VI. 研究および発表論文


1. 研究課題とその概要
F. 民間等との共同研究

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第49号 2000年度
2001.8.23


1. 地域ゼロエミッションに関する研究

教授 迫田 章義

 地ビール工場から排出される廃棄物(未利用物)と, その他の地域未利用バイオマスを, 白色腐朽菌を用いる生物的物質変換と水熱反応等による物理化学的物質変換を組合せた総合資源化プロセスを設計・製作・運転し, キノコなどの食料や地域の工業原料となる生物化学物質を供給する技術・システムの開発を行った.

2. 単一電子素子集積化デバイスの基盤技術の研究(継続)

教授 榊 裕之, 助教授 高橋 琢二, 助手 野田 武司

研究員((財)新機能素子研究開発協会)大島 正晃

 産業界における次世代デバイスの探索的研究を促進する新機能素子研究開発協会と共同で, 単電子効果を用いた超微細・超低電力型デバイスについて, その基礎特性解明と基盤技術開発の研究を進めることにより, デバイス実用化の道を探索している. 特に, 量子ドットを用いたメモリー素子を中心に, その特性の解析と制御に関する研究を進めた.

3. 次世代半導体工場の微振動制振のためのスマート構造に関する研究

教授 藤田 隆史, 技術官 嶋崎 守, 民間等共同研究員 橋本 嘉之・北原 隆・有壁 剛生

 日本のような地震国における半導体工場は, 建物内部の設備機器をも効果的に地震から守るために, 免震構造の採用が望ましい. しかしながら, 免震された半導体工場は, 強風時には, 要求される低振動環境を維持できない可能性が強い. 本研究では, 超磁歪アクチュエータを免震層に装備し, 建物の三次元微振動制御を行って, 風に対する制振と地盤の常時微動に対する高性能除振を実現するシステムを開発した.

4. 自律型配電作業ロボットの画像処理システムに関する研究

教授 池内 克史, 技術官 長谷川 仁則, 民間等共同研究員 河村 憲太郎

 配電作業の軽減を目的として開発された九州電力配電ロボットは, 現在オペレータが遠隔操作で制御を行っているが, これを当研究室で開発された3次元物体認識の手法を用いることによって, 自動化することを目指す. 本年度は, 物体のグローバルな認識を行う手法の研究に着手し, 配電器材の認識に成功した.

5. 人間協調型ロボットのための距離センサの応用研究

教授 池内 克史, 助手 影澤 政隆, 民間等共同研究員 田貫 富和

 人間協調型ロボットに各種タスクを実行させるためには距離情報の利用が有効である. 本研究では人間協調型ロボットのための距離情報処理アルゴリズムの開発を目指す. 本年度は, 距離センサとしてマルチベースラインステレオシステムを選定し, 人間協調型ロボットの作業範囲を観察できるカメラ撮像系を構築した. さらに, これを「ロボットによる人間行動の獲得」研究に適用し, 観測される距離データにより物体識別が可能であることを確認した.

6. 建物室内空間の流れ場・温度場の乱流シミュレーションに関する研究

教授 村上 周三(代表者)・加藤 信介, 民間等共同研究員 土屋 直也

 本研究は, 冷房・暖房時の室内空間における流れ場・温度場の高精度な数値予測を可能とする(LES)Large Eddy Simulationによる解析結果を基にして, より汎用的で計算負荷の削減が期待できる(RANS)Reynolds Averaged Numerical Simulation解析手法の高精度化及び提案を最終目標としている. このため室内気流実験等を対象としたLES解析を実施し, 浮力乱流場における熱, 運動量輸送メカニズムの再現性の検証を行い, 各種乱流統計量のデータベースを構築するものである. 今回は室内空間における複雑乱流場におけるLES解析結果により各種乱流統計量のデータベースを作成し, 汎用的なRANSモデルのモデル係数のチューニング及び新たなRANSモデルの提案を試みる.

7. 建築火災における高浮力乱流場シミュレーションに関する研究

教授 村上 周三(代表者)・加藤 信介, 民間等共同研究員 青柳 敦

 本研究は, 建物火災時の安全避難のために必要となる建物内の煙流動予測を, 計算機を用いた乱流シミュレーションにより行う手法の開発を行うものである. 火災時等においては, 高温のため空気の密度の変化が大きく, 乱流シミュレーションではこれを考慮した解析が必要となる. 本研究では, 火災時の熱輸送や煙流動の予測を可能とする高浮力型乱流シミュレーションモデルの開発を乱流シミュレーションと既存の実験データとの比較により進める.

