VI. 研究および発表論文


1. 研究課題とその概要
概念情報工学研究センター

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第49号 2000年度
2001.8.23


1. マルチメディア情報媒介機構の研究

教授 坂内 正夫・池内 克史・喜連川 優

教授(東京大)石塚 満, 助教授 佐藤 洋一

日本学術振興会特別研究員 森山 剛

 WWW, ディジタル放送, 交通状況情報等にそれぞれ代表されるネットワーク型環境, ストリーム型環境, 実世界型環境の3つの異なる視点で, マルチメディア情報利用の高度化を仲介する新しい情報処理機能(情報媒介機構)を文部省, 新プログラム方式による研究プロジェクトとして開発している. 本年度は, 3つの媒介機構の基本機能の改良・発展を行うと共に, 中間成果発表としての国際シンポジウムを開催した.

2. 次世代ハイパーメディアプラットホームの開発

教授 坂内 正夫, 大学院学生 曹 芸芸

 映像を中心とする幅広い情報をコンピュータを用いて魅力ある形に提供するためのハイパーメディアの新しいプラットホーム開発を行なっている. 本年度は, 原メディアからのデータモデルの獲得(データベースビジョン), データベース化(ハイパーメディア), そのフレキシブルな利用(プレゼンテーション)を一体化したハイパーメディアの枠組の拡張と, その開発ツール(プラットホーム)の実装, 及び研究室に既存の図形・画像認識システムの実装及び各種応用システムの開発を行なっている.

3. マルチメディア地図の構築と応用に関する研究

教授 坂内 正夫, 協力研究員 大沢 裕

日本学術振興会特別研究員 金 浩民・森山 剛, 大学院学生 韓 宇

 西大震災でも端的に示されたように, 災害への対応や高度な交通管理, 施設管理などにおいて我々の社会活動の基盤である都市の現況情報をリアルタイムに表現, 把握することが不可欠である. 本研究では, 従来の図形ディジタル地図に加えて, リアルタイム映像, 航空写真, 異形態地図等を統合した拡張された地図(マルチメディア地図)データベースの構築とその応用方式の研究を開始している. 本年度は, モバイル端末からの入力画像と地図との対応付けを行う方式を開発し, プロトタイプシステムの開発を行った.

4. 複数メディアの協調によるドラマ映像の高度理解

教授 坂内 正夫, 助教授(メディア教育開発センター)柳沼 良知

大学院学生 張 文利・徐 旭

 高度なマルチメディアシステム実現のためには, ビデオ映像の内容理解が必要であるが, 従来は困難な問題であった. 本研究では, 映像だけでなく文書メディア(シナリオ), 音声メディアの認識システムを相互に協調させて高次認識を実現する方式を研究している. 本年度は, 複数メディアの最適結合方式を, 主成分分析とデンプスタシーファー理論とを用いて実現した.

5. DPを用いた時間依存・非依存メディアの同期のその応用

教授 坂内 正夫, 助教授(メディア教育開発センター)柳沼 良知

大学院学生 曹 芸音声やビデオ等の時間軸をもつメディアと, 文書等の時間軸を持たないメディアの同期の問題が重要である. 本研究では, よりロバスト芸

 

マルチメディアシステム形成のためには, な状況に対応できるDPの手法を開発し, これらの異質なメディア間の同期を可能とする方式を開発している. 本年度は, 実世界対象のドライビングショット映像に適用し, 有効性を実証した.

6. 次世代対応型ディジタル放送システムの研究

教授 坂内 正夫, 助教授(メディア教育開発センター)柳沼 良知

大学院学生 川崎 洋・曹 芸芸・張 文利・徐 旭・関根 福太郎

 ディジタル化された放送は, 高度なサービス提供の可能性を持っている. 本研究では, 放送映像の構造化フレームワークとそれに基づく放送用ハイパーメディアアーキテクチャ, 更には映像認識手段との複合による高度な対話性等を具備したマルチメディア時代のディジタル放送サービス提供技術の開発を行なっている.

 本年度は, ネットワーク上での参加型の情報収集と認識技術とに基づく高度な対話性を実現するシステムを創案し, 実世界の映像を対象にしてプロトタイプシステムを開発, 汎用システムとしての発展を企っている.

