II. 研究活動


2. 研究活動の経過

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第49号 2000年度
2001.8.23


 技術の進歩と時代の要請にあわせて研究領域を柔軟に発展させていくために研究部門制とともに研究室制, 専門分野制を併用して活動しているが, その内容については, 折あるごとにチェック・アンド・レビューを行っている. 専門分野については毎年かなりの数の改訂が行われている. 各個研究については後述の研究部・センターの各研究室における研究の章を参照されたい.

共同研究の経緯

 本所の特色たる共同研究が大きく育っていった例としては, 古くは観測ロケットの研究がある. 昭和39年宇宙航空研究所が創立されて移管されるまで, 多数の研究者が参加しており, 一部は現在も積極的に協力している.

 一方, 昭和40年代の高度経済成長はそのネガティブな側面として公害をもたらし, 深刻な社会問題として論議されるようになったが, 本所は, いち早く文部省の臨時事業により大型のプロジェクト研究として「都市における災害・公害の防除に関する研究」を昭和46年度から3カ年にわたって行い, その成果を基にさらに昭和49年度から3カ年「災害・公害からの都市機能の防護とその最適化に関する研究」を行い, 環境および耐震問題の解決に貢献してきた.

 昭和50年代の石油危機を契機として省資源・省エネルギーの必要性が社会的に認識されてきたことを受けて, 昭和53年度から3カ年には特定研究「省資源のための新しい生産技術の開発」に関する研究を行い, 未利用資源の開発と有効利用に関する生産技術および研究を推進してきた.

研究センターと共同研究グループ

 以上の歩みにあわせて環境計画のために, 「計測技術開発センター」が, 新材料研究のために「複合材料技術センター」が, さらには学際的な画像処理技術の研究開発のために「多次元画像情報処理センター」が設置され, それぞれの分野で所内のみならず広く国内での研究活動の中核としての役割を果たしてきた. 「多次元画像情報処理センター」は7年の時限の到来のため昭和58年度で廃止されたが, 代わって「機能エレクトロニクス研究センター」が設置されて活動を行った. さらに, 平成6年度より「概念情報工学研究センター」が発足した. 「複合材料技術センター」も10年の時限の到来のため昭和59年度で廃止されたが, 代わって昭和60年4月「先端素材開発研究センター」が新設された. 本センターは, 平成7年度に廃止され, 代わって平成8年4月「材料界面マイクロ工学研究センター」が発足した. また, 平成3年には「国際災害軽減工学研究センター」, 平成11年には「海中工学研究センター」が開設された. 寄付研究部門としては「インフォメーションフュージョン(リコー)」(平成元年〜3年度), インテリジェント・メカトロニクス(東芝)」, 「グローブ・エンジニアリング(トヨタ)」(いずれも平成3年〜6年度)の3部門の開設をみている.

 自主的に編成された研究グループの例としては昭和42年から発足した「耐震構造学研究グループ」(ERS)がある. これは, 土木・建築・機械の分野における耐震工学の促進と情報交換とを目的とするもので, 現在11研究室約40名のメンバーが参加している. これに関連して大型振動台, 耐力壁, 高速振動台など各種構造物の破壊現象を再現するための大型研究設備が千葉実験所に次々と建設されてきた. さらに昭和56年から「自然地震による地盤・構造物系の応答および破壊機構に関する研究」がプロジェクト研究として開始され, 2次元振動台を中心とする地震応答実験棟および震度IV程度で損傷が生じるような構造物の弱小モデルと超高密度地震計アレーを中心とする地震応答観測システムが建設され, 千葉実験所は世界にも類がない総合的な耐震関係施設を擁するようになった.

最近の共同研究

 昭和57年からは「人工衛星による広域多重情報収集解析に関する研究」のプロジェクト研究も発足し, 主として気象衛星データの直接取得により, 適時適所のデータの学術利用を広く学内外に可能にするための研究開発にあわせて観測ブイや新型潜水艇など海洋観測システムの研究開発が行われている.

 さらに昭和59年からは「ヘテロ電子材料とその機能デバイスの応用に関する研究」が開始され, ヘテロ構造・超格子構造等の新しい電子材料およびデバイスの性質と機能とを解明し, その応用を展開している.

 また昭和61年からは「コンクリート構造物劣化診断に関する研究」が発足し, 最近社会的にも関心を呼んでいる塩分腐蝕, アルカリ骨材反応などについて, かねてから積み上げてきた基礎研究の実用化をはかることとなった. さらに本所の研究者が民間の研究者と共同で「Computational Engineeringの研究開発」を行うため, 民間等との共同研究による制度にのっとり, スーパーコンピュータ(FACOMVP-100)が本所電子計算機室内に設置され稼動を開始した. 特に, 乱流工学の分野での研究のための「NST研究グループ」が組織され, この方面の研究が飛躍的に進展している.

 平成4年度からは, 「知的マイクロメカトロニクス研究設備」の充実を行い, 半導体技術や極限微細加工によりミクロの世界の機械(マイクロマシン)を作る研究を推進している. 超小型の機械とコンピュータやセンサを融合し, 賢いマイクロマシンの実現を目指している. また, 平成6年度からは, 「地球環境工学研究設備」の充実を行うとともに, 「メソスコピックエレクトロニクスに関する国際共同研究」が5年計画で開始された.

 これらをステップに現在は, 学振未来開拓型研究など, いわゆる大型の競争的共同研究が17件実施される状況にある.

国 際 化

 研究活動の国際化にも力を注ぎ, 特に耐震やリモートセンシングの分野では国際共同研究が行われている. 昭和59年度から江崎玲於奈博士を, また昭和62年度からは猪瀬博博士を研究顧問に迎え, 工学における創造的研究のあり方や国際協力推進についてご助言をいただいてきた. 外国人研究者・研究生・留学生の受け入れも活発に行われ, 本年度の滞在者は34ケ国, 221名に達している. また, (財)生産技術研究奨励会と共同して, 本所独自の国際シンポジウムを年間数回開催しており, 著名な外国人招待講演者を含む多数の参加がある. また, (財)生産技術研究奨励会の協力により来訪した外国人学者の講演会も多数行い, 交流の実をあげている.

 外国の諸大学・研究機関との研究協力は活発に行われている. すなわち, 従来すでに締結されている, 大連理工大学(中国), ヴェスプレム大学(ハンガリー), バンドン工科大学(インドネシア), インペリアルカレッジ(英国), シンガポール大学工学部(シンガポール), マドリッド工科大学(スペイン), カイロ大学工学部(エジプト), フランス国立科学研究センター〔CNRS〕(フランス), 釜山大学校機械技術研究所(韓国), 蘭州大学材料科学技術研究所(中国), サウザンプトン大学理工学部(英国), ワシントン大学工学部(米国), ハワイ大学マノア校工学部(米国), 国際連合大学高等研究所(国連)に加え平成10年度には国立中正大学工学部(台湾)と覚え書きをかわし, モナシュ大学情報工学部(オーストラリア)との新たな協定がスタートした. さまざまな分野で共同研究が開始し, さらに多くの大学との研究協力が予定されている. この中, CNRSとの協定は, 「インテリジェント・マイクロメカトロニクス・システム」に関する大規模な共同研究〔LIMMS〕であり, 所内に平成6年度よりCNRSの実験室も置かれ, (財)日本学術振興会の協力を得て活発に活動を続け, 常時約10名のフランスからの研究者が本所に滞在する状況である. この活動は, 平成12年度からは, マイクロメカトロニクス国際研究センターとして発展している.


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