためのパワーアシスト技術,(3)新しい制御原理にもとづく動力義足の製作,(4)電動車椅子によるウィリー動作の補助などを例として取り上げている.

力覚を用いたネットワークコラボレーションの研究
助教授 瀬崎 薫[代表者], 助手 小松 邦紀
本研究では力覚を用いたコラボレーションにおける諸課題を研究することを目的とする.具体的には,現実のネットワークで不可避である帯域制限,遅延,パケット欠落に対する方策としての,1.力覚の符号化,2.遅延補償のためのメディア同期,3.パケットロス対策等のネットワークの不完全性に起因する品質劣化対策と,力覚デバイスと通常のマウスなどの異種入力インタフェースでコラボレーションを行う場合の問題点などについて分析を行っている.

ハプティックインターフェースを用いたネットワーク指向微細作業支援システム
助教授 橋本 秀紀
本研究の目的は, 微細作業空間と人間作業空間を結ぶことで, 人間の感覚(運動感覚, 力覚, 視覚)を拡張する, ネットワークテレオペレーションシステムを提案することにある.独自の微細作業用マニピュレ─タおよび, 力覚フィードバック可能なインターフェースシステムを開発し, これらをネットワークで接続することにで, 微細作業空間を人間に拡大提示し, あたかも自分が微小世界にいるような臨場感を持って作業できるシステムを提案する.インターネット等のネットワークを介し, 様々な場所から様々な入力デバイスを用いて操作が可能な汎用的なネットワーク対応型微細作業用マニピュレ─タシステムの構築を目指す.

水素結合性主鎖を有する超分子繊維の創製とその機能開発
教授 荒木 孝二
高分子のような共有結合ではなく,一次元の多重水素結合により形成された主鎖を持つ超分子繊維の作製を試みた.剛直な水素結合性擬似高分子鎖を非極性で柔軟性に富む長鎖アルキルシリル側鎖で包むという分子設計指針に基づき,二重水素結合鎖を形成するを持つ核酸誘導体および三重水素結合鎖を形成するトリアミドシクロヘキサン誘導体を設計・合成した.これらの化合物を溶融紡糸もしくは加熱紡糸することにより,柔軟性のある超分子繊維の作製に成功し,その物性を初めて明らかにした.

水素結合性主鎖を有する超分子繊維の創成とその機能開発
教授 荒木 孝二[代表者],務台 俊樹

溶存オゾンの吸着による高濃度オゾン反応場の創生と水処理への応用(新規)
教授 迫田 章義[代表者], 助手 下ケ橋 雅樹,三菱重工業(株)長崎研究所(主任研究員)泉順
本研究は,新規に開発されたシリカ系吸着剤に溶存オゾンを吸着させることによって高濃度の反応場を創生し,この反応場で有機汚染物質を分解する新しい水処理プロセスを開発しようとするものである.具体的には,吸着剤の性質,吸着条件の観点から溶存オゾンおよび水処理の対象となる一般的な有機化合物(フェノール,トリクロロエチレンなど)の吸着特性を実験的に明らかにすること,オゾンと有機物が共に濃縮された吸着相における双方の分解反応機構を明らかにすること,さらに細孔内とバルク水中でのオゾン有機物分解反応の詳細な比較を行って吸着剤細孔内への濃縮効果を明瞭にして水処理プロセスの設計に展開することを目的としている.

3d遷移金属および希土類合金の硬X線発光磁気円二色性の研究
教授 七尾 進
X線発光分光法は,材料にX線を照射し,材料からの二次発光スペクトルを調べることによって,材料を構成する元素の電子状態を調べる測定法である。磁性材料の場合,照射するX線に円偏光したX線を用いると,円偏光の向きによって材料の発光応答が異なる現象が生じる。これを,発光磁気円二色性という。X線発光の円二色性を応用して,磁性材料の電子状態を,磁性電子ごとに調べることが本研究の目的である。発光分光装置の改良を行いつつ,希土類・遷移金属系磁性材料における測定を行っている。

細胞を用いた糖鎖合成と高機能高分子化
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ,教授(慶大)佐藤智典
本研究は,各種の動物細胞,植物細胞を糖鎖生産工場として利用するという発想により,「糖鎖プライマー」を細胞に与え,糖鎖を付加・分泌させる方法を用い,多岐にわたる糖鎖ライブラリーを構築し,糖質ポリマーを合成しようとするものである.糖鎖に疎水性の基を付けた「糖鎖プライマー」を細胞に与えると,細胞に取り込まれて糖鎖が付加された上で細胞外に分泌される.細胞はその由来によって細胞特異的な構造の糖鎖を合成しているので,糖鎖プライマーを与える細胞を選択することにより,様々な糖鎖を合成して細胞外に分泌させることができる.さらに,得られた糖鎖の機能解析を行い,優れた機能を有した糖鎖を素材とした機能性糖鎖高分子を作製する.

糖鎖を有する生分解性ポリマーの合成
教授 畑中 研一
本研究では,材料の物性こそがまず重要であるという観点から,どんな種類の高分子材料にも生分解性を付与してしまおうという全く新しい試みを行う.すなわち,目的に合った物質特性を有する各高分子材料に生分解性を付与していこうという積極的な立場で新素材開発に取り組んでいこうとするものである.具体的には,種々の高分子材料の分子鎖中に単糖あるいはオリゴ糖鎖を組み込み,材料本来の物性を損なうことなく生分解性を付与していこうという試みを行う.さらに,糖鎖部分がどのような構造であれば生分解を受けるのか,すなわち,生分解されるために必要な糖鎖の最小単位は何であるのかを明らかにする.本年度は,主鎖中にラクトースを有する芳香族ポリエステルを合成した.

小型バイオハイブリッド人体代謝シミュレータ開発と新規毒性評価系としての利用(継続)
助教授 酒井 康行[代表者], 教授 迫田 章義,((株)東レリサーチセンター)谷口 佳隆
既存の単一培養細胞からなる毒性評価系では,吸収・代謝・分配といった人体内での毒性発現に至までのプロセスが考慮されない.そこで,これらを考慮する実験系として,膜上に培養された小腸上皮細胞と担体内に高密度培養された肝細胞および標的臓器細胞(腎臓・肺など)を生理学的な培養液灌流回路で接続する新規かつ小型簡便な毒性評価システムを開発し,システム内での毒性発現の経時変化を観察すると共に,システムを一種の吸収・代謝シミュレータとして位置づけ,反応液を他のバイオアッセイで評価する新たな利用法についても検討を開始している.

肺上皮細胞の気液界面培養を利用するガス状物質のバイオアッセイ法の確立(継続)
助教授 酒井 康行[代表者], 教授 迫田 章義
in vivoの肺胞や肺気道は,体内側は血液に接しているが,体外側は10 _m程度の液層を介して,吸気に半ば直接接触している.このようなin vivoの状況をin vitroで再現するために,肺胞や肺気道細胞を半透膜上に播種し,裏側から培養液を供給しつつ,上側の培養液を除く気液界面培養が開発されている.本研究では,この新規培養法を利用して,in vivoにおける肺の暴露を正確に模倣したガス状物質を対象とした新たなバイオアッセイ法を確立することを目的としている.また,近年問題となっている浮遊性粒状物質の影響評価への利用をも視野に入れて,研究を進めている.

光誘起表面反応を併用したCVD法によるダイヤモンド膜の低温形成
助教授 光田 好孝[代表者],光田研 大学院学生 保科誠
ダイヤモンド膜の気相生成上の問題に,高基体温度(800〜900℃)がある.これは,sp3軌道を維持するために表面を終端するH原子が,高温(700℃以上)でないと脱離しないためである.そこで,本研究では,低基体温度成長のために,光励起反応による原子の吸着・脱離過程について測定し,H原子を低温脱離させる光誘起表面反応を実現することを目的とする.本年度は,高圧合成Tb型単結晶を用いて,熱脱離および光励起脱離の測定を行うための,装置製作を昨年度に引き続き行った. 試料表面のダングリングボンドを酸素または水素で終端するためのドース機構を新たに組み込み,試料加熱による気体分子の熱解離を利用した,もしくは,高温タングステン管の輸送中に気体分子が解離した原子フラックスを用いた,試料表面の終端原子を任意に変えることを可能とした.水素には,超高真空中に残存する水素と区別するために重水素を用いた.水素終端試料から熱脱離する水素分子の質量スペクトル測定,酸素終端試料から熱脱離する一酸化炭素分子の質量スペクトル測定などを行い,試料表面全体に単原子層の水素または酸素を終端させるドース条件について探索している.

不揮発性メモリの実現に向けた高誘電率キャパシタ材料の低温形成
助教授 光田 好孝
キャパシタ材料である強誘電体膜の結晶化に不可欠な熱処理は,特性劣化の主要な原因でもある.そこで,本研究では,イオン衝撃による膜の結晶化を促進し,電子デバイス級の高品質な結晶膜の作製を目的とする.本年度は,現有の両極性スパッタリング装置を用いて,代表的な強誘電体の一つであるチタン酸バリウムを研究対象に選び,基板には電子デバイスへの応用などの観点からシリコン基板,ターゲットには得られる薄膜組成が化学量論組成となるように混合比を調整した粉末ターゲットを用いて,チタン酸バリウム薄膜の作製をおこなった.250℃程度の低温基板であっても,基板表面へのイオン衝撃により薄膜の結晶化が進行し,イオンエネルギーに応じて比誘電率が増加し,一定以上のイオンエネルギーでは比誘電率が飽和する傾向が確認された.これは,焼結体ターゲットを用いたときと同様の傾向であった.しかし,イオンエネルギーが過剰に大きくなると誘電喪失が増加しており,これはイオン衝撃によって導入された結晶欠陥のため漏れ電流が生じているためと考えられる.

環境騒音のモニタリング手法に関する研究
教授 橘 秀樹[代表者], 教授 桑原 雅夫,財団法人小林理学研究所 所長 山本貢平 ,財団法人日本自動車研究所 部長・主席研究員 押野康夫 , 助教授 坂本 慎一, 助手 上野 佳奈子
1999年に改正された「騒音に係る環境基準」では,環境騒音の状況に関して従来の点的把握から面的把握に変更され,その評価指標も騒音レベルの中央値から国際的に広く用いられている等価騒音レベルに変更された.このような環境騒音に関する社会的状況の変化に対応して,騒音の状況の正確な把握方法およびその提示手法の必要性が高まっている.本研究では,騒音問題の中で最も広域的に重要な道路交通騒音を対象として,都市域における騒音環境の状況を正確に把握し,それらをマッピングなどによって環境情報として提示する手法を開発することを目的として2ヵ年にわたる研究を計画している.今年度は,モデル地区における交通条件と騒音の関係,建物背後地への騒音の伝搬特性などに関する実測調査,計算による騒音環境の推計手法の開発を行った.

データ間スキーマを導入した「世界集落データベース」支援アプリケーションの開発
教授 藤井 明[代表者], 助教授 曲渕 英邦, 助手 今井 公太郎,助手 郷田桃代,助手 大河内学,助手 槻橋修,助手 林信昭
当研究室において25年以上にわたり海外の伝統的集落・住居の調査・研究を行ってきており,現在, 7000枚を越す写真,実測図面の電子化,およびそれらを集落名,地域,調査記録などの属性とともに,データベースを構築しており,インターネットを介して検索・閲覧・管理していくことが可能なネットワーク・データベース・システム「世界集落データベース」として開発している.「世界集落データベース」は,コンピュータ・ネットワークを通じて研究者のみならず一般にも広く公開され,データベース自体の拡充を図る,動的なインターネット・アプリケーションとして開発されている.本研究はデータベースシステムの内容(コンテンツ)にあたる諸形式のデータをデータベース上で相互に関連付け,膨大な量のデータを合理的に利用できるための支援アプリケーションの開発と実装を目的とする.

熱帯降雨観測衛星データによるグローバルな土壌水分・植生量計測システムの構築
教授 虫明 功臣[代表者], 教授 安岡 善文, 助教授 沖 大幹,研究員(気象研究所) 仲江川敏之, 助教授 鼎 信次郎
TRMM(熱帯降雨観測衛星)に搭載されているPR(降雨レーダ)が観測する地表面散乱の強度から,表層の土壌水分を推定するための研究を行っている.PRは,SAR(合成開口レーダ)にない直下視に近い角度で観測が行える点で,土壌水分観測に有利である.本研究から,入射角12°付近での観測がグローバルスケールに混在する様々な植生分布とその時間変化の影響を最小限に抑え,土壌水分の変動を抽出するのに有利であることが分かった.アルゴリズムの改良,現地観測土壌水分データとの比較を行いながら,1998-2000年の3年分について熱帯域を中心とした表層土壌水分データを日単位で作成・公開する準備をすすめている.時間解像度の向上には,観測幅の広いTMI(マイクロ波放射計)を併用するのが有利であるため,TMIを利用した表層土壌水分推定アルゴリズムについて開発した.また,衛星観測を,表層から1m程度の土壌水分鉛直プロファイルの推定に応用するための土壌水分同化モデルについても基礎的な研究を進めている.

設計点探索と載荷実験とを結合した実証的構造性能評価システムの開発
助教授 大井 謙一
近似信頼性理論における設計点探索と構造模型に対する載荷実験とを結合し,不確定外力を受ける構造物の実証的性能評価システムの開発を目的とする.そのために,実験情報から限界状態への到達度や,発生しようとする崩壊モードを予測して,最も不利な荷重パターンへと載荷条件を変更する適応載荷実験システムを構築し,製作された構造模型に対する構造性能評価実験を実施する.

構造物の長寿命・高性能化をもたらす膨張コンクリートの機構解明と一般化構成則の構築
助教授 岸 利治
ケミカルプレストレスト部材では,曲げ・せん断耐力やひび割れ抵抗性が向上することが知られているが,その機構は極めて複雑である.これまでに,変形が良好に拘束された膨張コンクリート(ケミカルプレストレスト部材)では,圧縮から引張にわたる広範なひずみ分布がマトリックス中に形成され,組織としての多様性が向上するとの仮説を導いている.ただし,内部ひずみ分布に及ぼす膨張エネルギーと拘束作用の影響や骨材とマトリックスの相関については更なる知見の蓄積が必要であり,仮説に対する多角的な検証を行う.また,ケミカルプレストレスト部材の優れた特徴は,ひび割れ発生以降の塑性・軟化領域におけるテンションスティフニングに大きな影響を与えるはずであり,曲げ・せん断耐力や耐震性能の向上機構を統一的に説明する理論を構築する.

液状化対策としての地盤固化処理工法の設計合理化に関する研究
助教授 古関 潤一[代表者],助教授 古関 潤一(代表者)・研究担当 龍岡 文夫・助手 佐藤 剛司
砂質地盤の液状化対策として固化処理工法を適用した場合の設計を合理化するために,改良地盤に作用する引張応力と,これに抵抗する引張強度を精度よく評価する手法を確立することを目的として,実験的な検討を実施している.本年度は,中空円筒供試体のねじり試験を実施して一軸引張試験の結果と比較し,引張強度特性に及ぼす進行性破壊の影響を明らかにした.

地盤材料の繰返し変形特性を求める中空ねじり試験法の精度向上に関する研究
助教授 古関 潤一[代表者],助手 佐藤 剛司
地盤材料の繰返し変形特性を中空ねじり試験により求める場合の精度を向上させることを目的として,試験結果に及ぼす端面摩擦とベッディングエラーの影響について検討している.本年度は,供試体寸法を3通りに変化させて局所変形計測と外部変位計測の比較を行ったが,設定した試験条件の範囲では端面摩擦の影響の程度は変わらないことを明らかにした.

メコン流域の最適水行政支援システムのための分布型水循環モデルの活用と現地総合調査
助教授 HERATH Anura
本年度は,プログラム開発とともにデータの改善を行った.具体的には,長期降雨と流量データを収集し,データの精度をチェックした結果,99の降雨観測所,90の流量観測所をモデル検証に適した場所として選定した.標高データについては,流域のディジタル化した流路網による地形補正アルゴリズムを適用することにより完成した.またキネマティックGPSを用いた現地測量をタイのKorat地方で実施し,標高データセットの検証を行った.USGS,ACRSそしてメリーランド大学の土地被覆図を出版されている地図の試験地域と比較し,適切な土地被覆データセットを編集することができた.水文および水需要等を含んだ流域特性に関する報告書を現在作成中である.

地域特性を考慮した被害関数に基づく地震時建物被害推定精度の向上
助教授 山崎 文雄[代表者], 特別研究員 小檜山 雅之, 助手 山口 直也,山崎研 大学院学生 石原裕紀
地震時における建物被害の推定手法の精度向上を目指し,地域特性を反映した被害推定手法の開発を行っている.最近発生した鳥取県西部地震などの地震被害,推定地震動分布のGISデータベースの構築を行い,現状の被害推定手法における誤差原因の分析を行った.また,土地条件図デジタルマッピングデータや耐震診断データなど,防災情報システムなどで活用可能な地域特性データの検討を行った.耐震診断データを用いた建物被害関数の定式化を行い,兵庫県南部地震による有効性の検証を行った.

