東京大学
情報学環/生産技術研究所
[機械・生体系部門]
鈴木高宏研究室
非ホロノミックとは?
「非ホロノミック」とは何でしょう?難しいですね。
「力学系の拘束条件が可積分でないこと」「ドリフトがあること」「入力の数よりも多くの座標を制御できる」といったところでしょうか。
非ホロノミックというのは、系の拘束条件の性質を述べた言葉です。
力学系の拘束条件を考えて下さい。
拘束条件は、一般に系の座標(位置とか角度)と時間、そして座標の時間微分すなわち速度、加速度などの方程式として表されます。
この拘束条件が座標(と時間)のみで記述される場合、「ホロノミック(holonomic)」といいます。
そしてそうでない場合は全て「非ホロノミック(nonholonomic)」です。
その中でも、拘束条件が速度を含み、時間に対して積分できないとき「運動学的な」非ホロノミック拘束、
または1階の非ホロノミック拘束(first-order nonholonomic) と言います。
また、拘束条件に加速度までが含まれて可積分でないとき「力学的な」非ホロノミック拘束、
または2階の非ホロノミック拘束(second-order nonholonomic) と言います。
1階、2階というのは拘束条件が1階または2階の微分方程式で表されることを表します。
と言われても、いきなりの人には難しいですね。
例を挙げましょう。自動車の運転を考えて下さい。
普通、皆が運転するような車ってのは真横に走らせたり、
ピボットターン(その場で向きだけ変えることです)したりすることはできませんね。
(ちなみにここでは据え切り、4WSというのは無しです)
ですが、いわゆる「切り返し」を行なうことで結果的にどこにでもどのようにでも車を移動させることはできますよね。
車はアクセル・ブレーキによる前後方向の操作(より正確に言えば、前後進の速度制御)と
ハンドル(ステアリング)による進行方向の操作(進角の角速度制御)の2つの操作(制御入力)があるわけです。
一方、車の動く空間の自由度は平面内での位置(2次元)および姿勢角(1次元)の合計3次元です。
つまり入力が2つなのに対して、空間の次元は3次元なのです。
しかし「自動車」というシステムが「非ホロノミック」な系であるために、
「切り返し」という入力の組合せをうまく選ぶことで与えられた自由度以上のことができる可能性があるということなのです!
超柔軟ロボットシステム
メカトロニック人工食道
人間-自動車-交通流系の動的挙動
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