7. ITSにおける安全性確保の研究

教授 坂内 正夫・池内 克史, 大学院学生 上條 俊介・松下 康之・西田 恒俊

 次世代道路交通システムのターゲットとして重要な安全性の向上のために, 映像による事故検出・認識手法の開発を行っている. 合わせて, 東京駿河台下交差点のリアルタイム映像を24時間取得するシステムを構成して評価実験を行っている. 本年度は, 交通事象データベースの形成を行うと共に, 隠れマルコフ手法による事故検出方式の評価, 24時間・365日の状況に対応できる処理手法のロバスト化, 各種事象の認識手法の開発を行った. 更に, 耐オクルージョン性の高いトラッキング方式を開発した.

8. 目的指向メタサーチエンジンの開発

教授 坂内 正夫, 大学院学生 荻野 調, 外国人博士研究員 N. G. Chong

 利用者の目的に合わせて, YahooやAlta Vista等の商用サーチエンジンの検索機能をつなぎ合わせる形のルールを用いて, より利用者の満足が得られる目的指向, メタサーチエンジンの開発を行っている.

 更に, その具体的「応用目的」として, 国連大向きのVirtual University機能の実現のための研究を推進している.

9. 概念情報工学の研究(継続)

教授 喜連川 優・坂内 正夫, 助教授 瀬崎 薫・佐藤 洋一

客員教授 生駒 俊明

 映像などのマルチメディアが持つデータ, 意味, 意図, 論理, 感性などのいわばより突っ込んだ情報を「概念情報」として統一的に定式化し, 処理する方法論と, それに基づく高度なマルチメディアシステムの開発の研究を行なっている. より具体的にはデータモデル抽出, 管理, 応用手法, インタフェースのあり方などの概念データベースの研究, その処理を可能とする超高速な概念処理アーキテクチャの研究, 及びデバイスとしての実現を行なう概念エレクトロニクスの研究を有機的に統合している.

10. 分散共有メモリ並列コンピュータによるデータベース処理(継続)

教授 喜連川 優, 助手 中野 美由紀

 近年, 次世代並列マシンアーキテクチャとして分散共有メモリマシンが注目されている. 本研究ではCC-NUMAを対象として, データベース処理の適合性に関し考察を行っている. とりわけ分散を意識しないことから派生するペナルティに関し分散共有並列コンピュータSPP-1600 4ノード(8プロセッサ/ノード)上で実装すると共に, ペナルティを削除する種々の方式を提案し,シミュレーションにより大規模システムに於ける振る舞いについて検討した. 本年度は多くの台数システムにおけるより詳細な性能推定を行なった.

11. ファイバチャネル結合型大規模パソコンクラスタによる並列データベース・マイニングサーバの研究(継続)

教授 喜連川 優, 博士研究員 小口 正人, 大学院学生 安井 隆宏

 100台のPentium Proマイクロプロセッサを用いたデスクトップパーソナルコンピュータをATMネットワークにより結合した大規模PCクラスタを構築した. パソコン用マイクロプロセッサの性能向上はワークステーション用RISCに匹敵するに到っており, 且つ大幅な低価格化が進んでいる. 本研究ではコモディティのみを利用した超廉価型PCクラスタを用い大規模データマイニング処理を実装し, 大きな価格性能比の向上を達成した. 本年は他のPCから未利用メモリを動的に確保する手法に関し, 種々の手法を実装しその特性を詳細に評価をすすめた.

12. NOAA衛星画像データベースシステムの構築(継続)

教授 喜連川 優, 助手 根本 利弘

 リモートセンシング画像等の巨大画像の蓄積には巨大なアーカイブスペースが不可欠である. 本研究では, 2テラバイトの超大容量8mmテープロボテックスならびに100テラバイトのテープロボテックスを用いた3次記憶系の構成と, それに基づく衛星画像データベースシステムの構築法に関する研究を行なっている. 本年度は, D3から9840なる新たなメディアに変更すると伴に試験的に階層記憶システムの運用を開始しその問題点を明らかにした. 又, 従来データのローディングを継続的に行った.

13. スケーラブルアーカイバの研究(継続)

教授 喜連川 優, 助手 根本 利弘

 現在, 大容量アーカイブシステムは, 導入時にその構成がほぼ静的に決定され, 柔軟性が必ずしも高くない. 本研究では, 8mmテープを利用し, 比較的小規模なコモディティロボテックスをエレメントアーカイバとし, それらを多数台並置することで任意の規模に拡張可能なスケーラブルアーカイバの構成法について研究を進めている. 本年度は9840に代表される最近の新しいテープ装置のパラメータを想定しリプリケーション手法に関しシミュレーションを行いその有効性を確認した.

14. 並列IRシステムに関する研究(新規)

教授 喜連川 優, 大学院学生 合田 和生

 ベクトルスペース法による情報検索処理を取り上げ高並列関係データベースシステムにより大幅な性能の向上を試みた. 24台のPCクラスタ上にシステムを実装し高い台数効果を達成した.

