VI. 研究および発表論文


1. 研究課題とその概要
計測技術開発センター

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第49号 2000年度
2001.8.23


1. 光合成反応中心の分子構築解明

教授 渡辺 正, 大学院学生 仲村 亮正・赤井 元彦・多木 崇

 クロロフィル類を始めとする光合成機能分子のほとんどを短時間で分離・高感度検出できるHPLC条件を確立し, これを用いて機能分子の精密計測を行った. ホウレンソウおよび好熱性ラン藻 Synechosystis elongatus ではほぼすべての試料でクロロフィルa'/P700=1のストイキオメトリーが判明した. 緑藻 Chlamydomonas reinhardtii では, 一次電子受容体が通常の藻類に見られるフィロキノンではなく, より極性の高いキノン類であることが見出された.

2. クロロフィルの分子物性

教授 渡辺 正, 助手・特別研究員 吉田 章一郎, 大学院学生 松井 淳

 光合成系I反応中心の実体に迫ることを目的に, クロロフィル類の立体化学と会合性, および会合体の分子物性を検討した. 具体的には, クロロフィル分子のC142位をエチレングリコールなどのジオールで連結した二分子体の合成と会合挙動を調べ, C132位の立体化学が会合挙動に大きな影響をすることを確認した.

3. 導電性ポリマー超薄膜を用いるバイオセンサー

教授 渡辺 正, 助手・特別研究員 吉田 章一郎

大学院学生 サイピン・タナッチャサイ

 ピロールと酵素(ペルオキシダーゼなど)をともに溶解させた電解液を電解酸化することにより, ポリピロール超薄膜に数分子層の酵素を包括した酵素センサーが作成できる. センサーの感度と経時安定性を左右する酵素の包括量の定量手法を検討し, 薄層セルを用いる手法の有望性を確認した.

4. バクテリオロドプシンの光電気化学

教授 渡辺 正, 大学院学生 立松 功二・奴賀 孝彦

 バクテリオロドプシン(bR)被覆電極の光電応答は, 光励起に際して出入りするプロトンが表面水酸基の解離平衡をシフトさせて生まれると推定される. これを確認するため, 酸化物電極表面を一連のシラン化剤で処理し, 水酸基をつぶしたところ, 上記の推定に合う応答低下が確認された. また, bRの有する金属イオン(Ca2+, Mg2+)を他の金属イオンに置換した結果, 暗順応速度や光電流応答のpH依存性などに顕著な変化が見られた.

5. 超純水製造用イオン交換不織布の作用メカニズム

教授 渡辺 正, 助手・特別研究員 吉田 章一郎, 大学院学生 梁 遒

 カチオン交換膜とアニオン交換膜で仕切った脱塩室に, 両イオンの交換基を有するイオン交換不織布を充填すると, 再生処理不要の脱塩システムができる. 不織布の作用メカニズム解明を目的に, 電流−電位曲線および界面のpH変化を詳細に検討した結果, 不織布とイオン交換膜の界面に発生した強電場が水分子の電離を促進し, 生じる水素イオンと水酸化物イオンがイオン交換基を再生するものと結論できた.

6. 音場の数値解析に関する研究

講師 坂本 慎一, 教授 橘 秀樹, 研究員 矢野 博夫・田近 輝俊

大学院学生 横田 考俊

 各種の空間における音響・振動現象を対象とした数値解析手法の開発を目的として, 有限要素法, 境界要素法, 差分法等に基づく研究を進めている. 本年度は, 室内音響問題への応用として, 差分法によるホールのインパルス応答の計算手法に関する検討, 境界要素法および有限差分法を用いた壁面拡散体・不連続音響反射板の音響特性に関する検討, 差分法を用いた防音塀の減音効果に関する検討, 掘割・半地下構造道路などにおける騒音伝搬の解析を行った.

7. 建築物内外音場の数値シミュレーションに基づく可視化・可聴化技術に関する研究

講師 坂本 慎一, 教授 橘 秀樹, 研究員 田近 輝俊

大学院学生 横田 考俊・伊藤 清之

 建築音響・騒音制御の分野における各種音場制御手法の効果を的確に表示・把握するために, 数値シミュレーションに基づく音場の可視化・可聴化技術に関する研究を行っている. 今年度は, 数値解析結果に基づく多次元音場シミュレーションシステムの開発とシステムにおける方向情報の再現性に関する物理的および心理的検討を行った. また, 騒音制御問題に対する応用として, 各種形状の防音塀および掘割・半地下構造からの騒音放射を可視化し, 併せて騒音制御効果に関する定量的な検討を行った.


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