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Physical Agent in Intelligent Space
Joo-Ho LEE・Hideki HASHIMOTO
本論文ではインテリジェント移動プラットフォームを構築する新たな概念を提案する。また、未来の空間になると予想される、人間を含む移動体等を認識、サポートするインテリジェント・スペースに適合した移動システムのアーキテクチャを提案する。インテリジェント・スペースはセンサ、ネットワーク、コンピュータ等が有機的に結合され、空間中に分散配置されることにより空間内で生じるイベントの検出が可能な空間である。移動システムはインテリジェント・スペースの中でイベントに対して物理的な支援を行うため使われる。本論文で提案している内容は実験結果でその妥当性を示している。
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パプティックインターフェイスを用いた微細作業支援システム
安藤慶昭・太田昌宏・権田晃平・尹 康燮・橋本秀紀
本稿では, マイクロロボットの製作や微細部品の加工・検査を目的とした微細作業支援システムの開発について, 第一段階としてのマスタ・スレーブ・マニピュレータの運動学解析, 制御およびこれらをネットワークを通して接続したテレオペレーション実験について述べる.本研究で開発した微細作業支援システムは, 人間の指の入り込めないほど微細な環境で人間の作業の能力を越えた繊細な作業を行う際に用いる, 人間の手先を負のスケールに拡張するツールである.
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Recognition of Human Behaviour using Stereo Vision and Data Gloves
Koichi OGAWARA・Soshi IBA・Tomikazu TANUKI・Yoshihiro SATO・Akira SAEGUSA・Hiroshi KIMURA・Katsushi IKEUCHI
注視点(Attention Point: AP)解析(以下 AP 解析)による人間行動モデルの構築法について述べる.AP 解析は2段階から成り,最初の段階では人間の行動を大まかに観察し,一連の行動の中からより詳しい解析を必要とする注視点(AP)を発見する.第2段階では,同じ人間行動を再度観察し,今度は先程発見した注視点(AP)付近についてのみ時間をかけた重点的な解析を行う.こうすることで効率的に人間行動をモデル化することが可能となる.また本人間行動モデルは高度に抽象化されており、その抽象度を環境に応じて変化させることができるため,異なる環境への適用性が高い.本稿では,データグローブと9眼ステレオビジョンを用いた AP 解析手法及び人間行動モデルの構築法について述べる.また実ロボットを用いた人間行動の認識及び異なる環境における再現実験を行うことで,本人間行動モデルの適用性の検証を行った結果について述べる.
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Obtaining Manipulation Skills from Observation
Jun TAKAMATSU・Hirohisa TOMINAGA・Koichi OGAWARA・Hiroshi KIMURA・Katsushi IKEUCHI
ロボットプログラムの作成には、多大な労力と時間がかかる。これを簡単化す
るため、アセンブリプランフロムオブザベーション(APO)と呼ばれるシステム
を開発している。このシステムは人間の組立動作を観察、認識し、同じ組立動
作を行うロボットプログラムを作成する能力を持つ。
APOシステムでは、ロボットハンドの動かしかたを作成する必要がある。前シ
ステムでは、人の動作をそのままロボットハンドの動作に変換していた。この
方法は簡単であるが、様々な誤差に弱いという欠点があった。この論文では、
接触状態の分析を行うことによりマニピュレーションスキルという考え方を用
いて、システムをよりノイズに強くする方法について述べる。
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非ホロノミック超柔軟マニピュレータ
鈴木高宏
本稿はロボットや制御において近年注目を集めている二つの分野について解説している.非ホロノミック系は,拘束条件の不可積分性から来る性質として,系が持つモータの数より多くの自由度を制御できる可能性を持つシステムである.また,柔軟ロボットシステムは,ロボットの力学構造自体に柔軟性を導入することにより,従来にない新たな機能を持ち得る機構を開発しようというものである.ここで紹介する超柔軟マニピュレータは,従来の柔軟マニピュレータが弾性を仮定していたのに対し,弾性を持たない系を提案している.この超柔軟マニピュレータは,二階非ホロノミック系として知られている自由関節マニピュレータにおいて,関節に粘性(摩擦)を考慮したものをモデルとして考えることができる.ここでは,その制御法の一例を紹介している.
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自律型海中ロボット“Tri-Dog1”の設計とミッション
近藤逸人・浦 環・能勢義昭
水流や未知の障害物など予測が難しい環境下で行動する自律型海中ロボットの開発では,現場での実験に基づく研究開発が重要となる.筆者らは実用機と同レベル以上の機能を持つテストベッド,"Tri-Dog 1"を完成させた.本報ではその設計と仕様およびミッションについて報告する.特徴として,ドップラ式流速計とRTK-GPSを搭載し,より複雑なミッションをおこなうために不可欠の要素であるポジショニングの性能を飛躍的に向上させた.計算機は上位,下位レベル制御,画像処理の3つのコンピュータを搭載し,イーサネットによるネットワーク構成とした.6つのスラスタにより5自由度の運動が可能である.
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水中ランドマークを利用した水中ロボットの航法制御
柳 善鉄・浦 環・藤井輝夫
従来の推測航法よる水中ロボットの航行は時間の経過に従った距離誤差が蓄積されて問題を生じた。著者等は水中ランドマークを利用して推測航法の距離誤差を補正する方法を提案する。水中ランドマークはエネルギー消費もなく、経済的で広い通用性を持っている。水中ランドマークを利用した具体的なミッションと活用方法などについて述べる。
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TRIP効果のある鋼を利用した最大ひずみセンサの研究
―第1報:ステンレス鋼を用いた場合のセンサ特性―
大堀真敬・藤田隆史・大開 実
構造物の健全性をモニタするシステムを構築する目的で、ある種の炭素鋼が有するTRIP効果を利用した最大ひずみ記憶センサの開発を試みた。本報告ではSUS304のステンレス鋼を対象にその特性について調べ、システムへの利用の可能性について検討した。ひずみの検出は試料に巻いたコイルで透磁率の変化で行えることを単軸引張り試験で示した。また、3点曲げ試験機を製作し定振幅波形繰返し曲げと減衰振幅波形繰返し曲げにより最大ひずみとの関係を調べ、最大ひずみ検出の可能性について示した。
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平板型ラチス構造物の伝播特性に関する研究
劉 鵬・西田明美・川口健一
本研究は単層ラチス構造試験体のインパクトハンマーによる打撃実験を通して、離散構造物の波動伝播性状に対する基礎資料を求めることを目的とする。本実験に先立ち、試験体の境界部固定方法を検討するために同材料で固定端の固定度が異なる3種類の片持ち梁試験体を作製し、予備実験としてインパクトハンマーによる横衝撃実験を行った。実験結果より、万力で固定する場合、固有振動数にはほとんど差がないことが確認された。また、本実験として平板型ラチス構造試験体の横衝撃実験を行った。実験結果より、初期応答性状の局所剛性依存性、伝播性状の境界条件依存性、周波数特性の構成部材長依存性が確認された。