VI. 研究および発表論文


1. 研究課題とその概要
マイクロメカトロニクス国際研究センター

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第49号 2000年度
2001.8.23


1. 半導体微細加工による並列協調型マイクロ運動システム(継続)

教授 藤田 博之, 助手 安宅 学, 大学院学生 荒井 誠

 半導体マイクロマシーニング技術の利点の一つである, 「微細な運動機構を多数同時に作れる」という特徴を生かして, 多数のマイクロアクチュエータが協調してある役割を果たす, 並列協調型マイクロ運動システムを提案した. アレイ状に並べた多数のアクチュエータでシリコン基板の小片を運ぶことができる. 制御回路とアクチュエータを含むモジュールを平面的に並べ, 物体の形状による分別を行う機構の設計と制御法と制御アルゴリズムを検討した. その結果に基づき, VLSIチップを製作し, 流体マイクロアクチュエータのチップと結合して動作させることを試みている.

2. マイクロアクチュエータの応用(継続)

教授 藤田 博之, 講師 年吉 洋, 技術官 飯塚 哲彦

大学院学生 三田 信・荒井 誠

外国人客員研究員 タリック ブルイナ・ジルベール レイヌ, 博士研究員 フィリップ エラン

 VLSI製造用の種々の微細加工技術によって可能となった, 微細な電極パターンや高品質の絶縁薄膜を利用して, 静電力や電磁力などで駆動する超小型アクチュエータを開発し, 種々の応用デバイスを試作している. 半導体レーザや発光ダイオードと光ファイバの光軸合わせ用微動機構, マイクロ光スキャナ, ハードディスク装置の微細トラッキング用マイクロアクチュエータ, マイクロSTM(走査トンネル顕微鏡)などを対象に研究を進めている.

3. 真空トンネルギャップ中の極限物理現象の可視化観測(継続)

教授 藤田 博之, 助教授(香川大)橋口 原, 講師 年吉 洋

大学院学生 三田 信・後藤 正英・角嶋 邦之

 マイクロマシニング技術を用いて, 走査トンネル顕微鏡の(STM)の探針とそれを動かすマイクロアクチュエータを一体で製作している. 断面の寸法が数十ナノメートルのナノ探針を安定して作製できるようになった. このマイクロSTMを, 電子位相検出方式の超高分解能透過電子顕微鏡の試料室に入れ, トンネル電流の流れるギャップを直視観察する計画である. トンネルギャップ中での電子や原子輸送現象の観察電界分布の測定などを行いたい.

4. マイクロマシーニングによる微小光学システム(継続)

教授 藤田 博之, 講師 年吉 洋

外国人客員研究員 ジャン フィリップ グイ・ジルベール レイヌ・タリック ブルイナ

外国人客員研究員 アニエス ティクシエ・リオネル ウレ

大学院学生 三田 信・大島 聡

 光路に対して垂直に動く微小ミラーのアレイを用いた光マトリックススイッチを作り, 良好な性能を得た. また, 3次元的にチップを組み立て, 光ファイバー, 光マイクロマシン, レーザ等をマイクロシステムに組み込む技術を開発した. さらに, 並列可変光インタコネクションの実現を目指し, 波長可変レーザやディテクタのアレイの製作を試みている.

5. マイクロマシニング技術のバイオ工学への応用

教授 藤田 博之, 講師 年吉 洋

外国人客員研究員 ゴンザロ カボドゥヴィラ・アニエス ティクシエ・ロラン グリスコム

 細胞の大きさやDNA分子の長さは, 数ミクロンから数十ミクロンであり, マイクロマシニングで作った構造と同程度の大きさである. このためバイオ工学のツールをマイクロマシニングで作る研究を行っている. 特定のタンパクを認識する分子を固定したパッチのアレイを作り, そこに細胞を選択的に吸着することができた. これを遺伝子治療に応用する研究もすすめている. また, マイクロ構造内でニューロンを培養し, 人工的結合をさせることも試みている.

6. マイクロ放電加工に関する研究(継続)

教授 増沢 隆久, 助手 藤野 正俊

大学院学生 許 東亞・岡島 公紀・田口 敬章

 数μmから数百μmの寸法領域の三次元的形状加工において, 放電加工は最も高精度で加工できる方法の一つである. 本研究では, 微細軸加工の新しい手法として開発したワイヤ放電研削法(WEDG)をもとに, 超微細穴加工, マイクロ加工・組立システム, さらに3次元的微細形状加工への応用に関する研究を行っている.