光合成系I反応中心におけるクロロフィルa'の機能サイト確定
教授 渡辺 正
酸素発生型光合成生物の光化学系I反応中心(P700)近傍に検出された1〜2分子のクロロフィル(Chl a')分子の存在数と機能を明らかにするため,高等植物・緑藻・紅藻・ラン藻のチラコイド膜およびその分画標品につき,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による Chl a' とフィロキノン(PhQ=二次電子受容体)の定量と,光酸化法・化学酸化法による P700 の定量を行った.その結果,Chl a' は P700 のごく近傍に1分子のみ存在することが結論できた.これは,好熱性ラン藻の系Iコア標品に関するX線構造解析の結果(Witt ら,2001年)と一致し,P700 が Chl a' と Chl a のヘテロ二量体であることが確認された.

繊維強化セラミックスの誘電特性を用いた非接触・非破壊損傷検出による残存強度の測定
教授 香川 豊[代表者], 助教授 朱 世杰,宇部興産,研究部長 石川敏弘,助手 本田紘一
構造体となった織物SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料の内部に累積した損傷量と残存強度を大気中,非接触,非破壊で定量的に求める方法を構築する.そのために,誘電特性の変化を利用する方法を確立する.

流動場リプロン光散乱法による非平衡界面現象の動的観察
助教授 酒井 啓司[代表者], 教授 高木 堅志郎, 助手 美谷 周二朗, 助手 坂本 直人
液体表・界面に分子が吸着して形成するラングミュア膜は二次元の物質として物性物理の興味深い対象である.本研究は,界面活性剤分子が表面に吸着する動的過程を調べるための新しい光散乱法の開発を目的とする.このシステムは表面生成後の吸着分子膜の時間発展を測定するための表面フローセル,ならびに表面状態を非接触でモニタリングするための高分解能リプロン光散乱法からなる.作製されたミリ秒分解能を有するリプロン測定装置により,各種の界面活性剤の表面吸着現象を観察した.また溶液中の分子拡散ならびに界面近傍のエネルギー障壁を考慮した数値シミュレーション結果と実際の表面緩和を比較し,表面と溶質分子とのミクロな相互作用についての考察を行った.

CO2排出を半減する環境共生型都市・建築・設備技術の開発
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介,顧問研究員 村上周三, 研究員 伊香賀俊治, 講師(北九州市立大学)白石靖幸
都市と建築に係わるCO2排出量を50%削減するための具体的な都市計画,建築計画,設備技術上の対策を提示する.特に,都市部におけるエネルギーの流れ,物質循環構造に焦点をあてたエネルギー・物質の利用効率の高い都市環境社会システムの提案を行い,未だ充分とはいえない建築物のライフサイクルを通しての環境負荷評価手法(LCA:ライフサイクルアセスメント)及びLCCO2(ライフサイクルCO2)データベースの実用化を図る.更に,実際の建築プロジェクトを通してLCCO2半減を可能とする新たな環境共生型の建築・設備技術の開発を行う.

サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
教授 山本 良一
本研究に於いて,サーファクタント(surfactant)と呼ばれる表面活性剤で下地基盤表面を修飾し,その表面物性を変化させることにより薄膜成長の制御を行い,良質のヘテロ界面を有する金属多層膜を作製し,その機能を向上させる.具体的には,(1)サーファクタント媒介エピタキシー法や薄膜の配向面を制御する手法であるシーディッドエピタキシー法により金属多層膜の界面構造あるいは配向面を原子層レベルでの正確な制御,(2)垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果を示す金属多層膜にサーファクタントエピタキシー法を応用することによる極限的に高品質なヘテロ界面を有する金属多層膜の作製,(3)磁性や電気伝導に及ぼす界面の影響を調べることにより,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果のメカニズムを明確にすること,そして(4)得られた知見をもとに金属多層膜を設計・作製し,垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗効果等の金属多層膜の物性を向上させることである.

科学研究費:基盤研究(C)(1)
先端的PIV信頼性評価のための国際協力に関する企画
教授 小林 敏雄[代表者],教授(九州大学)速水 洋,教授(埼玉大学)川橋正昭,助教授(横浜国立大学)西野耕一,(筑波大学)榊原 潤,助教授岡本孝司,助教授(神戸商船大学)西尾 茂,助教授(京都工芸繊維大学)村田 滋,教授(新潟大学)藤澤延行,助手杉井康彦
粒子画像流速計測法(PIV: Particle Image Velocimetry)は空間の多次元多成分の速度を同時計測できる新しい流速測定法として基礎研究から工学的な応用研究まで急速に浸透している. 最近では, PIVの革新的な性能向上を狙って, 超高解像度PIV, 高速多次元PIV, マイクロPIVなど先端的なPIVの開発が世界各国で行われている. PIVの究極の目的は, 十分な信頼性で高時間解像度の3次元空間の速度情報を抽出することである. このためには世界各国の研究者が国際協力の枠組みのなかで, その信頼性および評価方法を議論し, 世界標準を構築する必要がある, 平成14年度は先端PIVの信頼性評価に関するデータベースを構築した.これを基に2003.9韓国・釜山で国際ワークショップの開催を企画し, 世界各国の研究者と「PIV世界標準」の構築について討議する

アダマント薄膜表面のナノ機能デザイン
助教授 光田 好孝[代表者], 助教授 小田 克郎, 助教授 福谷 克之,教授(青山学院大学)澤邊厚仁,教授(早稲田大学)川原田洋,助教授(東工大)大竹尚登,助教授(慶應義塾大学)鈴木哲也,助教授(高知工科大学)八田章光,教授(東北大学)河野省三,教授(名古屋大学)高井治,助教授(大阪大学)杉野隆,助教授(長岡技術科学大学)斎藤秀俊,理事(物質・材料研究機構)加茂睦和,総括主任研究官(産業総合研究所)大串秀世,主任研究員(神戸製鋼所)橘武史,主任研究員(住友電気工業)鹿田真一
ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素をはじめとするアダマント材料は,高い硬度とヤング率などのさまざまな魅力ある特性を備えた共有結合性軽元素材料である.本科学研究費では,アダマント薄膜の機械的応用,化学的・バイオ応用,電子デバイス応用などの観点から,これまで個々に行われてきたアダマント薄膜研究を整理統合して,課題解決の方策を探るとともに,特異な表面物性を利用した新機能への展開を図ることを目的とする.特に,これらの成果を基にして本研究を特定領域研究に発展させることを期待している.このため,アダマント薄膜表面のナノ機能デザインに関して,表面ナノ構造,表面ナノ加工,表面の電子機能,表面の化学機能の四つの観点から,国際会議等の発表状況を中心に調査研究を行った.さらに,個々の研究を比較検討する場としてアダマント薄膜研究会「アダマント材料の将来を考える」を主催し,ホモアダマント薄膜の表面構造の安定化をはじめとする課題解決の方策について,議論を行った.

イギリス人サーベイヤー・建築家の東アジアにおける活動全調査
教授 藤森 照信[代表者],助手・特別研究員 村松 伸
イギリス人建築たちの19世紀後半から20世紀前半の活動を,イギリス本国,アジア各国の資料をもとに解明し,地域的な活動圏が存在していたことを証明する.

科学研究費:基盤研究(C)(2)
STMによる準結晶の原子構造と電子状態に関する研究
助教授 枝川 圭一
走査トンネル顕微鏡法(STM法)は,固体の実空間構造を原子分解能で観察する方法の一つである.従来準結晶の構造研究に多用されてきた高分解能電子顕微鏡法(HRTEM法)に比べると,HRTEM法が試料厚さ方向の平均構造を観察するのに対し,STM法では表面ほぼ一原子層の構造を観察するため,原理的には像解釈が容易であり,より詳細な情報を得ることができる可能性がある.また,STM法は,走査トンネル分光法(STS法)と併用することにより準結晶の電子状態の空間依存性を原子分解能で観測でき,理論的に予測されている臨界状態,閉じ込め状態等の特殊な電子波動関数が観測できる可能性がある.本研究では,以上のような観点からSTM法およびSTS法を用いて準結晶の原子構造および電子状態を調べる.

複雑乱流場のラージ・エディ・シミュレーションにおける数値計算法の安定性と解析精度
助教授 谷口 伸行
本研究では,乱流場の有力な解析手段として注目されるラージ・エディ・シミュレーション(LES)の実用化に際して,数値的安定性と計算精度をいかに満足させるかを取り上げる.特に,非圧縮性乱流のLESで指摘される3つの課題「ダイナミックSGSモデルにおけるCs空間変動」,「風上差分による数値安定化と解に及ぼす影響」および「密度や渦粘性の空間変化に伴う数値不安定」について集中的に検討し,問題点の解明と解析法の適切な改良を図る.本年度は,LESの数値解の分布に依存した数値スキームの自動選択などの数値計算手法を提案し数値検証を行った.

ナノプローブを用いたInAs微細構造の表面近傍電子状態評価と電子伝導機構の解明
助教授 高橋 琢二[代表者],野田 武司
複合型走査プローブ顕微鏡技術(ナノプローブ)を利用して,InAs薄膜,量子細線および量子ドット構造における表面近傍電子状態を評価すること,ならびに電子伝導機構を解明することを目指している.これまでに,レーザ光照射下でのSTMによる単一量子細線構造の光吸収特性の評価,導電性探針AFMでの直接電流計測によるInAs細線領域の可視化,およびKFMによるInAs薄膜・量子細線の表面ポテンシャルの評価,等に成功している.

光触媒からの活性酸素種の気相拡散およびその応用
助教授 立間 徹
酸化チタン光触媒は,光照射に伴い強い酸化力を示し,ほとんどの有機物を二酸化炭素にまで分解できることが知られているが,これまでその分解反応は専ら酸化チタン表面における反応と考えられてきた.しかし申請者らは最近,酸化チタン上に生成する活性酸素種が酸化チタン表面から脱着し,気相中を拡散して,酸化チタンに接触していない物質をも酸化することを確認した.本研究では,気相拡散する活性酸素種を同定し,有機物との反応およびその機構について明らかにすることを主たる目的とする.さらに,この反応を固体表面の改質(親水性/濡れ性,吸着・粘着性,化学修飾の容易さ)やエッチングに応用することを目指す.

都市域の水・熱収支推定のための高精度蒸発散量算定手法の開発
助教授 HERATH Anura
千葉県船橋市に設置されている2つの気象観測施設のデータを使い,本年度は蒸発散過程の詳細な解析を実施した.解析では,分布型水循環モデルと地表面モデル(LSM)を使用した.その結果,植生のある地表面からの蒸発量の推定には,植生のパラメータ化が非常に重要であることが明らかになった.観測サイトの草地では,月単位蒸発散量がパラメータにより約10%変動した.これは,土地利用の適切なパラメータ化の重要性を強調している.リモートセンシングのための準備として,16のフィルターを持つパッシブマイクロ波イメージアナライザーにより地上レベルでのモニタリングを実施した.また,カメラのキャリブレーションと土地利用分離アルゴリズムは現在実施中である.

道路特殊部における騒音伝搬メカニズムの解明と騒音予測モデルの開発
助教授 坂本 慎一[代表者], 教授 橘 秀樹,小林理学研究所 大久保朝直
産業を支える大動脈である道路交通は社会生活に不可欠である反面,騒音や大気汚染等の社会問題を引き起こし,我々の生活を脅かす一面を有している.特に東京およびその近郊の大都市圏では,膨大な交通量に起因する道路騒音が生活環境に与える影響が甚大である.このような最も対策が必要とされる都市部には各種(大規模)防音塀,掘割・半地下道路,複層道路構造,ストリートキャニオン等,立体的に複雑な幾何学配置が多く,都市内の騒音予測はきわめて困難である.そこで本研究では,それら都市域特有の複雑な道路構造における騒音伝搬特性の把握および騒音予測計算法の確立を目的として研究を行った.本年度は,主に張り出しの大きな半地下構造道路からの騒音放射特性を縮尺模型実験によって調べ,実用的な予測計算モデルを提案した.さらに,典型的な半地下構造道路において実測を行い,実験結果および予測計算モデルの妥当性を確認した.

都市道路交通空間画像における車両と歩行者を強調させた追跡・状況認識技術の開発
助教授 上條 俊介[代表者], 教授 坂内 正夫
本研究の目的は,都市道路空間において,通行車両と歩行者を調和させた交通制御は補助を実現するための基礎技術として,車両のみならず歩行者の正確なトラッキングを可能とする画像解析技術を開発するものである.さらに,その歩行者の状態を分類・認識することにより,歩行者と車両の効率的通行を両立させた交通制御および歩行者信号制御等を通して高齢者・身障者の補助を目的としている.

科学研究費:特定領域研究(1)
光機能界面の学理と技術(総括班)
教授(東大)藤嶋 昭,教授(東大)橋本 和仁,教授(慶大)鈴木 孝治,教授(名大)高木 克彦,教授(阪大)真嶋 哲朗,助教授(東大)瀬川 浩司, 助教授 立間 徹[代表者]
本領域では,光を利用して物質やエネルギーの変換を行うことができる機能界面を包括的に捉え,その基盤となる学理を確立する.この学理には,光化学,電気化学,界面科学,反応化学,材料化学,環境科学,生物学,医学,物理工学など,光機能界面に関わる学際的領域の理学と工学が含まれる.具体的には,次世代太陽電池として大きな注目を集めている色素増感太陽電池や生体機能を模倣する光エネルギー変換,環境中の低濃度有害物質の分解や有害微生物の除去をめざした高機能光触媒の開発,ナノスケールの界面構造制御や空間異方性制御などによる光機能新材料の創成,界面光化学反応で中心的役割を担う反応中間体の動的挙動解明と反応予測,光機能界面の本質的理解をめざした各種計測技術の開発やそれらの各種デバイスへの応用など,広範な展開を視野に入れた「光機能界面」に関連する研究全般を対象とする.

科学研究費:特定領域研究(2)
強相関ソフトマテリアルの動的エントロピー制御とマクロ相分離
教授 田中 肇[代表者], 助手 荒木 武昭
ソフトマテリアルは,自己組織化によりさまざまな空間スケールで多様な構造を形成する.その構造を安定化させる力が熱エネルギー程度で弱いというのがこの物質群がソフトである理由であるが,このことは,構造が他の物質にくらべ不安定である反面,わずかな外場で劇的な構造変化を誘起すること可能であることを示唆している.例えば,我々は,最近セッケン膜系においてスポンジ相からラメラ相への流動誘起トポロジー転移を発見し,また,交流電場により相分離構造を準安定な定常的な構造として安定化させることに成功した.本研究では,これらの研究をさらに発展させ,セッケン膜やコロイド粒子の作る3次元周期構造などの平衡構造,高分子系の相分離構造などの非平衡構造を,流れ場,電場,光強度場などの外場の変調により動的に制御することを目指す.特に,階層ごとの動的制御,秩序変数間の動的結合という全く新しい視点から研究を進める.さらに,このようにして形成した構造を不安定化させマクロ相分離を誘起することにより,成分物質を効率よく回収する方法についても,リサイクルという観点から研究を行う.

超機能デバイスシステム創成を目指した統合的熱管理システムの研究
教授 西尾 茂文[代表者], 助手 永田 真一, 助手 高野 清
高集積化・高密度実装への傾斜により発熱密度が急増しているLSIチップの空冷技術に対して, (a)チップからの発熱を再電力化し放熱負荷を低減する方法, (b)高効率に空気へ放熱する方法[(b-1)放熱面積の拡大, (b-2)高性能ヒートシンク, (b-3)導入空気温度の低温化]の開発が必要である. 本研究では, これらを統合した熱管理システムの開発を目的としている.(b-1)については,細径COMSOS Heat Pipeを内蔵することにより銅の100倍程度の実効熱伝導率を有する薄型熱拡散プレート,および内径0.5mmのSEMOS Heat Pipeを内蔵した薄型熱拡散プレート,(b-2)については,マイクロチャネル・ヒートシンクの最適化について検討している.COSMOS Heat Pipeについては銅の20倍程度の実効熱伝導率の達成,SEMOS Heat Pipeについては内径0.5mmまでの動作確認,マイクロチャネル・ヒートシンクについては従来寸法の熱流動特性に評価式が少なくとも水で0.1mm以上の直径流路では妥当であることを示した.

ロボットの動作観察とタスク・スキル獲得による人間の作業熟練過程の解明
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史,(電気通信大) 木村 浩
従来,人の動作観察からロボットの動作・行動を生成する研究として「まねによる学習(Learning from Observation)」などがあるが,そこでは踊り・ジェスチャ・歩行のように実行時に関節情報と簡単な接触情報以外のセンサ情報を必要としない動作のみが扱われてきた.本研究では,実行時に視覚・力覚・触覚などのマルチモーダルな知覚が必須である腕・手・指を用いた組み立てなどの作業動作を対象とし,運動・行動のダイナミックな結合を通しての作業熟練過程の実現と解明を目指す.