8. 気候変動の将来の見通しの向上を目指したエアロゾル・水・植生等の過程のモデル化に関する研究

助教授 沖 大幹

 地球温暖化問題は国際政治の主要課題の一つになりつつあるが, 地球温暖化そのものの精度良い予測, 社会に与える影響の評価のためには, 気候システムモデルの各コンポーネントのさらなる高度化が必要である. 本研究では, 上記目的のために, 陸域の水循環・植生モデルのさらなる高度化を図る.

9. 熱帯降雨観測衛星データのタイにおける検証計画

助教授 沖 大幹

 熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measuring Mission)によって観測される雨量を, タイ気象局の気象レーダデータや雨量計の観測値と比較し, その精度の検証を行っている. また, TRMM搭載の降雨レーダによって観測されている地表面散乱係数のグローバルマッピングを行い, その季節変化からグローバルな土壌水分を算定することに成功した. 世界各地の観測土壌水分量による検証も開始した.

10. 高速道路における走行所要時間予測方式に関する研究

教授 桑原 雅夫, 民間等共同研究員 大場 義知

 車両感知器等のセンサ類の設置が完備されていない高速道路において, ドライバーに目的地までの走行所要時間情報を提供するための, 高精度で交通流変化に即応できる走行所要時間予測方式を研究する.

11. リアルタイム交通状況予測システムに関する研究

教授 桑原 雅夫, 民間等共同研究員 北岡 広宣

 現在の交通状況を元に与えられた初期交通量によってシミュレーションを行い, それにより得られた数値を元に推定処理を行い, 再度シミュレーションを行うことによって, 近未来の交通状況を予測し, その検証を行う.

12. 土留め壁の地震時変形に関する研究

助教授 古関 潤一, 助手 佐藤 剛司・早野 公敏

民間等共同研究員 棚村 史郎

 盛土や擁壁などの土構造物は, 巨大な地震荷重が作用した場合にはある程度の変位が生じることを許容した設計を行う必要がある. このような土構造物の地震時変形量を合理的に予測する手法を確立し, さらに耐震性の高い構造形式を開発することを目的として, 構造形式と基礎地盤の条件を変えて系統的な模型実験を実施している.

13. 軟岩の変形特性に関する研究

助教授 古関 潤一, 助手 佐藤 剛司・早野 公敏

民間等共同研究員 宮崎 啓一

 我が国の基礎地盤の大きな部分は堆積軟岩であり, 多くの長大橋梁, 高層ビル, 大規模地下掘削等が堆積軟岩地盤上や内部で行われてきた. その変形特性を詳細な室内実験によって調べ, 試験結果を原位置試験及び地盤挙動の実測値と比較することにより, 堆積軟岩の破壊前の小ひずみレベルでの変形特性について検討している.

14. 大規模建物内の火災時煙流動特性の数値予測と安全計画

教授 加藤 信介(代表者)・村上 周三, 民間等共同研究員 原 哲夫

 本研究は, 模型実験と数値シミュレーションを用いて大規模建物内の火災時煙流動の予測と制御法を検討するものである. 大規模建物内において火災が生じた場合, 火源による熱上昇流と共に空調吹出口位置, 吹出風量等種々の室内環境制御影響要素により生じる煙流動特性を捉えることが重要となる. 従って, シミュレーションおよび実験からこれらを系統的に検討する. 以上の成果は, 実際の大規模建物の避難・防災計画資料として利用される.

15. 途上国大都市の地震危険度評価比較研究

教授 須藤 研(代表者), 助教授 目黒 公郎

 国連国際防災十年事務局がコーディネイトする途上国大都市の地震危険度評価プロジェクトへの技術支援を通じて, 途上国における危険度評価と最適な対応施策の研究を実施している.

16. 非線形解析技術の地震被害評価手法への応用

助教授 目黒 公郎, 民間等共同研究員 上半 文昭

 構造物の破壊現象を高精度に解析できる新しい破壊解析法によるシミュレーションと破壊実験や観測事実との比較から, 地震による構造物の被害程度を迅速に高い精度で把握する手法の開発を行う.

17. コンクリート構造物における各種非破壊検査の適用に関する研究

教授 魚本 健人, 共同研究者((財)首都高速道路技術センター)吉沢 勝

 本研究では実構造物に対して各種非破壊検査を行い, その結果を比較検討して各種非破壊検査を行う. また, 各種非破壊検査の併用等による効率の良い非破壊検査の適用法についても検討を行う.

