- 多光子共鳴イオン化法による水素分子の検出
馬込 保・福谷克之・岡野達雄 多光子共鳴イオン化(Resonance-enhanced multiphoton ionization: REMPI)装置の開発を行い、水素分子の回転状態分布を測定した。REMPIスペクトルから算出した水素分子の回転温度は275Kであり、回転状態分布が3%の誤差で検出することができた。測定限界は1×10-6Paであり、表面実験における単原子層以下の微量の水素分子に対してもこのREMPI装置が利用可能であると判明した。
- 回転楕円ミラー型電子分光器の開発
加藤 宏・岡野達雄 核共鳴X線により励起された内部転換電子放射の実験に用いる新しい電子分光器を開発し,その動作テストを行った.開発された電子分光器は,回転楕円ミラー型の阻止電場分光器と球面金網を用いたエネルギーフィルターを組み合わせたもので,広い立体角にわたる捕集効率を有するとともに飛行時間差による時間分布を最小に留めていることが特長である.製作された電子分光器の性能テストを試料位置に置いたアルミ線による散乱電子によって行い,基本的な収束性能が得られていることを確認した.
- 移動格子における一般座標系LESコードの検証
張 会来・小林敏雄・谷口伸行 エンジンシリンダーのような,移動境界を持つ複雑な形状を有する流れ場に対し て適用できる一般座標系を用いたLarge Eddy Simulation(LES)数値解析コードを作成 し,検証することである.著者らはより計算効率の高いLES手法に着目し.前報1) ,2)に報告した一般座標co-located格子系 LES数値解析コードにより,さらに移動 格子計算を加えて,移動格子(移動境界)チャネル乱流場を計算した結果を報告する ことである.その結果,十分実用可能な精度が得ることができた.
- 薄膜型セラミックス/高分子複合体サーミスタ
平野晋吾・岸本 昭 エポキシ樹脂及び針状導電性フィラーからなる複合導電性高分子薄膜の表面抵抗率の組成依存性及びPTCR特性について研究した。フィラー添加量約6vol%以上で、フィラーのパーコレーションによる導電性を示した。基板上に形成された複合膜は、12.8vol%のフィラー添加で約6桁の抵抗増大を伴う著しいPTCR特性を示した。基板から剥離させた複合膜において、同様にPTCR効果が観測されたが、PTCR転移温度は高温度側にシフトした。これらの結果について、複合膜の作製時に発生する残留内部応力に注目して考察を行った。
- 吹付けコンクリートの特性に関する基礎的研究(4)
各種配合要因の変化に伴う吹付けコンクリートのフレッシュ及びリバウンド特性
荒木昭俊・平間昭信・伊東良浩・西村次男・魚本健人 本報告では、各種配合要因を変化させた吹付けコンクリートによる吹付け実験を試み、その時のフレッシュ及びリバウンド特性を評価した。 その結果、コンクリートの配合要因を変化させることでリバウンド率は変化した。ただし、スランプ値を統一しても、水セメント比及び単位セメント量の変動によりコンクリートの粘性変化が認められ、圧送配管の脈動状態、ノズルからのダレ、及び急結材の混合状態に由来する吹付け性能と関連性がある。従って、本実験におけるリバウンド率には、吹付け性能の変動による影響も関与したと考えられる。