高・強誘電体膜を用いた極低電圧・超低消費電力FET, 及び高性能新機能素子の開発
教授 平本 俊郎[代表者],教授(東工大)石原 宏
本研究は,将来のIT文明の基盤となりうるポータブルヒューマンインターフェース機器への応用を目指して,超低電圧・超低消費電力で高性能な新デバイスを開発することを目的とする.論理回路向けトランジスタでは,低電圧での超高速性を維持しつつ消費電力を削減する新しい回路型式に適したデバイス構造を提案した.従来のデバイスおよび回路では,電源電圧が低下すると低スタンバイ電力と高速性を同時に満たすことが困難であったが,本提案では,回路とデバイスの協調によりこのトレードオフを解消する.一方,メモリ素子については,強誘電体膜をSRAM素子に用いる低電圧・低消費電力SRAM を提案した.メモリにおいても,従来は低スタンバイ電力と不揮発性を同時に満たすことは困難であったが,新材料の導入により電流を遮断してもデータが消失しない回路構成を実験により示した.

力覚メディアの対遅延特性とメディア同期の研究
助教授 瀬崎 薫
力覚メディアの対遅延特性とについは,従来メディアの場合とは異なる特異な性質があることが申請者等の従来の検討によって明らかになっている.本年度は遅延のゆらぎのある系において,遅延の絶対値とゆらぎ幅が,力覚アプリケーションの主観的品質に与える影響を解明すると共に,それを補償するためのメディア同期方式の提案を行い,またメディア同期効果を最大化するためのパラメータ設定についての知見を得た.

分散感覚ネットワークデバイスのネットワーク化による人間支援- 特定領域研究C(2)(情報学)「ITの深化の基盤を招く情報学研究」研究項目A03 人間の情報処理の理解とその応用に関する研究 -
助教授 橋本 秀紀
システムと人間とのインタラクティブなコミュニケーション実現する人間中心型のテクノロジの研究・開発の重要性が高まっている.このような背景から,従来の技術とは異なり,現実世界の情報をコンピュータが管理する情報空間に取り込むための,センサ・認識・通信を融合させた新たな技術,Intelligent Space を提案する.Intelligent Spaceは,環境内に分散配置された知能センサ群により,空間内で起きている事象を捉え,これらとネットワークにより接続されたロボットやコンピュータがその情報を利用し,人間に対してサービスを提供するプラットホームである.実環境での使用を目指し,必要とされる各種アルゴリズムの研究と高度なネットワーク利用のための分散オブジェクト及びそのためのプロトコルに関する研究を行っている.

超分子核酸構造体の高次階層構造制御とその機能設計
教授 荒木 孝二
分子間相互作用の階層化という方法論に基づく高次組織構造構築を目的として,アルキルシリル置換ヌクレオシドの新規な超分子フィルムについて検討した.その結果,アルキル基末端に極性のあるオキシエチレン鎖を導入すると,塩基間多重水素結合で形成された一次元テープ状ユニットが,さらにテープ間水素結合で結合して二次元シートとなり,シート間でオキシエチレン鎖同士の極性相互作用が作用するため,溶液からのキャスト法により柔軟性のある超分子フィルムを作成することに成功した.

超分子核酸構造体の高次階層構造制御とその機能設計
教授 荒木 孝二[代表者],務台 俊樹

生体分子を有するポリマーの疎水性相互作用を利用した特異な細胞接着基質の構築
教授 畑中 研一[代表者], 助手 粕谷 マリアカルメリタ
糖鎖とヌクレオシドの両方を有する高分子(各種共重合体)を設計・合成し, これを生体機能発現の「認識分子」として, 生体材料表面, 微粒子表面や細胞表面における分子レベルでの空間分布を制御することにより, より高い機能を発現する集合体組織へと発展させることを行っている.

カルコゲニド架橋遷移金属クラスター錯体の構築
教授 溝部 裕司
硫黄により架橋された同種または異種の遷移金属を含むクラスター構造は,生体内の金属タンパク・金属酵素の,そして工業的には水素化脱硫触媒の活性部位に存在し,各種反応を効率的に促進するための鍵となる役割を果たしている.本研究では,様々な遷移金属を使いながら,目的とする組成と構造を有する,硫黄または同族のセレン,テルルにより架橋された遷移金属多核骨格を自在に構築する,高収率反応経路を開発することを目的とする.

気相中における光触媒反応の機構解明と新規応用法の開発
助教授 立間 徹[代表者],助教授(長崎大)相楽 隆正
気相中における光触媒反応プロセスの未解明な部分を明らかにし,より新しい光触媒系への応用・展開をめざす.

酵素の阻害作用に基づく物理・化学情報の信号増幅
助教授 立間 徹
酵素などのバイオキャタリストを,ある一定方向への反応の流れを作る分子素子と捉えると,その活性がわずかな環境変化にシンクロナイズして変化するシステムを確立できれば,反応の流れの変化を通じて,環境変化という情報を増幅することができる.本研究では,温度,溶液組成,光などの物理的・化学的環境の微小な変化をトリガーとして相転移を示す材料を用い,バイオキャタリストに対する阻害作用の変化を通じて,環境変化という入力にシンクロナイズした活性または選択性変化という応答を,増幅して出力するシステムの確立を目的とする.これまでの研究で,温度変化により相転移を示すゲル内に酵素モデル系を構築し,その活性中心構造の可逆な制御に基づく活性制御系等を確立したが,まだ活性変化が十分でないため,より効率的に活性制御を行える系の構築を図るほか,光などの環境変化にシンクロナイズした活性変化を示す系などの構築を目指す.

光合成反応中心コア色素―タンパク質複合体の光電子授受機能の計測と制御
教授 渡辺 正
光合成反応中心における超高速・高効率光→電子エネルギー変換の背景をなすレドックス電位相関を直接計測することを目的に,酸素発生型生物の光化学系I反応中心につき,薄層セルを用いる分光電気化学計測を行った.その結果,ラン藻のチラコイド膜を試料とした場合,共存する大量(ほぼ 100 倍量)のアンテナクロロフィルからの妨害を受けることなく系I反応中心の一次電子ドナー P700 の可逆レドックス電位として +350 mV vs. SHE 近辺の値が得られ,計測法の有用性が確認された.

ウェブマイニングの為のウェブウェアハウス構築に関する研究
教授 喜連川 優[代表者],教授 喜連川 優(代表者)・専任研究員(中央大) 小口 正人・ 助手 中野 美由紀
本研究では更なる新しいサービスを模索すべく,その第一歩としてWEBコンテンツを柔軟に操作可能とする強力なプラットフォームを構築することを目的とする.サーチエンジン企業はクロールしたページ群をインデクスを抽出した後に棄却しているが,本研究では,新たなアプリケーションを実証すべくコンテンツマイニング,リンクマイニングを行えるように,ページ,リンク構造,並びに アンカーテキスト等をウェアハウス化することを試みる.

マイクロ環境制御器中の高性能細胞によるセンシングシステム
教授 藤田 博之[代表者],教授(北陸先端大)民谷 栄一
本研究では,アレルギー応答に係わる肥満細胞,環境ホルモン応答に係わる乳ガン細胞,記憶機能に係わる脳神経初代培養細胞,などの高機能細胞を用い,これらの細胞の機能と応答を評価できる測定系を集積化したマイクロシステムを構築することを目的としている.限られた空間内で高機能細胞の培養と維持を行うために,容器壁の微細構造の付加や表面の修飾,容器内の温度や培養液の組成などの精細な制御系の組み込みなどを含めたトータルシステムを,マイクロマシニング技術を活用して製作する.

ナノメートルオーダの3次元構造物の高速制御の研究
助教授 川勝 英樹
キャリアが1GHz以上のレーザドップラー計を実現し,大きさ10nmオーダの3次元構造物の10pmオーダの振動を100MHzまで計測可能とした.また,走査型プローブ顕微鏡の試料ラテラル方向の自励振幅をサブオングストロームオーダとすることに成功した.

マルチメディアによる地震災害の事後対応過程の検討
助教授 目黒 公郎[代表者],林春男 京都大学防災研究所 教授,A.S.ヘーラト

科学研究費:基盤研究(S)
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
教授 高木 堅志郎[代表者], 助教授 酒井 啓司, 助手 坂本 直人, 助手 美谷 周二朗
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他,分子内振動や回転運動にも分配される.これらの自由度間にはカップリングが生じ,これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている.本研究は,新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して,振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする.本年度は連続波レーザー励起光カースペクトロスコピー装置と高分解能ブリュアン散乱装置の高性能化を図り,液晶等方相における分子の並進運動と回転運動の結合輸送係数の定量測定を行った.さらにこれを分子形状から理論的に導くことを目指している.

熱輸送デバイス/熱電エンジンによる熱回収システム化技術
教授 西尾 茂文[代表者],教授 西尾茂文,教授 相澤龍彦(先端研)
エネルギー資源・環境保全の課題に対し,低温排熱の有効利用技術を実現することが一つの重要課題として研究を行っている.周知のように熱エネルギーは低温排熱として多量が廃棄されているが,この状況を脱するには,構造シンプル性に基づく動力化(電力化)装置が不可欠である.本研究では,構造シンプル性を有する熱電素子に注目する.熱電素子の課題は,1)現実に利用できている温度差と排熱自体としての温度差の比である温度差利用率の飛躍的向上,2)熱電素子の集積度の飛躍的向上である.1)については,500K程度まで作動する細径熱輸送デバイスを創製し,これを高効率フィン構造として利用することにより温度差利用率を飛躍的に高める.2)については,Bi-Te系のシート材を創製し,それを積層化することにより,集積度の飛躍的向上を図る.この二つのキー要素を開発することにより,排熱発生パターンや場所に依存しない汎用の低温排熱動力化システムを構築する.

CFDの逆問題解析に基づく室内温熱・空気環境の最適設計システムの開発
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三,顧問研究員 村上周三,講師(北九州市立大)白石靖幸
本研究は,室内温熱・空気環境解析シミュレーションの逆変換法を用いる総合的な室内の温熱・空気環境の設計システムの構築を目的とする.室内の環境性状を設計目標値に最大限近似させるための室内の物理的な環境条件を求める手法,すなわち逆問題解析による環境の自動最適化設計システムの開発を行う.このシステムは,様々な室内環境の制御要素の組み合わせ及び室内環境の最適化の合理的な判断ができるため,経験のない空間においても適用可能となる.この解析手法の完成により,目標とする(例えば,省エネルギー的で健康的な)室内環境の自動設計が可能となる.

データマイニングによる高度自己管理機構を有す次世代ストーレジアーキテクチャの確立
教授 喜連川 優[代表者],教授 喜連川 優(代表者)・教授)(東工大) 横田 治夫・ 助手 中野 美由紀,根本 利弘・(富士通(株)) 吉田 浩
本研究では,高度な自己管理機構を有する記憶システムのアーキテクチャを確立するとともに,年限内に実装を行いその有効性を明らかにすることを目的とする.ストーレッジ管理における重大な問題として,1)アクセス集中による性能障害,あるいは 経時的アクセス変動による性能の低下 2)ファイルの急成長時の領域割り当て障害 コ)負荷変動時におけるディスクキャッシュヒット率の大幅な低下 ゴ)ファイル共有時の一貫性破壊5)地理的広域データ管理機構の欠如などが挙げられるが,これらの問題の抜本的な解決を図る.従来,ストーレッジ空間はサーバ側のファイルシステム配下にあるため,ファイルシステムの改良により,問題解決が試みられて来ていたが,本研究では,サーバ側ではなく,ストーレッジ側に本機能を実現することを研究目的としている.

科学研究費:萌芽研究
レーザーによる生体膜のマイクロ・マニピュレーション
教授 高木 堅志郎[代表者], 助教授 酒井 啓司, 助手 美谷 周二朗
生体膜は脂質分子が溶液中で自己組織化的に会合して形成する2次元分子集合体である.本研究は,独自に開発されたレーザー光による2次元面の変形・制御技術を利用して,溶液や大気中に保持された生体膜を非接触につまみ,引っ張り,その応答を調べるという「生体膜マニピュレーション」を行う.本年度は大気中に保持された界面活性剤の薄膜について,レーザーによる厚み変形を印加しての応答測定を試みた.この応答関数から,界面活性剤分子どうしが溶質を介して互いに及ぼしあう様々な相互作用を,分子レベルで直接測定することが可能になる.

選択的脳冷却療法のための脳内熱輸送モデリングと数値解析に関する研究
教授 小林 敏雄[代表者], 助教授 大島 まり,助教授(帝京大学)高木 清
低温体療法は脳の一部に血液が流れなくなる虚血性血管障害型の脳卒中に有効であり,1980年代より試みられている.その際, 頭と頸部だけを冷やすことにより効果的かつ患者の負担が軽減できるような選択的脳冷却療法が模索されている.本研究の最終目的は選択的脳冷却療法のためにサーマルヘッドモデルを構築し, 数値解析による脳内温度分布の予測を行うことである. 本年度は脳内熱輸送機能を単純化した熱輸送モデルを構築した

磁気共鳴を用いた非平衡状態における氷晶の相変化アクティブ制御に関する研究
助教授 白樫 了[代表者], 教授 西尾 茂文,助手(東大生研)高野 清
氷晶の核生成や再結晶は,界面のエネルギー状態が支配的な現象である.氷の磁気スピンの緩和は,一定温度域において,界面の影響をうけることが近年の研究により分かってきた.本研究では,この様な氷晶のスピンの緩和現象が相変化に影響を与えうる可能性を検証すると共に,磁場や電場を用いた氷晶の形態のアクティブな制御の可能性を探る

次世代電荷デバイス用ニオブ粉末の新しい製造プロセス
教授 前田 正史[代表者],CBMMアジア(株) 今葷倍 正名, 助教授 岡部 徹
本研究は次世代の高性能電荷デバイス(コンデンサ)の基幹素材となりうる高純度ニオブ粉末を製造する新しい製造プロセスの開発を目指したものである.研究対象となるニオブは,その全量がバルク素材として利用されてきたため,これまで粉末としての用途が無かった.このため,ニオブ粉末の製造プロセスを対象とした既存の研究はほとんど無い.ニオブコンデンサの実用化研究が進む中で,高純度で微細なニオブ粉末は不可欠な素材となりつつあるが,本研究によって効率良く低いコストでニオブ粉末を製造する基盤技術が開発されれば,電荷デバイス産業に技術革新をもたらす可能性がある.

チタンの新しい製造プロセス
助教授 岡部 徹
本研究は,金属熱還元反応における電気化学的な反応を利用してチタンを還元する新しい製錬法の開発を目的とする.具体的には,原料と還元剤を直接接触させず,還元剤が放出する電子を利用して溶融塩中でチタンを還元し,高純度のチタンを製造する新しい還元プロセスの開発を目指す.

健康都市の創造に関する基礎的検討
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 大岡 龍三,講師(北九州市立大)白石靖幸
環境健康都市(Healthy City)を計画・創造する概念と手法を整理し,環境・健康都市(Healthy City)の都市モデルと現状からそれに至る道程を提示する.そのため,個人,社会にとっての「真の健康」を建築学,都市工学的に明らかにし,個人,社会が「真の健康」を謳歌する諸条件を明らかにし,健康生活を具現するための都市構造,都市機能を提案し,現状の都市から環境・健康都市に至る方法を具体的に提言する.本研究では上述の研究を行うための基礎的検討を行う.

疑似衛星を用いたシームレスな測位方法の開発
教授 柴崎 亮介
GPSと同じ信号を発信する疑似衛星技術を利用して,都市内のどの場所でもシームレス,かつ正確に測位を行う技術について,配備計画策定手法,測位アルゴリズムなどの検討・開発を行う.

インフレータブルストラクチャーの形態解析
助教授 川口 健一
近年,従来の空気膜構造とは明らかに異なる構造が提案されつつある.これらの構造は,インフレータブル構造と呼ばれ,内部に空気などの気体を導入し,その圧力により強度を得る構造である.従来,空気膜構造と呼ばれる構造があったが,近年の材料工学の飛躍的な進歩に支えられ,その形態的なバリエーションは従来の空気膜構造の概念を遥かに超えるものとなっている.本研究では,これらのインフレータブル構造について,その形態から分類調査を行い,さらに,そのインフレーション過程に着目して,インフレータブルの可能性と,最適なインフレーション過程について数値解析を用いた考察を行う.会席に際しては,従来の荷重型制御では解析不能であった大変位過程に対し,内包気体の分子量に着目する新しい手法を提案し,安定的な解析を行う手法を開発する. 初年度である本年度は,内包空気の分子量に着目した定式化及び数値解析プログラムの作成を中心に研究を行なう.既に,特異値分解法を用いた内包空気の体積に着目した空気膜構造のインフレート解析についてケーブル要素を用いた解析手法を開発しているので,本手法を膜構造へ拡張する.また,同時に,世界各地の空気膜構造に関する資料を収集し,その形態について分類,調査する.

大型雨水貯留槽・浸透槽を利用した季節間蓄熱空調システムの開発・研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介,講師(北九州市立大学)白石靖幸,研究員 山田常圭,(三建設備)水谷国男,(前川製作所)真田勝
本研究では都市部において地中に埋設される雨水貯留槽・浸透槽に着目し,これを地中の蓄熱熱源として利用し,更に防災用水設備としても複合利用することにより,経済的に実用可能な季節間蓄熱空調システムを考察するものである.雨水浸透槽から土壌への放熱・採熱特性を,実験と数値伝熱シミュレーションにより検討する.これにより本考察システムの放熱・採熱能力を固定し,通常の空気熱源式空調システムに比較した時の省エネルギー効果について検討する.本システムが地下水涵養や防災用水確保等の効果も複合的に有していることを踏まえ,システム導入における費用対効果についても検討を行う.