15. 並列データマイニングの研究(継続)

教授 喜連川 優, 大学院学生 Iko Pramudiono, 受託研究員 吉澤 剛士

 大容量ログデータベースを対象とし, そこから有益なルールを抽出しようとするデータマイニングなる研究が開発されつつある. データマイニングは全データベースを繰り返し走査する為その処理時間は莫大なものとなることから, 本研究では, その並列化を試みている. 概念階層を有するデータに対するマイニング手法に関して検討を進めた. 本年度はSQLによるマイニングの並列化を試みた. SQL記述を行った場合にはセルフジョインが多発することから独自の最適化を試みた. 更にIBM DB2なる商用データベースシステムを利用し, 専用データマイニングシステムに比べてSQL実装の方が高速であることを示した.

16. データベース応用に於ける動的負荷分散処理方式の研究(継続)

教授 喜連川 優, 大学院学生 安井 隆宏

 データベースの巨大化に伴い, 並列処理による性能向上が試みられているが, 未だ並列化効率の検討は殆どなされていない. データベース処理には, データスキュー, プロダクトスキュー, ディストリビューションスキューなどの種々の負荷変動の要因が考えられ, 静的なコンパイルだけで対処することは不可能であることから本研究では実行時負荷分散アルゴリズムの研究を試みる. 本年度はファイバチャネル型PCクラスタシステムに対する動的負荷分散処理手法について検討を進めた.

17. 投機的トランザクション実行機(継続)

教授 喜連川 優, リサーチアソシエイト P. Krishna Reddy

 2 phase Commitによる並行制御機構に対し, 投機機構を導入することにより分散環境に於けるコーディネーションフェーズのオーバヘッドを隠蔽する手法について提案すると共に, シミュレーションによりその有効性を定量的に明らかにした. 本年度はトランザクションの有限投機化についてアルゴリズムの拡張を進めすと同時に, シミュレーションにより有効性を確認した.

18. デジタルアースビジュアリゼーション(継続)

教授 喜連川 優, 大学院学生 生駒 栄司

 種々の地球環境データを統合的に管理すると共に, 多元的な解析の利便を図るべくVRMLを用いた可視化システムを構築した. 時間的変化を視覚的に与えることにより, 大幅に理解が容易となると共に柔軟な操作が可能となり, ユーザに公開しつつある. 本年度はバーチャルリアリティシアターを用いた大規模視覚化実験を進めた.

19. 並列GISの研究(継続)

教授 喜連川 優, リサーチアソシエイト Lawrence Mutenda

 大規模GISの高性能化を目指し, GISデータベースのデクラスタリングならびにGIS操作の並列処理機構について研究を開始し, 本年度はSP-2なるIBM並列マシン上で基本オペレータの並列化を試みた.

20. モバイルトランザクションの研究(新規)

教授 喜連川 優, 博士研究員 Sangkeun Lee

 モバイル環境下ではキャッシュの利用が性能に大きく影響することから本研究では, ビットべクトルを用いた新しい端末へのプリフェッチ手法を提案し, シミュレーションと解析的手法により有効性を明らかにした.

21. バッチ問合せ処理の最適化に関する研究(新規)

教授 喜連川 優, 大学院学生 石井 賢治

 複数の問合せの処理性能を大幅に向上させるI/O共用に基づく新しい手法を提案すると共に, シミュレーションならびに実機上での実装により有効性を明かにした.

22. Webマイニングの研究(新規)

教授 喜連川 優, 大学院学生 Iko Pramudiono

 WWWのアクセスログ情報を多く蓄積されていることから, WWWログ情報を詳細に解析することにより, ユーザのアクセス傾向, 時間シーケンスによるアクセス頻度などにおける特有のアクセスパターンの抽出を目的としたマイニング手法の開発を試みた.

23. サーチエンジン結果のクラスタリング(新規)

教授 喜連川 優, リサーチアソシエイト Yitong Wang

 サーチエンジンは極めて多くのURLをそのサーチ結果として戻すことから, その利便性は著しく低いことが指摘されている. ここではインリンク, アウトリンクを用いた結果のクラスタリングによりその質の向上を試みる.

24. 分散インデクスシステムにおけるヒートバランスに関する研究(新規)

教授 喜連川 優, 大学院学生 Hisham Feelifl

 クラスタ化インデクスを多数ノードから構成されるデータベースシステムに適応する際, ノード間のアクセス頻度を均等化させることが性能上重要な課題となる. 本研究では, ヒートバランスに関する種々の方式を提案すると共に, シミュレーションを通じ, その有効性を確認した.

