近代建築の金字塔戻る  
           
  【詳細】

技術と芸術の融合した建築構造の最前線

本所の坪井善勝教授がおもに丹下健三教授と組んで世に送り出した数々の巨大な建築物は、高度成長時代を走り出した日本の建築界の牽引役ともなった。坪井研究室は最先端の研究と構造設計を同時に行い、研究と現場(応用)を直結させつつ、世界の最先端を突っ走っていた。とりわけ国立代々木体育館は、構造設計が建物全体の形態に大きな影響を及ぼしており、構造設計者の芸術性に対する深い理解があって初めて生まれた建築物だといえる。ほかにも、鉄筋コンクリートの薄肉曲面構造、鉄骨立体トラス構造、吊り構造の研究などは、多くの博士論文として結実するとともに、次々に実際の美しい建築物となった。こうした建築は、技術と芸術の融合が生んだ第一級建築作品として、今でも内外の建築家に広く愛されている。総合芸術としての建築をより高みへ導くため、最先端の研究と技術開発を行い、現場に応用する姿勢が、坪井時代からの伝統である。

------------------------------------------

[研究者プロフィール]

萌芽期
     
  坪井 善勝 (Yoshikatsu Tsuboi) (1907年〜1990年)
1942年東京大学第二工学部(現・生産技術研究所)教授。1990年12月6日逝去。
当時の職位: 本所第5部教授
所外の主な職歴: 清水建設技術顧問、国際シェル・空間構造学会会長
受賞など: 日本建築学会特別賞、文部大臣賞(1965年)
   
展開期
     
富井 政英 (1948年〜1955年まで学生在籍、九州大学名誉教授) =鉄筋コンクリート構造
   
秋野 金次 (1951年大学院学生、原子力発電技術機構) =曲面構造
   
田治見 宏 (1950年特別研究生、日大名誉教授・田治見エンジニアリングサービス) =構造振動
   
青木 繁 (1947年〜1951年まで学生在籍、法政大学名誉教授) =曲面構造,構造設計
   
若林 實 (1951年〜1957年まで本所第5部助手、京都大学名誉教授) =鉄骨鉄筋コンクリート構造
   
川口 衞 (1957年〜1960年まで学生在籍、法政大学名誉教授) =曲面構造、構造設計
   
川股 重也 (1967年〜1974年まで本所第5部助教授) =曲面構造、制振構造
   
半谷 裕彦 (1975年〜本所第5部助教授、1985年〜教授、1998年逝去) =曲面構造、非線形解析、計算工学
   
   
[関連教員]

現在(駒場キャンパス)
   
川口 健一 (本所人間・社会系部門教授)
=空間構造システムの研究開発、可動構造の研究開発、テンセグリティ構造の研究、宇宙構造物の開発、免制震構造、非構造材の安全性、一般逆行列の研究、建築構造設計およびその周辺技術の開発

  晴海の旧・国際展示場(立体トラス構造)1959年
晴海の旧・国際展示場(立体トラス構造)1959年


聖マリアカテドラル(HPシェル構造)1964年
聖マリアカテドラル(HPシェル構造)1964年



建設中の第1体育館


国立代々木体育館(半剛性吊構造)1964年
国立代々木体育館(半剛性吊構造)1964年


Expo'70 お祭り広場大屋根(立体トラス構造) 1970年
Expo'70 お祭り広場大屋根(立体トラス構造)1970年
 
 
Quick Menu ページトップへ 戻る