新規機能性金属錯体マテリアルの創出とキノリン構築への展開
客員助教授 塚本 史郎[代表者],教授(千葉大)西田篤司 助手(千葉大)有澤光弘 主席研究員(物・材機構)下田正彦
今迄ほとんど検討されていない薬学(有機化学)と材料科学との境界領域の基礎的な研究を行い新たな機能性材料を探究する.具体的には,基質(半導体あるいは金属板)と機能性有機金属錯体(ルテニウムカルベン錯体,希土類金属錯体,パラジウム触媒等)を結合原子で結合し,新規機能性金属錯体マテリアル(板状)を創出する.本化合物は新素材であり,従来の有機金属錯体と比した機能評価が期待される.高分子化合物に担持された有機金属錯体の例は既に幾つか報告されているが,本新規金属錯体マテリアルはナノテクノロジーへの応用がより大きく期待できる.得られた本新素材を筒状に加工し,原料の溶液がその管を通過すれば目的物が得られる有機反応触媒チューブの開発も行う.

科学研究費:奨励研究
食料資源からみた中国人民元の適正レートのあり方に関する研究
助教授 松村 寛一郎
飢餓の原因は,食料絶対量の不足ではなく,購入可能性(資金)と飢饉発生に伴う食料の局所偏在とされる.中国の経済発展による生活水準の向上および人口増加により,食料需要量が増大・多様化している.食料供給量は,工業化に伴う農地減少等の要因により減少していると言われている.現在までに行われてきた研究は,例えば潜在農地生産力の推定等,主に工学的・農学的視点により議論されてきた.日本と中国の将来の経済発展動向を把握することにより,両国の海外からの食料輸入動向に関する定量的な分析を行う.中国人民元の切り上げは,中国の食料購買力の向上を意味することになり,日本にとって新たなリスクが発生することになる.中国人民元の適正なレートのあり方,導入のタイミングについて,社会システム的な視点から,政策提言を行う.

元素選択的磁気ヒステリシスによる多元系磁性材料の研究
教授 七尾 進,助手(東大生研)現在JASRI研究員 中村哲也[代表者]
磁性材料の電子状態を調べる手法として円偏光X線を用いたX線磁気円二色性を利用する分光法がある。この方法では元素選択的な情報が得られることが特色である。多元系の磁性材料であるNd-Fe-B-Tb合金薄膜に,X線磁気円二色性の測定を応用することによって,元素選択的磁気ヒステリシスが測定可能であることを示した。また,DyCo5合金で同様の実験を行ない,印加磁場5T以上での磁気的相転移を,元素選択的ヒステリシスを測定し,それぞれの元素の役割を明らかにした。

科学研究費:特別研究員奨励費
光造型技術と胎児肝細胞を用いた血管構造を持つin vitro肝組織再構築(新規)
助教授 酒井 康行[代表者],姜 金蘭 日本学術振興会特別研究員
肝組織のin vitro再構築に焦点を当て,胎児由来の肝細胞を,光造型や積層・機械加工併用法を用いて作製された生分解性テンプレートに播種・灌流培養することで,肝組織相当物をin vitroで再構築すると共に,肝切除マウスを用いたin vivo移植実験により,その肝機能代替性・高度な組織化・成熟化などを評価する.これらを通じて,従来の生体肝移植を将来的には代替できるような再構築型肝組織作製のための基礎方法論の確立を目指す.

教授 加藤 信介

マイクロ流体システムの研究
助教授 藤井 輝夫[代表者],博士研究員 Eric Leclerc
マイクロ流体技術を用いると,高効率でかつ自動化された生化学/化学反応及び分析を実現することができる.これまでにマイクロチップを用いた種々の生化学操作に関する研究が報告されているが,いずれも単一機能のものがほとんどで,複数の機能を集積化した実用的なシステムについては,ほとんど開発例がない.本研究では,PDMS (polydimethylsiloxane)と呼ばれるシリコーンゴムを材料としたソフトリソグラフィ法を用いて,マイクロ流体回路を構成し,微量の液体をマイクロチャネル内において自由に輸送する技術の研究を進めている.

PDMSをもちいたマイクロ流体システムにおける光デバイスの集積化
助教授 藤井 輝夫[代表者],博士研究員 Serge Camou
マイクロ流体技術を用いると,高効率でかつ自動化された生化学/化学反応及び分析を実現することができる.これまでにマイクロチップを用いた種々の生化学操作に関する研究が報告されているが,いずれも単一機能のものがほとんどで,複数の機能を集積化した実用的なシステムについては,ほとんど開発例がない.本研究では,PDMS(polydimethylsiloxane)と呼ばれるシリコーンゴムを材料としたソフトリソグラフィ法を用いて,マイクロ流体回路を構成し,これに反応や分析結果を検出するための光源,検出器ならびに光導波路の集積化を試みている.

生態系炭素循環評価のためのクロロフィル,窒素分布のリモートセンシング手法の開発
教授 安岡 善文[代表者],安岡研 博士研究員 Baruah Pranab Jyoti
本研究では,陸域,沿岸の生態系の物質循環において重要な役割を果たしているクロロフィル,窒素などの生物・化学的なパラメータを,地上レベル,航空機レベル,人工衛星レベルでのリモートセンシングにより計測する手法を開発する.特に,近年の最先端技術である超高スペクトル分解能(ハイパースペクトル)リモートセンシング手法により,これらの生物・化学パラメータの空間分布を計測することを目的とする.

SiC繊維強化SiCの物理的・化学的損傷の非接触分離検出
教授 香川 豊,特別研究員 間宮崇幸[代表者]
GHz帯域の電磁波を材料に非接触で照射し,誘電特性の散乱パラメータ(反射係数,透過係数)を測定する装置系を用いて,誘電率および誘電損率を算出し装置定数を求める.GHz帯域の電磁波をアンテナの照射角度を変化させ斜めに材料に照射し,その反射係数の変化から,SiC繊維強化ガラスに生じた損傷の検出を行う.

EB-PVDによる耐剥離界面を持つ耐熱コーティングの研究
教授 香川 豊,大学院学生 川添 敏[代表者]
EB-PVD法による熱遮蔽コーティング(TBC)にセラミックスの高靭化機構の概念を積極的に導入した新たな界面の幾何学的最適化を行い,高接着強度を持つ界面を提案する.

高透明度Al2O3繊維強化Al2O3・MgO系光ウインドウ用複合材料の開発
教授 香川 豊,大学院学生 松村功徳[代表者]
Al2O3繊維強化Al2O3・MgOスピネル系セラミックスの透明性評価に時間的パラメータを導入することにより,光の遅れや位相の変化を検出する透明性評価手法を開発し,透明性を高めるための指針を明らかにする.その結果をもとに,良好な透明性を有する材料の開発を行う.

科学研究費:若手研究(A)
磁気ピンセットを用いた1分子操作による回転分子モーターの研究
助教授 野地 博行
タンパク質で出来た回転分子モーターであるF1モーターを分子単位で操作するために磁気ピンセットを開発する.また,これを利用して,モーターの静止トルクを各角度において測定し,回転ポテンシャルを求める.さらに,外力によって活性調節を行なう.

視線方向の実時間計測とその実世界指向インターフェースへの応用
助教授 佐藤 洋一
本研究では,現在の拡張机型インタフェースシステムにおいて手指動作のみではユーザ動作を信頼性良く認識できないという点に注目し,モダリティの異なる入力を統合的に利用することを検討している.具体的には,ユーザの視線方向をリアルタイムで計測することにより,実世界の中でユーザが注目している対象物体や領域などを特定することにより,観察されたユーザの行動から意識的に行われたもののみを特定することを可能とする枠組みを設計し,その有効性を実験的に評価することを目的としている.

科学研究費:若手研究(B)
真空中静電浮上および浮上体の駆動に関する研究
助教授 新野 俊樹
本研究では,真空中のメカトロニクスの無摩擦化を最終目的とし,浮上システムの提案を行う.完全非磁性すでに実現された静電レールによる浮上システムをさらに進展させる.まず,すでに開発された,直流直流浮上を応用し,増幅器の出力として±3000V程度必要であったものを±300V程度まで低減する.次に,直流交流浮上もこのシステムに応用する.さらに,静電レール対して静電ステッピングモータを組み込み,搬送システムのモデルを構築する.本研究は,これらの目標を達成することで,真空中での静電浮上を応用した,搬送位置決めシステムの実現性をさらに実用に近い形で実証することを目的とする.本研究は平成14年度15年度の2年計画であり,初年度である,本年においては,真空中での5自由度制御の浮上を実現し,残り1自由度に関しては静電モータによる駆動に成功した.

磁石合金スクラップからの希土類金属の高効率回収
助教授 岡部 徹
磁石用の希土類金属原料は,そのほぼ全量を中国をはじめとする海外から輸入しており,資源保全の観点からも高濃度の有価金属を含む希土類磁石スクラップを再生利用する有効なプロセスを開発する必要がある.このような背景から希土類磁石を製造している国内企業各社は,家電リサイクル法の適応範囲の拡大も視野に入れ,スクラップ合金の再溶解による合金の再生プロセスを検討している.本研究では,金属マグネシウムなどの液体金属をネオジムの抽出剤として利用し,スクラップから直接ネオジムを抽出し,得られたNd−Mg液体合金から純粋なネオジムを再分離する手法の有効性を検討し新プロセスとしての可能性を追求した.

ラチス構造物の波動伝播現象可視化に対する実験的研究
助教授 川口 健一[代表者], 助手 宮崎 明美
波動伝播現象は時間的変動に加え空間的にも状態が変化するため,現象を把握する上でフーリエ変換等が利用されることが多い.しかしながら周波数領域における特性を知ることはできても実現象として把握しにくい欠点がある.実験データを時間軸と空間軸において見やすく描画できる効果的な可視化手段の開発は今後の研究上非常に重要であると考えている. 本年度は昨年度にひきつづき波動伝播実験を行い,また,得られたデータを基礎データとして可視化のためのデータベース作成を行った.

シリコンナノ生体情報計測デバイス
講師 竹内 昌治

選定研究(申請研究・展開研究)

選定研究
超高感度水素検出法の開発と半導体中不純物への応用
助教授 福谷 克之[代表者], 助手 ビルデ マーカス
本研究では共鳴核反応法を利用した超高感度水素検出法の開発を行い,これを用いてSi半導体界面準位と界面水素との関連を明らかにすることを目的として研究を行った.具体的な研究項目として,(1)第2励起状態への共鳴,(2)大立体角検出器の開発,(3)背景信号の低減,を課題に研究を進め,これまでに測定感度としては,表面濃度7x1012/cm2,バルク濃度1x1019/cm3,を達成した.

体外循環による血中微生物除去装置の開発
教授 畑中 研一
血液透析膜を用いて血中の病原性細菌やウイルスを選択的に吸着・除去する装置を開発する.具体的には,化学合成した糖質高分子や細胞を用いて合成したオリゴ糖鎖(病原性微生物や病原性たんぱく質に特異的に結合するもの)を元に調製される糖質高分子を中空糸に固定化し,血液の体外循環によって,血中の病原性微粒子濃度を著しく低下させる装置を開発する.血中の病原体数を減少させることにより,その後の治療効果を上げると考えられ,抗生物質の過大投与を避けることも可能となる.

原位置で採取した高品質な硬質地盤試料の地震時変形強度特性に関する研究
助教授 古関 潤一[代表者],佐藤 剛司
原位置の固化改良地盤から採取した硬質試料と,原位置の砂地盤を凍結させて採取した冷凍試料の保管庫を新規導入し,これらを所定の形状に成形する装置の改良を行った.さらに,原位置固化試料を対象に直接引張試験と割裂試験を実施して,地震時の引張強度特性について検討した.

大損傷許容性を有する繊維強化複合材料によるセラミックス材料の新しい表面保護法
助教授 朱 世杰
繊維強化セラミックスの持つ大きな損傷許容性を利用して,薄い複合材料をセラミックスの表面に従来のコーティング材料のかわりに用い,表面の保護を行うメリットを明らかにする.これを通して,脆く損傷を許容しないセラミックス表面に損傷を許容するセラミックス基複合材料を設け,荷重の負担(強度)はセラミックス基材,損傷に対する抵抗は表面の複合材料で受けもつという機能分担を図った材料の可能性を検証する.

ステンシルマスクと自己組織化単分子膜を用いたナノスケールのパターニング
助教授 金 範兌代表者],金研 大学院学生 趙永学
多機能・高性能LSIの実現には微細パターンを用いた高集積化技術が必須になる.プロセスの複雑さ,材料の選択性等の観点から見るとシャドウマスクを用いた直接パターンする方法は優れている.一方,高機能分子デバイス作製のためには,分子レベルでの二次元的な構造制御が必須であり,自己組織化単分子膜を利用したナノファブリケーション技術についても現在活発に研究されている.本研究では,ステンシルマスクを用いた直接ナノパターン方法からさらにその上マイクロコンタクトプリンティングを用いて自己組織単分子膜の広い範囲においてナノパターニングする方法を提案する.

脳神経情報計測のための多チャンネルナノ電極
講師 竹内 昌治

展開研究
電気と制御で走る近未来車両の研究
教授 堀 洋一
近未来から今世紀半ば以降にかけて広く使われるであろう,電気モータを動力源とする自動車(純電気自動車,ハイブリッド車,燃料電池車など,以下,総称して電気自動車と呼ぶ)において,いまだ広く認識されているとはいい難い,電気モータによって初めて実現可能になる先進的な電気制御技術の可能性を追求し,操縦性やエネルギー経済性に優れた車両を実現することを目的としている.

サスペンション系のコントロール・フュージョンに関する研究
教授 須田 義大
単一の電磁デバイスを用いて,運動・動揺・振動制御の融合の実現と,センサー・アクチュエータ・スプリング・パッシプダンパ・エネルギー回生の5つの機能を融合した制御を構築する新たなサスペンション系を実現するため,コントロール・フュージョン,すなわち機能融合制御を提案し,その基礎的,展開的研究を行った..

グループ研究

グループ研究
TSFD(乱流シミュレーションと流れの設計)研究グループ
教授 吉澤 徴, 教授 小林 敏雄, 教授 加藤 信介, 助教授 半場 藤弘[代表者], 助教授 谷口 伸行, 助教授 大島 まり, 助教授 加藤 千幸, 助教授 大岡 龍三,助手 横井 喜充, 西村 勝彦, 宋 斗三,技術官 西島 勝一, 小山 省司, 伊藤 裕一, 大石 正道
TSFD研究グループは,さまざまな理工学分野で必要とされている乱流の数値シミュレーションを実用的解析手法として確立することを目指している.そのために,流体物理学,機械工学,生体工学,建築・都市環境工学などの観点から,乱流の統計理論的研究の推進,数値シミュレーション解析法の開発,数値シミュレーションの実証と応用などの多方面にわたる研究を進めている.その最新研究成果を生産研究TSFD特集号やIIS Annual Reportに公表するとともに,乱流の数値シミュレーションに関する定期的な研究集会や国際シンポジウムの企画開催,数値解析ソフトウェアの公開提供などを行っている.

耐震構造学研究グループ(継続)
教授 藤田 隆史[代表者],教授 須藤 研,小長井 一男,都井 裕/ 助教授 大井 謙一,山崎 文雄,中埜 良昭,古関 潤一,川口 健一,目黒 公郎/ 助手 山口 直也,真田 靖士,大堀 真敬,嶋脇 與助,李 昇宰,小檜山 雅之,佐藤 剛司,宮崎 明美/ 所外 岡本 舜三,田中 尚,川井 忠彦,田村 重四郎,柴田 碧,佐藤 壽芳,岡田 恒男,高梨 晃一の各名誉教授,龍岡 文夫(東大工学系研究科教授),廣井 脩(東大社会情報研究所教授),片山 恒雄(防災科学技術研究所所長),他約20名
耐震構造学研究グループERSは,1967年に耐震工学を専攻する研究者の集まりとして発足して以来,今日までの35年間にわたり,活発な研究活動を続けてきている.ERSは土木・建築・機械など,異なった分野を研究対象とする研究者が,共通する基礎知識や研究手段を探り,それを様々な角度から検討・分析するとともに,互いの研究成果を検証し合うことによって,より正確な現象の理解と新たな技術の発展や創造を目ざしてきた研究グループである.今日ERSは,研究者数,研究実績,研究設備のいずれにおいても,国内はもとより国際的にも有数の研究グループとして広く知られている.本年度は,所内外のメンバーの研究発表と研究情報の交換の場である定例会を隔月に開催し,定期刊行物として34年間続けてきているBulletinも例年通り刊行した.また,千葉実験所における研究施設(地震による構造物破壊機構解析設備,構造物動的破壊試験装置等)を利用した実験も頻繁に行った.