18. 高品質吹付けコンクリートの開発に関する研究

教授 魚本 健人

民間等共同研究員 駒田 慶司・清水 哲史・保岡 哲治・大野 俊夫・岡田 喬・小林 裕二

民間等共同研究員 磯部 哲・坂本 淳・大森 啓至・安藤 慎一郎・荒木 昭俊

民間等共同研究員 伊藤 正憲・田中 徹・田中 斉・松浦 誠司・杉山 律・白根 勇二

 吹き付けコンクリートはトンネルや地下空間の覆工, 法面の保護工, 構造物の補修・補強工等に広く使用されており, 今後もその使用量は増加するものと考えられる. しかし吹き付けコンクリートには, 1)品質の変動が大きい事, 2)耐久性の確認が必ずしも十分でない事3)はね返りによる材料の損失が大きい事, 4)発生粉じんのための作業環境が悪いなどの問題点などがある. そこで本研究は1)品質変動の把握および変動低削技術の開発, 2)耐久性の証明および耐久性向上技術の開発を主目的とし, 高品質吹付けコンクリートの研究開発を行う. 吹付けコンクリートは実験規模が非常に大きく, さらに実験を行うにあたって硬度の吹き付け技術が必要となり, 実際に施工を行っている民間企業との共同研究を行っている.

19. 橋梁点検システムの開発

教授 魚本 健人, 共同研究者((株)建設技術研究所)清水 隆史

 本研究は, コンクリート構造物の劣化診断を行う上で必要となる, 目視検査による構造部の点検データを効率的に保存するシステムについて研究を行っている.

20. 超低電圧CMOS回路の研究

教授 桜井 貴康

 携帯機器用システムLSIの基盤技術であるCMOSの超低電圧動作回路技術を開発することを目的とし, 1V以下で200MHz以上の高速動作が可能なシステムLSIを実現できる技術をターゲットとする.

21. ディープサブミクロン世代の設計法の研究

教授 桜井 貴康

 ディープサブミクロン世代LSIで問題となる消費電力や動作遅延の増大などに対処するため, 低電圧回路やパストランジスタ論理回路などの低消費電力, 高性能回路に関する研究を行う.

22. 射出/押出成形技術の高度化(新規)

教授 横井 秀俊(代表者), 民間等共同研究員 金藤 芳典・高次 聡・龍野 道宏

 射出および押出成形では, 現象解明が遅れているため, 科学的, 学問的体系化がはかられていない. 本共同研究では, 射出および押出成形過程の新規可視化・計測手法を利用して, (1)複合射出成形技術の高度化および超高速射出成形技術と組み合わせた高次複合射出成形技術の開発, (2)可塑化過程安定化技術の開発, (3)押出成形における加工条件最適化の以上3課題の達成を目的としている.

 本年度は, 複合射出成形技術の高度化の基本となる現象データ収集を目的として, ランナー切替装置に基づく樹脂内部流動可視化手法を用いた, フローフロント内部における樹脂挙動解析を行った. また, サンドイッチ成形機能を有した超高速射出成形機の基本仕様の確立および機械の導入を行った. さらに, 可塑化安定技術の開発の基礎となる計量可塑化過程でのペレット溶融状況, およびホッパ下での樹脂噛み込み状況の解析を行った.

23. ゲート着磁法を用いた熱硬化性樹脂材料の金型内流動現象の可視化(継続)

教授 横井 秀俊(代表者), 民間等共同研究員 太田 隆

 熱硬化性樹脂材料は広く使用されているにもかかわらず, その成形は経験に依存し, 試行錯誤的な対応が余儀なくされている. 本共同研究では, 熱硬化性樹脂材料の金型内流動現象を可視化し, 現象の系統的な把握と, その結果に基づいた学問的な体系化を目的としている.

 本年度は, 昨年度に引続き熱硬化性樹脂の成形過程における型壁面での不安定流動層の形成メカニズムについてゲート着磁法を用いて詳細に検討した. その結果, 表面硬化層における不安定流動層の形成が, スティックスリップによる現象ではなく, 流動中の樹脂の硬化反応に伴う高粘度化に起因することを明らかにした. また, スティックスリップ現象は, フローフロント部で形成される成形品先端部においてのみ形成することを明らかにした.


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