25. 分散共有環境

助教授 瀬崎 薫, 大学院学生 有本 勇

 Shared Virtual Enviroment(SVE)やNetworked Virtual Environment(NVR)とも呼ばれる分散共有環境構築の際には, スケーラビリティの確保, ネットワーク遅延, パケット欠落に対する補償法, ユーザレベルでの品質確保, サーバ配置方法など総合的な検討が必要となる. 本年度はSVEにおけるユーザレベル品質を多様な前提条件の元で測定すると共に, 品質保持のための各種手法について検討した.

26. 触覚情報伝送の研究

助教授 瀬崎 薫, 大学院学生 飯島 光晴

 画像・音声といった旧来型ストリームメディアについては, 符号化等の技術がほぼ確立されているが, 触覚情報については固有の扱いが必要となるため, 従来技術を流用することは不可能である. 本年度は基礎的検討のため, 触覚を符号化する際に必要となるサンプリングレート, 量子化ビット数等についての検討を行った他, 帯域圧縮やデータロスに対する対処法についての検討を行った.

27. ロケーションアウエアサービスの研究

助教授 瀬崎 薫, 大学院学生 山崎 浩輔

 インターネットにおいては従来, アドレスは論理的な位置情報でしかなかったが, GPS等のpositioning技法との連携を行うことにより, ユーザの物理的・空間的位置に対応したサービスの提供とこれをサポートするためのロケーションアウエアルーチングが行える可能性が指摘されている. このような観点から, ロケーションアウエアサービスの検討と関連ネットワーク技術の研究を総合的に行っている. 本年度は基礎的検討として, 3次元物理空間に対応したロケーションアウエアルーティング手法を開発した.

28. WDMネットワークプラニング

助教授 瀬崎 薫, 大学院学生 徐 蘇鋼

 WDM技術の進展と共にネットワークプラニングにも今までもと異なった新しい技法が求められている. 今年度は, 効率的な動的波長割り当ての方法を提案すると共にIP over WDMなど上位プロトコルとWDMの連携技法についての検討を行った.

29. 高能率符号化に関する研究

助教授 瀬崎 薫, 助手 小松 邦紀, 協力研究員 加藤 茂夫・木本 伊彦

 高能率画像符号化に関する研究を従来にひき続いて行っている. 今年度は, JPEGやMPEGとの互換性を有するのでロスレス・ロッシー統一符号化において重要な役割を果たすと期待されているロスレスDCTについて主に研究を行った. 乗算なし4点ロスレスアダマール変換に基づいた2次元ロスレスDCTを設計し, ロスレスDCTを構成するラダー回路の丸め器数が1次元ロスレスDCTを用いた場合よりも小さくなり, ロッシーDCTとの互換性が高くなることを示した.

30. 遅延予測とメディア同期

助教授 瀬崎 薫, 大学院学生 黄 楽平

 効率的なメディア同期を行うためには, 正確な遅延予測が行えることが望ましい. このような観点から, 様々な環境におけるインターネットの遅延測定を行うと共にこれを利用した遅延予測技術の開発を行っている. 本年度は, Phase Plot法により各クライアント間のクロックスキューを吸収すると共に, 遅延の構造的要因を同定する手法を開発し, これを遅延予測アルゴリズムに応用することに成功した.

31. 次世代ノードシステムの研究

助教授 瀬崎 薫

 ノードシステムについて継続的に研究を行っている. 本年度は光スイッチングを前提としてIPレイヤと光レイヤの連携について検討を行った.

32. 実在メディアと電子メディアの連携にもとづく透明なインターフェースの実現

助教授 佐藤 洋一, 助教授(電気通信大)小池 英樹

 ユビキタス・コンピューティング環境においてユーザが意識することなく利用できる透明なインターフェースを実現するためには, 実世界環境と電子メディアの連携を重視したパラダイムにもとづくインタラクションへのシフトが重要となる. 本研究では, マルチメディアコンテンツなどの電子メディアと書類などの実在メディアとの連携に着目し, 拡張机型インターフェースによる透明なインターフェースの実現を目指す. 具体的には, 実世界に埋め込まれたセンサ群からの情報にもとづくユーザの行動およびその意図の理解, 実世界におけるさまざまな事象の認識, ユーザの知覚と行動の動的相互作用に関するモデルの獲得, などの面において研究をすすめる.