工学とバイオ研究グループ
助教授 藤井 輝夫,工学とバイオ, 教授 渡辺 正[代表者]
工学とバイオ技術との接点は飛躍的に拡大しており,人工システムを主な対象としてきた工学の,バイオ関連分野への応用可能性を議論することはきわめて重要である.本研究グループでは,生体における構成要素の形状と機能との関係を明らかにした上で,それをいかに利用するかを問うという姿勢を念頭におきながら,工学とバイオ技術との接点を広く探るための活動を展開している.本年度は,昨年度に引き続き,研究所内及び学内で行われているバイオ関連の研究発表を中心に研究会を開催するとともに,イブニングセミナーなどの場を通じて,グループの活動を内外に発表してきた.

快適性の工学的応用に関する研究グループ
教授 須田 義大[代表者], 教授 加藤 信介, 助教授 曲渕 英邦, 助手 上野 佳奈子
室内,車両内の物理的環境(温熱環境,視的快適につながる照明,騒音など音環境,振動,空間の開放感,公共の場におけるテリトリの確保による利用されない無駄なスペースの発生など)の調整・制御をより合理的に行うために,人間の環境に対する認知,行動要因を解明し,室内や車両内などの環境の快適性と人間行動の関係を説明するモデル構築を目標に活動を行っている.定例の会合による討論,実地調査,関連する研究者との会合を実施した.

国際共同研究

国際共同研究
アジア・太平洋地域に適した地震・津波被害調査方法の構築
教授 須藤 研[代表者],教授 須藤 研(代表者)・助教授 A. S. Herath,目黒 公郎・助手 D. Dutta
インフラストラクチャーについて, ユネスコ(UNESCO)とヨーロッパ連合理事(Council of Europe)と共同で, ポスト地震評価プログラム(Post-earthquake Evaluation Program)を実施中であり, 関連情報を入手した. WSSI(World Seismic Safety Initiative, 世界地震安全構想)は, 1992年マドリッドで開催された世界地震工学会議総会で承認されたIAEE(国際地震工学会)の事業である. 国際災害軽減工学研究センターは, この事業に参画しており, ワークショップに参加する事により, 参加者からサイトサーベイについて情報を得る事ができた.

金属基複合材料のクリープ機構
助教授 朱 世杰
セラミックス粒子強化Al-8.5Fe-1.3V-1.7Si合金基複合材料を用い,定応力引張クリープ試験を行った.723K以下の温度でクリープ変形はしきいクリープ理論より説明できるが,温度の上昇に伴い,しきい応力は存在しない現象を見い出した.その現象について転位は微細粒子から脱離の非熱活性化機構から熱活性化機構へと変化するというモデルを提案した.提案したモデルを利用してクリープひずみ速度を予測した.

海洋資源採取システム要素技術としての大水深ライザーの動的応答解析手法の開発
助教授 林 昌奎
海底油田,メタンハイドレートなど海底に埋蔵されている天然資源の開発には,陸上のような開発手法が適用出来ない.海洋での資源開発は船舶,浮体海洋構造物など海面浮かぶ構造物から海底にライザー管と呼ばれる水中線状構造物を用い,信号,物質などの伝達を行う.近年,海洋開発は水深1000メートルを超える超大水深の海域まで広がり,直径数十センチメートルのライザー管が置かれる環境は厳しさをましている.この研究では韓国のソウル大学の研究グループと共同で,超大水深 おけるライザー管の 動的応答解析手法の開発を行う.

ナノカンチレバーの作製と評価
助教授 川勝 英樹
ナノステンシル法により作製したnmオーダのカンチレバーやビームの評価を光学的に行っている.スイス連邦工科大学J. BRUGGER教授との共同研究である.

国際学術協定に基づく共同研究

国際学術交流協定に基づく共同研究
熱帯の雷に関する共同研究
教授 石井 勝
熱帯における雷活動に関する研究を,バンドン工科大学との間の学術交流協定の一環として実施している.雷放電によって放射される電磁波の受信データを基に,雷活動と降水量の関係などを調査している.

環境・エネルギー応用ナノ構造制御材料の共同研究ラボ
教授 宮山 勝[代表者],教授(ローマ大)Enrico Traversa
日伊科学技術協力プログラムに基づき,低環境負荷発電や環境汚染ガス検知などの環境・エネルギー応用に適用できるナノ構造制御機能材料の展開を目的とした研究を行なっている。燃料電池,ガス分子検知素子などに関し,ナノサイズで構造制御したイオン導電性・半導性の無機・有機材料,それらの複合体,ナノ多孔体の設計と開発を,研究者交流等により進めている。

集積化マイクロメカトロニックシステム
教授 藤田 博之
1995年より10名程度のフランス人客員研究員及びポストドクトラル研究員を生産研に迎え, 1〜3年間の滞在中に研究をして頂いている. 日仏の研究者で構成する科学評価委員会を毎年開催して, 研究成果の評価を受けている. 1999年6月に,協定の更新を行い,更に3年間共同研究を継続することになった.

マイクロメカトロニクスに関する共同研究
助教授 年吉 洋[代表者],LIMMS/CNRS-IIS
マイクロメカトロニクスに関するフランス科学研究庁と生産技術研究所との共同研究グループLIMMS (Laboratory for Integrated Micro Mechatronic Systems) の運営

民間等との共同研究

民間等との共同研究
位相コヒーレント光散乱法を用いた薄膜厚計測装置の研究開発
教授 田中 肇
我々はこれまで,2つの周波数可変レーザを交差させてできる移動干渉縞を用いて様々な場のモードを選択的に誘起し,それを位相敏感検波することにより,極めて高い分解能とS/Nを持つ動的光散乱法"位相コヒーレント光散乱法"の開発研究を行ってきた。本研究では,この手法を発展させ極めて薄い固体膜の厚さを計測すべく手法,装置の開発を行っている.

双胴水中翼ヨット(Twin Ducks)の開発
教授 木下 健
水中翼の水槽試験と実海域での帆走試験を繰り返して,風上への上り帆走性能と強風時の帆走性能の優れた水中翼双胴ヨットを開発している.

工学シミュレ−ションにおける高度グラフィックスツ−ルの開発と応用
教授 小林 敏雄[代表者], 助教授 谷口 伸行, 助教授 大島 まり
工学シミュレーションにおいては実用的な成果を求めて複雑で大規模な問題への応用が試みられており, そこで得られる膨大なデータに対しての効果的な評価方法として3次元動画や高解像度映像の標準的な利用が期待される. しかし, コンピュータや画像機器システムなどハードウェア環境が整ったにもかかわらず, 工学シミュレーションにおける応用ツールや具体的なコンテンツ事例の普及は遅れているのが現状といえる. 本研究では,工学需要が高い流体関連シミュレーションを主な対象として取り上げ, 次世代のコンピュータや画像機器システム上において効果的なグラフィックスツールの開発を行う. 自動車, 航空機, エネルギー機器など既にCFD技術の応用が進んでいる主要産業, また, バイオエンジニアリングやメカトロニクスなど今後の応用が期待される分野などにおいて, これらの高度グラフィックスツールが開発研究プロセスの要素技術として実用化されることを目指す. 今年度は,ガスタービン燃焼器における燃焼火炎の3次元性状についての数値解析結果のアニメーションを作成し, 開発者への提供を行った

環境調和型超微細粒鋼創製基盤技術の開発
教授 柳本 潤
経済産業省/NEDO/JRCMによるプロジェクトの一部.単純成分鋼によるスーパースチール開発に利用できるプロセス−内部組織解析モデルを,ミクロ計算科学によって構成した.

広帯域空力騒音の数値予測手法に関する研究
助教授 加藤 千幸[代表者],民間等共同研究員(財団法人鉄道総合技術研究所) 高石武久
数値計算による広帯域の空力音の予測手法を確立するため,適切な乱流モデルの選定と音響的類推の非コンパクト問題への拡張を図る.

ロケット技術の数値解析研究
助教授 加藤 千幸[代表者],民間等共同研究員(宇宙開発事業団) 山西伸宏,宮島博
H-IIAロケットエンジンの信頼性向上,ならびに,将来型宇宙輸送機用エンジンの設計開発への寄与を目的として,ロケットエンジン用ターボポンプ内部流れの非定常解析技術を開発している.特に,本研究では,次世代の乱流解析技術として注目を集めている,LES(Large Eddy Simulation)解析の適用を図ると共に,キャビテーション・モデルを導入し,キャビテーションがポンプ内部流れの非定常変動にどのような影響を与えるかを解明することを目標としている.

配電作業ロボットの動作指令生成に関する研究
教授 池内 克史[代表者],教授 池内 克史・助手 影澤 政隆
配電作業の軽減を目的として開発された九州電力配電ロボットは, 現在オペレータが遠隔操作で制御を行っているが, これを当研究室で開発された3次元物体認識の手法を用いることによって, 自動化することを目指す. 本年度は, 物体のグローバルな認識を行う手法の研究に着手し, 配電器材の認識に成功した.

FT-IRによる樹脂構造解析
教授 平川 一彦
樹脂に含まれるOH,CHO等の官能基の熱処理による状態変化を,フーリエ分光法により真空中において測定した赤外反射スペクトルの変化から解析する.

モータを使った車両運動制御技術の研究
教授 堀 洋一
乗り心地に影響の大きいジャークを抑制するなめらかな速度パターンの計算法を提案し,実車実験による検証を行う.

大規模サーバシステムにおける協調分散に関する研究
助教授 橋本 秀紀
大規模サーバシステムのソフトウエア更新時における無停止性を実現するために,動的オブジェクトの協調分散およびバランシン具に関して研究開発を行う.

次世代型環境負荷低減を目指した空調制御システムの開発
教授 加藤 信介[代表者],顧問研究員 村上周三,民間等共同研究員 近本智行
高温多湿気候下の巨大都市においては,近年,人口増加と過密化により空調関連のエネルギー消費が急増している.従って,本研究では,高温多湿環境下において自然通風と放射冷房を併用することにより,環境負荷の低減を可能とする次世代ハイブリッド空調システム(自然通風併用型放射冷房システム)を提案している.このシステムは,中間期など外気環境が良好な時期には主として,@通風により屋外環境を室内に導入し,最大限,自然の力で室内の環境調整を行う.A屋外が高温になり室内を冷却することが不可能な場合においても,室下部の居住域を撹拌することなく室内で排出された熱や汚染質を室外に排出することができる.さらに通風による室内環境調整のみでは,室内の温熱環境を調整できない場合には,B人体の代謝による発熱を放射により冷却パネルより吸熱し,効果的に人体温冷感を調整する.

途上国大都市の地震危険度評価比較研究
教授 須藤 研[代表者],教授・須藤 研,助手・KOSTADINOV Mladen, Vassilev,教授(東京工業大学)本蔵 義守
国連国際防災十年が実施するRADIUSプロジェクトのフォローアップとして,トルコ国イスタンブール,カザフスタン国アルマティを対象とした地震危険度評価および比較研究を実施している.この研究を通じて,両都市の地震防災施策構築にあたり,日本などの地震防災先進国が果たすべき技術協力に関わる諸問題の研究がなされる.

高空間分解能収音再生システムに関する研究
教授 橘 秀樹[代表者], 助教授 坂本 慎一, 助手 上野 佳奈子
昨今のマルチメディア化,ディジタル信号処理技術の発展や電気音響機器の性能向上により,音場再生技術は多チャンネル化し,高度な臨場感が求められている.本研究は,遠隔会議,コンサートやスポーツイベントなどのネット配信などへの応用を踏まえ,高空間分離性能を備えた収音・伝送・再生技術の開発により複数地点間で音響空間を共有するための音の臨場感通信方法の確立を目指している.上記の要素技術の中で,特に空間分解能の高い収音方式について,本年度は実時間動作プロトタイプモデルを試作し,実験によって基本性能を確認した.

熱帯降雨観測衛星データのタイにおける検証計画
助教授 沖 大幹
熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measuring Mission)よって観測される雨量を,タイ気象局の気象レーダデータや雨量計の観測値と比較し, その精度の検証を行っている. また, TRMM搭載の能動型及び受動型降雨センサによって観測されている地表面物理量のグローバルマッピングを行い, その季節変化からグローバルな土壌水分を算定することに成功した. 世界各地の観測土壌水分量による検証も行ない,良好な一致が得られていることが確認されている.

液状化強度の実務的な評価に関する研究
助教授 古関 潤一[代表者],民間等共同研究員 宮崎 啓一
大規模な地震時には液状化した地盤に大きな変形が生じる事で構造物に大きな被害を引き起こす可能性が懸念されており,液状化強度の適切な評価は対策法の検討にとって重要である.本研究では再構成試料による液状化強度を求める実務的手法を実験的に評価することで,地盤の液状化時の挙動予測や安全対策に資することを目的としている.

セメント系深層混合処理工法改良土の力学特性の研究
助教授 古関 潤一[代表者],民間等共同研究員 鈴木吉夫
深層混合処理工法の設計法の合理化を目的として,一軸・三軸状態での圧縮・引張試験とこれらを対象とした有限要素解析を実施して改良土の力学特性について検討している.

都市道路交通空間画像における車両と歩行者を強調させた追跡・状況認識技術の開発
助教授 上條 俊介[代表者], 教授 坂内 正夫
本研究の目的は,都市道路空間において,通行車両と歩行者を調和させた交通制御は補助を実現するための基礎技術として,車両のみならず歩行者の正確なトラッキングを可能とする画像解析技術を開発するものである.さらに,その歩行者の状態を分類・認識することにより,歩行者と車両の効率的通行を両立させた交通制御および歩行者信号制御等を通して高齢者・身障者の補助を目的としている.

材料ナノテクノロジープログラム: ナノコーティング技術プロジェクト コーティング界面の損傷モデル構築
教授 香川 豊[代表者], 助教授 吉川 暢宏, 助教授 朱 世杰,機関研究員 銭 立和,機関研究員 長谷川 誠,機関研究員 半谷禎彦,機関研究員 Arcan F. Dericioglu,機関研究員 金 永錫
セラミックス皮膜・金属基材から成るコーティングシステムの機能・性能に及ぼす界面損傷について,その評価を可能にする力学モデルの構築

材料ナノテクノロジープログラム: ナノコーティング技術プロジェクト ナノコーティングパフォーマンスの解析・評価技術および異種材料界面に関する材料テクノロジー技術の体系化
教授 香川 豊[代表者], 助教授 吉川 暢宏, 助教授 朱 世杰,機関研究員 銭 立和,機関研究員 長谷川 誠,機関研究員 半谷禎彦,機関研究員 Arcan F. Dericioglu,機関研究員 金 永錫
セラミックス皮膜・金属基材から成るコーティングシステムの機能やパフォーマンスについてナノからマクロに和たる迅速で精密な評価技術の研究開発及び「コーティング工学」コーティングデータベースの構築など

遮熱コーティングの損傷評価方法
助教授 朱 世杰
ガスタービン動静翼など高温部品としての耐熱超合金のセラミックスコーティングは,実使用環境下で超合金から剥離することはシステムにとって致命的である.信頼性を保証するため,非接触その場損傷検出が可能となる新しい評価手法を提案する.耐熱合金上にMCrAlYのボンドコート層をもうけ,その上にZrO2を主成分としたセラミックスコーティング層を電子ビームPVDで施したものを用いる.耐熱コーティングが誘電体であることから,GHzオーダーの電磁波を照射した場合に発熱する現象を利用する.発熱時の温度分布を測定することにより,コーティング層と熱を良く伝導する金属基材間の剥離の有無を調べる.また,コーティング材質の変化をフリースペース法により求められる誘電率の差異で検査する.その後,試験に用いた試験片を切断,研磨し,SEM, EPMAなどを用いて温度分布の変化が生じた部分で界面剥離が生じているかを調べる.

自律型海中ロボットのドッキング技術の研究
教授 浦 環[代表者],民間等共同研究員 小原 敬史
自律型海中ロボットは,通常の潜航ではエネルギ補給ができず,オペレータとの通信が困難である.しかし,海底ケーブルに接続されたステーションにドッキングすることができれば,そこで電池に充電し,陸上との間でデータの受け渡しができる.そのためには,ロボットはステーションに自動ドッキングできなければならない.本研究では,専用のロボットシュミレータを用いて,ドッキング手法,エネルギおよびデータの授受システムの構築をおこない,ドッキング装置の研究開発をおこなっている.

粘菌を用いた認識と形成の数理解析によるアプローチ
助教授 藤井 輝夫[代表者],協力研究員 高松敦子(科学技術振興事業団)
真性粘菌という原生生物を用いて,外部環境の認識,細胞での情報処理,行動決定のメカニズムについて,生物の「形とリズム」に着目して非線形科学的観点からの考察を進めている.そのための実験系を実現する具体的な手法としてマイクロ加工技術を応用し,「生きた数理モデル」の構築を試みている.

マイクロアクチュエータの研究
教授 藤田 博之[代表者], 助教授 年吉 洋,日産自動車総合研究所
本共同研究は,マイクロアクチュエータの動作により光ビームを二次元的に走査するマイクロスキャナを実現し,それを自動車衝突防止用のレーザレーダに応用しようとするものである.

マイクロメカトロニクス技術の通信用光部品への応用
教授 藤田 博之[代表者],住友電工横浜研究所
本共同研究は,通信用光部品に用いるマイクロアクチュエーターの設計,製作および信頼性評価に関する研究を行う.

