木内 学
中川 威雄
焼結機械部品の製造において、原料粉の準備と焼結条件の選択は主要なものであるが、実際の生産現場では粉末の成形工程も極めて重要であり、焼結品の品質と形状的制約を決めている。最近、金属ばかりでなくセラミックスにも広く応用されるようになって、各種の粉末成形法が次々と開発されている。特に、プレス成形機のCNC化とCADデータから直接立体形状を創成する積層造形法は注目を集めている。本稿では、これらの最新技術を含めた粉末成形法を概説する。
谷 泰弘
研磨加工と研削加工の大きな違いは,研磨加工では化学的作用が除去作用に大きな影響を及ぼしていることである.こうした研磨加工の中で,機械的作用と化学的作用の相互作用であるメカノケミカル作用を主体としたメカノケミカルポリシングは,ダメージレスを目指す最近のポリシング技術の中心となっている.このメカノケミカルポリシングにおいて,砥粒の電気化学的作用は仕上げ面粗さや除去能率を決める要因となっている.最近の話題として,この電気化学作用を積極的に利用した研磨技術が開発されている.本解説では研磨加工における化学的作用と電気化学作用を利用した研磨技術について紹介している.
木内 学
棒・線材の製造工程の中で、重要な役割を果たしている矯正技術について、その特質と問題点を平易に解説し、併せて、矯正中の被加工材の変形挙動の解析方法や矯正ロールおよび矯正加工機の設計のあり方、更に、棒・線材の矯正加工技術の今後目指すべき方向を示す。
金榮燦・西尾茂文
本研究は、現実の鋼材製造プロセスを念頭に置き、噴霧冷却の高温域熱伝達分布に関する実験的およびモデル解析的検討を行ったものである。主な内容は、1)比較的希薄な噴霧冷却における熱伝達率分布の測定とそのモデル化、2)鋼板表面に形成される液膜流における測定と整理、および3)噴霧流と液膜流とが干渉する系における測定と整理である。これらの測定結果および整理結果は、いずれも噴霧冷却における高温域熱伝達分布に関しては液体顕熱の効果が重要であることを示している。
柳本 潤
変形加工による素形材プロセシングにおいては,塑性変形を最適に制御することによる形状の創成と内部組織の創質が同時にはかられねばならない.本解説では,これらを同時に実現するための鍵を握る理論解析手法の現状と今後の課題について述べる.
上村 康幸、谷 泰弘
硬脆材料の延性モード切削を実現するためには、工具の設定切込みの原点である工具と工作物との接触をnmオーダで計測する初期接触検知技術を開発することが必要である。そこで、初期接触検知の検出信号にAEセンサを、参照信号に電気導通を用いて、AEの初期接触検知センサとしての有効性を明確にした。その結果、Si基板の初期接触検知ではAE信号で10nmオーダの値が得られ、硬脆材料の初期接触検知にAEが適用できることが判った。また、AEセンサの検出感度は、衝突時のエネルギーによることが判った。
谷 泰弘・甲木賢太郎・佐藤 壽芳・上村 康幸
三次元測定機で用いられている石定盤の平面度は、プローブの空間精度に影響を与えるため重要である。本論文ではこの石定盤の真直度を高速にかつ高精度に測定する方法を開発した。石定盤上を空気静圧軸受のメカニズムにより計測装置を摺動させ、この計測装置の鉛直方向変位と傾きをレーザ光をデータムとして光学式に測定した。その結果、400nmの範囲で50点の測定を3分以内行うことが可能になり、その精度は0.16μmであった。傾きを積分して得た計測値は、電気水準器のデータと非常によい一致を見た。
金 範 、増沢 隆久、藤野 正俊
Mellor-Yamadaの大気乱流喘湶を用いて局地風を中心とした関東地方の速度場・温度場を解析した結果を示す。本研究では都市化の効果を調べるために、現状の土地利用状況を考慮した場合と、都心まで全て緑地であると仮定した場合の2つの弘
張 海 、中川威雄
従来の溶射法による天然模様加飾金型の製造では,皮シボなど天然模様付き被溶射型の耐熱性が低いため,溶射材料は低融点金属に限られ,また,バックアップは樹脂などで行われるため,得られた金型の耐久性が劣っている.そこで,著者らは中川研究室で開発したセラミック型を被溶射型とし,溶射によって耐摩耗性の良い超硬及びステンレスの耐久溶射層を形成し,それを鋳造によって裏打ち金属系材料と接合するという新しい天然模様加飾金型の製造法を提案した.試作した金型の射出成形実験を行った結果,射出成形に適用できることが判明した.
野口 裕之、中川 威雄
プラスチックは電気の良好な絶縁体であり、導電性がないため、静電気を帯びたり電磁波を通してしまう。ABS樹脂に多量のハンダを混入した10-5Ω
徐 毅、中川 威雄
紫外線硬化樹脂の硬化過程の動的な状況をビデオカメラを用いて観察し、硬化 物の周囲の液体樹脂が流動していることを明かとした。この流動現象が造形過 程に対してどのような影響を与えているか考察した。また、流動の原因につい ては、温度の測定を行い、樹脂の反応熱により液体樹脂の温度分布が符均一と なり、その比重の変化で液体樹脂を流動することを確認した。
横井 秀俊、村田 泰彦、山口 龍善
トランスファ成形における金型内樹脂流動挙動の観察は、ボンディングワイヤ 断線、ボイド発生等の製品不良の解明に対して重要である。本研究では、モー ルドベース内に2つのプリズムガラスブロックを組み込んだバックライト可視 化金型を試作した。そして、まずガラスキャビティ面が樹脂流動挙動に及ぼす 影響の確認を行った後、この金型と高速ビデオカメラを用いて、半導体パッケー ジング過程におけるキャビティ内樹脂流動挙動の観察を行った。
横井 秀俊、西内 進
射出成形における冷却過程中の挙動は、ひけ等お不良現象の発生に起因し早急 な現象解明が望まれている。そこで本研究では、保圧・冷却過程における剥離 現象の計測手法として医療用超音波イメージスキャナによる計測手法を提案し、 その有効性につて検討を行った。その結果、PPを用いた計測実験を通してそ の有効性を実証的に明らかにした。また、リブを有する成形品において、各種 保圧条件におけるリブ対向面の離型過程を観察し、離型の進行状況を具体的に 明らかにした。
柳本 潤
H形鋼,チャンネル材等の多パス形鋼圧延においては,圧延方向横断面内での 変形量が極めて大きい.そのため,ビレットより最終仕上げパスに至る解析を 実施するためには,解析中途での要素再分割が必須である.本報では,スタン ド間で圧延方向横断面内に要素を再分割する手を新たに提案し,H形鋼ブレー クダウン圧延,チャンネル材圧延への適用例を示す.
柳本 潤
棒・線材,板材の熱間仕上げタンデム圧延では,パス間時間が短いためにひず みの累積効果が顕著にあらわれる.従って各パスの降伏応力,圧延圧力を正確 に見積もるためには,パス間での回復・再結晶およびパス内での硬化・回復・ 再結晶を考慮する必要がある.本報ではこれら要因を含め解析可能な増分形内 部組織解析モデルを提案する.さらにオロワンの圧延理論と結合し,連続熱間 薄板圧延加工時の圧延圧力分布・結晶粒径分布の予測例を示す.