33. 机上におけるユーザの指先位置の実時間追跡とジェスチャ認識

助教授 佐藤 洋一, 助教授(電気通信大)小池 英樹, 大学院学生 岡 兼司

 GUIに代表される従来型のヒューマンコンピュータインターフェースの枠組みを超えた形態として, 実時間志向型インターフェースの実現を目指している. このようなインターフェース形態を可能とするには, 実空間内におけるユーザの動作をリアルタイムで計測することが必要不可欠となる. 特に本研究題目では, 赤外線カメラおよびに画像処理ハードウェアを利用し, 机上で作業を進めているユーザの両手指先位置をリアルタイムで安定にトラッキングするための技術を開発している. また得られる複数指先の軌跡からさまざまなジェスチャを安定に認識するための手法を実現する.

34. ステレオ画像処理によるユーザ視線方向の実時間計測とそのユーザインターフェースへの応用

助教授 佐藤 洋一, 助教授(電気通信大)小池 英樹

研究実習生 北島 光太郎・藤井 崇志

 自然なヒューマン・コンピュータ・インタラクションを実現するためには, システムがユーザの行動や意図を理解することが重要となる. 本研究では特にユーザの視線情報に着目し, ステレオ画像処理により特別なマーカなどを利用することなくユーザの頭部3次元位置・姿勢を実時間で計測する手法を実現する. また, ウインドウインターフェースへの利用を例としてユーザの視線情報の具体的な利用方法を提案し, ユーザ実験によりその有効性を評価する.

35. 実世界指向インターフェースにおける対話的物体登録・認識手法

助教授 佐藤 洋一, 助教授(電気通信大)小池 英樹, 研究実習生 西 高宏

 実在物体を電子メディアとの連携を重視したヒューマン・コンピュータ・インタラクションにおいては, いかにしてシステムが実在物体を認識するかという点が重要となる. しかしながら, 従来のシステムにおいては特別に設計されたバーコードなどのマーカなどを物体に付与することによりその物体を認識していたため, 自由に登録物体を追加することができないなどの問題があった. そこで本研究では, ユーザがジェスチャにより自由に物体を登録・認識することを可能とする対話的物体登録・認識手法を提案しその有効性を評価する.

36. 多視点画像解析による手の3次元空間内位置姿勢およびに手形状の実時間計測

助教授 佐藤 洋一, 助教授(電気通信大)小池 英樹

 GUIに代表される従来型のヒューマンコンピュータインターフェースの枠組みを超えた形態として, 実時間志向型インターフェースの実現を目指している. このようなインターフェース形態を可能とするには, 実空間内におけるユーザの動作をリアルタイムで計測することが必要不可欠となる. 特に本研究題目では, 多視点画像を実時間処理することにより, ユーザの手の3次元空間内位置姿勢およびに手形状をリアルタイムで計測するための技術を開発している.

37. 複合現実感生成のためのコンピュータビジョンの応用

教授 池内 克史, 助教授 佐藤 洋一

 実在する3次元空間と計算機内に電子的に構築された仮想空間を, 違和感無く融合するための技術は複合現実感技術と呼ばれ, 実空間そのものを高度に情報化するものとして広く注目を集めている. これはいわば実在世界を電子的に加工する技術であり, 高品質な融合を実現するためには, 実在空間を認識することが必要不可欠である. 本研究では, コンピュータビジョン技術により実空間の幾何的・光学的環境を自動的認識することで, 実空間と仮想空間の高精度な融合を実現することを目指している.

38. 反射物理モデルにもとづく透明物体表面形状測定手法の開発

教授 池内 克史, 助教授 佐藤 洋一

 物体の表面形状を非接触で測定する方法としては光学的なものが幾つか実用化されている. しかし, 自然光等のインコヒーレント光を用いた簡便で正確な測定法が存在しない. そこで本研究では, 物体表面上のハイライトとして観察される鏡面反射成分の偏光状態を解析することにより, 透明物体の表面形状を非接触で計測する手法を提案した. 特に, 球面状の面光源を利用することで, 物体表面全体を計測することが可能となり, 通常のCCDカメラからの画像では確認が非常に困難であるような微細な傷などの欠陥も検出できることを確認した.

39. 物体表面反射光の時系列変化の解析およびにCG画像合成

教授 池内 克史, 助教授 佐藤 洋一

 実物体表面反射光の時系列変化を解析することにより, CGとして合成する物体の時間的な変化を表現する技術を開発している. 具体的には, 対象とする物体表面の分光反射率の時間変化に対し, 主成分解析・色素に対する重回帰分析などを用いることにより, その時間変化を表現するモデル式を求める. このようにして求められた分光反射率の時間変化のモデル式に基づき, 任意時間における物体のCG画像を合成することを可能とする.


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