RF MEMSに関する研究
助教授 川勝 英樹
GHzオーダの3次元構造物の作製と評価技術を用いてRFMEMSデバイスの研究を行っている.

ナノ技術を用いた走査型プローブ顕微鏡の開発
助教授 川勝 英樹
ナノカンチレバーを用いた100MHzまでの走査型プローブ顕微鏡,原子分解能のラテラルフォース顕微鏡,マルチカンチレバーによる高速計測の試験研究を行う.

個別要素法を用いたコンクリート等輸送装置の性能評価に関する共同研究
教授 魚本 健人[代表者], 講師 加藤 佳孝,魚本研大学院生 吉国美涼
現在,建設現場におけるコンクリートや土砂の輸送は,ベルトコンベヤやダンプトラック等で行われている.しかし,ベルトコンベヤは傾斜角度に限界があり,またダンプトラックでは迂回する道路が必要となり,いずれの工法も設備規模が大きくなることや,コスト,自然環境面で問題があることが指摘されている.この様な現状に対して,共同研究組織は急傾斜地でのコンクリート輸送を可能となる装置を開発し,実証実験によってその有効性を確認している.しかし,実証実験を基礎としているため,必ずしも施工性能の評価が十分でなく,検証した範囲内での性能保証しかできないのが現状である.本共同研究では,この実証実験結果を活用し個別要素法を用いた数値解析により試験装置の施工状況を表現するとともに,施工性能の評価(適用限界等)を解析的に検討するものである.前述したように,本装置は建設現場における自然環境を破壊することなく,コンクリートや土砂を効率的に輸送することが可能であり,極めて有効な輸送手段である.

コンクリート構造物の劣化診断ソフトの開発
教授 魚本 健人[代表者],民間等共同研究員・清水 隆史,西川 忠,高津 忠,肥田 研一,山下 英俊,田中 英紀,吉田 克弥,守分 敦郎,太田 資郎,笠井 和弘
コンクリート構造物の経年劣化について各種劣化現象のデータを収集しており,そのデータベースを利用してPCによる対話形式の劣化診断システムの構築を目指す.

コンクリート構造物の補修工法に関する研究
教授 魚本 健人[代表者], 助教授 岸 利治, 講師 加藤 佳孝,技官 星野富夫,民間等共同研究員 勝木太 深津章文 松田敏 森本丈太郎 椎名貴快 弘中義昭 伊藤正憲 斉藤仁 渡部正 元売正美 竹田宣典 宇野祐一 里隆幸 北澤英宏 榊原弘幸 戸田勝哉 平間昭信 河原崎広 伊藤学 小川彰一 槇島修
劣化したコンクリート構造物の補修は重要な課題であるが,現実には多種多様な工法が採用されている.しかし,異なった材料および適用を行った場合にどのような効果があるかは明らかにされていない.本研究はそれぞれの方法で補修した場合にどのようなメカニズムで更なる劣化を防止するかを暴露実験ならびに解析で明らかにし,最適工法を考案することを目的とする.

ガラス繊維補強プラスチック製コンクリート補強材の開発
教授 魚本 健人[代表者],杉山基美,日本電気硝子株式会社
現在,使用されているFRPは,コンクリート構造物に鋼材の代わりに用いる場合,アルカリによる腐食を受けやすい.そこで,本共同研究では,耐アルカリ性の高いGFRPの開発を行っている.

基礎杭利用による地中熱利用空調システムの実用化に関する研究
助教授 大岡 龍三[代表者], 教授 加藤 信介,民間等共同研究員 関根賢太郎
基礎杭を利用した地中熱利用空調システムの実用化に向けて,実大実験装置などを用いて研究し,システムの有効性・省エネルギー性・環境負荷低減効果等の研究を行い,設計手法などを構築する.

鉄道における車輪・レール間の摩擦制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 生方伸幸,民間等との共同研究員 荻野智久
鉄道車両の曲線旋回性能は,車輪・レール間の摩擦力に大きく左右される.従来からの運動力学の観点からのアプローチに加えて,摩擦調整材を車両からレールに噴射することにより車輪・レール間の摩擦制御を行い,車両運動特性を改善させる.クリープ力特性の詳細な把握,運動性能の評価,模型試験装置による効果の評価などを実施し,実用化の目処を得た.

鉄道における車輪・レール間のクリープ力に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 中居拓自 岸本康史
鉄道車両の曲線旋回性能は,車輪・レール間のクリープ力に大きく左右される.このクリープ力特性を制御する新たな手法を検討し,模型実験装置による実験と解析を通じて,車両の運動性能を改善する方策を検討した.

鉄道車両用空気ばねによる輪重変動の研究
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 佐藤興志
鉄道車両が曲線を通過する際に,車輪荷重(輪重)が変動するが,その運動特性は空気ばねにより大きな影響を受ける.特に地下鉄などの曲線線形の厳しい場合は,走行安全性に影響を与える.本研究では,実車両を模擬した1車両モデル試験機を用いた試験とシミュレーションにより,その特性を評価した.

電磁サスペンションの研究
教授 須田 義大
自動車のショックアブソーバに電動モータ/発電機を用いる新たな電磁サスペンション方式について,その実用化と,新たな展開に向けた基本的な特性を検討した.加振試験,車両走行試験,官能評価試験など通じて実施し,試作ダンパの性能を評価した.

乗心地振動再現の忠実度の研究
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 林哲也
動揺模擬装置を用いて鉄道車両の乗心地評価,快適性評価を行うことを念頭に,乗心地振動再現の忠実度について詳細に検討した.三次元空間運動体模擬装置を用いて新幹線車両の走行車内を模擬し,着席または立位など様々な条件において,加速度,変位振幅,周波数,加振方向の影響を考慮した評価手法を検討した.

マルチボディダイナミクスのソフトへの拡張について
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 大貫正明
モーション付ドライビングシミュレータの車両運動計算にマルチボディダイナミクスを用いた詳細な車両モデルを適用することを目的に研究をすすめた.リアルタイムシミュレーションの手法,モーション装置,映像装置との連携,計算の安定性などを検討し,実施のドライビングシミュレータへの適用を展開した.

新幹線の新たなアクティブ制御に関する研究
教授 須田 義大[代表者],民間等との共同研究員 佐々木浩一
新幹線の新たなアクティブ制御に関して,現状の問題点および課題を整理し,エネルギー消費を考慮した新たな制御手法の実現可能性,研究手法として,スケールモデルによる模型実験の利用手法の検討を行った.

スクリュ可塑化総合評価システムの研究(継続)
教授 横井 秀俊[代表者],民間等共同研究員 徐 世中,博士研究員 金 佑圭
当研究室では,射出成形におけるスクリュ可塑化過程の研究を通して,これまで可視化観察や熱流速パターン,スクリュトルク分布,ノズル部樹脂温度分布等の各種計測・解析手法を開発してきた.本研究では,これらの実験装置を統合した同時計測システムを開発し,総合的なスクリュ性能の評価方法の開発を目的としている.本年度は,トルク計測リングを用いて,スクリュ回転速度やスクリュ位置などの成形条件がスクリュトルクに及ぼす影響について検討を行い,加熱シリンダ側における特徴的なメルトフィルム生成,およびトルク値の不安定現象を捉えることに成功した.

異方性磁粉を用いた繊維配向状況評価方法の開発(継続)
教授 横井 秀俊[代表者],民間等共同研究員 太田 隆
本研究はでは,プラスチック・ゴム成形品内部の繊維配向状態の新しい評価方法の検討を目的としている.磁粉の異方性磁気に注目して,材料にトレーサとして予め微量の磁粉を配合する.材料内の繊維と磁粉繊維の配向挙動に相関があれば成形品の磁気異方性を計測することにより成形品内部の繊維配向状態を評価することが可能となる. 本年度は,本手法をゴムのトランスファー成形におけるディスク内部の繊維配向挙動解析に適用し,従来困難であったキャビティ内における繊維の3次元的な配向挙動を詳細に観察することに成功した.

システムレベル低電力化方式の研究
教授 桜井 貴康
携帯機器用システムLSIの低電力化方式について,制御方式や回路技術の開発を目的とする

ディープサブミクロン世代の設計法の研究
教授 桜井 貴康
ディープサブミクロン世代のLSIで問題となる消費電力の増大や高速データ転送技術に対処するため,低電圧回路や高速シリアルリンク回路などの低消費電力・高性能回路に関する研究を行う

プローブデータからの交通情報抽出に関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者],民間等共同研究員 堀口良太
多数の車両移動履歴を記録したプローブデータから,旅行時間や渋滞損失などの各種の交通状況を示す指標を推計する手法を研究する.

リアルタイム交通状況予測システムに関する研究(継続)
教授 桑原 雅夫[代表者],民間等共同研究員 北岡広宣
現在の交通状況を元に与えられた初期交通量によってシミュレーションを行い,それにより得られた数値を元に推定処理を行い,再度シミュレーションを行うことによって,近未来の交通状況を予測し,その検証を行う.

道路交通データを用いた応用システムの研究
教授 桑原 雅夫[代表者],民間等共同研究員 大場義知
車両感知器や料金収受システム等から得られる道路交通データを用いた感応システムに関する研究を行う.

交通渋滞予測による渋滞傾向を考慮した経路探索に関する研究(継続)
教授 桑原 雅夫[代表者],民間等共同研究員 石川裕記
渋滞傾向(リスク)を考慮したコスト算出方法と,それを用いた経路探索について研究するものである.本研究ではリスクの軽量化方法や,静的・動的リスクを統計データおよびリアルタイムデータからどのように予測するかが主要な研究課題となる.

交通管制システムの高度化に関する研究
教授 桑原 雅夫[代表者],民間等共同研究員 榊原肇
自動車から排出される大気汚染物質の低減を目的とする信号制御手法に関する研究.

受託研究

受託研究
地下鉄トンネルの地震時挙動に関する研究
教授 小長井 一男
沖積地盤および洪積地盤中のトンネルについて,周辺地盤の地震応答およびトンネル覆工に生じるひずみを計測している.今年度はトンネル覆工に生じるひずみを軽減する手法として,トンネル中柱端部に挿入する免震装置について検討を加えた

ナノスケール触媒の機能解明の実験的考察
助教授 福谷 克之
本研究は,ナノスケールで制御された触媒系における触媒反応を解析するための第一原理に基づく大規模シミュレーション手法を開発し,新奇な機能をもつナノスケール触媒の設計システムを構築し,計算科学技術による触媒研究のブレークスルーを目指している. 触媒は,物質・材料,エネルギー・資源,バイオ・環境等の多くの分野において劇的な大変革を引き起こす可能性を秘めている.近年のナノテクノロジーの急速な進展により,ナノスケールで制御された触媒系(ナノスケール触媒)が作製されるようになり,複雑で未定義な現実触媒の機能解明のためのモデル・システム,かつナノスケールで発現する新奇で革新的な触媒機能の宝庫となっている.本研究ではナノスケール触媒の機能予測とその実験的観点からの機能解明を行う.

低燃費トルクコンバ−タの開発のための内部流れ場に関する研究
教授 小林 敏雄
トルクコンバ−タの実使用領域の挙動を把握するための計測方法としてParticle Imaging Velocimetry(粒子画像流速計測法)によるシステムを実用化する研究である. トルクコンバ−タの性能改善は自動車燃料消費量の軽減につながる. そのためにはトルクコンバータの実使用領域の流れ参動を把握することが重要である. この研究はParticle Imaging Velocimetry(粒子画像流速計測法)をトルクコンバータという複雑形状をもつ流れ場に適用可能とし3次元速度場を瞬時に取得するシステムを開発しようとするものである.本年度はトルクコンバータの一要素であるロックアップ周辺の3次元流れの計測を行い, 適正形状の選定のためのデータベース作成を行った

車両開発の初期段階において空力騒音の小さいミラ−形状を選定する方法の開発
教授 小林 敏雄
小型乗用者においてはサイドミラーを発生源とする圧力騒音が車室内および車外環境に及ぼす影響が問題化されている. 本研究はサイドミラー形状の選定方法の確立を目指すものである. 本年度はサイドミラーの形状変化による流れ場の変化およびサイドミラーと自動車本件との相互干渉が発生騒音に及ぼす影響を解析した

成形加工シミュレーション統合CAEシステムの基盤技術開発
教授 柳本 潤
成形加工シミュレーション統合CAEシステム開発を目的とした3DSプロジェクト(経済産業省/NEDO/IMSセンター)の一部を受託したもの.CAEシステム高精度化の鍵を握る材料構成式の改良のため,金属材料結晶方位変化を解析できる理論の開発を新たに実施した.

高速コンピュータCPU直接空気冷却システムの開発
教授 吉識 晴夫
CPUの発熱部を直接冷却後,周辺部を冷却する小型の密閉型直接空気冷却システムを開発し,計算機内部の低温化による高速化と信頼性の向上,装着密度の向上を図る.このため,本研究では冷却空気発生用小型ラジアルタービンの開発を行う.

LESによるμ流体機械の流動解析
教授 吉識 晴夫[代表者], 助教授 加藤 千幸
タービンノズルベーン,タービンロータブレード部をLESにより解析し,低Re数(10^3〜10^4オーダ)に伴った大きな摩擦係数領域での流れ場解析の手法検証と現象解明を実施する.

超小型ガスタービン実用化先導研究
教授 吉識 晴夫[代表者], 助教授 加藤 千幸,教授(東大)長島利夫,教授(東大)金子成彦,講師(東大)寺本 進,講師(東大)鈴木健司
新エネルギー・産業技術総合開発機構の平成14年度エネルギー・環境国際共同研究提案公募事業に応募して,採択されたものである.平成13年度「ボタン型ガスジェネレータ実用化技術開発」で,従来のガスタービン寸法常識の極小限界に挑戦するため,出力数十Wクラスの機械加工の超小型翼及び手のひらサイズ(kW級)のガスタービンを試作した.平成14から15年度は,出力数十Wから数kWまでの究極の超小型分散電源,電子機器,ロボット,宇宙・海洋機器用の電池代替超小型大出力密度モバイル電源に用いる手のひらサイズガスタービン(数kW級,動翼外径約40mm)及び指先サイズ(数十W級,約8mm)ガスタービンの要素技術の開発を行う.この構成要素である超小型ターボ機械は,世界最小・最軽量・最高性能のものであり,次世代の各種超小型プラント開発のシーズとなる.

ナノ加工技術を用いた膜タンパク質のナノバイオロジー(生物系特定産業技術研究推進機構 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業)
助教授 野地 博行[代表者], 助教授 藤井 輝夫, 講師 竹内 昌治
生体分子のダイナミクスを分子単位で観察・操作する研究をナノバイオロジーと定義し,これをさらに推進するために半導体製作技術などに用いられているナノ加工技術を利用する.特に,研究が遅れている膜タンパク質のナノバイオロジーを目指す.

文化遺産の高度メディアコンテンツ化のための自動化手法
教授 池内 克史
文化遺産の画像情報, 形状情報を自動的に処理し, 高度メディアコンテンツへと変換する手法を研究する. 具体的には, 鎌倉の大仏や人間国宝の匠の技といった文化遺産を, テレビカメラや距離センサーを用いて観測する. この画像データをもとに, 最新のコンピュータビジョンの研究成果を用いて, 幾何情報, 光学情報, 環境情報, 時系列情報といった4つの側面からのモデル化を行う. そのため, センサー系, 処理アルゴリズム, およびこれらのパッケージ化に関する研究を行う.

画像による実物体の材質感モデルの作成
教授 池内 克史
本プロジェクトでは,人間型ロボットの視覚系のシミュレーションを高精度に行うため,実写画像から実物体の材質感モデルを作成する技術を開発する.一般に物体に当たる光(入力光)は,物体の表面で直接反射される「表面反射成分」と,物体の内部に侵入し内部の色素と衝突を繰り返し再度外部に出てくる「拡散反射成分」とに分かれる.表面反射成分は入射角と反射角が等しくなる方向で強くなり,拡散反射成分は広い範囲に一様に分布する.ここでは,この2成分に分かれるというモデル下で材質感モデルの作成法を研究開発する.

海外電力系統における雷サージ発生の調査
教授 石井 勝
海外,特に東南アジア,中国での変電機器絶縁レベルを決める場合に重要な因子となる雷サージが発生する状況を調査する.

雷パラメータ推定技術の高度化
教授 石井 勝
耐雷設計の合理化のため,落雷位置標定装置の誤差要因を検証・評価すると共に,VHF帯電磁波による推定技術の可能性を検討し,雷パラメータ推定の高度化をはかる.

分散配置されたデバイスと総合作用し賢くなる知的空間
助教授 橋本 秀紀
本研究室では,分散配置されたデバイスを用いて知的になる空間に関する研究を行っている.この研究テーマの基にCCDカメラと移動ロボットとの協調を中心に研究成果を上げつつある.本受託研究は,分散配置されたデバイスと相互作用し賢くなる知的空間に関するものなので,本研究室で行っている研究をさらに推し進めるために行うものである.