7. 機械的マイクロ加工に関する研究(継続)

教授 増沢 隆久, 助手 藤野 正俊

 打ち抜き, 切削, 研削等の機械的加工法は生産性, 加工精度ともに優れた方法であるが, 微細寸法の場合は工具の製作, 調整が容易でない. 本研究では, 工具製作を組込んだシステムにより, 數十μmの寸法の打ち抜きワイヤ放電研削法を応用し, 数十μmの寸法の打ち抜き, ドリル加工, エンドミル加工, 超音波加工, 研削などの実用化を進めている. 昨年度は超音波加工による直径10μm以下の細穴加工技術を確立した.

8. 三次元的微細形状測定法の開発(継続)

教授 増沢 隆久, 外国人客員研究員 Bourouina Tarik・Pourciel Jean Bernard

外国人博士研究員 Lebrasseur Eric Chaeles, 助手 藤野 正俊, 大学院学生 尾崎 宗活

 微細な三次元的形状測定の新しい手法として, 電気的接触検知を用いたバイブロスキャニング法(VS法)を開発し, 細穴内部形状測定等への応用研究を行っている.

9. 電解加工による表面仕上げ法の研究(継続)

教授 増沢 隆久, 研究員 酒井 茂紀, 助手 藤野 正俊

 金型等の表面仕上げのために, パルス電流を用いた電解加工で複雑形状面を平滑化する手法の開発, 並びにその微細軸, 微細穴の表面仕上げへの応用研究を行っている.

10. エキシマレーザによるマイクロ加工の研究(継続)

教授 増沢 隆久, 助手 藤野 正俊

 有機材料等に微細な三次元的形状を直接加工する方法として, エキシマレーザと金属マスクによる手法を開発している.

11. スクラッチドライブによるマイクロアクチュエータに関する研究(継続)

教授 増沢 隆久

 小型化可能な電気的アクチュエータのうちで, スクラッチドライブ方式は力/寸法比を大きくできる方法の一つである. 本研究ではこの方式をマイクロメカニズムの駆動源として用いるための設計および製作法の開発を行っている.

12. 結晶格子を基準としたリニアエンコーダ

助手 星 泰雄, 助教授 川勝 英樹

 走査型トンネル顕微鏡や, 走査型力顕微鏡を用いて結晶の周期性を読み出してリニアエンコーダのスケールとして用いる研究を行っている. 走査型プローブ顕微鏡の種類により, プローブと結晶面の相互作用が異なるため, 格子周期の読み出し方の制御方法が異なる. それらを比較するとともに, より速い変位に追従し得るエンコーダの実現を目指している. 現在, 走査型力顕微鏡では, 20ミクロン/秒程度までの読み飛ばしなしのエンコーディングを確認している. これは8万格子/秒に相当する.

13. 結晶格子を基準とした位置決め

助手 星 泰雄, 助教授 川勝 英樹

 結晶格子の規則正しい原子のならびを走査型トンネル顕微鏡の探針でサーボトラッキングすることによって, 結晶構造を2次元的な動きとして取り出し, xyステージの位置決め制御に用いることが可能となる. 現在, ミクロンオーダの範囲での変位制御を目指している.

14. 走査型力顕微鏡の探針の軌跡の計測

助手 星 泰雄, 助教授 川勝 英樹

 本研究は走査型力顕微鏡探針のxyz空間内での動きを原子レベルの分解能で求めることを目的としている. 装置構成としては, 光てこ2個を用いてカンチレバーの異なる2点での傾きを求めた. その結果, 探針の試料面内方向の変位と法線方向の変位を分離することが可能となり, より正確な探針の軌跡を求めることが可能となった. この測定法は原子レベルの摩擦現象を可視化するのに有効であると伴に, 走査型力顕微鏡を用いた形状計測の精度向上に役立つものである.

15. ナノメートルオーダの機械振動子の作製と応用

大学院学生 佐谷 大輔, 助教授 川勝 英樹

 ナノメートルオーダの機械振動子を用いることにより, 非常に小さい力や質量を検出できる. 本研究では, 機械振動子の作製, 振動励起方法, 振動検出方法に関する研究を平行して進めている. 振動子の作製に関しては,単結晶シリコンやポリシリコンを用いて数100ナノメートル大の振動子の作製に成功している.

16. ナノメートルオーダの3次元構造物の特性評価と応用

大学院学生 福島 公威・川井 茂樹

助手 星 泰雄, 助教授 川勝 英樹

 ナノメートルオーダの機械振動子などの, 3次元構造物の機械・電気特性の測定と, その応用の研究を行っている. そのために, 走査型電子顕微鏡内にマウントする走査型プローブ顕微鏡を実現している.

