A5056合金の半溶融状態の様子ならびにそれに荷重を付加した際の内部組織の変化について高温顕微鏡による直接観察を行い概略以下の結果を得た。(a)結晶粒界から溶融が始まり、昇温とともにその溶融域が拡がる。(b)半溶融状態にある合金に8〜14MPaの圧力を加えた場合、液相成分の一部は空隙に進入し、他は外部(自由面)に流動する。(c)液相成分の流動により内部組織の崩壊が起こる。(d)固相成分自身も変形・回転し形状変形する。
鍛造工程設計において開発期間とコストを低減するためには解析により変形や荷重の予測を行うことが必要不可欠である。塑性加工の解析ソフトは3次元に拡張されつつあるが計算時間の多さなどに問題を残している。筆者らは短時間で簡易的に3次元解析を行うためにUBETを鍛造工程へ応用する研究を進めている。3次元直交座標系における直方体平行速度場・六面体傾斜速度場等のUBET要素を構築した。それらを組み合わせてウェブリブ構造品鍛造の変形解析を行った結果、短時間で変形の概要と荷重を計算できることがわかった。
近年,ロール成形に関する数値解析がおこなわれているが,薄板材を対象としたものが中心であり,厚板材に関する研究が少ない.そこで,3次元剛塑性有限要素法を用いて,厚板材をV形材にロール成形する際の数値解析をおこなった.そして,この解析結果の妥当性を調べるため,厚板材のロール成形実験をおこない,この解析結果の妥当性について比較検討をおこなった.その結果,成形後の断面形状や成形荷重について,解析結果が実験結果とよく一致することがわかった.
矩形材、アングル材、チャンネル材などの型材の押出し加工における材料の塑性流動について、3次元FEM解析による検討を行った。製品を真っ直ぐ押出すためには、ダイス出口において、断面の各部が同じ速度でなければならない。本研究では、製品のアスペクト比、ダイス孔位置、ダイスのベアリング長さ、押出し比などの条件因子が材料の塑性流動におよぼす影響について検討し、ダイス出口面での材料速度が一定となる最適ダイスベアリング長さ、ダイス孔位置と材料の塑性流動との関係などに対し明らかにした。
フラットダイスを使用した複雑断面形状(L型やT型の非対称断面)の押出しにおいては、材料の不安定な塑性流動によって、製品に曲がりやねじれなどの欠陥が発生する。こうした欠陥は、押出し後、様々な手段によって矯正され、所定の製品に製造されるのが普通である。本研究では、非対称断面形状(L型、T型)押出し時において、上述のような欠陥を防ぐことを可能ならしめる3次元FEM解析手法を開発した。本解析によって平均押出し加圧力やダイスベアリング部での材料速度分布の予測が可能となった。
これまでに宇宙構造物に適用されてきたスマート構造の概念を、著者の一人は、地上の構造物に適用してアクティブ制振する研究を行っている。この場合のアクチュエータとして、積層型ピエゾアクチュエータは発生力が大きく非常に有効である。しかしながら、構造物のスマート構造のためのアクチュエータとしてのピエゾアクチュエータについてはまだ未知な点が多い。本研究は、そのアクチュエータに必要とされる諸特性を解明するのが目的であり、本報は、積層型ピエゾアクチュエータ10x10x18mmを用いて、実験的に解明された結果について報告している。
コンクリート用補強材料として用いられる繊維補強プラスチックロッドは、高強度・高耐食性・軽量・非磁性体等の特徴を有することから、建設分野における利用可能性が高く種種の検討がなされている。現在までに著者らは各種ロッドに関して様々な実験を行ってきた。本研究はこの一連の研究の一部であり、各種ロッドを自然環境で暴露した場合における、凍結融解作用に注目し、凍結融解作用がロッドの引張強度に与える影響に関して、実験的検討を行った。