電子証拠物に関する研究
講師 松浦 幹太
電子社会におけるセキュリティ基盤として期待されている公開鍵基盤(PKI)だけでは,長期的に保存されるデータに関する安全性は達成できない.また,短期的にも,即時対応不能性に起因する脅威が存在する.本研究では,それらの問題を解決するために,事後的な紛争解決で役立つ強固な電子証拠物の生成方法や運用方法を開発する.

吸着式天然ガス貯蔵設備の技術開発(継続)
教授 迫田 章義
エネルギー供給の効率化や石油代替エネルギーの利用が重要となっており, 簡便かつ有効な新規のエネルギー環境技術の開発が急務となっている. 本研究は大阪ガスの受託を受け, 天然ガス導入を促進するために, 従来の天然ガス貯蔵方法よりも高密度かつ安全な貯蔵方法を提案・開発することを目的としている. 本年度, 吸着剤を利用した天然ガスの吸着貯蔵を提案し, 小型実験装置による実験と簡便な数理モデルを用いた計算機シミュレーションによる検討を行っている.

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)医学・工学連携型研究事業「循環器系疾患に対する予後診断を含む低侵襲治療システムに関する基礎研究」抗体を結合したMRI増感剤の調製
教授 畑中 研一
動脈硬化部位をMRIで観察することを目的とする.化学修飾した多糖誘導体で被覆した金属粒子に動脈硬化部位指向性抗体を結合させることにより,動脈硬化部位をMRIで測定するときの増感剤として開発する.

多糖高分子化合物の物性研究
教授 畑中 研一
化学的手法および物理的手法を用いて,薬剤の開発に必要な天然多糖DDS化合物(多糖の化学修飾によって得られる高分子に薬理活性物質を結合させたもの)の構造解析を行い,天然多糖DDS化合物に観察される物性変化現象を解明する.

生物系特定産業技術研究推進機構「細胞に作らせる糖鎖ライブラリと機能性糖鎖高分子」
教授 畑中 研一
種々のアグリコンを有する糖鎖プライマを合成し,細胞に投与後,得られた糖鎖伸長化合物を解析し,糖鎖高分子を作製する.

循環型社会における問題物質群の環境対応処理技術と社会的解決
教授 前田 正史
本研究は,循環型社会における問題物質群の最適化処理について技術的な評価を行い社会学的な解決を目指すものである.高度循環型社会の構築には,問題物質群の最適化処理の可能性を探求するために問題物質の現状の掌握と問題物質のクローズドループ化が不可欠である.本調査研究では,問題物質およびその担体の性状・性質・現状調査,クローズドループ化の可能性の探査,リスク知識の種別化と構造化を行う予定であるが,これらの情報は我が国だけでなく,全世界の人々の貴重な知的資産として意義ある.また,問題物質の発生と循環のメカニズムを解析し,安定・安全処理技術の現状調査および次世代技術の探索を行うことにより,関連事項における新たな問題点や,新しい処理法(システム)の基礎原理等が見出される可能性が大きく,これらを整理し新しい提案や技術の発展につながる可能性がある.

文部科学省 革新的原子力システム技術開発公募(電力中央研究所からの再委託): 酸化物燃料の電解還元処理に関する技術開発
助教授 岡部 徹
電解還元プロセスにおいて,高い処理速度と還元率を達成するためには,原料酸化物の粒径や原料装荷方法などの原料仕様を最適化することが重要である.また,電解の後半に酸化物表面が金属膜に覆われるような状況においても還元速度をなるべく低下させないためには,プロセス上の工夫も必要となる.そこで,コールド工学プロセス 試験装置を製作し,原料仕様がプロセスに与える影響を明らかにすると同時に,還元生成物と塩の分離性能,得られる金属の純度について評価を行っている.具体的には,雰囲気制御装置付き電気炉および反応容器を作製し,アルゴンガス雰囲気下約600〜1000℃の範囲の一定温度で,導電体を介した反応(EMR)制御により金属還元剤が放出する電子を利用して酸化 物を還元する実験を行っている.初年度および次年度は,還元装置の作製と活性金属の活用が高い強還元雰囲気下での電気化学的な反応の制御・計測技術の確立も目指すが,従来の電解還元法との比較検討を行うための実験装置の整備も行う.

エネルギー貯蔵型光触媒コーティングの開発
助教授 立間 徹
ステンレスに対する防錆機能及び抗菌機能を日中のみならず夜間も維持するエネルギー貯蔵型光触媒コーティングの開発を目的とする.

離島用風力発電システム等技術開発−局所的風況予測モデルの開発
教授 加藤 信介
風力発電のため風車を建設する際に,風車建設候補地点の風況特性を事前に把握することは,風力発電の経済性を検討する上で重要である.本研究では,風洞実験により風況特性を把握するとともに風況予測モデルの検証データを構築することを目的としている.

WEB上で展開するサービス用画面の体系化
教授 野城 智也
エネルギー利用結果をWEB上で展開するサービス画面を体系化することにより付加価値の向上を計る手段を開発する

人間活動を考慮した世界水循環水資源モデル
助教授 沖 大幹
科学技術振興事業団CREST研究としてのものであり,気候モデルと親和性の高い陸面水文植生モデルの水循環過程の高度化,気候変化や適地選択と直結した農業生産モデルの開発,水田分布の推定など稲作への配慮,生態系や環境用の水需要の導入,最先端のIT技術を利用した大規模データベースと数値モデルシミュレーションとの結合により,今後懸念されている世界の水危機に関する情報を日本から発信する.

21世紀のアジアの水資源変動予測
助教授 沖 大幹[代表者], 助教授 鼎 信次郎
科学技術振興調整費による「21世紀のアジアの水資源変動予測」の一部分を成し,将来の温暖化時の水資源,洪水,渇水の予測を行うものである.具体的には,複数の気候モデルによる温暖化予測結果に基づき,自然系として利用可能な将来の水資源賦存量の算定を行ない,農業生産に必要となると推計される灌漑水量,人口増加や工業発展などを想定した上で将来の水資源需要量を求めて,2050年のアジア域の水資源アセスメントを行なう.

気候変動の将来の見通しの向上を目指したエアロゾル・水・植生等の過程のモデル化に関する研究
助教授 沖 大幹
国立環境研究所の地球温暖化研究プロジェクトと連携したものである.より精度の高い温暖化見通しのためには,気候システムモデルの各コンポーネントのさらなる高度化が必要である. 本研究では, 上記目的のために,陸域の熱収支,水循環,植生構造のさらなる高度化を図っている.

高度交通状態認識システムの研究
助教授 上條 俊介, 教授 坂内 正夫[代表者]
車両トラッキング技術として,激しいオクリュージョンに対してもロバストな,今までにない高精度なアルゴリズムを開発し,交通指導監視技術のみならず交通工学的な分析の基礎技術としての実用化に向けて研究を行っている.また,高精度なトラッキング結果から得られる各車両の位置情報,動きベクトルから特徴量を抽出し,その時系列データを学習されたマルコフモデル等で認識分類することで交通状態を把握することを目標として研究を行っている.

セラミックファイバー製大型かつ高温フィルターの製造技術開発と実証
教授 香川 豊[代表者],助手 本田紘一
小試験片製作されてきたセラミックファイバー製高温用フィルターを一般産業炉用にも応用すべく,大型化・商用化に関する製造技術開発を実施し,ごみ焼却炉からの実排ガスをバイパスし,モデルプラントにて得られた実用サイズのフィルターの性能確認・実証することを目的とする

ナノコーティングの加速試験および寿命予測
助教授 朱 世杰
本研究では,力学特性および耐酸化性評価方法および技術を開発し,1400℃級の温度下で,応力その他の使用環境による過酷な負荷サイクルを含む実使用環境を模擬し,寿命や劣化に及ぼす物理的,化学的因子を定量的に取り扱うことが可能な評価装置を設計・試作する.これにより,現用評価システムよりも短時間で評価可能なシステムを構築する.他方,長時間使用環境模擬試験による基準データも取得し,加速試験との比較検討を行う.これらを通して短時間で劣化や寿命の予測を可能にする総合的なシステムの実現を目指す.

PCR等のナノスケール反応に関する研究
助教授 藤井 輝夫[代表者],山本 貴富喜
ナノスケール反応に関する要素技術の確立を目的として,マイクロチップ上に構成したマイクロチャンバーにおいてゲノムDNAの抽出や増幅等を可能とするような,微量液体操作技術を開発し,実際に抽出や反応を行うことを試みている.配分金額

微量液体操作技術の研究開発
助教授 藤井 輝夫[代表者], 助教授 大島 まり,山本 貴富喜,技術官 瀬川茂樹,研究機関研究員 Eric Leclerc,大学院学生 金田祥平,大学院学生 木下晴之
粒子法による多相流解析手法に対して格好の検証例題を提供する微量液体操作技術の精密な計測実験を行い,粒子法による多相流対解析手法の検証データを得ると同時に新規微量液体操作技術の研究開発を行っている.

海氷モデル構築と氷海流出油のモデル化
助教授 林 昌奎
海氷が水面を覆う氷海での流出油は,油が海氷の下に隠れるなどにより,その流出 範囲の特定及び回収は非常に困難である.氷海での流出油は流氷と共に移動し,その 範囲を広げる.回収のは長い時間を要し,その間,周辺海域の環境に及ぼす影響は計 り知れない.本研究では,「海洋環境保全技術としての海氷変動予測の実用化」の基 礎となる海氷変動予測モデルの構築を行い,開発されたモデルをオホーツク海の流氷 変動予測に適用する.また,低温海域に流出した油の性質の変動を考慮した氷海での 流出油の変動・拡散のモデル化を行う.

局所高電界場における極限物理現象の可視化観察と制御(継続)
教授 藤田 博之
真空トンネルギャップや電界電子放出電子銃など原子寸法に近い領域に極めて高い電界が加わる構造で, 電子や原子の輸送現象を直視観測する目的で研究を行っている. マイクロマシン加工で, トンネルギャップや電子銃を作り, それを位相差検出透過電子顕微鏡の中で動作し, 局所高電界場での現象を明らかにする計画である.

超高速・超並列ナノメカニクス
助教授 川勝 英樹
2002年度科学技術振興事業団戦略的創造研究事業採択課題である.ナノカンチレバーを用いた原子レベルの質量や場の計測,固体試料の広帯域周波数特性マッピング,マルチカンチレバーを用いた細胞の多点計測,生体分子の高速計測を実現する.

ナノセンシングのための化学物質輸送ナノチャンネルの開発
講師 竹内 昌治

コンクリートの品質に対する化学混和剤の作用効果に関する研究
教授 魚本 健人[代表者],受託研究員・杉山知巳
コンクリートの品質,特に硬化コンクリートの耐久性を論じうる上で,使用材料や配合条件がコンクリートの空隙構造に与える影響を検討することは非常に重要である.また,近年コンクリート製造に欠かせない材料の一つになっている化学混和剤に関しては,空隙構造に対する作用効果が明確になっていない. そこで,化学混和剤の持つ種々の特性が,硬化コンクリートに及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,様々な化学混和剤,中でも最も頻繁に用いられている減水剤系の混和剤を中心に,減水性,凝結遅延性,空気連行性等の特性が,硬化体の空隙構造形成過程に与える影響を明確にする.

計算科学技術活用型特定研究開発推進事業「環境・災害監視のためのアジア衛星観測ネットワークの構築」
教授 安岡 善文[代表者], 助手 越智 士郎,博士研究員:Tran Hung,Jan Kucera,大学院生:竹内 渉,Manzul Hazarika
東京大学生産技術研究所では,東京駒場,タイバンコク(アジア工科大学院)において人工衛星NOAA/AVHRR,TERRA/MODISデータの受信を行っている.本研究は,これらのデータの利用・配布ネットワークを構築すると共に,これらのデータを活用した,環境・災害評価のための広域分布データセットを構築することを目的とする.

科学技術振興調整費総合研究「炭素循環に関するグローバルマッピングとその高度化に関する国際共同研究」リモートセンシングデータのスケーリングによる温暖化ガス発生量の広域推定手法の開発
教授 安岡 善文[代表者], 助手 越智 士郎,大学院生:竹内 渉,高橋俊守
シベリア湿地,アジア水田を対象として,地上観測データと衛星データのスケーリングにより,水域からのメタン発生量を推定する.広域(低解像度)センサと,局所高解像度センサデータの併用により,湛水状況などの局所的な詳細土地被覆状況を広域に外挿し,広域での発生量を推定する手法を開発する.

空調からの排熱がヒートアイランド現象に与える影響に関する研究
助教授 大岡 龍三
ヒートアイランドの形成要因の一つであると考えられる空調排熱が,実際の都市温熱環境に及ぼす影響について,モデル街区を対象に数値シミュレーションにより検討を行う.特に空調排熱形態に着目した検討を行う.

大水深掘削ライザーおよびCVARに関する応答評価法の開発に関する研究
助教授 林 昌奎,助教授(東大)鈴木英之[代表者]
海洋石油開発における大きな動向の一つに大水深化があり,技術開発の面からは,ライザー技術がキーテクノロジーの一つになると考えられている.本研究は大水深ライザーさらに日本発の技術であるCVAR (Compliant Vertical Access Riser)で課題となると考えられる,構造部分の応答特性を明らかし,さらに外力として未知部分の多い渦励振の実用モデルを開発する.

SOIデバイス,極低消費電力SOI回路の有用性の評価,実証
教授 桜井 貴康
極低消費電力SOI回路設計論へのフィードバックダイナミックに電源電圧やしきい値電圧を切り替えるVdd,Vthホッピング等,低電力アーキテクチャとSOI回路の適合性,有用性を評価,実証する

持続的農業推進のための革新的技術開発に関する総合研究
教授 山本 良一
現在,LCA(ライフサイクルアセスメント)手法開発に関する研究が各分野において進められているが,その中でもインパクト分析手法に関する研究は,基礎研究,応用研究に於いて共に進んでいないのが現状である.環境影響統合評価については,ヨーロッパを中心に行われており,日本の環境問題の現状に対応した評価手法は殆どされていない.本研究では,環境影響を客観的かつ総合的に評価する環境影響統合評価手法を開発するとともに,これを農業活動に伴う環境負荷に適用することで,農業生産における従来の技術を見直し,持続的農業の推進を図る.

光材料の構造的性質に関する研究
教授 山本 良一
近年,コンピューターの計算スピードの飛躍的な向上により,第一原理計算手法を用いた研究が各分野において進められているが,光材料における構造と物性に関する研究はなされていないのが現状である.本研究では,第一原理分子動力学法を用い,電子論の立場から,感光性の高い新たなSiO2ガラス系材料の探索を行い,ファイバーグレーティング(書き込み)のプロセス開発に寄与することを目的とする.

産学官連携イノベーション創出事業費補助金

産学官連携イノベーション創出事業費補助金
J14-24(4024)コヒーレンス評価
教授 平川 一彦
科学技術振興事業団

ひずみSi/SiGeのキャリア輸送特性の実験的評価
教授 平川 一彦
ひずみSi/SiGe系MOSFETにおいては,格子のひずみ効果がバンド構造,有効質量,散乱機構,飽和速度などに大きな影響を与えることが予想されている.本研究においては,ひずみSi/SiGe系MOSFET中のキャリア輸送に関する基本的な枠組みを実験的に明確にするべく,低電界および高電界下での輸送現象の評価技術を確立すると共に,実験的評価を行ってその物理モデルを確立する.

J14-43(4043)
教授 平川 一彦
科学技術振興事業団

過熱水蒸気による未利用バイオマスの工業原料化に関する研究(継続)
教授 迫田 章義[代表者],(株)中国メンテナンス(代表取締役)宍戸 弘
現在,循環型社会に移行することの重要性が大きく叫ばれている.しかしながら,有限な化石資源を基盤とする限りは原理的に完全循環型の社会は不可能であり,これを実現するためには早晩,再生可能資源(植物などの生物体=バイオマス)を基盤とする社会経済システムに転換しなければならない.本研究では,バイオマスを常圧過熱水蒸気に接触させ,水溶性工業原料を生成・分離回収すると同時に残さの燃焼によって自らのプロセス駆動エネルギーを得る「可搬式過 熱水蒸気バイオマス工業原料化プロセス」を研究開発することを目的とし,地域で発生する未利用バイオマスから地域で需要の見込める工業原料を製造するモデルプロセスを設計・試作・稼動することを最終目標として研究を進めている.

都市基盤の豊かさを再編成するモフォロジカル技術の開発(文部科学省平成14年度産学連携インキュベーション推進費補助金)
教授 野城 智也[代表者],教授 野城智也(代表者),教授(東大)冨山 哲男・(財)ベターリビング開発部設備課 西本賢二・(社)リビングアメニティ協会業務第一部部長 丸山 純一・八重洲(株)取締役社長 結城英嗣・(株)竹中工務店地球環境室 広瀬 朗・伊藤忠テクノメタル(株)営業第2部副部長 山田 広信
多様に特化し,かつ刻々変化する個々のニーズに対応し,建物のインフィルを生体組織的に変容させるモフォロジカル技術を開発する.これにより都市基盤である建物のスケルトンのライフサイクル生活価値を高め,所有から利用にシフトした新たな豊かさを再編成することを目指す.具体的には,以下の3つの目標実現を目指す.(1) DFE型インフィル部品を試作しその実用化への目途を立てる (2)インフィイル部品のリース・レンタルの運用方に関する知識体系の確立し,サービス・アグリーメンメント型契約にかかわる国内標準及び国際標準を提案する (3)リース・レンタルにかかわるロジスティックス及び顧客管理のための情報ツールを試作しその実用化への目途を立てる

マルチナノプローブ加工による高性能単電子デバイスに関する研究
教授 藤田 博之[代表者],助教授(東北大電気通信研究所)三村秀典,助教授(立命館大)磯野吉正,教授(香川大)三原 豊,助教授(香川大)橋口 原
予め高密度に作製されたSi量子細線回路の所望の位置に,マルチナノプローブによる酸化手法を利用して単電子デバイスを書き込む技術を実現する.