17. サブナノメートルオーダの探針の試料面内振動のマッピング

大学院学生 河岸 孝昌・加藤 篤

助手 星 泰雄, 助教授 川勝 英樹

 接触式走査型力顕微鏡において, 探針のサブ原子レベルの面内振動振幅や周波数は試料表面の種類や状態によって異なる. これらの値をロックインアンプや絶対値回路を用いて計測し, 試料のxy方向の走査に合わせてマッピングを行う. これまでに, シリコンと酸化シリコンのコントラスト, 段差を含む黒鉛結晶のコントラスト, トポグラフィー像や摩擦像で観察されない特徴の可視化などが実現されている.

18. RF-MEMS : High frequency(100-300 MHz)electromechanical resonator for signal processing in wireless communication

教授 Dominique COLLARD

 For wireless communication system like mobile phone, there is a strong demand to realize tiny filter device that are compatible with Integrated Circuit process. Micrometer size electromechanical resonators are investigated to perform filtering functions for the treatment of intermediate frequency(IF)range. The resonators consist in small size vibrating polysilicon structures with first order mechanical resonance mode in the 100-300 MHz range, coupled with drive and sense electrodes.

19. Co-Integration of Microsystems technology with RF CMOS/SOI technology

教授 Dominique COLLARD, 教授(ベルギー・Louvain-la-Neuve大学)D. Flandre

 For RF applications, parasitic elements for the connection between MEMS devices and drive and control electronic have to be reduced at minimum level. In order to tackle with problem, the ongoing project focuses on the co-integration of MEMS technology as a post-process of a CMOS/SOI technology. The 30 GHz CMOS/SOI of UCL have been optimized to sustain the high temperature treatment of the surface micromachining MEMS technology. Integrated filters applications are underway.

20. Development of 3D self-assembling technology for with integrated SDA Actuation

教授 Dominique COLLARD

常任研究員(フランス・国立科学研究センター/IEMN)Lionel BUCHAILLOT

 In MEMS processes, automatic batch fabrication of 3D microstructures is a keytechnology to produce arbitrarily shaped devices. To achieve this goal, anadvanced self-assembling technique of surface micro-machined polysiliconstructures has been demonstrated in which the 3D polysilicon microparts arelifted by integrated Scratch Drive Actuator(SDA). Numerous electrostaticmicromirrors with customized sizes have been realized by this technique.

21. Integrated high precision positioning system for AFM Stage

教授 Dominique COLLARD

常任研究員(フランス・国立科学研究センター/IEMN)Lionel BUCHAILLOT

 This project concerns the realisation of a silicon based microstage integrated with its displacement system. The stage motion is induced by the force produced by high density arrays of Scratch Drive Actuators(SDA). The process combinesboth surface micromachining for the SDA realisation and the control of the displacement and bulk miromachining for the stage realisation and the motionguidance.

22. マイクロモールドを用いた新SNOMプローブの開発

助教授 金 範俊

 SNOM(走査型近接場顕微鏡)は, 光学的な透過性という観点からナノメートルイメージングを行えるという点で重要なテクニックであり, DNAやタンパク質等の生体分子系の観察, 色素分子のpolarization検出等のバイオ, ナノメートル表面分析や化学研究への新しい応用科学機器として, さらに近年ナノマシニングと超高密度data storageに向けて次世代技術となる可能性があるので, 注目を浴びている. しかし, この技術の大きい問題になっているのは, 光のdiffraction limitを超える極微細なapertureを持つプローブの作製が極めて難しいことであった. そこで, シリコンモールドの新しい表面処理方法, 新材料の導入によって, 優れた機能を持つSNOMプローブの製作に成功した. 現在, Focused Ion Beam(Ga収束イオンビーム)マシニング法で100 nm以下のtip apertureを作製したが, もっと簡単に作られるナノモールドマシニング法の開発, 光学的特性の分析と応用実検, 評価等を行っている.

23. マイクロパターニングに関する研究

助教授 金 範俊

 新しい概念の自己組織化単分子膜(SelfーAssmbled Monolayers, SAMs)を利用して, シリコン表面上に10 nm以下の疎水性の単分子膜を作り, surfaceマイクロマシニングの問題であるsticknessを解決する新しい表面処理法を開発した. この方法を用いて, 高いアスペクト比で簡単に製作できるUV−light polymerのマイクロstructure(SU−8)にメタルpattern transferすることにも成功した. 今後, 様々なマイクロマシニング法において一つのrelease techniqueとして大きな役割を果す可能性を示している.


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