- 高アスペクト比マイクロ構造の制作法
藤田博之 半導体技術でミクロの機械構造を作るマイクロマシニング技術は、センサやマイクロマシンの製作法として注目され、近年急速に進歩している。本稿では特に立体的なマイクロ構造を作る方法を紹介する。構造の幅に対する高さの比(アスペクト比)が大きい構造は、X線や紫外線を用いた厚いレジストのリソグラフィ、そのレジストパターンの電気メッキによる複写、深い溝を異方的にエッチングする方法、シリコン薄膜を基板から分離して折り紙のように組み上げる方法、放電加工やビーム加工などの逐次加工などで作ることができる。
- シリコンインテグレーティッドオプティクス
エリックボノット・クリストフ ゴレキ・年吉 洋・藤田博之・川勝英樹 インテグレーティッドオプティクスの概観に続き、シリコンを用いた新しい光学素子の応用例や、マッハゼンダー干渉計で得られた結果について述べる。この干渉計にZnOのフィルムをつけることにより、光の変調を行い、ヘテロダイン光干渉計の実現が可能となる。
- 三次元微細キャビティの放電加工―微細金型の製作―
余祖元・増沢隆久・藤野正俊 微細金型も大型金型と同じようにいくつかの単純な形状から構成されている。微細放電加工で電極製作の困難さに対処するために,単純形状の電極を使用することが有効であるが,微細金型を製作するには特別な工具経路やいくつかの異なる形状の電極が必要となる。本研究では,WEDG法で製作された電極を用い,斜面を持つ十字キャビティとマイクロカーの金型の加工を例として,単純形状電極による微細金型の製作について報告する。
- シリコン基板の異方性エッチングによるマイクロコネクタ
年吉 洋・三田吉郎・小川 実・藤田博之 シリコンマシニング技術を用いて,高密度3次元のハイブリッド集積回路の組立技術を新たに開発した.IC チップの周辺部を異方性エッチングによりピン状に加工することで,直接メス側に差し込むタイプのコネクタとして利用した.コンタクト抵抗 0.2 Ω 以下,浮遊容量 50 pF が得られている.
- 走査型電子顕微鏡下でのナノメータオーダの3次元物体へのプロービング機構
福田智史・佐谷大輔・ミシェル ド ラバシエルリ・川勝英樹 最近では、走査型顕微鏡やナノファブリケーションに関する研究が盛んである。これらの研究では、ナノメータ精度の小型3次元位置決め装置が必要とされている。本速報では、ピエゾチューブとDCモータを用いた小型3次元位置決め装置を紹介する。本装置を走査電子顕微鏡内に取り付け、顕微鏡内に固定されたサンプルへのプローブの位置決め実験を行った。実験により本装置が十分な精度を持つことが確認された。また幾つかの問題点が発見され、これについても解決策と共に言及する。
- トンネル電流をを用いた変位検出の問題点
川勝英樹 トンネル電流は、トンネルギャップに対して非常に敏感であるため、微小な変位の計測に適している。さらに、トンネリングのためのターゲットの大きさは数ナノメータかそれ以下で良いため、微小な物体の変位計測手段として有望である。本報告では、ナノメートルオーダの機械振動子の振動検出と励起の予備実験として行った、走査型力顕微鏡用カンチレバーのトンネル電流による変位計測について述べる。
- 加熱により作成したナノメートルオーダの振動子の形状変化と機械特性
佐谷大輔・ミッシェル ド ラバシェルリ・ムサ ウマディ・川勝英樹ナノメートルオーダの機械振動子の作成方法と、その機械的特性の測定に関する研究を行っている。本速報では、走査型電子顕微鏡の試料台に載る走査型力・トンネル顕微鏡を用いて行った、鋭利な金属探針を加熱して得られる振動子の生成について報告する。若干の機械特性の測定結果についても言及する。
- ナノスケール科学技術における傾向:ナノカンチレバーの製作、発生力と局所的な弾性の測定
ムサ ウマディ・エチェンヌ ファルノー・藤田博之・増沢隆久
- ナノスケール科学技術における傾向:薄膜の機械的特性の測定
ムサ ウマディ・エチェンヌ ファルノー・藤田博之・増沢隆久
- 超電導磁気浮上を用いたマイクロ搬送アクチュエータの精密位置決め
飯塚哲彦・藤田博之 超電導磁気浮上を用いたマイクロ搬送アクチュエータの駆動原理と動作特性について述べる。このアクチュエータは,超電導体(Y-Ba-Cu-O),フレキシブル基板で作製したステータ電極 (線幅 : 70μm,ピッチ : 180μm, ),1mm角の4つの永久磁石からなるスライダの3つの要素からなる。この搬送アクチュエータは,磁気浮上により接触摩擦がないので,磨耗による減りや粉塵の発生がない。スライダの位置は,直線状に形成された電極に流れる電流によってコントロールされる。広い範囲は電極毎に切り替えるステップ駆動ですばやく搬送し,目標位置付近の狭い範囲はマイクロステップ駆動で連続的に精密に位置決めを行う。 2.8mmの距離を速度 280μm/sで搬送し,40μmの位置決め精度が得られた。
- アウターロータ型のねじ溝付きワブルモータ
サイ ポール・飯塚哲彦・藤田博之 ワブル回転をしながら軸方向の大きなリニア変位が得られるアウターロータ型のマイクロモータの駆動原理と実験結果について述べる。このワブルモータは,円筒形のロータの内側とワイヤ放電加工で形成したステータの外側にねじ溝が加工してあるので,ロータがねじのように軸方向に進む。軸方向の変位の大きさは,軸方向に長いロータを用いることにより,自由な動作範囲が得られる。電磁駆動によるアウターロータ型のねじ溝付きワブルモータを製作し,良好な結果が得られた。