未来開拓学術研究推進事業

未来開拓学術研究費補助金
光電子スペクトロホログラフィーによる原子レベルでの表面・界面3次元構造評価装置の開発(継続)
教授 尾張 真則[代表者], 助手 石井 秀司,教授(東京理科大)二瓶好正, (早大)大島忠平
X線光電子回折(XPED)法は,光電子の放出角度依存性や入射エネルギー依存性などから,表面・界面を含めた固体表層原子構造を化学状態別に知ることのできる手法である.我々はこの手法をさらに進めた光電子スペクトロホログラフィー法を提案し,その測定装置・手法の開発を同時に行ってきた.この手法では数種の励起X線の特長を活かすことにより,表面・界面などの構造・状態を3次元的に原子レベルで明らかにできる.我々の開発した光電子スペクトロホログラフィー装置とそれを用いた超薄膜系の構造解析結果などについて公開する.

高温等多湿気候に適応する環境負荷低減型高密度居住区モデルの開発
教授 加藤 信介[代表者], 助教授 曲渕 英邦,顧問研究員 村上周三, 研究員 伊香賀俊治, 教授(工学院大学)高梨晃一
人口の増加,集中問題に対応すべく高密度居住を積極的に利用して,効率的で,環境負荷の少ない居住区モデルについて,その具体的内容,形態に踏み込んで研究することを目的としている.高密度居住は暗いイメージを与えがちであるが,建築的な工夫により居住者のニーズに合わせた多様な居住空間・居住環境を実現することは可能である.高密度居住は集約化により都市のスプロールを防止し,人口環境と自然環境の共存を可能とする優れた居住方法となり得るものである.更に輸送,搬送エネルギーの削減効果等が期待でき,人間活動を効率化し環境負荷の削減が可能となる.このような高密度住宅の利点を最大限に生かし,その欠点を最小化する高密度居住区モデルの提案を行うものである.

極低消費電力・新システムLSI技術の開拓
教授 桜井 貴康
従来のトレンドより突出した超低消費電力・高速LSI技術を実現するために大学主導のもと産業界とも連携しながら,国際的視野に立って,この極低消費電力・新システムLSIのアーキテクチャや回路技術,デバイス技術のブレークスルーを創出し,学術的に体系化してわが国の競争力の源泉とすることを目的とする.

学術創生研究費

学術創生研究費
深海知能ロボットの開発研究
教授 浦 環[代表者], 教授 浅田 昭, 助教授 藤井 輝夫,教授(北海道大学)蒲生 俊敬・(東北大学)藤本博巳,主任研究官(産業技術総合研究所)中村光一,助手 能勢 義昭,学術研究支援員 杉松 治美
2001年度から5年間の計画で,大型母船を必要とせず,特定の技術者ではなく観測する科学者自身が展開できる,水深4,000m級の深海を航行する高度に知能化された信頼性の高い自律型海中ロボットを開発し,これをマリアナ海域などの熱帯地帯に展開して観測をおこなうプロジェクトを開始した.本プロジェクトでは,建造した深海知能ロボット(R2D4)を用いて熱水地帯の連続観測をおこない,熱水地帯で起こっている現象を観測する新たな観測システムを構築し,その成果を工学にフィードバックしていくことを目的とする.2年目となる本年は,R2D4の船体の建造を中心として,その航法の研究,また来年度以降の試験潜航および本格潜航のターゲットとなる観測海域と潜航計画を検討した.

科学技術振興費・主要5分野の研究開発委託事業(RR2002)

科学技術振興費・主要5分野の研究開発委託事業(RR2002)
戦略的基盤ソフトウェアの開発
教授 小林 敏雄[代表者], 教授 山本 良一,教授(東大)矢川元基,教授(慶応大) 村上周三,顧問研究員 小池秀耀, 助教授 加藤 千幸, 助教授 谷口 伸行, 客員助教授 佐藤 文俊, 助教授 大島 まり,研究員 中野達也,研究員 大野隆央,研究員 松原聖,助教授(東大) 奥田洋司
本研究は文部科学省ITプログラムの研究課題として採択されH15年度より開始された.近将来ニーズを踏まえた重点研究分野における必須のシミュレーションとして5つのテーマを取り上げ,優れた基盤研究のいち早い展開を進めて産業技術に直結する実証ソフトウェアを開発して各分野でのスタンダード・ツールとすることを目指す.1)量子化学計算:タンパク質,高分子などの大規模分子の電子分布を計算,2)タンパク質―化学物質相互作用解析:タンパク質と医薬品,環境ホルモンなどの相互作用を量子化学的に解析,3)ナノシミュレーション:ナノデバイス設計のための量子力学解析,4)流体解析システム:乱流燃焼や混相流などの複雑エネルギー流動の解析システム,5)構造解析システム:並列コンピュータを駆使した超大規模データ連成構造解析,さらに,これらの大規模数値シミュレーションの開発・実行を支援するものとして,6)統合プラットホーム:高度な工学問題に対する解析環境の実現,7)HPCミドルウェア: 大規模数値シミュレーション向けの並列計算ライブラリー の開発を行う.これらのTeraスケールの超大規模計算科学シミュレーションを高精度で効率よく実施しうる実証ソフトウェアの開発が本研究の中心となる.

人・自然・地球共生プログラム「陸域生態系モデル作成のためのパラメタリゼーションに関する研究-リモートセンシングによる陸域生態系パラメータの計測」
教授 安岡 善文[代表者], 助手 越智 士郎,博士研究員:Baruah Jyoti, 大学院生:遠藤貴宏,竹内 渉,高橋俊守,Manzul Hazarika
地上観測と衛星観測の併用により,植物の光合成能,生産量などの生態系パラメータを広域で計測する手法を開発する.地球規模での環境・気候変動のモデル化には広域での高精度陸域生態系パラメータの入力が不可欠であるが,本研究では,地上観測データから衛星データまでのスケールアップにより生態系パラメータの広域分布を計測する手法を開発することを目的とする.

大都市大震災軽減化特別プロジェクトW-1.「地震防災統合化研究-事前対策」
助教授 目黒 公郎[代表者],村上ひとみ 山口大学 助教授,根上彰生 日本大学 助教授

大都市大震災軽減化特別プロジェクト臨海部における津波災害総合シミュレータの開発
助教授(群馬大学工学)片田敏孝, 助教授 目黒 公郎[代表者]

その他

その他
アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究(地震断層近傍のハザード評価)
教授 小長井 一男[代表者], 助教授 目黒 公郎, 助教授 古関 潤一, 助教授 山崎 文雄
表記の大課題のうち,地震断層の直接関わる被害のハザード評価と対応策について検討し,被害事例のデータアーカイブス構築,ハザード評価のツールボックスを整備するものである

地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明(土石流動シミュレーション技術の開発)
教授 小長井 一男[代表者], 助手 山口 直也
環太平洋火山地帯は同時に地震の巣でもある.このような地域に堆積する火山性屑砕物は多孔質で脆く,雨水を含む状況でこれが破壊すると,粒子間隙の水圧の著しい上昇が起こり,長距離で高速の土砂流動を引き起こす.こうした土砂流動は最も悲惨な災害に繋がりえるもので,その破壊現象の実際を踏まえ,速度と到達距離の予測が防災対策上欠かせない.本研究は効率的かつ実用的な予測ツールの開発を試みるものである.

氷スラリーを用いた高効率冷熱利用技術の研究開発
主任研究官(産総研)稲田孝明, 助教授 白樫 了[代表者],助手(東大生研)高野 清
氷表面への分子吸着効果を持つ添加物を利用して氷の再結晶及び壁面付着を防止し,氷スラリーの輸送技術を確立する.また,交流電場や交番磁場によって氷に選択的にエネルギーを吸収させる氷の凍結・解凍制御技術を確立する.さらに,これらの要素技術を統合し,高効率冷熱利用に資する制御性・信頼性の高い氷スラリーシステムを構築する.

生体膜で働くプロトン駆動のナノモーター科学技術振興事業団 個人研究推進事業 さきがけ研究21
助教授 野地 博行
ATP合成酵素は,F1とFoの2つのモーターから構成される.そのうちFoモーターは生体膜に存在しプロトン流で駆動される.その様子を1分子観察するための実験系を構築する.また,これと平行して,回転モーターの操作技術も開発する.

ナノ加工技術を用いた生体分子モーターのメカニズム解明(三菱財団 学術研究助成)
助教授 野地 博行[代表者], 講師 竹内 昌治
生体分子モーターのダイナミクス解明のために,ナノ加工技術を利用する研究を行なう.特に,ATP合成酵素のF1モーターとFoモーターに関する研究を行なう.

非侵襲的生体内遺伝子機能発現計測系の開発
教授 平川 一彦,助教授(東大医科研)程 肇,教授(東大医科研)榊 佳之, 教授 榊 裕之[代表者],グループ長(浜松ホトニクス)鈴木 誠司
科学技術振興調整費

相関エレクトロニクスの研究
教授 平川 一彦[代表者],(NTT基礎研)平山 祥郎
戦略的基礎研究推進事業

量子構造を用いた遠赤外線光技術の開拓と量子物性研究
教授 平川 一彦[代表者],教授(東大)小宮山 進
戦略的基礎研究推進事業

分散されたデバイスと相互作用し賢くなる知的空間-科学技術振興事業団 個人研究推進事業 さきがけ研究21-
助教授 橋本 秀紀
人間を観測し, その意図を把握して適切な支援を提供する人工的な空間の創造を目指す.具体的には, その空間内に分散配置された多数のデバイスがネットワーク化され, 人間から得られる多様なデータの取得手法とそ, の情報化および知能化を検討し, データの持つ意味を抽出して適切な支援を発現する仕組みを提案する.

電子商取引における実行リスク推定技術
講師 松浦 幹太
公開鍵基盤に基づく電子商取引では,幾つもの電子証明書が検証される.電子マネー等を所有していても,使用時に検証にパスするとは限らない.このリスクを表す確率を観測可能なデータから推定する手法を開発する.

高精細電子時刻印のための電子公表システムに関する研究
講師 松浦 幹太
電子公証の基礎をなす電子時刻印システムは,2種類の方式に大別できる.それらのうち,安全性が単一機関に集中してしまわない方式では,時刻印付与対象データを一方向的計算で集約した数値を新聞等公表し,安全性が確保される.大きな問題は,新聞発行間隔よりも細かく時間を分割できないという精度面の制約にある.本研究の目的は,公表作業を電子的に行うシステムを構築することにより,きめ細かな精度で安全な電子時刻印を付与する方式を可能にすることである.

アジアの水資源の将来 過去および未来に関する土地利用・土地被覆変化の再現と予測
教授 柴崎 亮介
地球温暖化に伴う水資源の賦存量変化とそのインパクトを予測評価する.そのためには気候モデルのシミュレーションの高度化とその境界条件となる土地利用・土地被覆の空間分布データを作成することが必要になる.過去に関しては,観測データと変化モデルを統合化した内挿手法を適用し,将来に関しては農作物の国際交易モデルとリンクした土地利用変化予測モデルを開発した.

量的バランスと「推進エンジン」を考慮した資源循環利用システムモデルの開発(旭硝子財団研究助成)
教授 野城 智也
本研究は,建材に関して,以下の二つのサブ・モデルを組み込んだ,地域・国レベルでのマクロな資源循環利用システムを設計するためのモデルを開発することを目的とする.ひとつは,需給のマクロな量的バランスに見合った再利用の様態を設定するためのモデルである.もうひとつは,資源利用の閉ループ形成に動機づけをもつ「推進エンジン」的役割をもったセクターに係わるモデルである.これらのモデルが企業や政策機関の戦略設定のツールとして用いられることは,建材の生産・利用に係わる資源効率を改善させ,循環型社会実現に寄与する.

文部科学省リーディングプロジェクト一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト
教授 野城 智也
バイオマスシステムの物流システムの開発有機系廃棄物は,地域的に広範に発生する.それら,都市・地域から排出される廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムが構築されなければ,複合処理・再資源化システムは稼働しない.また稼働したとしても,かえって輸送のための化石燃料使用量を増やしたり,再資源化施設での生産品を高価格にしてしまう.そこで,現実の経済社会のなかで,廃棄物と,それらの再資源化施設との間を高効率で結合する静脈物流システムを構築することを目的にする

経済産業省 技術経営(MOT)プログラム開発公募「コーポレート・ガバナンスとしての技術倫理マネジメントシステム」
教授 野城 智也[代表者], 教授 板倉 周一郎, 教授 安井 至
今日,技術倫理に関連して,企業の存立・盛衰を左右するほどの重要な事件・事故が多発している.これらの事件・事故の問題は,単に技術者個人がもつ倫理の内容だけを云々しても解決できない問題である.企業・組織のガバナンス維持のためには,経営活動の一要素として,企業・組織がもつ技術倫理マネジメントシステム(Engineering Ethics Management System)を日本的風土の中で構築し運用していく必要性が急速に高まっている.本事業においては,我が国独自の事例を数多く収集分析し,そこから引き出された教訓に基づく教材を開発する.これにより,ワークショップやグループ研究を含めた事例研究による学習形態などを通じて,MOT受講者がコーポレート・ガバナンスの手段として,企業・組織において技術倫理マネジメントシステム(Engineering Ethics Management System)を構築し運用していくための能力を習得することを目指す

脳神経情報計測のための多チャンネルシリコンナノ電極
講師 竹内 昌治
財団法人 先端技術研究財団

マイクロ電気生理キットを用いた昆虫遊びに関する研究
講師 竹内 昌治
財団法人 中山隼雄科学技術文化財団

マイクロマシン技術によるカフ型微小電極の研究
講師 竹内 昌治
財団法人 マイクロマシンセンター

アクティブ固定機構をもつカフ型神経インターフェースの研究
講師 竹内 昌治
財団法人 立石科学技術振興財団

細胞内物質輸送を模倣したナノアクチュエータ
講師 竹内 昌治
(株)積水インテグレーテッドリサーチ

生体分子モータを用いたハイブリッドナノマシンの創製
講師 竹内 昌治
財団法人 中島記念国際交流財団

材料劣化を考慮したコンクリート構造物の構造安全性能評価手法の開発
講師 加藤 佳孝[代表者],助手 鹿児島大学 山口明伸,助手 埼玉大学 牧剛史
本研究は,これまで個別に検討されてきた,耐久性能評価,耐震性能評価,品質評価に関する研究を統合することにより,構造物の安全性能を時間軸上で適切に評価することができる手法を開発することを目的としている.各々の既往の研究は,単独の現象の解明,精度向上に資するものがほとんどであり,この意味においては非常に有益な成果を得ている.しかし,研究成果を使用するユーザーのニーズを考慮していないため,実用化されるに至っていないことが問題である.本研究では,各々のニーズを明確にすることにより,個別の開発手法を統合する点が独創的である.統合化の方法として,最終的に構造物の性能を評価する応答解析プログラムを用いて,パラメトリックスタディーを行うことにより,構造安全性能に影響を与える材料劣化の情報(精度,影響範囲など)を整理する.この結果を受けて,必要となる情報(ニーズ)を提供することが可能な,劣化予測手法,品質評価手法を確立する.ただし,劣化予測手法自体は,ミクロスケール(nm〜cm)の材料情報を基盤とするものであり,劣化予測の精度を低下させるものではなく,品質評価手法も同様である.このような検討方法は,今後のコンクリート工学全体の研究成果の体系的整理の手法として役立つものと確信している.

ナノ光・電子デバイス技術基盤開発
客員教授 菅原 充
40GHz超・ゼロチャープ超高速量子ドットレーザ,高出力・広帯域量子ドット増幅器,超高速量子ドット波長スイッチ・中継器等の量子ドット光デバイスの実用化に向けて,技術基盤の確立のための研究開発を行っている.

肝細胞移植系の確立と肝幹細胞の分離および培養(継続)(厚生労働省・厚生科学研究費)
教授(東大分生研)宮島篤[代表者], 助教授 酒井 康行,助手(東大医学部)渡部徹郎
肝幹細胞の分離とin vitroにおける増殖・分化の制御は,細胞移植・人工肝臓・再構築型肝組織移植などの治療にとって必要不可欠な基礎技術であるが,血球系の幹細胞に比べて著しく遅れている.本研究では,分子遺伝学および発生工学の技術が利用可能なマウスをモデルとして,上述の課題の解決を目指す.この中で酒井らの分担課題は,生分解ポリマー担体を用いた再構築型肝組織の開発と,移植実験による評価である.