沸騰を伴う気液二相流は、広く工業プロセスに出現し、この流れ場の解明はきわめて重要な課題となっている。しかし、現象の複雑さから、数値シミュレーションによる解析はもとより実験的にも現象の解明は十分になされていない。本研究では、気液二相流の解析にディジタル画像処理技術を適用し、鉛直二重円管内のサブクール沸騰の解析を行った。管内のヒーター部で発生した気泡の、発生−成長−離脱−凝縮−消滅にいたるまでの一連の過程を高速度撮影し、これを画像解析した。第1報では気液二相流中の気泡部を自動的に抽出するための、背景画像の作成、画像座標の基準化、気泡画像の調整そして気泡輪郭の抽出などの画像処理方法について詳細を述べる。
前報では、沸騰気流二相流中の気泡を画像上から検出するための画像処理アルゴリズムを述べた。本報では、この画像処理アルゴリズムを沸騰気泡の過渡現象の解析に適用する。垂直円管の過熱ヒーター上で沸騰により発生する気泡を検出し、その輪郭情報から気泡のサイズと形状を、輪郭の時間的変化から気泡の成長時間、気泡寿命、あるいは気泡の移動奇跡、移動速度などを定量的に計測した。同時に、管内の気泡径分布の計測、管内のボイド率とその時間変化の計測などを行った。本画像処理手法による動的な計測データベースの構築と統計的な解析は気液二相流のモデリングに有効なデータを与えるものと考えられる。
近年タービンの設計段階において、数値流体力学が盛んに取り入れられるようになってきた。しかしラジアルタービンについては、未だ実験や経験によるところが大きい。本研究では、低周速で高効率なラジアルタービンを設計する際の指針を与える前段階として、LDVで内部流れが計測されたラジアルタービンについて、Beam-Warming法に基づくTVD差分法で数値解析を行なった。その結果、実験結果、準3次元解析結果及びBeam-Warming法による解析結果と定性的に一致する解を得ることができた。またタービン翼間において、流路に垂直な面内で発生している渦を確認することができた。
本論は、自律型海中ロボットが調査活動を安全に達成するための保全要素技術として、ニューラルネットワークを用いた自己診断システムの研究の第2報である。主な改善点は、(1)診断をロボットの作業中にオンラインで行えるようにしたこと、(2)センサの故障発見後の対処方法として、センサ出力の替わりにロボット内部に構築した運動モデルの出力を利用する制御行動を用意することである。具体的に自律型海中ロボット”Twin−Burger”を対象として自己診断システムの構築および実験を行うことにより、提案する診断システムが有効に作動し、センサやアクチュエータの故障発見や故障発見後の適切な対処が可能となることを示す。
RC構造物の耐力を向上させる方法として、炭素繊維シートを巻き付けあるいは貼り付けるなどの方法がある。本報告では、炭素繊維シートをコンクリート構造壁に貼り付け後、その空隙などの欠陥が検出可能であるかを炭素繊維シートの種頚、層数、欠陥の大きさを変え、赤外線カメラによる熱赤外線画像を用いて検討を行った。その結果、温度変化あるいは分布を測定することにより、短時間で広範囲にわたり空隙などの欠陥の位置を2値画像表示法および区間変換処理法によりおおよそ維定することがでさた。
兵庫県南部地震に関する詳細な被害データを収集し,被害原因の分析を行っている.本報告では,芦屋市における詳細な建物特性データと被害区分データを用いて,構造種別や建築年代などのデータと,被害との相関について概略的な検討を行った.その結果,木造建物は建築年代が古いほど被害率が高く,鉄筋コンクリート造や鉄骨造についても,同様の傾向が見られた.被害率については地区による差が大きく,地震動の強さ,液状化の有無,それに地区の建物特性が影響しているものと思われる.
地震時に土留め擁壁に作用する土圧について検討するために、2種類の 実験装置を用いて疑似静的な模型実験を実施した。本報告は、用いた実験 装置と実験方法、および予備的な実験結果をまとめたものである。小型の 実験装置で計測された土圧は、物部岡部の土圧公式による計算値よりもか なり小さかったのに対し、大型の実験装置で計測された土圧は、計算値と おおむね一致していた。この違いは、小型の実験装置では側壁と裏込め砂 の間の摩擦の影響が大きかったことによると考えられる。