生産研究 アブストラクト
- 第47巻 第10号
- Lagrangian Dynamic SGS Modelによる2次元角柱周辺流れのLE S解析
Large Eddy Simulation of Turbulent Flow past 2D Square Cylinder using Lagrangian Dynamic SGS Model
小林 光・村上 周三・持田 灯・カイル D.スクワイヤーズ
Hikaru KOBAYASHI,Shuzo MURAKAMI,Akashi MOCHIDA and Kyle D. SQUIRES
- 2次元角柱周りの渦放出流れをLagrangian Dynamic SGS(LDSGS) モデルを用いたLESによって解析した。従来の Dynamic Model による解析の多くはチャンネルなど比較的単純な 流れを対象としていた。これらの解析ではダイナミックに同定さ れるモデル係数が負値をとることによる計算の不安定を避けるた め、流れの一様な方向にモデル係数を平均し、計算の安定化を図 る工夫が多く行われる。これに対してLDSGSは流跡線の上流 に遡ってモデル係数を平均し安定化を図る手法で、角柱周りのよ うな一様な方向の存在しない流れ場にDynamic タイプのSGSモ デルを適用する際に有効な手法の一つである。本稿ではLDSG Sが計算安定性、精度の両面から優れたモデルであることを Dynamic Smagorinsk y Model、Dynamic Mixed Model 等との比較 より確認した結果を示す。
- 0方程式非平衡Subgrid model の研究
Investigation of the 0-Equation Type of the Non-equilibrium Subgrid Model
岡本 正芳
Masayoshi OKAMOTO
- Smagorinsky モデルはそのモデル定数が各種流れ場に依存すると いう問題点が広く知られている。この問題点がSmagorinsky モデ ルが有する非定常性の欠如に起因するものと考え、乱流統計理論 の2スケール直接相関近似(TSDIA)を用いて、非定常性の 効果を考慮した0方程式型の非平衡SGSモデルを導出する。さ らにMixing Layer、チャンネル流、一様減衰流の3つの流れ場で このモデルを用いたLarge Eddy Simulation を実行し、改良およ び問題点を議論する。
- 密度変化を伴う高温高浮力流れの数値シミュ レーションに関する研究−モデル火災室内の高温自然対流の乱流 解析
−Experimental and Numerical Study on Natural Convection in a Model Fire Room
加藤 信介・義江 龍一郎
Shinsuke KATO and Ryuichiro YOSHIE
- 本研究は火災時の煙流動のように密度変化が大きく、流体の非圧 縮性を仮定することの難しい大きな温度差のある流れ場をCFD により解析し、実験との比較によりその妥当性を検証することを 目的とする。本報では、モデル火災室内の高温自然対流をLDV 等を用いて詳細に測定した結果と、浮力ダンピング効果を考慮し た低Re数型圧縮性k−εモデルによる3次元乱流数値シミュレー ション結果を比較検討する。
- 乱流ダイナモによるポロイダル磁場の生成機構
Generation of the Poloidal Magnetic Fields under the Combination of Cross-Helici ty and Helicity Dynamo
横井 喜充・吉澤 徴
Nobumitsu YOKOI and Akira YOSHIZAWA
- 回転球殻での電気伝導性乱流でトロイダル磁場とポロイダル磁場 がどのような機構で生成されるかを調べるヘリシティ(速度/渦 度相関)の効果で磁場を生成するアルファ・ダイナモとクロス・ ヘリシティ(速度/磁場相関)の効果で磁場を生成するクロス・ ヘリシティ・ダイナモの特徴が概観される。クロス・ヘリシティ・ ダイナモによってトロイダル磁場が生成され、それとアルファ・ ダイナモを組み合わせることでポロイダル磁場が生成されること が示される。対流層の相対的厚みの違いが地球と太陽のポロイダ ル磁場生成機構に差異をもたらす可能性が指摘される。
- 角柱周りの流れのラージ・エディ・ シミュレーション−メッシュ依存性について
−Large Eddy Simulation of Flow around a Rectangular Cylinder -On the Mesh Dependency-
小垣 哲也・小林 敏雄・谷口 伸行
Tetsuya KOGAKI,Toshio KOBAYASHI and Nobuyuki TANIGUCHI
- 本研究は、角柱周りの流れのLES計算に対するメッシュ依存 性について調査するため、計算方法、SGSモデルを変えずに、 解像度の異なる3つの計算格子を使用して計算を行った。また、 本研究では対流項の差分スキームとして3時精度風状差分(Q UICK)を使用しているため、人工的数値粘性の付加の影響 についても調べた。その結果、QUICKの人口粘性項は角柱 前縁付近における数値振動の発生を効果的に抑制する反面、後 流域においてSGSモデルの乱流渦粘性拡散項よりも大きくな ることがわかった。また、スパン方向の格子点数が後流の構造 に影響を与えることがわかった。
- LESによるチャンネル内立方体障害物 周辺の乱流解析
LES of Turbulent Flow around a Surface-mounted Cubical Obstacle in a Channel
朴 南燮・小林 敏雄・谷口 伸行
Namseob PARK,Toshio KOBAYASHI and Nobuyuki TANIGUCHI
- チャンネル内に置かれた立方体障害物周辺の流れをSmagorinsky モデルを用いたLarge- eddy simulation(LES)によって解析し た。複雑な流れ場に対するLESの工学的実用性を考え、比較 的粗い計算格子を用い、壁面近傍ではSpalding則による人工的 壁面境界条件を採用して立方体の高さH,流入部の体積平均速 度Ub に基づくReynolds数40,000に対して計算を行った。 空間離散化に2次精度中心差分を採用したが、計算安定のため 対流項のみ局所的に3次精度の風上差分スキームを導入して計 算し、それらの流れ場の諸量をR.Matinuzzi,C.Tropeaらの実験 結果と比較した。
- バックステップ流れの数値解析−低レイノ ルズ数型k−εモデルの評価
−Numerical Flow Simulation for Backward-Facing Step using Low-Reynolds Number k- ε Model(2nd Report)
鬼頭 幸三・小林 敏雄・谷口 伸行
Kozo KITOH,Toshio KOBAYASHI and Nobuyuki TANIGUCHI
- 本報では代表的な低レイノルズ数k−εモデル3種、すなわち Launder-Sharmaモデル、明・笠木モデル、安倍・長野・近藤モ デルをバックアップステップの流れの付着点付近の流れ場に適 用し、笠木らの実験値との比較、ゾーナルアプローチの適用面 等から考察を加えている。また数値解の精度に及ぼすεの境界 条件の影響もあわせて調べている。
- 非一様圧縮性乱流の密度・膨張相関
Density-Dilatation in Inhomogeneous Compressible Turbulence
半場 藤弘
Fujihiro HAMBA
- 圧縮性乱流の密度・膨張相関を調べるために直接数値解析計算 を行った。擬スペクトル法を用いた一様等方流の計算に適切な 外力を導入し、一方向について非一様で他の二方向について一 様な定常乱流場を計算した。平面と時間について平均をとり種々 の乱流統計量を求めた。その結果、圧力・膨張相関の分布と密 度・膨張相関の分布が類似していることや、密度分散の収支式 で密度・膨張相関項が重要なことがわかった。密度・膨張相関 のモデルとして平均速度勾配の2乗の項または圧縮性の散逸率 の項を含む2つのモデルについて考察した。
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