- チャンネル内で温度分布を持つ発達乱流の特性
金 宰基・吉識晴夫 アスペクト比3:1、レイノルズ数30,000以下、壁温一定の加熱条件で発達チャンネ ル乱流の定常流についてRe数と加熱の影響を調べた。その結果、本実験範囲での流れ 方向無次元平均流速分布と温度分布はRe数と加熱量によらず、普遍的な分布を示した 。しかし、無次元速度乱れ強さ分布を粘性領域における非加熱定常流の普遍性を示す 実験式と比較した結果、顕著な差を示した。その差はRe数には依存しないが、加熱に よる影響で摩擦温度に大きく影響されることが判った。また、無次元温度乱れ強さ分 布も熱流束の強い影響を示した。
- 独立回転式輪軸を用いた操舵台車の研究
須田義大・前城正一郎 本研究は、独立回転車輪を用いた新方式の鉄道車両用操舵台車を提案し、理論・計算・実験の各手法を用いて、その台車の走行性能について検討を行った。従来の鉄道台車は、安定性が重視され操舵性能が犠牲にされがちであったため、曲線区間の車輪・レール間に作用する著大な横方向力や、その力などが原因で生じる車輪・レールの摩耗、軋り音の発生、走行抵抗の増大などが問題となっている。本研究では高速走行時の安定性を保ちつつ、曲線通過時の操舵性能の向上を図るため、後輪軸に左右独立回転式の輪軸を配置した操舵台車を提案した。理論検討や計算結果、および実際の台車を用いた実験によって、通常の鉄道台車よりも操舵性能・走行安定性が向上できることを示した。
- アルカリ溶液に浸漬したアルカリ反応性堆積岩骨材の組成変化
白坂徳彦・魚本健人 遅延型膨張を示す堆積岩系骨材を促進条件(80℃)でNaOH溶液に7〜30日間浸漬し、アルカリシリカ反応におけるミクロレベルでの元素の移動を検討し次のような結果を得た。浸漬日数が長くなるに伴い骨材の内部からもSiが溶液中に溶出するが、Naは骨材をアタックしても骨材中には残留しなかった。また、本実験の条件下では粒径10mmという粗粒な骨材からも相当量のSiO2が溶出することから、この種の骨材を粗骨材として使用すると、常温でもアルカリ・シリカ反応が生ずるものと考えられる。
- コンクリートの乾燥収縮ひび割れ発生限界に関する研究
大野俊夫・魚本健人 乾燥収縮によってコンクリートにひび割れが発生する際のひずみなどを明らかにすることを目的として、水セメント比、乾燥開始材齢、拘束度を実験要因に取上げ、軽量溝形鋼を拘束体とする拘束ひび割れ試験を実施した。その結果,水セメント比が小さいほど、拘束度が大きいほど、湿潤養生期間が非常に短い場合、乾燥後ひび割れが早く発生することが分かり、また、引張伸び能力とひび割れ発生材齢の間には相関性があり、引張伸び能力によってひび割れ発生時期を推定できることを示した。
- コンクリートのひび割れを考慮した透水性モデルに関する基礎的研究
木下勝也・魚本健人 コンクリートの耐久性を論じる場合、気体や液体、イオンなどのさまざまな物質のコンクリート中への浸入が問題となる。これらの物質の移動は、ひび割れなどの存在によって促進されるが、このような現象を表現したモデルに対する定量的な評価については未だ十分な検討はなされていない。本研究においては、移動係数として透水係数に着目し、コンクリート空隙構造を想定したガラス管網による実験を行い、ひび割れの影響を定量的に行うための基礎的な検討を行った。また、グラフ理論を応用した管網計算により、透水係数の分布の推定を行った。
- 兵庫県南部地震の被害分析
―その3 灘区における建築物被害のマクロ分析―
村尾 修・山崎文雄 兵庫県南部地震における灘区の詳細な建築物データを収集し、被害のマクロ分析を行った。その結果,構造別の全半壊率はレンガ造が最も高く,続いて木造,鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄骨造,軽量鉄骨造,コンクリートブロック造,鉄筋コンクリート造の順であった.木造,鉄骨造,鉄筋コンクリート造建築物についての建築年代別被害率は,建築年代が新しいほど少なくなる傾向が見られた.高さ別の被害率は鉄骨造,鉄筋コンクリート造とも高層になるほど大きかった.木造建築物の屋根別の被害率は,どの建築年代においても瓦葺きが最も大きく,スレート葺きが最も小さかった.