- 一般曲線座標系における非圧縮性乱流数値解析に適した差分スキーム
−第1報, 一般座標変換を施した基礎方程式系の解析的保存特性−
−第2報,Staggered格子系における差分スキーム−
−第3報,Regular, Collocation格子系における差分スキーム-
小垣哲也・小林敏雄・谷口伸行 有限差分(体積)法により非圧縮性乱流を解析する際,基礎方程式の解析的保存特性が離散化式においても適切に近似されることが,高精度で安定な解を得るのに必要であることが森西(機論,62-604, B(1996), 4090)により示された,本研究では,座標変換した基礎方程式の解析的保存特性が,正規直交座標系における基礎方程式の解析的保存特性と同じであることを示し,森西により提案された等間隔正規直交座標系における適切な差分スキームを拡張するこにより,一般座標系における非圧縮性乱流数値解析に適した適切な差分スキームを構成する.
- ターボ過給ディーゼルエンジンの性能予測における熱損失の影響
顧茸蕾・西村勝彦・吉識晴夫 最も高い熱効率を持つ内燃機関のディーゼルエンジンでも、燃料の持っている有効エネルギーの約2/3を大気環境中に捨てており、そのエネルギーを有効に利用できれば、熱効率の更なる向上、排ガスの低減という効果を生じ、省エネルギーと良好な都市環境保全などの社会的要請を満たすことができる。その目的を達成するために、排気のエネルギーを有効に利用するターボ過給機が注目されている。当研究室のこれまでの研究はモータリングの実験データを用いて、エンジン吸排気系の一次元モデル化の妥当性を検証したが、実際のファイアリングの場合で熱損失の影響を詳しく検討する課題が残っていた。本研究はそれを目標として、吸排気管路に対してはチルトン・コルバーンのアナロジを用い、シリンダに対してはAnnandとWoschniの実験式を用い、ターボ過給ディーゼルエンジンのマッチングシミュレーションを行った。その結果、エンジン性能の予測精度が改善された。
- コースロープの消波性能
佐藤陽平・宮下充正・藤島実・木下健 競泳競技で、プール内に存在する水波は、泳者の抵抗を増加させ競技記録の低下要因 となる。世界記録レベルの競技記録を生み出すには、泳者のトレーニングのみならず 、競技環境の整備、すなわち、消波性の高いプールの研究は不可欠である。競技者が 水波の影響を受けるのは、先行している他の競技者の引き波の中を泳ぐ場合と、ター ンの際折り返し、自らの引き波の中を泳ぐ場合の二通りである。従ってコースロープ は、これらの点に着目して開発する必要がある。今回、このような考察のもと、コー スロープの消波性能の評価法を提案し、4種の形状のコースロープの消波性能の測定 および検証を行った。その結果、コースロープの形状により水波の透過率で約2倍の 相違が現れることがわかった。
- 粘度分布に着目した高流動コンクリートの材料範囲の提案
相良健一・加藤佳孝・魚本健人 自己充填性を有する高流動コンクリートのフレッシュ時の品質は、構成材料中約8割を占める固体粒子の物理的性質に大きく影響を受ける。本研究では混和剤として高炉スラグ微粉末を用いた粉体系高流動コンクリートを水と様々な粒径の粒子の集合体と考え、構成材料の物性を代表する指標として粒度分布に着目した著者らは粉体分子に関して推奨粒度分布の提案を行ったが、本研究では細骨材、粗骨材の推奨粒度分布及びこれらをまとめ固体粒子全体での推奨粒度分布の提案を行った。
- 吹付けコンクリートの特性に関する基礎的研究(2)
- 個別要素法を用いた吹付け時のリバウンド推定の試み -
牧 剛史・魚本健人 吹付けコンクリートはその施工時に発生するリバウンドの影響により吹付け前後で品質が変動し、品質管理が困難である。本研究は吹付けコンクリートに関する基礎的研究として行っているもので、品質変動を定量的に評価することを目標として、2次元個別要素法を用いて吹付け時のリバウンドを推定することを試みている。その結果、ペーストの効果を表現する間隙層のパラメータを水セメント比と関係づけることによって、リバウンド特性を概念的に表すことが可能であり、個別要素法の適用可能性の一端を示すことができた。
- 兵庫県南部地震の被害分析
- その4 西宮市における建築物被害のマクロ分析 -
山口直也・山崎文雄 兵庫県南部地震における西宮市の詳細な建築物データを収集し、被害のマクロ分析を行った。その結果、棟数の少ないレンガ造りを除いて見た場合、構造別の全半壊率は木造が最も大きく、続いて鉄骨鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順で、プレハブ造はどの構造とも被害率が小さかった。木造、木質系プレハブ造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造建物についての建築年代別被害率は、どの構造とも建築年代が新しいほど小さくなる傾向が見られた。高さ別の被害率は鉄筋コンクリート造、鉄骨造とも高層になるほど大きかった。木造建物の屋根種別の被害率は、どの建築年代においても瓦葺きが最も大きく、スレート葺きが最も小さかった。
- プレローディド・プレストレスト補強盛土の実施工脚と実物大模型への載荷試験
内村太郎・龍岡文夫・古関潤一・佐藤剛司・小高猛司・舘山勝 筆者らは、補強盛土の剛性を飛躍的に改善するために、補強盛土にあらかじめ鉛直方向に圧縮プレロードを加え、使用時にもプレストレスをかけておく、プレローディド・プレストレスト(PL・PS)補強土を研究してきた。1996年夏に、実施工では初のPLPS補強土橋脚が建設され、詳細な計測によって、実施工盛土でのプレロードの効果が確認された。また、千葉実験所の模型盛土で繰り返し荷重の載荷試験を行い、その結果、現段階の方法では繰り返し荷重によって残留沈下が累積し、プレストレスが抜ける可能性のあることが示された。